和歌山県広川町:稲むらの火で知られる、温暖で歴史豊かな町

和歌山県の中央北寄りに位置する広川町は、有田郡に属する、温暖な気候と豊かな歴史を持つ町です。

町の中央を流れる広川は、紀伊水道へと注いでおり、黒潮暖流の影響で穏やかな気候に恵まれています。太平洋側の表日本でありながらも、比較的降水量が少なく、過ごしやすい環境です。

稲むらの火の伝説と防災への意識

広川町は、1854年の安政南海地震で発生した津波の際に、濱口梧陵が稲藁に火をつけ、村人に津波の襲来を知らせ、避難を誘導した「稲むらの火」の伝説で知られています。この逸話は、防災意識の高さと地域住民の結束力を象徴するもので、現在も語り継がれています。

近年では、南海トラフ巨大地震の発生が懸念されており、広川町では最大8メートルの津波が到達する可能性が指摘されています。この教訓を忘れずに、防災意識を高め、地域全体で災害に備えることが重要となっています。

地理と歴史

自然環境

広川町は、白馬山脈に囲まれた丘陵地帯に位置しており、豊かな自然に恵まれています。

山: 白馬山脈

河川: 広川

広川は町の中央を流れ、紀伊水道へと注いでいます。川沿いは水田地帯が広がり、のどかな風景が広がっています。

隣接する自治体

広川町は、有田郡湯浅町、有田川町、日高郡由良町、日高町、日高川町と隣接しています。特に湯浅町とは市街地が連続しており、かつては役場間の距離もわずか1km程度でした。

人口推移

広川町の人口は、近年減少傾向にあります。

人口
1970年 8,920人
1975年 8,988人
1980年 9,178人
1985年 9,003人
1990年 8,809人
1995年 8,735人
2000年 8,361人
2005年 8,071人
2010年 7,714人
2015年 7,224人
2020年 6,781人

歴史

広川町の歴史は古く、鷹島遺跡の縄文前期から始まります。文献によると、広川町全域は「広庄」と呼ばれ、古代末期から中世初期にかけては、熊野路往還の地として賑わう文化融合の地でした。

2018年には、「百世の安堵(あんど)」~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~ のストーリーが、文化庁により日本遺産に認定されました。防災遺産に関するストーリーが日本遺産に認定されたのは、全国初です。

重要な歴史年表

  • 1950年(昭和25年)10月1日 – 広村が町制施行して広町となる。
  • 1955年(昭和30年)4月1日 – 広町・南広村・津木村が合併して広川町が発足。
  • 1996年(平成8年)4月1日 – 広川町(ひろわちょう)が改称して広川町(ひろわちょう)となる。

政治と経済

行政と議会

広川町は、町長と町議会によって運営されています。

  • 町長: 西岡利記(2013年9月25日就任)
  • 議会: 定数10人(うち女性議員1人)

産業

広川町の主な産業は、農業、漁業、製造業です。

  • 農業: 有田みかん
  • 漁業: 紀伊水道で獲れる新鮮な魚介類
  • 製造業: 三幸金属工業和歌山工場、松屋電工など

姉妹都市・提携都市

広川町は、長崎県新上五島町(奈良尾)と姉妹都市提携を結んでいます。

教育と文化

教育機関

広川町には、中学校2校、小学校3校、支援学校1校があります。

  • 中学校: 広川町立耐久中学校、広川町立津木中学校
  • 小学校: 広川町立広小学校、広川町立南広小学校、広川町立津木小学校
  • その他: 和歌山県立たちばな支援学校

文化

広川町には、豊かな歴史と文化が息づいています。

  • 稲むらの火の館: 濱口梧陵の功績を伝える資料館
  • 広八幡神社: 本殿、拝殿などが国の重要文化財に指定されている神社
  • 法蔵寺: 鐘楼が国の重要文化財に指定されている寺院
  • 東濱口家住宅: 宝永4年建築の醤油問屋豪商の家で、国の重要文化財

イベント

広川町では、伝統的な祭りやイベントが開催されます。

  • 津浪祭: 安政南海地震の津波からの復興を祈願する祭り
  • 稲むらの火祭り: 濱口梧陵の功績を称える祭り
  • 広川町ふるさとまつり: 地域の特産品や文化を紹介する祭り

交通アクセス

広川町は、JRきのくに線広川ビーチ駅と、複数の路線バスによってアクセスできます。

鉄道

  • JR西日本 きのくに線: 広川ビーチ駅

バス

  • 中紀バス: 湯浅町・広川町・由良町の3町を結ぶ路線
  • 御坊南海バス: 湯浅町と広川町南部の山間部を結ぶ路線

道路

  • 自動車専用道路: 湯浅御坊道路
  • 一般国道: 国道42号
  • 県道: 和歌山県道21号広川川辺線、和歌山県道23号御坊湯浅線など

観光スポット

広川町には、歴史や自然に触れることができる魅力的な観光スポットがたくさんあります。

歴史的な場所

  • 広村堤防: 濱口梧陵が築造した堤防。国の史跡
  • 熊野古道: 九十九王子(津兼王子、河瀬王子、馬留王子)

自然を楽しむ場所

  • 西広海岸: 遠浅の砂浜で、海水浴や潮干狩りが楽しめます
  • 広川ダム: 桜の名所として知られています
  • 滝原温泉ほたるの湯: 山間部にある温泉施設。初夏にはホタルが乱舞します

その他の観光スポット

  • 稲むらの火の館: 濱口梧陵の功績や防災について学べます
  • 広川町立ふれあい館: 地元産品などを販売する物産センター

著名な出身者

  • 濱口梧陵: 和歌山県会初代議長、稲むらの火のモデル
  • 浜口陽三: 版画家
  • 西博義: 公明党衆議院議員

広川町の魅力

広川町は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた、歴史と文化が息づく町です。稲むらの火の伝説は、防災意識の大切さを教えてくれます。また、伝統的な祭りやイベント、観光スポットなど、魅力的なものがたくさんあります。ぜひ、広川町を訪れて、その魅力を体感してみてください。

広川町についてのクイズ

広川町はどの伝説で知られていますか?

広川町は「稲むらの火」の伝説で知られています。この伝説は、1854年の安政南海地震の際に発生した津波に関連しています。濱口梧陵が稲藁に火をつけ、村人に津波が来ることを知らせたという故事が語り継がれています。この行動は地域住民にとっての象徴であり、防災意識や結束力を高める重要な役割を果たしました。現代においても、この教訓は災害に備えるための意識喚起に寄与しています。津波からの避難を促す重要なメッセージが込められたこの伝説は、広川町の歴史と文化の一部であり、多くの人々に影響を与えています。

広川町の主な産業は何ですか?

広川町の主な産業は、農業、漁業、製造業の三つです。特に農業では有田みかんの栽培が盛んであり、地域の特産品として知られています。また、紀伊水道で獲れる新鮮な魚介類も漁業の重要な部分を占めており、地域の食文化に貢献しています。製造業では、三幸金属工業や松屋電工などをはじめとする企業が存在しており、町の経済を支えています。これらの産業が組み合わさることで、広川町は地域の独自性を保ちながら発展しています。

広川町の文化財に指定されている神社はどれですか?

広川町にある広八幡神社は、本殿や拝殿を含む重要文化財に指定されています。この神社は町の歴史が深く反映された場所で、地域住民にとって信仰の対象となっています。広八幡神社は、地域の災害や疫病からの守護を祈願する場所であり、祭りやイベントを通じて地域の結束が生まれています。地域の人々に愛され、多くの参拝客が訪れるこの神社は、広川町の文化的な象徴とも言える存在です。文化財としての価値が認められ、歴史的背景とともに地域のアイデンティティを形成しています。

広川町と姉妹都市提携を結んでいるのはどの自治体ですか?

広川町は長崎県新上五島町と姉妹都市提携を結んでいます。姉妹都市提携は、地域同士の交流を深め、文化や経済など多面的な関係を築くための重要な取り組みです。この提携によって、若者の交流や観光客の受け入れ促進、文化イベントの共同開催などが行われています。広川町にとって、新上五島町との関係は地域の活性化においても重要であり、お互いの特産品や文化の紹介を通じて相互理解を深める機会となっています。地域の絆を強くするこの関係は、今後も様々な形で進展していくことが期待されています。