滋賀県甲賀市:忍者の里から信楽焼の産地へ、歴史と自然が織りなす魅力的な街

滋賀県南東部に位置する甲賀市は、古くから歴史と文化が息づく魅力的な街です。忍者の里として知られる一方で、信楽焼の産地としても有名で、近年では工業団地の進出により、滋賀県経済を牽引する存在となっています。この記事では、甲賀市の歴史、地理、産業、観光スポットなど、多岐にわたる魅力を紹介します。

甲賀市:忍者の里と信楽焼の街

甲賀市は、滋賀県の南端に位置し、三重県と京都府に隣接する市です。2004年に旧甲賀郡の5町(信楽町、甲南町、水口町、甲賀町、土山町)が合併して誕生しました。

古くは745年に聖武天皇によって紫香楽宮が造営された場所として知られています。山々が連なる地形の中に、五街道の1つである東海道が通り、水口宿と土山宿が発展しました。

近世には、甲賀忍者と呼ばれる甲賀武士の里として名を馳せました。甲賀武士が崇敬したとされる油日神社、飯道神社、矢川神社、田村神社などの古社が現存し、櫟野寺にある日本最大の十一面観音菩薩坐像などの文化財も数多く残されています。また、十楽寺、櫟野寺、大池寺が所蔵する大仏は「甲賀三大仏」と呼ばれ、信仰を集めています。

江戸時代には、水口藩加藤家が治めた水口城の城下町として栄えました。明治以降は水口地域に滋賀県の行政機関が置かれ、甲賀郡の中心都市としての役割を担ってきました。

近年では、2008年の新名神高速道路開通を契機に、工業団地の進出が相次ぎ、県内市町別工業製造品出荷額で1位を記録するまでになりました。伝統産業として有名な信楽焼の産地として、窯業が盛んな一方、農業では土山茶や朝宮茶など近江茶の産地としても知られています。

2019年度下半期放送のNHK連続テレビ小説『スカーレット』は、甲賀市信楽地域を舞台として放送され、信楽焼の伝統や人々の暮らしが全国に紹介されました。

地理:山と川が織りなす豊かな自然

甲賀市は、東に鈴鹿山脈の南嶺が連なり、市内最高峰の雨乞岳など標高の高い山々がそびえ立っています。山々から中央北部の水口丘陵南沿の谷を野洲川が、南部の甲賀丘陵沿の杣谷を野洲川の支流の杣川が流れ、それぞれに平地が広がっています。

信楽地域には信楽盆地があり、大戸川が流れています。野洲川水系は琵琶湖に流れ込む一方、大戸川は瀬田川に直接流れ込むため、信楽地域は異なる分水界に属しています。

市内に点在するダムによって、野洲川ダム、青土ダム、大原ダム、櫟野川砂防ダムなどの人造湖群が形成され、豊かな自然環境を育んでいます。

歴史:古都の面影を残す歴史遺産

甲賀市は、長い歴史の中で様々な出来事や文化を育んできました。

745年:紫香楽宮の造営

聖武天皇によって造営された紫香楽宮は、わずか4年で廃されてしまいましたが、その遺跡は現在でも重要な歴史遺産として残されています。宮跡、宮町遺跡、新宮神社遺跡、鍛冶屋敷遺跡など、古代の繁栄を偲ばせる史跡を訪れることができます。

近世:甲賀忍者の活躍

甲賀市は、甲賀忍者と呼ばれる甲賀武士の里として知られています。甲賀流忍術は、戦国時代から江戸時代にかけて、諜報、情報収集、護衛などの役割を担いました。

甲賀市には、忍者の屋敷跡や忍術に関する展示施設があり、歴史を体感することができます。

江戸時代:水口藩の城下町

水口城は、江戸時代初期に加藤明英によって築城されました。城下町は、商業や文化の中心地として栄え、水口宿は東海道の重要な宿場町として賑わいました。

水口城跡には、城郭建築や庭園が残されており、当時の繁栄を偲ぶことができます。

産業:伝統と革新が融合する産業都市

甲賀市は、伝統産業と近代産業が融合した産業都市です。

伝統産業:信楽焼

信楽焼は、古くから続く伝統工芸品です。土質の良さと火山の灰である陶土「信楽土」の特性を生かし、個性豊かな焼き物が生み出されています。信楽焼は、瀬戸、常滑、越前、丹波立杭、備前と並ぶ、日本六古窯の1つに数えられています。

信楽地域には、多くの窯元が軒を連ね、陶芸体験や窯元見学などが楽しめます。また、毎年開催される「信楽陶器まつり」は、多くの観光客でにぎわいます。

近代産業:工業団地の進出

2008年の新名神高速道路開通を機に、甲賀市には多くの工業団地が開発されました。自動車部品、機械、医薬品、食品など、様々な分野の企業が進出しています。

工業団地の進出は、甲賀市の経済発展に大きく貢献しており、雇用創出や税収増加に繋がっています。

農業:近江茶の産地

甲賀市は、近江茶の産地としても知られています。特に土山茶と朝宮茶は、品質の良さで知られており、全国的に人気があります。

茶畑は、山間部や丘陵地に広がり、豊かな自然の中で育まれた茶葉は、爽やかな香りが特徴です。

観光:忍者の里から信楽焼の里まで、多彩な魅力

甲賀市は、忍者の里、信楽焼の産地、歴史遺産、自然など、多彩な魅力が詰まった観光地です。

忍者の里:甲賀の里忍術村

「甲賀の里忍術村」は、忍者や忍術の世界を体験できるテーマパークです。実際に忍者屋敷に入ったり、忍術ショーを見たり、忍術体験をすることができます。

信楽焼の里:信楽焼窯元

信楽焼の窯元では、伝統的な技法で作られた信楽焼の器や置物を見学したり、実際に制作体験をすることができます。

歴史遺産:水口城跡、紫香楽宮跡

水口城跡は、かつて水口藩の居城であった城郭建築です。天守閣はありませんが、城門や石垣、庭園などを見学することができます。

紫香楽宮跡は、古代の宮殿跡です。発掘された遺構や出土品は、歴史博物館などで展示されています。

自然:鈴鹿山脈、信楽高原

鈴鹿山脈は、豊かな自然に恵まれた山岳地帯です。ハイキングや登山、キャンプなど、様々なアウトドアアクティビティを楽しむことができます。

信楽高原は、信楽焼の原料となる信楽土が採掘される場所です。高原からは、信楽の町並みや山々を一望することができます。

まとめ:歴史と自然が織りなす、魅力的な街

甲賀市は、忍者の里、信楽焼の産地、歴史遺産、自然など、様々な魅力が詰まった街です。

古都の面影を残す歴史遺産、豊かな自然、活気あふれる街並み、そして伝統を守りながらも進化を続ける産業など、甲賀市は訪れる人々に忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

関連項目

  • 滋賀県
  • 忍者
  • 信楽焼
  • 水口城
  • 紫香楽宮
  • 東海道
  • 土山茶
  • 朝宮茶

外部リンク

甲賀市についてのクイズ

甲賀市が合併して誕生した年はいつですか?

甲賀市は2004年に旧甲賀郡の5町(信楽町、甲南町、水口町、甲賀町、土山町)が合併して誕生しました。この合併により、甲賀市は滋賀県南東部に位置する、歴史と文化が息づく魅力的な地域となりました。特に忍者の里としての歴史的背景や、信楽焼の伝統的な工芸品として知られる信楽地域が含まれることで、観光資源の豊富な市町村となっています。甲賀市は合併後、地域振興や産業の発展を目指し、現代の滋賀県経済にも貢献しています。

甲賀市の最高峰は次のうちどれですか?

甲賀市の最高峰は雨乞岳です。市内東部には鈴鹿山脈の南嶺が連なり、多くの標高の高い山々がそびえ立っています。雨乞岳はその代表的な存在で、登山やハイキングのルートとしても知られています。甲賀市は自然環境が豊かで、山々から流れる野洲川やダムによって形成された人造湖群が点在しています。これにより、観光やアウトドア活動が楽しめる地域となっています。

甲賀市の伝統産業として知られる焼き物は何ですか?

甲賀市の伝統産業として特に有名なのが信楽焼です。信楽焼は古くから続く陶芸工芸品で、土質の良さと独特の陶土「信楽土」を使用しています。このため、個性的で質の高い焼き物が生み出されています。信楽焼は日本六古窯の一つとして評価されており、市内には数多くの窯元が立地しています。訪問者は陶芸体験を楽しむことができ、毎年行われる「信楽陶器まつり」では多くの観光客で賑わいます。

水口城の城下町は誰によって治められていましたか?

水口城は江戸時代初期に加藤明英によって築城され、その城下町は商業や文化の中心地として栄えました。水口城は水口藩の居城であり、その存在によって地域の経済や文化が発展しました。城跡には当時の城郭建築や庭園の遺構が残されており、訪れる人々が歴史的な風情を感じることができます。水口城は甲賀市の歴史を象徴する重要な遺産です。