近江八幡市は、滋賀県の中央部、琵琶湖東岸に位置する、歴史と文化が息づく魅力的な街です。近江商人や安土城で知られる近江八幡市は、城下町の風情が今も色濃く残り、水郷の美しい風景と伝統的な建造物群が調和した景観は、多くの観光客を魅了しています。
概要
近江八幡市は、豊臣秀次が築いた城下町を基礎として、近世には商業都市として発展しました。近江商人の発祥の地として知られており、商人たちの活気に満ちた歴史を感じることができます。
近江八幡市には、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「八幡伝統的建造物群保存地区」があり、新町通り、永原町通り、八幡堀沿いの町並みは、江戸時代の風情を残しています。時代劇の撮影場所としてもよく使われ、往時の賑わいをしのばせてくれます。
また、近代建築の巨匠であるウィリアム・メレル・ヴォーリズが住み、多くの近代建築作品を遺した地としても知られています。ヴォーリズが設計した教会や学校、住宅は、今も街の景観に溶け込み、歴史と近代が融合した独特の雰囲気を醸し出しています。
2005年には、水郷地域160ヘクタールが景観法に基づく「景観計画区域」に全国で初めて指定され、2006年には「近江八幡の水郷」として重要文化的景観の第1号に選定されました。水郷の美しい風景は、近江八幡市の魅力を象徴する存在であり、多くの観光客を惹きつけます。
地名の由来
近江八幡市という名前は、しばしば「近江八幡」を冠する神社があるように誤解されますが、実際には「日牟禮八幡宮」という神社が地名の由来となっています。
市名に「近江」を冠しているのは、1954年の市制施行時に福岡県八幡市(やはたし)が存在したためです。福岡県八幡市はその後、1963年に合併し、北九州市の一部となり消滅しました。その後、1977年に京都府八幡市(やわたし)が誕生しましたが、この時点で福岡県八幡市はすでに消滅していたため、同名回避は行われず、先に市制を敷いた側が冠称を付けるというねじれ現象が生じました。
地理
近江八幡市は、滋賀県の中央部、琵琶湖東岸に位置しています。市域は全般に平坦地で、鈴鹿山系に源を発する諸河川により形成された湖東平野の一角を占めています。
位置
近江八幡市は、滋賀県の中央部、琵琶湖の東岸に位置しています。市域は全般に平坦地で、鈴鹿山系に源を発する諸河川により形成された湖東平野の一角を占めています。
地形
山地
近江八幡市には、平野に浮かぶように小高い山が点在しています。
主な山としては、以下のものがあります。
- 雪野山
- 瓶割山
- 八幡山(鶴翼山)
- 岡山
- 長命寺山
- 津田山(奥島山)
湖沼
琵琶湖上には、同湖で最大の島である沖島と呼ばれる有人島があります。また、市の北東部には西の湖があり、水郷地帯を展開しています。西の湖は、「安土八幡の水郷」として琵琶湖八景の一つに数えられており、その美しい風景は多くの人を魅了しています。
主な湖としては、以下のものがあります。
- 琵琶湖
- 西の湖
島嶼
近江八幡市には、琵琶湖上に沖島という有人島があります。沖島は、琵琶湖で最大の島であり、古くから漁業や農業で栄えてきました。
主な島としては、以下のものがあります。
- 沖島
歴史
近江八幡市は、古くから歴史の舞台となってきた街です。
近世
安土桃山時代の1585年から1590年にかけて、豊臣秀次は八幡山に八幡城を築き、碁盤状の城下町を建設しました。同時に、織田信長が築いた安土城の城下町の人々を八幡(元八幡)城下に移しました。
江戸時代には、中山道六十九次の武佐宿が置かれ、近江商人らが出入りする巨大な八幡花街が発展しました。八幡花街は江戸時代後期に最盛期を迎えましたが、昭和前半にかけて衰退し、現在は存在していません。
沿革
近江八幡市の歴史は、以下のとおりです。
- 1954年(昭和29年)3月31日:蒲生郡八幡町・岡山村・金田村・桐原村・馬淵村が合併して、近江八幡市(第1次)が発足。同年7月15日に市章を制定。
- 1955年(昭和30年)3月3日:野洲郡北里村を編入。
- 1958年(昭和33年)2月1日:蒲生郡武佐村を編入。
- 1991年(平成3年):旧城下町の一部が「近江八幡市八幡伝統的建造物群保存地区」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区として選定。
- 2005年(平成17年)9月1日:市内水郷地域160haが景観法に基づく「景観計画区域」に全国初の指定。
- 2006年(平成18年)1月26日:「近江八幡の水郷」が日本で初めて重要文化的景観として選定。同年7月28日に集落部分が追加選定。
- 2010年(平成22年)3月21日:安土町と合併し、改めて近江八幡市が発足。旧安土町地域に安土町地域自治区が設置。市章は変更されず。
観光
近江八幡市は、歴史と文化、自然の豊かさを兼ね備えた、魅力的な観光地です。
名所・旧跡
近江八幡市には、多くの歴史的な名所・旧跡があります。
城郭
- 安土城跡:特別史跡、琵琶湖国定公園第1種特別地域。サクラの名所でもあります。
- 北之庄城
- 観音寺城跡:国史跡。
- 八幡山城跡
- 水茎岡山城跡
- 長光寺城跡:観音寺城の支城
寺院
- 観音正寺:西国三十三所、三十二番札所。
- 長命寺:西国三十三所、三十一番札所。
- 教林坊
- 瑞龍寺
- 伊崎寺
- 本願寺八幡別院
- 桑実寺
- 摠見寺
- 浄厳院:浄土宗と日蓮宗による安土問答(安土宗論)が行われた寺。
- 正寿院
- 岩戸山十三仏
- 光明院
- 帝釈寺
- 長光寺
神社
- 日牟禮八幡宮
- 沙沙貴神社:佐佐木源氏発祥の地。
- 大嶋神社奥津嶋神社
- 天之御中主神社
- 天津神社(帝釈天)
- 小田神社
- 福島弁財天
- よしの龍神
- 金色稲荷大明神
- 市神神社濱宮
- 百々神社
- 活津彦根神社
- 新宮神社
- 藤ヶ崎龍神社
- 菅田神社
- 奥津嶋神社
- 賀茂神社
- 老蘇の森(おいそのもり)
- 奥石神社:本殿が国の重要文化財
観光スポット
近江八幡市には、歴史的な名所・旧跡だけでなく、様々な観光スポットがあります。
博物館
- 滋賀県立安土城考古博物館
- 安土町城郭資料館
- 安土城天主信長の館:セビリア万国博覧会に出展された安土城の復元天守(5・6階部分)を移築。
- 近江八幡市立資料館
- 郷土館:旧伊庭家住宅(1913年建造、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の西洋館)
- 曳山とイ草の館
- 歴史民俗資料館
- かわらミュージアム
- ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
近代建築
- 池田町洋館街
- ヴォーリズ記念館
- ハイド記念館・教育会館
- アンドリュース記念館(旧近江八幡YMCA会館)
- 旧八幡郵便局
- 白雲館
- 旧伊庭邸
風景・保存地区
- 西の湖と長命寺川:近江八幡の水郷として水の郷百選に選ばれています。
- 八幡伝統的建造物群保存地区
- 旧西川家住宅:国の重要文化財。
- 旧伴家住宅
- 八幡堀
その他スポット
- 旧中山道武佐宿
- セミナリヨ跡
- あきんどの里
- 八幡公園
- 宮ヶ浜水泳場:1977年から1979年まで「鳥人間コンテスト選手権大会」はここで行われていました。
- 八幡山ロープウエー
- 安土瓢箪山古墳
- 大中の湖南遺跡
- 常の浜
- 梅の川
-
福島弁財天
-
文芸の郷
- 旧宮地家住宅:1754年建造、国の重要文化財。
- 旧安土巡査駐在所:1885年建造、登録有形文化財。
- 旧柳原学校校舎:1876年建造、滋賀県指定文化財。高島市新旭町太田にあったものを移築。
- 文芸セミナリヨ
- あづちマリエート
交通
近江八幡市は、交通アクセスも良好です。
鉄道
中心となる駅は、近江八幡駅です。
-
西日本旅客鉄道(JR西日本)
- 東海道本線:篠原駅 – 近江八幡駅 – 安土駅
-
近江鉄道
- 八日市線:武佐駅 – 近江八幡駅
索道
- 八幡山ロープウェー
- 公園前駅 – 八幡城址駅
バス
路線バス
- 近江鉄道バス
- あかこんバス
道路
国道
- 国道8号
- 国道421号
- 国道477号
県道
-
主要地方道
- 滋賀県道2号大津能登川長浜線(彦根道・朝鮮人街道)
- 滋賀県道14号近江八幡竜王線
- 滋賀県道25号彦根近江八幡線
- 滋賀県道26号大津守山近江八幡線
- 滋賀県道41号土山蒲生近江八幡線
- 滋賀県道48号近江八幡守山線
-
一般県道
- 滋賀県道158号安養寺入町線
- 滋賀県道198号安土停車場桑実寺本堂線
- 滋賀県道199号下豊浦鷹飼線
- 滋賀県道201号安土西生来線
- 滋賀県道208号小脇西生来線
- 滋賀県道326号大房東横関線
- 滋賀県道502号近江八幡停車場線(駅前大通り=ぶーめらん通り)
- 滋賀県道511号栗見新田安土線
- 滋賀県道526号伊庭円山線
- 滋賀県道541号綾戸東川線
- 滋賀県道559号近江八幡大津線(湖周道路=さざなみ街道)
- 滋賀県道600号近江八幡安土能登川自転車道線(びわ湖よし笛ロード)
航路
港湾
- 長命寺港
- 堀切港:沖島通船
- 沖島港:同上
まとめ
近江八幡市は、歴史と文化、自然の豊かさを兼ね備えた、魅力的な街です。近江商人や安土城などの歴史的な遺産、美しい水郷の風景、伝統的な町並みなど、見どころが満載です。ぜひ、近江八幡市を訪れて、その魅力を体感してみてください。
近江八幡市についてのクイズ
近江八幡市があるのはどの県ですか?
近江八幡市は滋賀県に位置する城下町で、歴史と文化が色濃く残る地域です。滋賀県は琵琶湖の東岸にあり、近江八幡市はその中央部に位置しています。近江八幡は商業都市としても知られ、近江商人が活躍した場所でもありますが、豊臣秀次によって築かれた八幡城が象徴的な存在となっており、観光スポットも豊富です。近江八幡市は周囲の自然環境や歴史的背景から、多くの観光客を惹きつけています。特に水郷地域や伝統的な建造物群は、観光客に人気があり、この地域の文化的価値を象徴しています。
近江八幡市に指定されている国の重要伝統的建造物群保存地区はどれですか?
近江八幡市には、「八幡伝統的建造物群保存地区」として国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている地域があります。この地区は、江戸時代の風情を色濃く残した町並みが特徴です。特に新町通りや永原町通り、八幡堀沿いの町並みは、歴史的な価値が高く、時代劇の撮影場所としてもよく利用されるなど、文化的な魅力が詰まっています。近江商人の活躍を感じられる場所であり、観光客にとっても訪れる価値のあるエリアといえます。
近江八幡市にある主要な鉄道駅はどれですか?
近江八幡市の中心駅は「近江八幡駅」です。この駅は西日本旅客鉄道(JR西日本)の東海道本線と近江鉄道の八日市線の接続駅となっており、多くの旅行者や市民が利用しています。近江八幡駅を基点として、周辺の観光名所や文化的施設へのアクセスが非常に便利です。駅周辺にはカフェやお土産屋さんも点在しており、観光の合間に立ち寄ることも可能です。また、八幡山ロープウェーやバス路線もあり、市内の移動もスムーズです。