栃木県南東部に位置する真岡市は、豊かな歴史と自然に恵まれた街です。SLが走る風情ある真岡鐵道、かつて隆盛を極めた真岡木綿、そして美しい井頭公園など、魅力あふれる観光スポットが点在しています。
概要
真岡市は、旧芳賀郡の中心都市であり、農業、商業、工業がバランスよく発展した街です。宇都宮市から南東へ約15~20キロメートルの場所に位置し、宇都宮市への通勤率は11.0%となっています。
真岡市の名前の由来は、市街地中心部の「台町」一帯の丘が、かつて沼や沢に覆われ、水鳥たちの生息地であったことに由来すると言われています。丘にそびえる松などの木々には、鶴が飛来し、その美しい舞姿から「ツルの舞う丘」、「舞丘(まいおか)」と呼ばれるようになり、「真岡」と呼ばれるようになったとされています。
地理
真岡市は、関東平野の北のはずれに位置し、東京から約100キロメートルの距離にあります。西から鬼怒川低地、真岡台地、五行川低地が連なり、低地域では稲作が盛んです。市の東部は標高150~280メートルの八溝山地の一端がかかっています。
主要な山
- 磯山
主要な河川
- 鬼怒川
- 五行川
- 小貝川
隣接する自治体
- 栃木県
- 宇都宮市
- 下野市
- 小山市
- 芳賀郡
- 芳賀町
- 市貝町
- 益子町
- 河内郡
- 上三川町
- 茨城県
- 筑西市
- 桜川市
気候
真岡市は、関東平野の中でも特に冷え込む場所として知られています。1月の平均最低気温は-4.8℃で、冬の晴れた朝には-10℃を下回ることもあります。
| 真岡(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 17.7 (63.9) | 22.9 (73.2) | 25.6 (78.1) | 30.2 (86.4) | 34.5 (94.1) | 37.6 (99.7) | 37.6 (99.7) | 38.2 (100.8) | 36.1 (97) | 33.6 (92.5) | 24.4 (75.9) | 24.2 (75.6) | 38.2 (100.8) |
| 平均最高気温 °C (°F) | 8.5 (47.3) | 9.6 (49.3) | 13.1 (55.6) | 18.5 (65.3) | 23.0 (73.4) | 25.7 (78.3) | 29.4 (84.9) | 30.9 (87.6) | 27.0 (80.6) | 21.4 (70.5) | 15.9 (60.6) | 10.8 (51.4) | 19.5 (67.1) |
| 日平均気温 °C (°F) | 1.6 (34.9) | 2.8 (37) | 6.6 (43.9) | 11.9 (53.4) | 17.2 (63) | 20.7 (69.3) | 24.4 (75.9) | 25.5 (77.9) | 21.8 (71.2) | 15.9 (60.6) | 9.5 (49.1) | 3.9 (39) | 13.5 (56.3) |
| 平均最低気温 °C (°F) | -4.8 (23.4) | -3.6 (25.5) | 0.1 (32.2) | 5.5 (41.9) | 11.8 (53.2) | 16.6 (61.9) | 20.7 (69.3) | 21.6 (70.9) | 17.8 (64) | 11.1 (52) | 3.6 (38.5) | -2.3 (27.9) | 8.1 (46.6) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -13.7 (7.3) | -12.9 (8.8) | -9.0 (15.8) | -5.2 (22.6) | 0.4 (32.7) | 6.9 (44.4) | 11.9 (53.4) | 12.5 (54.5) | 5.1 (41.2) | -1.0 (30.2) | -5.9 (21.4) | -10.6 (12.9) | -13.7 (7.3) |
| 降水量 mm (inch) | 34.7 (1.366) | 37.3 (1.469) | 80.4 (3.165) | 109.8 (4.323) | 134.2 (5.283) | 147.1 (5.791) | 182.9 (7.201) | 141.2 (5.559) | 184.0 (7.244) | 152.1 (5.988) | 67.1 (2.642) | 39.4 (1.551) | 1,306.2 (51.425) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 4.0 | 4.8 | 8.8 | 10.2 | 11.2 | 13.4 | 13.1 | 10.7 | 11.8 | 9.9 | 6.6 | 4.7 | 109.2 |
| 平均月間日照時間 | 205.3 | 194.3 | 192.4 | 182.9 | 187.1 | 132.4 | 144.9 | 169.2 | 131.5 | 143.7 | 165.0 | 192.0 | 2,044 |
歴史
真岡市は長い歴史を持つ街であり、様々な時代の遺跡や史跡が残されています。
- 旧石器時代: 磯山遺跡
- 縄文時代: 市内各所に遺跡あり。特に五行川に流れ込む小河川によって形作られる舌状台地上に分布する。
- 弥生時代: 集落遺跡や土器散布地が多数見られる。
- 古墳時代: 瓢箪塚古墳、稲荷山古墳、鶏塚古墳
- 奈良時代: 中村廃寺、大内廃寺
- 鎌倉時代: 中村城跡
- 室町時代: 宇都宮氏の家臣芳賀氏がこの地方を治める。
- 安土桃山時代: 天文13年(1544年)、常陸下館城主水谷蟠龍斎正村によって宇都宮家臣中村日向入道玄角が拠る中村城が落城、中村十二郷が下館領となる。宇都宮氏の取りつぶしにより芳賀氏の支配が終わる。
- 江戸時代: 当初大名が入所したが、のちに天領になる。真岡代官所(真岡陣屋)配置。旗本の知行所も点在。後期は、荒廃した知行所再興の為、小田原藩主大久保忠真から派遣された二宮尊徳が、桜町陣屋、東郷陣屋にて報徳仕法を施す。
- 明治時代: 郡役所が設置(明治以前は下野国芳賀郡であった)。1912年には下館と真岡の間に鉄道が敷設される。
- 大正時代: 鉄道が茂木まで延伸される。
- 昭和時代: 第二次世界大戦中、市街地南部に疎開企業として日本蓄音機(コロムビア)が進出。1954年3月に真岡町、山前村、大内村、中村の一町三村が合併し、同年10月に真岡市となる。
- 平成時代: 2009年3月23日、隣接する二宮町を編入。
行政
真岡市は、市長を首長とする市制を採用しています。
市長
代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 菊地幸作 | 1954年(昭和29年)5月10日 | 1962年(昭和37年)5月9日 | 1954年10月1日から市長 |
2 | 岩崎純三 | 1962年(昭和37年)5月10日 | 1977年(昭和52年)5月14日 | |
3 | 中里精 | 1977年(昭和52年)5月15日 | 1981年(昭和56年)5月14日 | |
4 | 菊地恒三郎 | 1981年(昭和56年)5月15日 | 2001年(平成13年)5月14日 | |
5 | 福田武隼 | 2001年(平成13年)5月15日 | 2009年(平成21年)5月14日 | |
6 | 井田隆一 | 2009年(平成21年)5月15日 | 2017年(平成29年)5月14日 | |
7 | 石坂真一 | 2017年(平成29年)5月15日 | 現職 |
議会
真岡市議会は、定数21人の議員で構成されています。
経済
真岡市は、農業、商業、工業がバランスよく発展した街です。
産業
工業
昭和30年代より内陸型の工業団地が計画され造成が進んだ。立地としては、当時農業以外に産業が少なく農家の次男、三男などの余剰労働力を多く抱え過疎化が進行していたこと。広範囲に平地林(雑木林)が存在したが、エネルギー革命(薪炭革命)や化学肥料の普及により枯れ葉の堆肥化や薪炭の利用がされず造成適地として残っていたこと。鬼怒川が近くを流れ工業用水を得やすかったこと。東京から100キロ圏内で製品輸送の便がよかったことなどにより、折からの高度経済成長に乗って多数の工場が進出してきた。市西部の台地に進出した企業は、隣町の上三川町に日産の栃木工場、芳賀町にホンダの栃木研究所があることから自動車の関連企業が多い。他に電子機器、工作機械、非鉄金属(アルミ圧延)、食品加工などの工場も立地している。地元真岡市から工業団地に入った企業は当初2社と少ない。現在第4・第5工業団地を造成している。
商業
地方都市として小規模な商店街が中心部にある。昭和40年代から大規模小売店が進出、その後駅西の区画整理事業地内に広大な駐車場をそなえた郊外型の総合スーパー(ベイシア真岡店)が進出した。都市計画道路沿いを中心に専門店も進出している。市中心部の個人商店を中心とした商店街は、店を閉めた所が何軒かあるが、シャッター街も寂れた町並みもなく、市の商業地区全体としては洋風の建物が多い綺麗な街並みとなっている。大型店に対抗して地元商店が商業協同組合によるショッピングセンターを建設したが、そのほとんどが閉店、現在は北真岡地区に一店舗を残すのみ。2005年夏に日本コロムビア(子会社)の工場跡地にイオンスーパーセンター真岡店がオープンした。
農業
耕地は水田が主である。作物としては米のほか、イチゴ、なす、メロンなど。真岡市が芳賀地区の中心となっているため「JAはが野」の本所や集荷施設なども存在している。JAはが野はイチゴだけで90億円以上を販売しており、主な栽培品種は、とちおとめ、スカイベリー、とちあいか(栃木i37号)である。施設園芸作物の生産は盛んである。2023年に「とちおとこ」という県産バナナが発売された。
主要な企業
- エーアイシーテック
- AAFC Energy Technology
- 仙波糖化工業
- 芳賀通運
- マルシンフーズ
- 真岡鐵道
- 渡辺私塾
観光
真岡市には、歴史、自然、文化など様々な魅力が詰まっています。
主要な観光スポット
- 真岡鐵道: SLが走る風情ある真岡鐵道は、真岡市のシンボルとなっています。土日祝日を中心に「SLもおか」が運行され、多くの観光客を魅了しています。
- 大前神社: 日本一の恵比寿像で知られる大前神社は、真岡市で最も重要な神社です。夏越祭(7月31日)と例大祭(11月9・10日)が盛大に行われます。
- 井頭公園: 県が管理する大規模都市公園で、夏には一万人プールが賑わいます。隣接地に真岡井頭温泉があります。
- 中村八幡神社: 流鏑馬が行われることで知られています。
- 久保記念観光文化交流館(さだじろう記念館): 真岡市出身の詩人・久保田万太郎の業績を記念した博物館です。
- 真岡市久保講堂: 国登録有形文化財(栃木県第1号)に登録されている歴史的建造物です。
- 岡部記念館「金鈴荘」: 真岡市出身の政治家・岡部平蔵の旧宅です。
- さむらい刀剣博物館: 刀剣に関する様々な資料を展示しています。
- SLキューロク館: 真岡鐵道 真岡駅に併設されたSLミュージアムです。
- みらいん (Meline): 神戸製鋼所子会社・コベルコパワー真岡の真岡発電所の見学施設です。
- 古山地蔵尊: 道路の真ん中にある地蔵として知られています。
主要な祭り・イベント
- 真岡の夏祭り: 毎年8月に行われる真岡市最大の夏祭りです。
- 真岡木綿祭り: 10月に行われる真岡木綿の伝統を継承する祭りです。
交通
真岡市は、鉄道、バス、道路など、様々な交通手段でアクセスできます。
鉄道
- 真岡鐵道: 真岡線は、下館駅から真岡市街地を通り、茂木駅までを結ぶ路線です。SL列車も運行されています。
- JR: 真岡市内からバスや車を利用して片道30分程度でJR線が発着する宇都宮駅や石橋駅へ行く事が可能です。
バス
- 関東自動車: 宇都宮市、小山市、石橋駅方面への路線バスを運行しています。
- 真岡市コミュニティバス(いちごバス): 市内を循環するコミュニティバスです。
道路
- 高速道路: 北関東自動車道真岡ICが利用できます。
- 一般国道: 国道121号、国道294号、国道408号などが整備されています。
まとめ
真岡市は、歴史、自然、文化など様々な魅力を持つ街です。SLが走る風情ある真岡鐵道、かつて隆盛を極めた真岡木綿、そして美しい井頭公園など、多くの観光スポットがあります。ぜひ真岡市を訪れて、歴史と自然が調和する魅力的な街を体験してみてください。
真岡市についてのクイズ
真岡市の名前の由来は何に関連していますか?
真岡市の名前の由来は、市街地中心部の「台町」一帯の丘がかつて沼や沢に覆われ、水鳥たちの生息地であったことに由来すると言われています。特に丘にそびえる松などの木々には鶴が飛来し、その舞姿から「ツルの舞う丘」、「舞丘(まいおか)」と呼ばれるようになり、最終的に「真岡」と名づけられるに至りました。このように、真岡市という名前は、その豊かな自然環境や動植物との密接な関係を物語っています。歴史を辿ることによって、地域の特徴や文化的背景を理解することができ、その結果として市名の由来も知ることができるのです。
真岡市の主要な河川の一つはどれですか?
真岡市を流れる主要な河川の一つとして、「鬼怒川」が挙げられます。鬼怒川は地域の重要な水源であり、周辺の農業や工業活動にとって欠かせない存在です。また、鬼怒川の存在は地域の景観形成にも寄与しています。自然環境や生態系においても重要な役割を果たしており、健全な水源を維持することは地域の生活や経済に直結しています。真岡市は位置的にも、特に鬼怒川から受ける恩恵が大きいため、この河川について知識を深めることで、地域の自然環境をより良く理解することが可能です。
真岡市の気候について正しい情報はどれですか?
真岡市は関東平野の中でも特に冷え込む場所として知られています。特に1月の平均最低気温は-4.8℃であり、冬季に関しては晴れた朝には-10℃を下回ることもあります。こうした気候条件は、農業や市民生活に大きな影響を与えており、特に冬季には厳しい寒さが訪れます。一方で、農業には冬季が成長期でないことから作物の選定にも考慮が必要となります。また、降水量についても年間1,306.2mmと比較的多く、季節によって変動が大きいという特徴があります。これに基づき、真岡市の農業や生活様式が形作られています。
真岡市の主要な祭り・イベントの一つは何ですか?
真岡市では、「真岡木綿祭り」という重要なイベントが毎年10月に開催されており、これは真岡木綿の伝統を継承する祭りです。真岡木綿は地域の特産品で、江戸時代から続く伝統産業の一つとして位置づけられています。この祭りでは、地域の人々が多彩な催し物やパフォーマンスを通じて、真岡木綿の魅力を広く伝えるとともに、地域の絆を深める場ともなっています。地元住民だけでなく、多くの観光客が集まり、豊かで活気ある雰囲気が楽しめるイベントです。このような祭りは地域における伝統文化の継承の重要性を物語るとともに、地域の活性化にもつながっています。