東京都足立区:下町の魅力と活気に満ちた街

東京都足立区は、東京23区の北東部に位置し、隅田川と荒川に挟まれた、歴史と活気に満ちた街です。古くから続く下町の文化と、近年発展する都市機能を併せ持ち、魅力あふれる街として注目を集めています。

概要

足立区は、隅田川と荒川に挟まれた千住地区と、荒川以北の地区の2つのエリアに分かれています。かつては陸続きでしたが、大正時代に荒川放水路が建設され、分断されました。東京23区最北端に位置する足立区は、豊かな自然と都市空間が調和した街として、多くの人々を魅了しています。

地理

地形

足立区は、平坦な地形と多くの川が特徴です。特に、南部の千住地区・五反野地区・綾瀬地区には、海抜0m未満の地域も存在します。

河川

足立区を流れる主な河川は、隅田川、荒川、綾瀬川、中川、新芝川、毛長川です。これらの河川は、足立区の風景を形作り、人々の生活を支えてきました。

  • 隅田川:新神谷橋、新田橋、新豊橋、豊島橋、小台橋、尾久橋、尾竹橋、千住大橋、常磐線、つくばエクスプレス、東京地下鉄日比谷線、千住汐入大橋などが架かっています。
  • 荒川:鹿浜橋、五色桜大橋(首都高速道路中央環状王子線)、江北橋、扇大橋、西新井橋、千住新橋、千住鉄橋(東京メトロ千代田線、常磐線、つくばエクスプレス)、東武伊勢崎線、京成本線、堀切橋などが架かっています。
  • 綾瀬川:桑袋大橋、浮花橋、内匠橋、新加平橋、綾瀬新橋、五兵衛新橋、伊藤谷橋、東京地下鉄千代田線、常磐線などが架かっています。
  • 中川:飯塚橋などが架かっています。
  • 新芝川:入谷大橋、南平大橋などが架かっています。
  • 毛長川:中居橋、砂小橋、舎人二つ橋、毛長橋、谷塚橋、東武伊勢崎線、毛長堀橋、水神橋、花畑大橋、鷲宮橋などが架かっています。

気候

足立区は、東京と同じように、温暖な気候に属しています。夏季は高温多湿で、冬季は比較的温暖です。

歴史

年表

足立区の歴史は古く、縄文時代から人々が住んでいたことが確認されています。その後、古代、中世、近世と、時代と共に発展を遂げ、現代に至るまで、様々な文化や歴史を育んできました。

  • 先史時代
    • 縄文時代は中ごろまで海(奥東京湾)の底にあった。
    • 古墳時代に入って、北部に人が移り住むようになった。舎人遺跡からは当時の井戸が発見されている。
  • 古代
    • 当時の毛長川は大河であり、開発はこの川の畔から始まった。
    • 律令制下においては武蔵国足立郡の南東端の地域だった。
    • 天長3年(826年)西新井大師が建立される。
  • 中世
    • 室町時代の中期から戦国時代にかけての中世期には千葉氏の領国であった。
    • 戦国時代の後期には、千葉氏を従属下においた小田原北条氏の領国となった。
  • 近世
    • 天領・寛永寺領に配さる。
    • 石高は約2万石。
    • 千住宿は江戸の北端であり、また日光街道の宿場として栄えた。
    • 千住青物市場は江戸三大市場の一つとして栄えた。
    • 文禄3年(1594年)千住大橋が架橋される。
  • 近代
    • 1868年(明治元年) – 幕府の代官職を引き継ぐ形で、新政府により武蔵知県事が置かれる。
    • 1869年(明治2年) – 小菅県(現在の足立区、葛飾区、江戸川区および埼玉県と千葉県の一部を含む)設置。
    • 1871年(明治4年) – 廃藩置県により小菅県廃止。一部を除き東京府に編入される。
    • 1878年(明治11年) – 郡区町村編制法により、それまでの足立郡の東京府部分に南足立郡成立。同郡の範囲は現在の足立区とほぼ同等。
    • 1893年(明治26年)2月7日 – 千住馬車鉄道 千住茶釜橋〜越谷間が開業する。
    • 1896年(明治29年)12月25日 – 日本鉄道土浦線(現常磐線)が開業する。
    • 1897年(明治30年)8月 – 千住馬車鉄道 千住茶釜橋〜越谷間が廃業する。
    • 1898年(明治31年)11月3日 – 草加馬車鉄道 千住茶釜橋〜越谷間 が開業する。
    • 1899年(明治32年)8月27日 – 東武鉄道(北千住 – 久喜)が開業する。(西新井駅開業)
    • 1900年(明治33年)
      • 2月2日 – 草加馬車鉄道 千住茶釜橋〜越谷間が廃業する。
      • 3月21日 – 東武鉄道竹ノ塚駅 が開業する。
    • 1902年(明治35年)4月1日 – 東武鉄道(北千住 – 吾妻橋)が開業する。(堀切駅開業)
    • 関東大震災後、東京都市計画道路網の一環として、環状7号線・放射11号線(尾久橋通り)・同12号線(現日光街道)が整備される。
    • 1924年(大正13年)
      • 10月1日 – 東武鉄道千住駅、小菅駅、五反野駅、梅島駅が開業する。
      • 10月12日 – 荒川放水路注水開始。
    • 1925年(大正14年)1月 – 千住火力発電所(お化け煙突)設置。
    • 1928年(昭和3年)7月24日 – 東京市電千住大橋-千住四丁目間が開業する。
    • 1930年(昭和5年) – 荒川放水路が竣工。
    • 1931年(昭和6年)
      • 12月19日 – 京成電鉄開業、京成関屋駅・千住大橋駅が開業する。
      • 12月20日 – 東武鉄道西板線(西新井 – 大師前)が開業する。
    • 1932年(昭和7年)
      • 9月1日 – 東武鉄道牛田駅が開業する。
      • 10月1日 – 東京市に編入され足立区となる。尚、東京市から東京府へと提出(内申)された市域拡張案では、千住区となる予定であった。
    • 1935年(昭和10年)9月1日 – 東武鉄道(中千住 – 千住)が開業する。
    • 1943年(昭和18年)
      • 4月1日 – 常磐線綾瀬駅が開業する。
      • 7月1日 – 東京都の成立とともに東京都足立区へ。
    • 1945年(昭和20年)
      • 5月20日 – 東武鉄道西板線(西新井 – 大師前)営業休止。
      • 5月21日 – 東武鉄道大師線(西新井 – 大師前)が開業する。
  • 現代
    • 1947年(昭和22年)
      • 5月3日 – 地方自治法により特別区となる。
      • 9月 – カスリーン台風により水害が発生する。区の東半分が浸水する。
    • 1949年(昭和24年)7月 – 西綾瀬で下山事件が発生。
    • 1953年(昭和28年) – 東武鉄道中千住駅が廃止される。
    • 1962年(昭和37年)5月31日 – 営団日比谷線(現東京地下鉄)(北千住 – 南千住間)開業、東武伊勢崎線への相互直通運転を開始する。
    • 1964年(昭和39年)2月 – お化け煙突が解体される。
    • 1968年(昭和43年)2月25日 – 都電三ノ輪橋-千住四丁目間が廃止される。
    • 1969年(昭和44年)
      • 12月20日 – 営団千代田線(北千住 – 大手町)が開業する。
      • 環状7号線のうち区内部分が全線開通する。
    • 1971年(昭和46年)4月20日 – 営団千代田線(北千住 – 綾瀬)が開業する。
    • 1979年(昭和54年)12月20日 – 営団千代田線(綾瀬 – 北綾瀬)が開業する。
    • 1982年(昭和57年)3月 – 首都高速道路の区内初の区間が開通する。(向島-千住新橋間)
    • 1987年(昭和62年)5月1日 – 東武鉄道千住線(千住分岐点(旧中千住駅) – 千住)が廃止される。
    • 1989年(平成元年)3月 – 綾瀬で女子高生コンクリート詰め殺人事件が発覚。
    • 2005年(平成17年)8月24日 – 首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス(秋葉原 – つくば)開業、青井駅・六町駅が開業する。
    • 2008年(平成20年)3月30日 – 東京都交通局日暮里・舎人ライナーが開業する。

行政

区長

足立区長は、区民の代表として、区政を執行する重要な役割を担っています。区長は、区民の福祉向上、地域活性化、安全安心な街づくりなどを目指して、日々努力しています。

役所

足立区役所は、区民にとって身近な行政機関です。住民票の取得、税金の申告、各種相談など、様々な業務を行っています。

政策

足立区では、区民の生活を豊かにし、住みよい街づくりを実現するため、様々な政策を推進しています。

  • 食育推進: 区民の平均寿命が短く、糖尿病や子どもの肥満が増加傾向にあることから、食育推進に取り組んでいます。
  • 犯罪対策: かつては刑法犯罪の認知件数が東京都内でワーストワンとなっていた時期もありましたが、近年は対策が進み、刑法犯認知件数は減少傾向にあります。
  • まちづくり: 「まちづくり推進条例」を制定し、街づくりを進めています。
  • 文化・芸術: 千住地区を中心とした「足立区文化・産業・芸術新都心構想」を推進しています。

議会

区議会

足立区議会は、区民の代表機関として、区政の監視と区民の意思を反映する役割を担っています。区議会は、区民の意見を聞き取り、区政に対して様々な提言を行っています。

都議会

足立区は、東京都議会議員選挙において、足立区選挙区に属しています。東京都議会議員は、区民の声を都政に反映させる役割を担っています。

施設

警察

足立区には、綾瀬警察署、西新井警察署、千住警察署、竹の塚警察署の4つの警察署があります。警察は、区民の安全を守るため、日々パトロールや事件捜査などを行っています。

消防

足立区には、千住消防署、足立消防署、西新井消防署の3つの消防署があります。消防は、火災や災害から区民を守るため、24時間体制で活動しています。

医療機関

足立区には、多くの病院や診療所があります。区民の健康を守るため、様々な医療サービスを提供しています。

郵便局

足立区には、多くの郵便局があります。郵便物の配達、貯金、保険などのサービスを提供しています。

対外関係

姉妹都市・提携都市

足立区は、海外ではベルモント市(オーストラリア)、国内では山ノ内町(長野県)、魚沼市(新潟県)、鹿沼市(栃木県)と姉妹都市・提携都市の関係にあります。

経済

本社を置く企業

足立区には、様々な企業が本社を置いています。製造業、サービス業など、多岐にわたる企業が、足立区の経済を支えています。

かつて足立区に本社を置いていた企業

足立区には、かつて多くの企業が本社を置いていました。時代の変化とともに、企業の移転や合併などが起こり、現在では本社を置く企業は減少しています。

情報・通信

マスメディア

足立区には、地域住民に情報を提供する様々なマスメディアが存在します。

  • 放送局: ケーブルテレビ局、インターネット放送局などがあります。
  • 広報: 区役所が発行する広報紙、地域情報誌などがあります。

生活基盤

ライフライン

足立区では、生活に必要なライフラインが整備されています。

  • 電力: 東京電力
  • ガス: 東京ガス
  • 上下水道: 東京都水道局、東京都下水道局
  • 電信: NTT東日本
  • ゴミ処理: 足立清掃工場

災害拠点

足立区には、災害発生時の対応拠点として、東京都災害拠点病院、避難所、給水拠点などが設置されています。

教育

大学

足立区には、近年、多くの大学が開設・移転しています。大学の進出により、街の活気はさらに高まっています。

  • 放送大学 東京足立学習センター
  • 東京芸術大学 千住キャンパス
  • 東京未来大学
  • 帝京科学大学 千住キャンパス
  • 東京電機大学 東京千住キャンパス
  • 文教大学 東京あだちキャンパス

区内の学校

足立区には、多くの小学校、中学校、高等学校、特別支援学校があります。子供たちの未来を育むため、教育機関が重要な役割を担っています。

交通

鉄道

足立区には、8つの鉄道路線が通っています。北千住駅は、区内最大のターミナル駅であり、多くの路線が乗り入れており、東京へのアクセスも良好です。

  • JR常磐線
  • 東武伊勢崎線
  • 東武大師線
  • 京成電鉄本線
  • 東京メトロ日比谷線
  • 東京メトロ千代田線
  • つくばエクスプレス
  • 日暮里・舎人ライナー

バス

足立区には、多くのバス路線が運行しています。地域住民の足として、生活の利便性を高めています。

  • コミュニティバス
  • 都営バス
  • 東武バスセントラル
  • 国際興業バス
  • 京成バス・京成タウンバス

道路

足立区には、高速道路、国道、都道など、多くの道路が整備されています。車のアクセスも良好です。

  • 首都高速道路
  • 国道4号線
  • 環七通り
  • 尾久橋通り
  • 尾竹橋通り
  • 墨堤通り
  • 平和橋通り

観光

名所・旧跡

足立区には、歴史を感じさせる多くの名所・旧跡があります。神社仏閣、史跡、公園など、観光スポットも数多く存在します。

  • 西新井大師: 真言宗豊山派の寺院。関東三十六不動尊霊場第11番札所である。
  • 舎人公園: 東京都内で最大の公園。広大な敷地内には、遊園地、体育館、テニスコート、野球場など、様々な施設があります。

観光スポット

足立区には、観光客だけでなく、地元住民も楽しめる様々なスポットがあります。

  • 東京武道館: 多目的アリーナ。様々な競技大会やイベントが開催されます。
  • ギャラクシティ: 科学館、プラネタリウム、図書館などがある複合施設。子供から大人まで楽しめる施設です。

文化・名物

祭事・催事

足立区では、一年を通して様々な祭事・催事が開催されます。地域住民の活気あふれるイベントに参加してみましょう。

  • 足立の花火: 夏の風物詩として、多くの人が集まる花火大会です。

名産・特産

足立区には、地元で愛される多くの名産・特産があります。

  • もんじゃ: 鉄板で焼き、ソースや具材を混ぜて食べる、下町を代表するB級グルメです。

出身関連著名人

足立区には、様々な分野で活躍する著名人が多くいます。

  • ビートたけし: コメディアン、映画監督。足立区出身の代表的な人物です。
  • 木村カエラ: 歌手、ファッションモデル。足立区出身のアーティストです。

脚注

関連項目

外部リンク

  • 足立区公式ウェブサイト

まとめ

東京都足立区は、歴史と活気に満ちた、魅力的な街です。豊かな自然と都市空間が調和し、伝統と革新が融合した街として、これからも発展を続けていくでしょう。

足立区についてのクイズ

足立区はどのような地理的特徴を持っていますか?

足立区は平坦な地形で、多くの河川が流れています。特に南部には、海抜0m未満の地域も存在します。隅田川、荒川、綾瀬川、中川などの河川が区内を流れ、足立区の風景を形成しています。これらの河川は、歴史的にも地域の発展に寄与してきました。一方で、高地が少ないため、洪水などの水害リスクも考慮する必要があります。これにより、足立区は自然に恵まれつつも、地域の安全対策が重要な課題となっています。

足立区の歴史において、千住宿はどのような役割を担っていましたか?

千住宿は、江戸の北端に位置し、日光街道の宿場町として栄えました。このため、商業や交通の要所として重要な役割を果たしてきました。宿場制度は、旅行者や商人にとって必要不可欠なものであり、地域経済の発展にも寄与しました。また、千住青物市場が江戸三大市場の一つとして機能し、農産物や日用品の集散地ともなりました。これにより、多くの人々が集まる活気ある地域となり、足立区の文化や歴史の形成に影響を与えました。

足立区の区役所はどのような役割を果たしていますか?

足立区役所は、地域住民にとって身近な行政機関であり、様々な行政業務を担当しています。主な業務には住民票の取得、各種税金の申告、相談窓口の運営などが含まれており、区民の生活に欠かせない役割を果たしています。区役所は、住民と行政をつなぐ重要な存在であり、地域の福祉向上やサービスの提供にコミットしています。また、地域のニーズに応じた政策の推進なども行い、地域活性化に貢献する役割を果たしています。

足立区で推進されている「足立区文化・産業・芸術新都心構想」とは何ですか?

「足立区文化・産業・芸術新都心構想」は、千住地区を中心とした地域の文化や芸術を振興するための取り組みです。この構想は、地域の文化的資源を活用し、高まる地域活性化を目指しています。地元のアーティストや文化団体と連携し、様々なイベントやプロジェクトが展開され、地域住民が参加できる機会が増えています。これにより、地域内の文化的な交流が促進され、観光資源としても価値を高めていくことが期待されています。

足立区内に多く存在する交通手段の一つに何がありますか?

足立区には、地域住民の生活を支えるために多くのバス路線が運行しています。都営バスや東武バスなど、さまざまなバス会社が運行しており、地域の交通アクセスを向上させています。これにより区内外への移動も便利になり、生活の利便性が高まっています。バスは、鉄道と組み合わせて利用されることも多く、手軽にアクセスできる交通手段として広く利用されています。また、コミュニティバスも運行されており、高齢者や子どもたちも安心して移動できるよう配慮されています。