鳥取県日南町:自然と歴史が織りなす、創造的過疎に挑戦する山里の魅力

鳥取県日南町は、中国地方のほぼ中央に位置する、豊かな自然と歴史に囲まれた町です。日野川の源流域に位置し、孝霊天皇の伝承や古来のたたら製鉄など、古くから人々が暮らしてきた歴史を物語る場所でもあります。近年は、若年層の流出と出生数減少による人口減少が課題となっていますが、その一方で、「ひとづくり」と「持続可能なまちづくり」への挑戦を通じて、創造的過疎のまちを目指しています。

地理

日南町は、鳥取県の南西の内陸部、日野郡の南部に位置しています。町の中央を日野川が流れ、周囲を山々に囲まれた、まさに山里の風景が広がっています。標高は地域によって異なり、石見地区では 455m、山上地区では 506m など、町全体で標高差があります。

隣接市町村

日南町は、鳥取県、島根県、岡山県、広島県の 4 県にまたがる、複数の市町村と隣接しています。

  • 鳥取県
  • 日野郡日野町
  • 西伯郡南部町
  • 島根県
  • 安来市
  • 仁多郡奥出雲町
  • 岡山県
  • 新見市
  • 広島県
  • 庄原市

地区

日南町は、以下の 7 つの大地区、32 の小地区に分けられます。

  • 石見地区:花口、神戸上、上石見、中石見、下石見、三吉
  • 福栄地区:豊栄、神福、福塚
  • 日野上地区:河上、宮内、矢戸、三栄、丸山、霞、生山
  • 多里地区:新屋、多里、萩原、湯河、上萩山
  • 山上地区:笠木、茶屋、福万来、福寿実、佐木谷
  • 阿毘縁地区:阿毘縁、下阿毘縁
  • 大宮地区:折渡、印賀、宝谷、菅沢

歴史

日南町は、古くから人々が暮らしてきた歴史を持ち、様々な出来事を経験してきました。

  • 1921 年(大正 10 年):日野郡宮内村・霞村が合併して日野上村が発足
  • 1955 年(昭和 30 年)5 月 20 日:日野郡日野上村・山上村が合併して伯南町が発足
  • 1955 年(昭和 30 年)6 月 30 日:日野郡大宮村・阿毘縁村が合併して高宮村が発足
  • 1959 年(昭和 34 年)4 月 1 日:日野郡伯南町・高宮村・多里村・石見村・福栄村が合併して日南町が発足
  • 2014 年(平成 26 年):日本創成会議により「消滅可能性都市」の 1 つとして公表

行政

日南町は、町長を首長とする町議会制を採用しています。

日南町 歴代町長

氏名 就任日 退任日 備考
井川喜八郎 1959 年 4 月 1 日 1959 年 4 月 30 日 町長職務執行者(元伯南町長)
初代 木下太郎 1959 年 5 月 1 日 1974 年 2 月 26 日 4 期目途中で病気のため退職
2 代 高橋篤史 1974 年 3 月 18 日 1990 年 3 月 16 日 4 期 16 年 任期満了
3 代 岸郁男 1990 年 3 月 17 日 1998 年 3 月 16 日 2 期 8 年  任期満了
4 代 矢田治美 1998 年 3 月 17 日 2010 年 3 月 16 日 3 期 12 年 任期満了
5 代 増原聡 2010 年 3 月 17 日 2018 年 11 月 3 日 3 期目在任中に病気のため逝去
6 代 中村英明 2018 年 12 月 16 日 現職 前副町長(無投票当選)

2010 年の選挙戦を最後に、以降は 3 連続無投票当選となっています。

国の機関

  • 中国地方整備局日野川河川事務所菅沢ダム管理支所

人口&面積

人口

日南町は、人口減少が深刻な問題となっています。

人口
1970 年 11,051 人
1975 年 9,730 人
1980 年 8,889 人
1985 年 8,470 人
1990 年 7,974 人
1995 年 7,382 人
2000 年 6,696 人
2005 年 6,112 人
2010 年 5,460 人
2015 年 4,765 人
2020 年 4,196 人

2015 年から 2020 年までの 5 年間で人口は 11.94%減少しており、高齢化率は 52.20%となっています。

面積

  • 総面積:34,096ha
  • 総林野面積:30,461ha
  • 広葉樹面積:10,177ha

教育

日南町には、町立の中学校と小学校が 1 校ずつあります。

中学校

  • 日南町立日南中学校

小学校

  • 日南町立日南小学校

一般財団法人

  • にちなん中国山地林業アカデミー:2019 年 4 月開校。実践的な現場研修と専門家による講義を通じて、林業に関する知識や技術を学ぶことができます。

交通

日南町は、山間部に位置するため、交通の便はあまり良くありません。鉄道は JR 伯備線が通っていますが、駅数は少なく、バスが主な交通手段となっています。

鉄道路線

  • 西日本旅客鉄道(JR 西日本)
  • 伯備線:上石見駅 – 生山駅

路線バス

  • 日南町営バス
  • 日野町営バス
  • 奥出雲交通

道路

  • 高速道路
  • 江府三次道路(国道 183 号生山道路):かすみ IC – 丸山下 IC
  • 江府三次道路(国道 183 号鍵掛峠道路):整備中
  • 一般国道
  • 国道 180 号
  • 国道 183 号
  • 県道
  • 岡山県道・鳥取県道 8 号新見日南線
  • 島根県道・鳥取県道 9 号安来伯太日南線
  • 岡山県道・鳥取県道 11 号新見多里線
  • 島根県道・鳥取県道 15 号横田多里線
  • 鳥取県道 48 号阿毘縁菅沢線
  • 鳥取県道・島根県道 105 号本山伯太線
  • 鳥取県道・島根県道 106 号多里伯太線
  • 島根県道・鳥取県道 107 号横田伯南線
  • 鳥取県道・島根県道 108 号印賀奥出雲線
  • 鳥取県道・岡山県道 111 号神戸上新見線
  • 鳥取県道 210 号上石見黒坂停車場線
  • 鳥取県道 211 号猪子原上石見停車場線
  • 鳥取県道 223 号生山停車場線
  • 鳥取県道 257 号花口下石見線
  • 鳥取県道 286 号菅沢日野線

史跡・観光

日南町は、豊かな自然と歴史に恵まれた、魅力的な観光地です。

景勝地

  • 石霞渓: 渓谷美と奇岩が楽しめる、人気の観光スポットです。
  • 旧日野上小学校グラウンドの大イチョウ: 樹齢約 150 年と言われる、巨木の大イチョウがシンボルとなっています。

産業遺産

  • 若松鉱山: 多里地区にあったクロム鉱山。近代化産業遺産に指定されています。
  • 日野銀山: 中石見地区にあった銀山。江戸時代に盛んに採掘が行われていました。

史跡

  • 生山城(亀井山城): 戦国時代に築かれた城跡です。
  • 亀尾山城: 生山城の支城跡です。
  • 下谷中山鉄山跡: 町指定文化財に指定されている、古来のたたら製鉄の跡です。
  • 印賀宝篋印塔: 県指定保護文化財に指定されている、古い石塔です。

神社

  • 日谷神社: 笠木地区にある神社。旧郷社です。
  • 楽楽福神社: 宮内地区にある神社。旧県社です。

  • 常福寺: 多里地区にある曹洞宗の寺院。
  • 神宮寺: 宮内地区にある寺院。709 年に開創された古刹です。
  • 解脱寺: 下阿毘縁地区にある日蓮宗の寺院。1650 年(慶安 3 年)の創建と伝えられています。

  • 船通山: 国指定天然記念物の「船通山のイチイ」が有名です。
  • 道後山
  • 鬼林山
  • 大草山: 「大正山」とも呼ばれ、山上地区に位置しています。
  • 花見山: 2018 年公開の映画『マンハント』のロケ地として使用されました。
  • 多里層ノジュール列: 県指定天然記念物に指定されている、貴重な地層です。

  • 権現滝: 閉鎖中
  • 聖滝滝: 木花咲耶姫と邇邇芸命の伝説が残る滝です。
  • 若松滝
  • 清滝: 湯河地区にある滝。2018 年 7 月の豪雨により道が断裂し、現在閉鎖されています。

生き物

  • 福万来のホタル: ヒメボタルとゲンジボタルが同時に見られる、全国でも珍しい場所です。
  • オオサンショウウオ: 特別天然記念物に指定されている、貴重な生き物です。

行事・祭礼

  • ホトホト: 町の伝統的な祭りです。

公共施設

  • 日南町総合文化センター
  • 道の駅にちなん日野川の郷
  • 日南町総合運動場
  • 町民テニス場
  • 日南町体育館
  • 日南町武道館
  • 地域間交流施設

宿泊施設・キャンプ場

日南町には、宿泊施設やキャンプ場がいくつかあります。

  • 清水屋 鈴の道
  • 井谷旅館
  • 古民家かつみや
  • 深津旅館
  • イチイ荘
  • ふるさと日南邑ファームイン
  • ゆきんこ村 四季彩
  • 出立山キャンプ場
  • オートキャンプあびれ
  • YMCA 呼子高原センターキャンプ場

出身人物

日南町には、様々な分野で活躍する人物がいます。

  • 森田隆朝:元米子市長
  • 池田亀鑑:平安朝文学の研究者、元東京大学教授
  • 佐武林蔵:株式会社サクラクレパス創立者
  • 山城章:経営学者、一橋大学名誉教授
  • 青戸辰午:弁護士
  • 原澄斎:医師、旧姓大淵
  • 細川匡:デリカウィング会長
  • 川崎三枝子:漫画家
  • 木村秀樹:クラシックギター奏者
  • 島碩弥:アナウンサー
  • 池田大介:陸上競技選手(十種競技)
  • SHINOBI:プロレスラー

ゆかりの人物

日南町には、著名な作家など、ゆかりの人物が多くいます。

  • 松本清張: 作家。父が日南町矢戸出身です。
  • 井上靖: 作家。1945 年に家族が日南町福栄に疎開していました。
  • 小早川秋聲: 日本画家。日野町出身です。作品が日南町美術館に所蔵・寄託されており、定期的に展覧会が開かれます。
  • 前原誠司: 政治家、元民主党代表。母が日南町出身です。

その他

  • 市外局番:0859
  • 郵便番号:689-52xx、689-55xx、689-56xx
  • リアリズムの宿: 2004 年公開の映画のロケ地となりました。
  • 2018 年 8 月 31 日: 町内唯一の鳥取銀行生山支店が日野町の支店に移転。日南町はこれに対して、鳥取銀行に預けていた預金約 5 億 6 千万円を全解約しました。

外部リンク

  • 行政
  • 日南町役場(公式サイト)
  • 観光
  • 一般社団法人 山里 Load にちなん(公式サイト)
  • 地図
  • 日南町に関連する地理データ – オープンストリートマップ
  • 鳥取県日野郡日南町 (31401A1968) | 歴史的行政区域データセット β 版 – Geoshape リポジトリ
  • 地図 – Google マップ

まとめ

鳥取県日南町は、豊かな自然と歴史に恵まれた、魅力的な町です。近年は人口減少が課題となっていますが、創造的過疎のまちを目指し、様々な取り組みを行っています。自然と歴史を満喫できる観光地としても、ぜひ訪れてみてください。

日南町についてのクイズ

日南町はどの地域に位置していますか?

日南町は中国地方のほぼ中央に位置しており、豊かな自然環境と歴史を有する町です。中国地方は日本の主要な地方の一つであり、日南町は文献にも残るように古くから人々が暮らしてきた地域です。さらに、日南町は日野川の源流域にあり、周囲には山々が広がっているため、自然環境も大変豊かです。この地理的位置は、町が持つ文化や産業にも影響を与えてきました。特徴的な自然環境は、訪れる観光客に独特の魅力を提供し、歴史的な背景が観光資源としても重要な役割を果たしています。

日南町の人口は1970年代からどうなっていますか?

日南町の人口は1970年から減少し続けています。1970年の人口は11,051人でしたが、2020年には4,196人にまで減少しました。この背景には若年層の都市部への流出や出生数の減少があり、地元経済やコミュニティの持続可能性に深刻な影響を及ぼしています。特に高齢化が進行し、実に52.20%が高齢者となっている状況です。このような人口減少は地域の発展にとって大きな課題であり、町は「ひとづくり」や「持続可能なまちづくり」に取り組む必要があります。

日南町にある宿泊施設のひとつとして挙げられるのはどれですか?

日南町には複数の宿泊施設があり、その中には井谷旅館も含まれます。井谷旅館は、訪れる観光客に地元の特産品を使った料理や、温かいおもてなしを提供しています。これにより、観光客が地域の文化を体験し、リフレッシュする場としての役割を果たしています。また、周辺には自然が豊かで多くの観光スポットも点在しているため、宿泊施設として非常に人気があります。他にも古民家を利用した宿やキャンプ場など、様々な選択肢が存在するため、訪れた際には自分に合った宿泊スタイルを選ぶことができます。

日南町の主要な交通手段は何ですか?

日南町は山間部に位置しており、交通の便があまり良くありません。そのため、主要な交通手段はバスとなっています。鉄道もJR伯備線が通っていますが、駅数が少ないため、バスが主な移動手段となっているのです。さらに、地域内を移動するための日南町営バスや隣接する日野町営バスも利用可能で、地域の住民や観光客のニーズに対応しています。バス路線は町内を広くカバーしているため、公共交通機関での移動は比較的便利ですが、都市部に比べると本数が少ないため、事前の計画が重要です。

日南町の歴史的な出来事の一つとしてどれが挙げられますか?

日南町の歴史の中で重要な出来事の一つは、1921年に日野郡宮内村と霞村が合併して日野上村が発足したことです。この合併は日南町の形成において大きな基盤となりました。続いて、1959年にはいくつかの村が合併し、現在の日南町が発足しました。これらの出来事は町の発展と役所機能の充実を促進し、地域の統合を進める重要な要素でした。日南町の歴史は長く、多くの文化的遺産や歴史的な背景を持っており、これが現在の地域の発展と魅力に深く結びついています。