栃木県塩谷郡塩谷町:湧水と自然豊かな、歴史と伝統が息づくまち

栃木県北部に位置する塩谷郡塩谷町は、豊かな自然と歴史、そして温かい人情あふれる魅力的な町です。人口約9,000人の小さな町ですが、全国に名を知られる「尚仁沢湧水」をはじめ、数々の観光スポットや文化遺産を有しています。今回は、塩谷町の魅力を、地理、歴史、人口、行政、地域、交通、観光スポット、出身有名人など様々な角度から紹介します。

地理と気候

塩谷町は、栃木県の北部に位置し、塩谷郡に属する町です。町の概形は三角形で、南北21km×東西18kmに広がっています。町域の約6割を山林原野が占め、豊かな自然に恵まれています。

山々、河川、湖沼

町内には高原山などの山々がそびえ立ち、利根川水系の鬼怒川や那珂川水系の荒川などの河川が流れ、東古屋湖、西古屋湖、東荒川ダムなどの湖沼も点在しています。

気候

塩谷町は、内陸性気候に属し、夏は高温多湿、冬は冷え込みます。年間を通して降水量が多く、特に梅雨時期と秋雨の時期には集中豪雨に見舞われることもあります。

塩谷(1991年 – 2020年)の気候
最高気温記録 °C (°F)
平均最高気温 °C (°F)
日平均気温 °C (°F)
平均最低気温 °C (°F)
最低気温記録 °C (°F)
降水量 mm (inch)
平均降水日数 (≥1.0 mm)
平均月間日照時間
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁

歴史

塩谷町は、古くから交通の要衝として栄えてきました。室町時代には、日光街道が整備され、江戸時代には、日光東照宮への参詣客でにぎわいました。

沿革

  • 1889年(明治22年)4月1日: 玉生村、船生村、大宮村の3村が成立します。
  • 1957年(昭和32年)3月31日: 玉生村、船生村、大宮村が合併し、塩谷村となります。
  • 1965年(昭和40年)2月11日: 町制施行により、塩谷町となります。
  • 2022年(令和4年)7月1日: 矢板市との間で境界を変更します。

人口

塩谷町の人口は、近年減少傾向にあります。栃木県内の市町村の中では最も人口が少ないのが特徴です。

塩谷町と全国の年齢別人口分布(2005年) 塩谷町の年齢・男女別人口分布(2005年)
■紫色 ― 塩谷町■緑色 ― 日本全国 ■青色 ― 男性■赤色 ― 女性
塩谷町(に相当する地域)の人口の推移 1970年(昭和45年)
総務省統計局 国勢調査より

行政

塩谷町役場は、2023年11月6日に新庁舎で業務を開始しました。旧庁舎は、1952年に玉生村役場庁舎として建設され、その後は塩谷村役場や塩谷町役場として使用されてきました。しかし老朽化が進んでいたため、新庁舎が建設されました。

塩谷町長

歴代町長は以下のとおりです。

氏名 就任 退任 備考
1 小野﨑良一 1957年(昭和32年)5月10日 1969年(昭和44年)5月9日 1965年2月11日から町長
2 大嶋長重 1969年(昭和44年)5月10日 1973年(昭和48年)5月9日
3 手塚治良 1973年(昭和48年)5月10日 1977年(昭和52年)5月9日
4 柿沼尚志 1977年(昭和52年)5月10日 1989年(平成元年)5月9日
5 大島藤吾 1989年(平成元年)5月10日 1997年(平成9年)5月9日
6 植木誠也 1997年(平成9年)5月10日 2004年(平成16年)7月20日
7 柿沼尚志 2004年(平成16年)8月29日 2008年(平成20年)8月28日
8 手塚功一 2008年(平成20年)8月29日 2012年(平成24年)8月28日
9 見形和久 2012年(平成24年)8月29日 現職

広域行政

塩谷町は、矢板市、さくら市、高根沢町とともに、塩谷広域行政組合を組織しています。この組合では、消防、ごみ処理、火葬場の運営などを行っています。

衆議院

塩谷町は、栃木県第2区に属しています。

選挙区 議員名 党派名 当選回数 備考
栃木県第2区(塩谷町、宇都宮市(旧上河内町、河内町域)、鹿沼市、日光市、さくら市、栃木市(旧西方町域)、高根沢町) 福田昭夫 立憲民主党 5 選挙区

指定廃棄物最終処分場候補地

2014年、塩谷町上寺島(寺島入)の国有地が、放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場の候補地に提示されました。これに対して、塩谷町は、候補地の白紙撤回を求める意見書を町議会で可決し、町民も反対運動を展開しました。

その後、環境省は候補地を変更する意向を表明していませんが、塩谷町は、候補地選定のプロセスや環境影響などを理由に、今もなお反対を続けています。

地域

塩谷町は、玉生地区、大宮地区、船生地区の3つの地区に分かれています。

町名一覧

玉生地区

  • 大字飯岡(いいおか)
  • 大字金枝(かなえだ)
  • 大字上寺島(かみてらしま)
  • 大字喜佐見(きざみ)
  • 大字熊ノ木(くまのき)
  • 大字下寺島(しもてらしま)
  • 大字玉生(たまにゅう)
  • 大字道下(どうした)
  • 大字鳥羽新田(とばしんでん)
  • 大字原荻野目(はらおぎのめ)
  • 大字東房(ひがしぼう)
  • 大字芦場新田(よしばしんでん)

大宮地区

  • 大字泉(いずみ)
  • 大字上沢(うわさわ)
  • 大字上平(うわたいら)
  • 大字大久保(おおくぼ)
  • 大字大宮(おおみや)
  • 大字風見(かざみ)
  • 大字風見山田(かざみやまだ)
  • 大字田所(たどころ)
  • 大字肘内(ひじうち)

船生地区

  • 大字佐貫(さぬき)
  • 大字船生(ふにゅう)

教育

塩谷町には、小学校3校、中学校1校、高等学校1校があります。

高等学校

  • 日々輝学園高等学校

中学校

  • 塩谷町立塩谷中学校

小学校

  • 塩谷町立玉生小学校
  • 塩谷町立大宮小学校
  • 塩谷町立船生小学校

かつて存在した学校

  • 栃木県立塩谷高等学校(2013年3月閉校)
  • 塩谷町立玉生中学校(2005年に塩谷中学校へ統合)
  • 塩谷町立船生中学校(2005年に塩谷中学校へ統合)
  • 塩谷町立大宮中学校(2005年に塩谷中学校へ統合)
  • 塩谷町立大久保小学校(2007年3月末で廃校)
  • 塩谷町立田所小学校(2007年3月末で廃校)
  • 塩谷町立玉生小学校 熊ノ木分校(明治7年開校、平成11年3月玉生小学校に統合)
  • 塩谷町立船生西小学校(廃校)
  • 塩谷町立船生東小学校(廃校)

その他の教育施設

  • 塩谷町生涯学習センター
  • 塩谷町総合公園

交通

鉄道

塩谷町には、鉄道駅はありません。最寄りの駅は、JR東日本東北本線矢板駅です。東北新幹線が町内を通過していますが、駅はありません。

路線バス

  • 関東自動車
  • しおや交通・町直営

道路

  • 一般国道: 国道461号
  • 県道: 栃木県道62号今市氏家線、栃木県道63号藤原宇都宮線、栃木県道74号塩谷喜連川線、栃木県道77号宇都宮船生藤原線、栃木県道220号大久保蒲須坂線、栃木県道242号矢板塩谷線、栃木県道273号東古屋上寺島線

出身有名人

  • 船村徹(作曲家)
  • ギュウゾウ(大島剛人) (電撃ネットワーク)
  • 鈴木従道(陸上選手・長距離走)
  • 銀粉蝶(女優)
  • 木下龍太郎(作詞家)
  • 和気史郎(画家)
  • 直井研二(演出家)(東京藝術大学助教)
  • 桜井昌司(布川事件元被告人)

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

塩谷町には、豊かな自然と歴史を感じることができる、魅力的な観光スポットがたくさんあります。

  • 尚仁沢湧水: 「名水百選」に選ばれた、水質が非常に良い湧水です。
  • 尚仁沢名水パーク: 東荒川ダム親水公園。湧水やダム湖の景色を楽しめます。
  • 道の駅湧水の郷しおや: 新鮮な野菜や特産品が販売されています。
  • 佐貫観音院(東海寺別院): 佐貫石仏(磨崖仏、国指定の史跡)があります。
  • 高原山水源の森: 「水源の森百選」に選ばれた、自然豊かな森です。
  • しおや湧水の里ウォーク大会: 毎年4月に開催される、塩谷町内を歩くイベントです。

脚注

  1. ^ a b “新庁舎開庁!!”. 塩谷町. 2023年11月3日閲覧。
  2. ^ a b 下野新聞社 編 2006, p. 84.
  3. ^ a b 下野新聞社 編 2006, p. 86.
  4. “塩谷 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2023年3月5日閲覧。
  5. “矢板市・塩谷町の境界を変更 栃木県の土地改良事業施行で”. 下野新聞 (2022年3月27日). 2023年5月14日閲覧。
  6. ^ a b c “歴史と伝統、新庁舎で受け継ぐ 塩谷町役場で閉庁式 築71年の現庁舎に別れ”. 下野新聞. 2023年11月3日閲覧。
  7. “「塩谷町庁舎整備基本構想」を策定しました。”. 塩谷町役場庁舎建設準備室 (2019年3月27日). 2023年5月14日閲覧。
  8. ^ a b “塩谷町新庁舎建設工事 起工式が行われました。”. 都市環境建築設計所 (2023年2月28日). 2023年5月14日閲覧。
  9. 『全国市町村要覧』平成16年版、第一法規、p.144
  10. 『広報しおや』平成16年8月号[1]、塩谷町、p.2
  11. 『全国市町村要覧』平成19年版、第一法規、p.130
  12. 『全国市町村要覧』平成24年版、第一法規、p.130
  13. 『全国市町村要覧』平成27年版、第一法規、p.130
  14. ^ a b “塩谷町に国が提示 最終処分場候補地選定 町長「明確に反対」 環境相きょう首長会議で説明”. 下野新聞: p. 1. (2014年7月31日)
  15. “環境相が調査協力要請 塩谷町長「簡単ではない」 候補地選定で市町村長会議”. 下野新聞: p. 1. (2014年8月1日)
  16. ^ a b “最終処分場候補地選定 「湧水に隣接、不適切」 塩谷町議会意見書可決”. 下野新聞: p. 1. (2014年8月6日)
  17. ^ a b “2000人白紙撤回求める 反対住民ら緊急集会”. 下野新聞: p. 1. (2014年9月1日)
  18. ^ a b “最終処分場、規制対象に 塩谷町議会 湧水保全条例を可決”. 下野新聞: p. 1. (2014年9月20日)
  19. “塩谷町の反対同盟 撤回署名17万人分提出 環境省、管理130年試算も”. 下野新聞: p. 1. (2014年10月30日)
  20. ^ a b “塩谷町長 福島第1周辺へ集約を 県内全首長理解求める”. 下野新聞: p. 1. (2014年11月6日)
  21. “「原発内保管」発言が波紋 福島知事が関係悪化懸念 本県知事、福田議員批判”. 下野新聞: p. 2. (2012年10月30日)
  22. ^ a b “首長会議で望月環境相 塩谷町長と議論平行線 「県内処理見直さず」”. 下野新聞: p. 1. (2014年11月11日)
  23. “環境省、面積確認を中止 塩谷住民ら 300人立ち入り阻む”. 下野新聞: p. 1. (2015年2月3日)
  24. ^ a b c “特措法見直し 塩谷町、環境省に抗議文 「検証待たず結論誘導」”. 下野新聞: p. 5. (2015年6月10日)
  25. “塩谷町 住民説明会を拒否 環境相要請に文書回答”. 下野新聞: p. 3. (2015年6月27日)
  26. ^ a b “処分場候補地 塩谷選定は「適切」 県有識者会議が最終報告 環境省公表 一時保管10万ベクレル超171トン”. 下野新聞: p. 1. (2015年7月9日)
  27. “市長会長と町村会長 国説明受け入れ提案 塩谷町長拒否、物別れに”. 下野新聞: p. 1. (2015年10月10日)
  28. ^ a b “塩谷の候補地、豪雨時冠水 環境省調査「対策講じ建設可能」”. 下野新聞: p. 1. (2015年10月15日)
  29. “冠水受け丸川環境相 候補地変更を否定 塩谷町の反発は必至”. 下野新聞: p. 5. (2015年10月17日)
  30. “塩谷町、環境省に抗議 災害調査、単独で報告会”. 下野新聞: p. 5. (2015年10月27日)
  31. ^ a b “「不安をあおる」環境省に抗議文 DM問題で塩谷町”. 下野新聞: p. 3. (2015年10月24日)
  32. ^ a b c “環境省 塩谷町全戸へ再度DM 質問に回答形式、連絡先も”. 下野新聞: p. 2. (2015年10月30日)
  33. “環境省の再度のDM郵送に抗議 塩谷町”. 下野新聞: p. 5. (2015年11月7日)
  34. “環境省、3回目のDM 塩谷町全戸に”. 下野新聞: p. 4. (2015年12月15日)
  35. ^ a b “環境省に「候補地返上」 冠水受け塩谷町長、町民に表明”. 下野新聞: p. 5. (2015年11月21日)
  36. ^ a b c “塩谷候補地豪雨調査 環境省、一部冠水認める 大規模土石流「影響受けにくい」”. 下野新聞: p. 1. (2015年12月1日)
  37. “塩谷有志と福田知事 初対談打開策手探り 話し合いの継続、確認”. 下野新聞: p. 1. (2015年12月10日)
  38. “環境副大臣本県入り 「集約断念の事実ない」 各県処理方針、知事に説明”. 下野新聞: p. 1. (2016年1月23日)
  39. “県市町長に環境省説明 個人保管の指定廃集約 焼却で減容化、農家負担減”. 下野新聞: p. 1. (2016年10月18日)
  40. “集約、減容化合意至らず 環境省の農家負担軽減策 6市町と個別協議へ”. 下野新聞: p. 1. (2017年7月11日)
  41. “塩谷町の歴史”. 塩谷町総務課 (2017年1月16日). 2023年5月14日閲覧。
  42. “構造改革特別区域計画”. 内閣府地方創生推進事務局. 2023年5月14日閲覧。
  43. “生涯学習センター利用案内”. 塩谷町生涯学習課 (2020年8月19日). 2023年5月14日閲覧。
  44. 新高徳駅~矢板駅間路線バスの運行について
  45. 10月1日から路線バス(新高徳駅〜矢板駅)を運行します。 – 塩谷町、2014年9月29日更新

参考文献

  • 『栃木県町村会七十年史』 栃木県町村会、1991年6月18日。
  • 下野新聞社 編『とちぎのまるわかり観光ガイド!! [平成の大合併版] とちぎデータブック Tochigi databook 06-07』下野新聞社、2006年4月24日、244頁。ISBN 4-88286-300-6。

関連項目

  • 日本学生オリエンテーリング連盟

外部リンク

塩谷町は、豊かな自然と歴史、そして温かい人情あふれる魅力的な町です。ぜひ一度、訪れてみてください。

塩谷町についてのクイズ

塩谷町はどの県の北部に位置していますか?

塩谷町は栃木県の北部に位置しています。栃木県は関東地方に位置し、地域には美しい自然が広がっており、特に塩谷町はその自然環境が豊かです。塩谷町はその広がりの約6割が山林原野で、様々な観光スポットが飽きさせることなく訪れる人を楽しませます。塩谷町が観光地としても知られるのは、豊かな自然環境だけでなく、重要な歴史的背景があるためでもあります。このような特長から、塩谷町は歴史と文化が共存する非常に魅力的な地域の一つといえます。

塩谷町は何年に町制を施行しましたか?

塩谷町は1965年2月11日に町制を施行しました。この町制施行によって、以前の村であった玉生村、船生村、大宮村が一つに統合され、塩谷町が誕生したのです。町制施行に伴い、地域の行政やサービスが強化され、住民の生活の質も向上しました。町の成り立ちは、このように歴史的な背景が多く絡んでおり、土台となる地域社会が形成されることで、現在の塩谷町の素晴らしい自然環境と文化が築かれてきました。

塩谷町の人口は概ね何人程度ですか?

塩谷町の人口は約9,000人であり、栃木県内でも小さな町の一つです。この小さな町は、地域の人々が大切な生活環境を維持する上で、自然と歴史に寄り添いながら暮らしていることが特長です。また、人口減少が続いているため、地域の活性化に向けたいくつかの取り組みが行われています。小さな町ではあるものの、塩谷町には全国的に有名な観光地や名所が点在し、訪れる人々に楽しさと学びを提供しています。

塩谷町の指定廃棄物最終処分場候補地はどこにありましたか?

指定廃棄物最終処分場候補地は2014年に塩谷町上寺島(寺島入)の国有地として示されました。この提案に対して塩谷町は強く反対し、町議会でも意見書が可決されました。地域住民は、一致団結してこの候補地に反対する運動を展開し、環境への影響を心配する声が広がりました。塩谷町では、環境に優しい地域づくりを目指し、多くの町民が参加して議論や活動が行われています。無事にこの候補地の白紙撤回がなされることが期待されています。

塩谷町にある高等学校は何という名前ですか?

塩谷町には日々輝学園高等学校が存在します。この学校は地域の教育の重要な拠点であり、多くの若者がここで学んでいます。塩谷町の教育機関は限られていますが、地域の特性を活かした教育を行うことで、地域文化と連携した素晴らしい教育環境を提供しています。また、地元の小学校や中学校との連携もあり、地域全体を身近な教育の場と捉えることが可能です。塩谷町は、このように地域の資源を最大限に活用した教育プログラムを行っています。