徳島県那賀町:大自然と伝統文化が息づく、四国の秘境

徳島県南部に位置する那賀町は、豊かな自然と伝統文化が調和する魅力的な町です。剣山国定公園の奥地には、高の瀬峡や剣山スーパー林道など、手つかずの大自然が広がり、貴重な動植物が生息しています。また、那賀川や坂州木頭川が織りなす大釜の滝、大轟の滝など、雄大な景観も魅力です。特に、大小100以上の滝が点在する旧木沢村は、「日本一の滝王国」として知られていました。

概要

那賀町は、2005年3月1日に、旧那賀郡の5町村が合併して誕生しました。徳島県の自治体の中では三好市に次いで2番目に広い面積を誇り、豊かな自然に恵まれた町です。大釜の滝や大轟の滝など、雄大な自然景観は、町の大きな魅力となっています。

那賀町は、2006年11月3日に、県南部で初めて、上勝町・三好市に次いで県下3番目の景観行政団体となりました。美しい自然や景観を保全するための景観条例を県下で初めて制定する予定で、徳島県の景観保全の先進地として注目されています。

近年では、豊かな自然を活かした移住促進にも力を入れており、町のホームページでは空き家情報を掲載したり、移住交流支援センターを設立したりしています。2007年10月には、県内の自治体では初めて、近畿地方からのIターン予定者との契約が成立しました。

地理

那賀町は、四万十帯と秩父帯を基盤としています。那賀川が蛇行しながら流れ、平地は少なく、集落は川沿いの狭い段丘に形成されています。那賀川の侵食による流路短絡によってできた旧流路には、延野、大久保、蔭谷などの集落が残っています。

那賀町には、剣山をはじめとする標高の高い山々が連なっています。

  • 剣山:標高1,955m、四国山地の最高峰。
  • 次郎笈:標高1,895m、剣山に続く四国第二の高峰。
  • 竜王山:標高1,433m、那賀町と阿南市の境界にある山。
  • 矢筈山:標高1,350m、剣山への登山道にある山。
  • 長滝山:標高1,300m、高の瀬峡の近くに位置する山。

河川

那賀町を流れる主な河川は、那賀川とその支流です。

  • 那賀川:徳島県南部を流れる一級河川。那賀町では、高の瀬峡など、美しい渓谷を形成しています。
  • 坂州木頭川:那賀川の支流。木頭ゆずの産地として知られています。
  • 船谷川:那賀川の支流。大釜の滝があることで有名です。
  • 栩谷川:那賀川の支流。

地名

那賀町の大字名には、旧木頭村を表す「木頭」がつくものが多いです。例えば、「木頭出原」は旧木頭村の出原を指します。ただし、「木頭」という大字は旧木沢村木頭、「木頭名」という大字は旧木沢村木頭名を指します。

隣接自治体

那賀町は、以下の自治体と隣接しています。

  • 徳島県
    • 阿南市
    • 美馬市
    • 三好市
    • 勝浦郡勝浦町、上勝町
    • 名西郡神山町
    • 海部郡美波町、海陽町
  • 高知県
    • 安芸市
    • 香美市
    • 安芸郡馬路村

気候

那賀町は、冬は寒冷で、朝晩は氷点下になることがあります。また、多雨地域としても知られており、台風が襲来した際には豪雨に見舞われることも多いです。2004年8月1日には、旧上那賀町海川で1日の降水量が1317mmを観測され、これは日本記録です。

木頭(1991年 – 2020年)の気候
最高気温記録 °C (°F)
平均最高気温 °C (°F)
日平均気温 °C (°F)
平均最低気温 °C (°F)
最低気温記録 °C (°F)
降水量 mm (inch)
平均降水日数 (≥1.0 mm)
平均月間日照時間
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁

歴史

  • 2005年3月1日:鷲敷町、相生町、上那賀町、木沢村、木頭村が合併し、那賀町が発足。
  • 2006年11月3日:県南部で初めて景観行政団体となる。
  • 2014年8月9日:平成26年台風第11号の集中豪雨により被害が発生し、災害救助法が適用される。

行政

役場

  • 那賀町役場
    • 相生庁舎
    • 上那賀支所
    • 木沢支所
    • 木頭支所

町長

氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 日下正隆 2005年4月17日 2007年3月23日 公金約4億円横領が発覚して辞職。現在は逮捕され、服役中。
2 坂口博文 2007年4月22日 2023年4月25日
3 橋本浩志 2023年4月26日 現職

副町長

  • 峯田繁廣 現職

警察・消防

  • 阿南警察署那賀交番(旧那賀警察署)
  • 那賀町消防本部
    • 那賀町消防団

姉妹都市・提携都市

国内

  • 釧路市(北海道)
    • 2006年9月2日友好都市提携。旧鷲敷町と旧音別町が締結していた提携を新自治体同士で再度行ったもの。旧鷲敷町と旧音別町の友好都市提携は、旧鷲敷町に大塚製薬、旧音別町に大塚食品と、両町に大塚グループの工場があることに由来する。

教育

高等学校

  • 徳島県立那賀高等学校

中学校

  • 那賀町立鷲敷中学校
  • 那賀町立相生中学校
  • 那賀町立木頭中学校

小学校

  • 那賀町立鷲敷小学校
  • 那賀町立相生小学校
  • 那賀町立木頭小学校

廃止・休止された学校

中学校

  • 那賀町立木沢中学校(生徒は相生中学校へ通っている。)
  • 那賀町立上那賀中学校(同上)

小学校

  • 那賀町立木沢小学校
  • 那賀町立阿井小学校
  • 那賀町立海川小学校
  • 那賀町立桜谷小学校
  • 那賀町立北川小学校
  • 那賀町立平谷小学校

医療

  • 那賀町立上那賀病院
  • 徳島県那賀町国民健康保険 日野谷診療所

産業

農業

  • 柚子:木頭地区は木頭ゆずの日本一の産地として知られています。
  • オモト:相生地区はオモトの日本一の産地として知られています。
  • ケイトウ:相生地区は彼岸等の仏花ケイトウの西日本一の産地です。
  • 相生晩茶:県内有数の茶の産地です。

工業

  • 大塚製薬徳島ワジキ工場(カロリーメイト、ソイジョイ)
  • 大塚テクノ鷲敷工場

商業

  • よいしょきとうむら(地産直販店)

交通

鉄道

町内には鉄道路線は通っていません。最寄りの駅は、JR牟岐線・桑野駅または日和佐駅です。

バス

  • 徳島バス
    • 丹生谷(にうだに)線:川口営業所 – 橘駅前 – 阿南駅前 – 阿南医療センター前
  • 徳島バス南部
    • 川口 – JR日和佐駅
    • 川口 – 谷山
    • 川口 – 日和田
  • 那賀町営バス
    • 相生地区代替バス
    • 木沢地区代替バス
    • 木頭地区代替バス

道路

  • 一般国道
    • 国道193号
    • 国道195号:徳島市と高知市を最短距離で結ぶ国道。
  • 県道
    • 徳島県道16号徳島上那賀線
    • 徳島県道19号阿南鷲敷日和佐線
    • 徳島県道35号阿南相生線
    • 徳島県道36号日和佐上那賀線

道の駅

  • 道の駅わじき
  • 道の駅鷲の里
  • 道の駅もみじ川温泉

観光

名所

  • 大釜の滝:那賀川が流れ落ちる、高さ約40mの雄大な滝。
  • 大轟の滝:坂州木頭川が流れ落ちる、高さ約30mの滝。
  • 新居田の滝:落差約50mの滝。
  • 明神の滝:落差約30mの滝。
  • 黒滝:落差約20mの滝。
  • にくぶちの滝:落差約15mの滝。
  • ほら貝の滝:落差約10mの滝。
  • 鷲敷ライン:徳島県道19号阿南鷲敷日和佐線の一部。絶景の海岸線を楽しめるドライブコース。
  • 高の瀬峡:那賀川が切り開いた、雄大な渓谷。
  • 槍戸峡:那賀川の支流・船谷川が切り開いた渓谷。
  • 歩危峡:那賀川が切り開いた渓谷。
  • 紅葉川渓谷:那賀川の支流・紅葉川が切り開いた渓谷。
  • 釜ヶ谷峡:那賀川の支流・釜ヶ谷川が切り開いた渓谷。
  • 未来コンビニ:旧木沢村にあったコンビニ。廃業後もそのまま残されており、廃墟として人気を集めている。
  • 剣山スーパー林道:剣山国定公園を横断する林道。雄大な山岳風景を楽しめる。
  • 太龍寺ロープウェイ:剣山の中腹にある太龍寺へのアクセス手段。
  • 徳島県立青少年の森:森林浴の森百選に選定された、豊かな自然が広がる公園。
  • 風車(旧木沢村):風力発電用の風車が設置されている。

社寺・史跡

  • 宇奈為神社:那賀町鷲敷地区にある神社。
  • 蛭子神社:鷲敷七福神の1つ。
  • 仁宇八幡神社:那賀町木沢地区にある神社。
  • 黒滝寺:新四国曼荼羅霊場88番札所、太龍寺の奥之院。
  • 正光寺:新四国曼荼羅霊場87番札所、四国三十六不動霊場14番札所。県南最古の木造建築とする観音堂がある。
  • 黒松寺:那賀町相生地区にある寺院。
  • 萬福寺:那賀町木頭地区にある寺院。
  • 持福院:那賀町木頭地区にある寺院。
  • 蓮台寺:那賀町木頭地区にある寺院。
  • 氷柱観音:那賀町木頭地区にある、氷柱が凍りつくことで知られる場所。
  • 拝宮農村舞台:那賀町木頭地区にある、国の重要文化財に指定されている舞台。
  • 坂州農村舞台:那賀町木頭地区にある、国の重要文化財に指定されている舞台。
  • 仁宇城:那賀町木沢地区にある、戦国時代の城跡。

温泉

  • わじき温泉:ゆり野
  • 四季美谷温泉
  • 道の駅もみじ川温泉

公共施設

  • 虹の丘公園
  • 相生森林文化公園
  • 鷲敷野外活動センター
  • わじきラインキャンプ村
  • ファガスの森
  • 相生森林美術館
  • 那賀町山のおもちゃ美術館
  • 那賀町立歴史民俗資料館
  • 長安口ダム資料館ビーバー館

催事

  • エキサイティング・サマー・イン・ワジキ(鷲敷地区):大塚製薬徳島ワジキ工場で1990年から毎年8月13日に行われる入場無料のロック・フェスティバル。
  • 木頭杉一本乗り大会(木頭地区):毎年8月に開催される、木頭杉を使った伝統的な競技。
  • きさわ樹氷まつり(木沢地区):1998年から毎年2月に開催される、樹氷を鑑賞できるイベント。

著名な出身者

  • 古川武弘(銀行家・阿波銀行の元頭取)(旧・上那賀町出身)
  • 小原雅博(外交官、大学教授)(旧・鷲敷町出身)
  • 椿本真恵(元バレーボール選手)(旧・上那賀町出身)
  • 三馬正敏(カヌー選手)(旧・鷲敷町出身)
  • 谷口和也(カヌー選手)(旧・鷲敷町出身)
  • 中郷大樹(元プロ野球選手)(旧・鷲敷町出身)
  • 亀代順哉(プロゴルファー)(旧・鷲敷町出身)
  • 湯浅和也(プロレスラー)(旧・木沢村出身)
  • 龍田美咲(元女子プロ野球選手)(旧・鷲敷町出身)

脚注

  1. 災害をもたらした気象事例 台風第10・11号 平成16年(2004年)7月29日~8月6日 – 気象庁
  2. 台風17号による降雨量の分布 – 防災基礎講座「災害はどこでどのように起きているか」
  3. “木頭 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月22日閲覧。
  4. 図典 日本の市町村章 p191
  5. “災害救助法の適用p11 災害救助法の適用に当たって ③法適用の状況(平成26~令和元年度)”. 内閣府政策統括官 (2020年). 2023年6月3日閲覧。
  6. “「わじき温泉」は「ゆり野」に店名を変更しています。”. 那賀町 (2021年10月11日). 2023年11月19日閲覧。

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • ウィキトラベルには、那賀町に関する旅行ガイドがあります。
  • 那賀町に関連する地理データ – オープンストリートマップ
  • 地図 – Google マップ

那賀町についてのクイズ

那賀町が誕生した年はどれですか?

那賀町は2005年3月1日に、旧那賀郡の5町村が合併して誕生しました。この合併により、町の大きさが増え、豊かな自然と伝統文化を持つ地域としての魅力が強まりました。那賀町は徳島県の最南部に位置し、豊かな自然環境を生かした移住促進や景観保全活動にも力を入れています。特に、観光資源として知られる剣山や那賀川、数多くの滝が点在するこの地域は、その大自然の美しさから多くの観光客を引き寄せています。

那賀町に含まれる主要な山の一つはどれですか?

那賀町には剣山があり、標高1,955mで四国山地の最高峰です。剣山はその美しい風景と高い高さから多くの登山者に人気のある場所となっており、自然を楽しむためのハイキングコースが整備されています。また、剣山は四国の自然環境を代表する場所として国定公園に指定されています。剣山付近の地域は、植物が豊かで、様々な野生動物も生息しており、自然の宝庫とも言えるでしょう。

那賀町の河川の一つで、木頭ゆずの産地として知られているのはどれですか?

坂州木頭川は那賀町内を流れる河川の一つで、木頭ゆずの産地として知られています。この地域は柚子の栽培が盛んであり、特に「木頭ゆず」は高品質で評価されています。坂州木頭川の水源は、周辺の緑豊かな山々から流れ出ており、栄養豊かで清らかな水が育む土壌が、豊かな柚子の生産を支えています。木頭ゆずは、様々な料理や製品に利用され、地域の特産品として愛されています。

那賀町が景観行政団体となったのはいつですか?

那賀町は2006年11月3日に、県南部で初めて景観行政団体となりました。この制度は、町の美しい自然や景観を保全するために設けられるもので、那賀町はこの取り組みを通じて、地域の環境を守りながら観光振興にもつなげていく方針を示しています。景観行政団体として、先進的な取り組みを行うことにより、地域の魅力が向上し、地域活性化に寄与することが期待されています。

那賀町を流れる一級河川はどれですか?

那賀川は徳島県南部を流れる一級河川であり、那賀町の主要な水路です。那賀川は特に美しい渓谷を形成しており、高の瀬峡など自然の美しさが評価されています。また、那賀川沿いには数多くの滝が点在し、観光名所としても知られています。その流れは地域の人々にとって重要な資源であり、その水利用や自然保護の取り組みも行われています。

那賀町で開催される木頭杉を使った伝統的な競技の名前は?

木頭杉一本乗り大会は、毎年8月に開催される、木頭杉を用いた伝統的な競技です。この大会では、参加者が木頭杉の上に立ってバランスをとるという競技が行われており、地域の伝統文化を楽しむ場ともなっています。木頭杉は那賀町の特産品であり、この競技を通じて地域の結びつきを深めることが目的とされています。