埼玉県秩父郡小鹿野町:豊かな自然と歴史が息づく、秩父西部の魅力的な町

埼玉県南西部、秩父郡に位置する小鹿野町は、豊かな自然と歴史、そして活気あふれる町並みが調和する魅力的な町です。秩父盆地のほぼ中央に位置し、西秩父地域の中心地として発展してきた小鹿野町は、雄大な山々、清流、そして歴史的な建造物など、訪れる人を魅了する要素が満載です。

概要

小鹿野町は、埼玉県西部に位置し、秩父盆地のほぼ中央に市街地を形成しています。中心部の小鹿野地区は、県内でもいち早く教育、交通、産業の振興など各分野で近代化が進められ、西秩父地域の中心地として発展してきました。町域の西側は、日本百名山の両神山を中心とした秩父多摩甲斐国立公園や日本の滝百選に選ばれた丸神の滝のある県自然環境保全地域、県立両神自然公園、名峰二子山を擁する県立西秩父自然公園などの豊かな自然に恵まれた地域です。

地理

小鹿野町は、秩父盆地の中央部に位置し、周囲を山々に囲まれた自然豊かな町です。町域の多くが山岳地帯で、標高は300mから1,700mにわたります。

主な山

  • 二子山: 標高1,401m、小鹿野町のシンボル的な存在で、登山客にも人気の山です。
  • 白石山 (毘沙門山): 標高1,102m、山頂からは360度のパノラマ展望が楽しめます。
  • 父不見山 (ててみえずやま): 標高1,135m、山頂から見える景色はまさに絶景です。
  • 明神山: 標高1,020m、登山道が整備され、初心者でも比較的登りやすい山です。
  • 両神山: 標高1,723m、秩父多摩甲斐国立公園の最高峰で、険しい山容が特徴です。
  • 四阿屋山: 標高1,505m、両神山の隣にある山で、両神山と共に多くの登山客が訪れます。

主な河川

  • 赤平川: 小鹿野町の中心を流れる川で、豊かな水資源を育んでいます。
  • 岩殿沢: 二子山の麓を流れる沢で、渓谷美が楽しめます。
  • 尾ノ内沢: 両神山の麓を流れる沢で、尾ノ内渓谷として知られています。
  • 薄川: 両神山の麓を流れる川で、清らかな水が特徴です。
  • 小森川: 両神山の麓を流れる川で、豊かな自然が残されています。

歴史

小鹿野町の歴史は古く、縄文時代から人が住んでいたことがわかっています。江戸時代には、秩父街道の宿場町として栄え、多くの文化人や芸術家も訪れました。

小鹿野町の歴史年表

出来事
1869年 (明治2年) 上小鹿野村が小鹿野町と改称
1889年 (明治22年) 4月1日 小鹿野町・下小鹿野村・伊豆沢村が合併し、小鹿野町(第1次)が成立
1955年 (昭和30年) 4月1日 小鹿野町・長若村が合併し、小鹿野町(第2次)となる
1956年 (昭和31年) 3月31日 小鹿野町・三田川村・倉尾村が合併し、小鹿野町(第3次)となる
2005年 (平成17年) 10月1日 小鹿野町・両神村が合併し、小鹿野町(第4次)となる
2021年 (令和3年) 4月30日 小鹿野町役場小鹿野庁舎が老朽化のため閉庁
2023年 (令和5年) 3月20日 小鹿野町役場新小鹿野庁舎が開庁

町域の成立まで

明治2年以前 明治2年 明治22年4月1日 昭和30年4月1日 昭和31年3月31日 平成17年10月1日 現在
上小鹿野村 小鹿野町 小鹿野町 小鹿野町 小鹿野町 小鹿野町 小鹿野町
下小鹿野村 下小鹿野村
伊豆沢村 伊豆沢村
長留村 長留村 長若村
般若村 般若村
三山村 三山村 三田川村 三田川村
飯田村 飯田村
河原沢村 河原沢村
藤倉村 藤倉村 倉尾村
日尾村 日尾村
薄村 薄村 両神村 両神村
小森村 小森村 両神村 両神村

人口

小鹿野町の人口は、近年減少傾向にあります。2024年8月1日現在、推計人口は9,807人、人口密度は57.3人/km²です。

小鹿野町の人口推移

人口
1970年 16,477人
1975年 16,389人
1980年 16,190人
1985年 16,118人
1990年 15,919人
1995年 15,628人
2000年 15,061人
2005年 14,479人
2010年 13,432人
2015年 12,117人
2020年 10,928人

行政

  • 町長: 森真太郎 (2017年10月30日就任、2期目)
  • 所在地: 〒368-0192 埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野89

広域行政

  • 秩父広域市町村圏組合: 秩父市、秩父郡横瀬町、皆野町、長瀞町とともに消防・救急 (秩父消防本部)、火葬場 (秩父斎場)、水道事業などを共同で行っています。

経済

小鹿野町の経済は、農業が中心です。特に、ワサビユズの生産が盛んです。近年では、観光業も発展しており、多くの観光客が訪れています。

主な産業

  • 農業: ワサビ、ユズ、シイタケ、ブドウ、イチゴなど
  • 林業
  • 観光業

産業人口

産業 人口 比率
第1次産業 388人 6.5%
第2次産業 2,758人 46.3%
第3次産業 2,811人 47.2%

地域

小鹿野町は、自然豊かな環境と歴史的な文化が息づく町です。教育機関や公共施設も充実しており、住みやすい環境が整っています。

教育

  • 高等学校: 埼玉県立小鹿野高等学校
  • 中学校: 小鹿野町立小鹿野中学校
  • 小学校:
    • 小鹿野町立小鹿野小学校
    • 小鹿野町立三田川小学校
    • 小鹿野町立長若小学校
    • 小鹿野町立両神小学校
  • 幼稚園: 小鹿野町立小鹿野幼稚園

公共施設

  • 小鹿野文化センター: 中央公民館
  • 両神振興会館: 旧小鹿野町役場両神庁舎
  • 両神ふるさと総合会館: 小鹿野町立図書館、両神公民館
  • 町立図書館分室: 小鹿野町立小鹿野中学校内
  • 観光交流館 本陣: 宮沢賢治が投宿した旧旅館建物
  • 地域資源活用センター
  • 小鹿野総合センター
  • 倉尾ふるさと館
  • おがの化石館
  • みどりの村
  • 尾ノ内自然ふれあい館
  • 国民宿舎『両神荘』
  • 柔剣道場
  • 弓道場
  • 町民体育館
  • 日尾体育館
  • 般若の丘・いきいき館
  • 倉尾けんこう館
  • 高齢者福祉センター
  • 養護老人ホーム秩父荘
  • 児童館
  • おがのふれあい作業所
  • 衛生センター (し尿処理施設)
  • 保健福祉センター

医療施設

  • 国民健康保険町立小鹿野中央病院

交通

小鹿野町は、鉄道は通っていませんが、バス路線が充実しており、周辺地域へのアクセスも良好です。

鉄道

町内に鉄道路線はありません。鉄道を利用する場合は、秩父鉄道の秩父駅・三峰口駅や、西武鉄道の西武秩父駅が最寄り駅です。

バス路線

  • 西武観光バス
    • 小鹿野・栗尾線 (西武秩父駅 – 秩父駅 – 小鹿野車庫 – 栗尾)
    • 志賀坂線 (小鹿野役場 – 坂本)
    • 倉尾線 (小鹿野役場 – 長沢)
  • 小鹿野町営バス
    • 日向大谷・三峰口線 (日向大谷口 – 三峰口駅)
    • 白井差口線 (白井差 – 両神温泉薬師の湯 – 小鹿野町役場)
    • 西武秩父駅線 (両神温泉薬師の湯 – 小鹿野町役場 – 西武秩父駅)

タクシー

タクシーの営業区域は秩父交通圏で、秩父市・横瀬町・皆野町・長瀞町と同じエリアです。

道路

  • 一般国道: 国道299号
  • 県道:
    • 主要地方道
      • 埼玉県道37号皆野両神荒川線
      • 埼玉県道43号皆野荒川線
    • 一般県道
      • 埼玉県道209号小鹿野影森停車場線
      • 埼玉県道279号両神小鹿野線
      • 埼玉県道282号藤倉吉田線
      • 埼玉県道283号下小鹿野吉田線
      • 埼玉県道367号薄小森線

名所・旧跡・観光・祭事

小鹿野町は、豊かな自然と歴史に囲まれた町で、数多くの観光スポットがあります。

自然

  • 両神山: 日本百名山の一つで、雄大な山容が魅力です。登山道も整備されており、初心者から上級者まで楽しめます。
  • 丸神の滝: 日本の滝百選に選ばれた、落差76mの雄大な滝です。紅葉の時期には、特に美しい景色が見られます。
  • 毘沙門水: 平成の名水百選に選ばれた、清らかな湧き水です。
  • 両神国民休養地: 森林浴の森百選に選ばれた、自然豊かな場所です。散策やキャンプを楽しむことができます。
  • ようばけ: 日本の地質百選に選ばれた、古秩父湾堆積層と海棲哺乳類化石群が見られる場所です。
  • 両神堂上のセツブンソウ自生地: 面積日本一のセツブンソウの自生地です。3月下旬から4月上旬にかけて、可憐な花が咲き乱れます。
  • 両神山麓花の郷: 8月から10月にかけて、約50種類のダリアが咲き誇ります。
  • 尾ノ内渓谷: 秩父路三大氷柱の一つ、尾ノ内の氷柱が有名です。冬には、氷柱が幻想的な景色を作り出します。
  • 岩殿沢: 二子山の麓を流れる沢で、渓谷美が楽しめます。

文化・歴史

  • 秩父三十四箇所:
    • 三十一番 鷲窟山観音院: 秩父三十四箇所の札所の一つです。
    • 三十二番 般若山法性寺: 秩父三十四箇所の札所の一つです。
  • 法養寺 薬師堂: 日本三体薬師の一つが祀られています。
  • 観光交流館「本陣」: 宮沢賢治が投宿した旧旅館建物です。
  • 尾ノ内自然ふれあい館: 尾ノ内渓谷の自然について学べる施設です。
  • 地蔵寺: 水子観音として信仰を集めています。盂蘭盆会や花火大会が有名です。
  • 小鹿野歌舞伎: 約250年前から続く伝統芸能です。町内には、常設舞台が10箇所ほど残り、地元住民によって継承されています。
  • 甲源一刀流発祥の地: 江戸時代の逸見道場が現存しています。

イベント

  • 小鹿神社春祭り: 秩父三大春祭りの一つで、4月第3土曜日に開催されます。
  • 小鹿野夏祭り: 7月21日・22日に開催されます。
  • 小鹿野七夕祭り: 8月第1土曜日に開催されます。
  • ふるさとまつり: 11月3日に開催されます。
  • 鉄砲祭り: 12月第2日曜日に開催されます。

小鹿野歌舞伎

小鹿野歌舞伎は、約250年前に始まった、小鹿野町に伝わる伝統芸能です。江戸時代中頃に始まり、町内には寛政4年(1793年)に歌舞伎を上演した記録も残っています。文化・文政期(1804〜30年)に活躍した初代坂東彦五郎が一座芝居を組織し、その後“勇佐座”“天王座”“大和座”と引き継がれ、秩父地域はもとより群馬県まで興行を行っていました。

映画・テレビの影響を受け、昭和30年代以降は衰退の時期を迎えたものの、旧大和座系の役者と町内各地で地芝居を続けてきた人たちが合同して小鹿野歌舞伎保存会を結成(1973年)、1975年には埼玉県無形民俗文化財の指定を受けています。

町内では、十六・小鹿野・津谷木・奈倉・上飯田・両神小森に伝承され、それぞれ地元の神社の祭に氏子が中心となって歌舞伎を演じています。町内には常設舞台が10箇所程度残り、掛け舞台や祭り屋台(山車)に芸座・花道を張り出す舞台もあります。近年は子ども歌舞伎、高校生の歌舞伎、奈倉女歌舞伎などの活躍も見られます。衣装・かつら・下座・化粧・振り付けなどすべて町民でこなし、地芝居のデパートとも言われています。

花について

小鹿野町には、四季折々の花が咲き乱れる、美しい花の名所があります。

  • 1月上旬: ロウバイ (両神国民休養地)
  • 2月中旬〜3月上旬: フクジュソウ (両神国民休養地)
  • 3月上旬〜下旬: セツブンソウ (両神小森の堂上節分草自生地)
  • 3月下旬〜4月中旬: カタクリ (馬上地内)
  • 4月: ハナモモ (岩殿沢の花桃街道)
  • 5月: アカヤシオツツジ (両神山)
  • 6月上旬: ハナショウブ (両神国民休養地内)
  • 8月〜10月: ダリア (両神山麓花の郷)
  • 9月上旬: シュウカイドウ (札所31番紫雲山地蔵寺)
  • 11月: 紅葉 (町内全域)

オートバイによるまちおこし事業

小鹿野町は、近年、ツーリングライダーの増加を受け、2008年度から「オートバイによるまちおこし事業」を展開しています。町ぐるみでライダーを歓迎し、気持ちよく過ごしてもらえる環境作りに取り組んでいます。

  • 2008年10月11日: 道の駅両神温泉薬師の湯に二輪車専用駐車場を開設
  • 2009年5月2日: オートバイを専門とした博物館「バイクの森おがの」が開館 (2010年閉館)
  • 2021年3月: バイクの森おがの跡地に「小鹿野バイクの森」が開業

出身有名人

  • 新井智: 元プロ野球選手
  • 大谷藤子: 作家
  • 剣武輝希: 大相撲力士

関連項目

  • 秩父郡
  • 秩父市
  • 秩父多摩甲斐国立公園
  • 両神山
  • 丸神の滝
  • ようばけ
  • 小鹿野歌舞伎
  • オートバイツーリング

外部リンク

小鹿野町は、自然、歴史、文化、そして人情あふれる魅力的な町です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してみてください。

小鹿野町についてのクイズ

小鹿野町はどの地域に位置していますか?

小鹿野町は埼玉県秩父郡に位置し、秩父盆地のほぼ中央に市街地を形成しています。この地域は、雄大な山々や清流に恵まれた自然環境が特徴で、周辺には両神山や丸神の滝といった名所が点在しています。歴史的にも江戸時代には秩父街道の宿場町として栄え、多くの文化人や芸術家が訪れた場所でもあります。小鹿野町の立地は自然環境と文化・歴史の要素が調和した魅力的な地域であり、観光客にとっても魅力的な訪問先となっています。

小鹿野町で有名な山はどれですか?

小鹿野町のシンボル的な存在である両神山は、標高1,723mを誇り、登山客にも人気があります。両神山は日本百名山にも選ばれており、その雄大な姿と多様な自然の美しさが訪れる人々を魅了しています。さらに、登山道も整備されているため、新しく登山を始める人でも楽しむことができるのが魅力です。小鹿野町を訪れた際には、ぜひ両神山の美しい景色を堪能してみてください。

小鹿野町の主な産業は何ですか?

小鹿野町の経済は、農業を中心に成り立っています。特にワサビやユズの生産が盛んで、町の特産品となっています。近年、観光業も発展しており、自然や歴史を楽しむために多くの観光客が訪れています。こうした産業の多様化は、地域の活性化にも寄与しており、地元で生産された農作物を使った観光イベントや、体験プログラムも多く行われています。小鹿野町の自然を活かした農業と観光が一体となった魅力的な地域づくりが進められています。

小鹿野町の歌舞伎はいつ始まりましたか?

小鹿野歌舞伎は約250年前に始まった伝統芸能で、エド時代中頃から現在に至るまで地域の文化として親しまれています。地元の神社の祭りなどで演じられるのが特徴で、町内には常設舞台や地芝居の伝統が残っています。近年は子どもや高校生による新たな試みも見られ、地域住民が協力して衣装や振り付けを行うなど、地元の人々の情熱によって受け継がれています。小鹿野歌舞伎は、地域の文化の象徴としても重要な役割を果たしているため、訪れる価値があります。