山口県宇部市:重化学工業と豊かな自然が織りなす、魅力あふれる都市

山口県西部に位置する宇部市は、瀬戸内海に面した工業都市でありながら、豊かな自然と歴史文化を有する魅力的な街です。古くは厚狭郡南部の寒村であった宇部村は、明治時代に宇部炭鉱の開発を契機に発展し、化学工業やエネルギー事業を展開する宇部興産(後のUBE)の企業城下町として成長を遂げました。現在では、UBEを中心とした重化学工業を基幹産業とし、北九州工業地域・瀬戸内工業地域の一翼を担うとともに、商工業、観光業も盛んです。

概要

宇部市は山口県内で下関市、山口市に次ぐ3番目の人口を擁し、人口密度は県内第3位です。中枢中核都市に指定されており、政令指定都市・中核市・特例市・保健所政令市・計量特定市のいずれでもなく県庁所在地でもない市として指定を受けるのは、宇部市と富山県射水市の2市のみです。

宇部市は、同社が本社機能の一部および主力生産拠点を置いていることから、沿岸部はUBEを中心とした工業地帯が形成されています。宇部港には、UBEからエネルギー事業を引き継いだUBE三菱セメントの宇部コールセンター(石炭中継基地)が立地しており、貯炭容量は日本国内第1位、移出量は同3位、石油製品等の移出量は西日本の港湾で第3位となっています。

隣接する山陽小野田市は宇部市の通勤圏であり、両市で宇部都市圏を形成しています。北部九州地域との交流も深く、下関市とともに関門都市圏の構成都市として数えられる場合もあります。

地理

宇部市は山口県の南西部、瀬戸内海側に位置しています。市域は県中西部を南北に貫流する厚東川水系の下流域および有帆川水系の上流域にあたり、南は周防灘に突き出した半島状地形の先端部から北は中国山地の丘陵地帯におよびます。厚東川河口付近の両岸に広がる平野部および海岸沿いの平地に市街地が広がり、人口集中地区を形成しています。

地勢

南部の平地は、大部分が海底炭田により埋め立てられた跡地であり、「鵜の島」「浜町」などの地名はその名残です。市の中部から北部にかけて穏やかな山地が広がっており、近年は工業団地や新興住宅地の建設などにより開発が進められています。

市西部の厚南地区は、「中野開作」「妻崎開作」などの地名に見られるように、大部分が稲作を目的とした干拓により開墾された地域です。そのため、かつて同地区は水田が広がる田園地帯でしたが、近年は国道190号沿線やゆめタウン宇部周辺を中心にロードサイド店舗の進出が活発化し、分譲マンションの建設が行われるなど市街化が著しいです。

かつては宇部市に属する離島が複数存在しましたが、いずれも干拓や埋め立て等により陸地へ取り込まれ、最後まで残った鍋島も山口宇部空港の滑走路延伸工事のため埋め立てられ、1999年に消滅しました。

気候

宇部市は、年間を通じて天気や湿度が安定し、雨も比較的少ない典型的な瀬戸内海式気候です。しかし、中国山地の西端部の地域に位置するため冬の季節風が完全には遮られず、他の瀬戸内海側の都市と比べると冬季の降水日数がやや多いなど日本海側気候の特徴も見られます。

過去の観測史上最高気温は37.0℃(2016年8月20日)、同最低気温は-6.1℃(2016年1月24日)です。風向は東風が多く、冬季は季節風の影響を受け北または北西の風が多いです。南へ半島状に突き出した陸地形状のため、北風以外の時は波浪の影響を受けやすいです。

人口

宇部市の人口は、1970年代から2000年代前半にかけて増加しましたが、その後は減少傾向にあります。これは、炭鉱閉山による産業構造の変化や、人口減少と少子高齢化の影響が考えられます。

行政

市長

宇部市の市長は篠﨑圭二氏です。2020年11月22日に行われた市長選挙で初当選しました。

行政機構

宇部市の行政機構は、2018年4月1日に改められ、8部および総合戦略局、防災危機管理監、政策広報室、工事検査室に再編されました。

市役所

宇部市役所は、本庁舎と港町庁舎の2ヶ所があります。他に、総合支所、市民センター、出張所を設置しています。

議会

宇部市議会

宇部市議会は定数28人の議員で構成され、任期は4年です。

県議会

宇部市は、山口県議会において宇部市選挙区を構成しています。定数は5名です。

衆議院

宇部市は、衆議院において山口3区に属しています。

公共機関

警察

宇部警察署が、市内全域を管轄しています。

消防

宇部・山陽小野田消防局が、消防業務を担当しています。

文化

花と緑と彫刻のまち

宇部市は、常盤公園とその中にある緑と花と彫刻の博物館(ときわミュージアム)の野外彫刻展示場(旧・宇部市野外彫刻美術館)が有名です。国内屈指の彫刻ビエンナーレであるUBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)の会場としても全国的にその名が知られており、同展は若手彫刻家の登竜門となっています。

村野藤吾と宇部

宇部市には、建築家・村野藤吾の作品が数多く残っています。

歴史

地名の由来

宇部市の地名の由来については諸説ありますが、主なものとして、

  1. 地元名産植物であるムベ (トキワアケビ)が繁茂していた地域がムベと呼ばれ、これが転訛し「ウベ」になったという説。
  2. 海辺の景観に由来。つまり、「ウミベ」の読みが転訛し「ウベ」になったという説。
  3. 応神天皇が設置した宇治部の部民が住んだ地域が宇治部里(うじべり)と呼ばれ、これが転訛し「宇部里」になったという説。

などが挙げられます。

年表

宇部市の歴史は、古くは12世紀にまで遡ります。

  • 1179年:厚東武光が霜降城を築城。
  • 1335年:厚東武実が持世寺を再興。
  • 1625年:福原元俊が宇部領主となる。
  • 1889年:町村制施行により宇部村が成立。
  • 1921年:宇部村が市制施行し、宇部市となる。
  • 1945年:空襲により市街地の中心部が焼失。
  • 1966年:宇部空港が開港。
  • 2004年:楠町を編入合併。

経済

宇部市の経済は、重化学工業が中心です。UBEを中心とした企業群が、市内の工業出荷額の8割、従業員数の4割を占めています。

産業

宇部市の主な産業は、以下の通りです。

  • 重化学工業
  • 商業
  • 農林水産業

工業

宇部市の工業は、明治期から石炭産業で栄え、セメントや硫安の製造などとも結びつき発展する過程において、それら事業会社の合併買収を経てUBE(旧・宇部興産)グループが発足しました。

商業

宇部市の商業は、炭鉱採掘による石炭産業の隆盛とともに発展してきました。

交通

宇部市は、陸・海・空の交通網が整備されています。

空港

宇部市には山口宇部空港があり、東京国際空港(羽田)への定期便が就航しています。

鉄道路線

宇部市内には、西日本旅客鉄道(JR西日本)の山陽本線、宇部線、小野田線の3路線が通っています。

バス

宇部市には、宇部市交通局(宇部市営バス)と船木鉄道が路線バスを運行しています。

道路

宇部市には、国道190号、国道2号、国道490号、山陽自動車道宇部下関線、宇部湾岸道路などの道路が通っています。

港湾

宇部市には宇部港があり、貨物輸送の拠点となっています。

出身者

宇部市は、政治家、経済人、学者、文化人、芸能人など、多くの著名人を輩出しています。

まとめ

山口県宇部市は、重化学工業と豊かな自然が織りなす、魅力あふれる都市です。歴史文化、観光、産業、交通など、多くの魅力を持つ宇部市は、これからも発展していくことが期待されます。

宇部市についてのクイズ

宇部市の基幹産業は何ですか?

宇部市の基幹産業は重化学工業です。明治時代に宇部炭鉱の開発を契機に発展し、宇部興産がその中心となりました。宇部市は北九州工業地域・瀬戸内工業地域の一翼を担い、商工業や観光業も盛んですが、特に重化学工業が重要な役割を果たしています。この工業都市としての発展により、宇部市は工業出荷額の8割を占める企業群を抱え、多くの従業員を雇用しています。当市は、セメントや硫安などの製造も行っており、海運とともに経済を支える重要な基盤となっているのです。

宇部市の市長は誰ですか?

宇部市の市長は篠﨑圭二氏です。彼は2020年11月22日に行われた市長選挙で初当選しました。市長は地域の政策を決定し、市政を運営する重要な役割を担います。篠﨑氏は、宇部市の未来に向けて様々な施策を推進し、市民の生活向上と地域の発展を目指しています。市長は市議会から承認される予算を管理し、地域のインフラ整備や教育、医療など多岐にわたる分野において責任を持つ立場です。彼の市長としてのリーダーシップが、宇部市の発展に寄与することが期待されています。

宇部市の気候はどのような特徴がありますか?

宇部市は、典型的な瀬戸内海式気候に属しています。この気候は年間を通じて天気や湿度が安定しており、比較的雨が少ないのが特徴です。しかし、中国山地の西端部に位置するため、冬季には冬の季節風の影響を受けることがあり、他の瀬戸内海側の都市と比べると冬季の降水日数がやや多いという日本海側気候の特徴も見られます。このような気候は、農業や観光業においても重要な要素となり、宇部市の自然環境を形作っています。

宇部市が形成する都市圏はどことの関係がありますか?

宇部市は隣接する山陽小野田市と共に宇部都市圏を形成しており、北部九州地域との交流が深いです。特に下関市とともに関門都市圏の構成都市とされています。関門都市圏は、山口県と福岡県の県境に位置しており、地理的な近接性により商業や文化的な交流が盛んです。このため、宇部市は地域経済や交通において重要な地位を占めており、他の都市との連携が今後の発展に寄与すると考えられています。