岡山県井原市:光害防止条例発祥の地、豊かな自然と歴史文化が息づく街

岡山県の南西部に位置する井原市は、広島県福山市と一体的な生活圏・経済圏を形成し、福山都市圏を構成しています。豊かな自然と歴史文化が息づく街として知られ、近年では光害防止条例発祥の地としても注目されています。この記事では、井原市の魅力を、地理、歴史、産業、観光スポット、出身者など多角的に紹介します。

概要

井原市は、西は広島県に接し、中心市街地は高梁川支流の小田川の流域の平野部に広がっています。南は笠岡市に、北は標高200~400メートルの丘陵地帯で吉備高原へと続きます。地形的には市街地を除いては、ほとんどが山々に囲まれた農山村です。「中国地方の子守唄」発祥の地として知られ、2005年に合併した旧美星町が日本で初めて制定した『光害防止条例』を引き継ぎ、「日本初の対光害専門条例を制定した市」としても知られています。

地理

井原市中心部周辺は、小田川が北から南に流れ、北と南を山・丘陵に挟まれた盆地を形成しています。芳井地域や美星町地域をはじめとする市内北部は、標高400〜500メートルの石灰岩質のカルスト台地の上に集落が広がっています。

隣接している自治体

  • 岡山県
    • 笠岡市
    • 総社市
    • 高梁市
    • 小田郡矢掛町
  • 広島県
    • 福山市
    • 神石郡神石高原町

歴史

井原市の歴史は古く、鎌倉時代に御家人であった那須氏の庶流が備中に下向し、当地にあった荏原荘を所領としたことから始まります。その後、室町時代、江戸時代と、様々な変遷を経て、1953年に井原市として誕生しました。

年表

  • 鎌倉時代: 那須氏の庶流が荏原荘を所領とする。
  • 1471年(文明3年): 荏原荘の領主であった室町幕府高官伊勢新九郎盛時が領内の法泉寺に「平盛時」の名で禁制文書を残す。盛時は後に北条早雲として知られるようになる。
  • 1619年(元和5年): 徳川家康の従兄弟水野勝成が備後国東南部・備中国西南部の10万石に転封。高屋地域は福山藩領、そのほかの地域は一橋領や池田家旗本領となる。
  • 1697年(元禄10年): 西江原に森氏2万石の西江原藩が成立。
  • 1698年(元禄11年): 水野家5代藩主水野勝岑が死去。無嗣除封に伴い、福山藩領のうち現在の井原市分の大半は幕府領や旗本領となる。
  • 1871年(明治4年): 廃藩置県により、福山県に編入、のちに深津県となる。
  • 1872年(明治5年): 深津県と倉敷県が統合し、小田県となる。
  • 1875年(明治8年): 小田県は岡山県へ編入され、岡山県に属する自治体となる。同時に福山など備後5郡は広島県に移管された。
  • 1953年(昭和28年): 4月1日、後月郡井原町・西江原町・高屋町・荏原村・木之子村・県主村・青野村・山野上村、小田郡稲倉村・大江村の3町7村が合併し、井原市として市制施行。
  • 1966年(昭和41年): 日本鋼管福山製鉄所が完成。翌年7月には原料の石灰石産出のため鋼管鉱業(現JFEミネラル)芳井鉱業所が開設。
  • 2005年(平成17年): 3月1日、後月郡芳井町、小田郡美星町を編入。

行政

市長

  • 大舌勲(2018年9月16日就任、2期目)

公共機関

  • 井原市役所
    • 本庁、芳井支所、美星支所
  • 井原地区消防組合井原消防署
    • 井原消防署、芳井分署、美星分署
  • 井原市立図書館
    • 井原図書館、芳井図書館、美星図書館
  • 井原市民病院
  • 美星国保診療所
  • 井原市民会館
  • アクティブライフ井原(井原中央公民館)
  • 井原ふるさとハローワーク

公式マスコット

  • でんちゅうくん: 市制施行60周年を記念して、市内出身の彫刻家・平櫛田中の作品『鏡獅子』をモチーフに作成され、2013年6月1日にデビュー。

議会

  • 定数: 定数18人
  • 任期: 2025年4月29日任期満了

経済

産業

繊維・自動車部品工業・電子部品・食品容器製造・鉱業などが盛んです。

  • 井原精機: 本社所在地、自動車部品。
  • 化繊ノズル製作所: 繊維ノズル製造大手。
  • 片山工業
  • シーピー化成: 本社所在地、食品トレー大手(旧名:中国パール化成)。
  • JFEミネラル芳井鉱業所: 製鉄用石灰岩採掘(旧名:鋼管鉱業)。
  • タカヤ: 本社所在地、繊維・電子部品。
  • タツモ: 本社所在地。
  • 日本綿布

商業

  • ゆめタウン井原

金融

  • ゆうちょ銀行
  • 中国銀行
  • 広島銀行
  • トマト銀行
  • 笠岡信用組合

姉妹都市・提携都市

国内

  • 魚津市 (富山県)
    • 1982年8月に友好親善都市縁組を締結。
  • 大田原市 (栃木県)
    • 1984年10月に友好親善都市縁組を締結。

地域

人口

井原市の人口は、近年減少傾向にあります。

生活

新聞

  • 山陽新聞社 井原支局
  • 中国新聞社 井原支局

放送

  • 井原放送(ケーブルテレビ)
  • NHK岡山、RNC、KSB、RSK、TSC、OHK(地上波テレビ放送)
  • NHK-FM岡山、FM岡山(FMラジオ放送)

教育

高等学校

  • 岡山県立井原高等学校
  • 井原市立高等学校
  • 興譲館高等学校

中学校

  • 井原市立高屋中学校
  • 井原市立井原中学校
  • 井原市立木之子中学校
  • 井原市立芳井中学校
  • 井原市立美星中学校

小学校

  • 井原市立青野小学校
  • 井原市立県主小学校
  • 井原市立出部小学校
  • 井原市立稲倉小学校
  • 井原市立井原小学校
  • 井原市立荏原小学校
  • 井原市立大江小学校
  • 井原市立木之子小学校
  • 井原市立高屋小学校
  • 井原市立西江原小学校
  • 井原市立野上小学校
  • 井原市立芳井小学校
  • 井原市立美星小学校

交通

鉄道

  • 井原鉄道井原線

バス

  • 井笠バスカンパニー
  • 北振バス
  • 井原あいあいバス

道路

  • 国道313号
  • 国道486号
  • 岡山県道3号井原福山港線
  • 岡山県道9号芳井油木線
  • 岡山県道34号笠岡井原線
  • 岡山県道35号倉敷成羽線
  • 岡山県道48号笠岡美星線
  • 岡山県道77号美星高山市線

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

名所

  • 井原堤
  • 桜渓塾
  • 天神峡
  • 田中苑
  • 嫁いらず観音院

旧跡

  • 辻堂・四つ堂
  • 伝・那須与一墳墓
  • 森長継公陣屋跡

観光スポット

  • 井原市立平櫛田中美術館
  • 経ヶ丸グリーンパーク
  • 中世夢が原
  • 華鴒大塚美術館
  • 美星天文台
  • ぶどうの里・青野 葡萄浪漫館
  • 星の郷青空市
  • ミニボートピア井原
  • 芳井歴史民俗資料館

祭事

  • 井原鬼まつり
  • 三原渡り拍子

催事

  • 井原鉄道開業記念日
  • 井原桜まつり
  • 那須与一まつり
  • 星の降る夜
  • 井原ふれあいフェスタ
  • 日本の子守唄フェスティバル

著名な出身者

出身者

井原地域

  • 北条早雲
  • 大月源
  • 森近運平
  • 井伏郁太
  • 馬越恭平
  • 平櫛田中
  • 小松安弘
  • 倉田英之
  • 藤井恵
  • 房野史典
  • 三島健太郎
  • 岩田サオリ
  • 掛橋沙耶香
  • 榊原優希

芳井地域

  • お登久
  • 山成大年
  • 山成喬六
  • 緒方研堂
  • 早川菊市
  • 内山完造
  • 藤井勝志
  • ノブ(早川信行)
  • 藤川千愛

美星地域

  • 三村宗親
  • 三村家親
  • 阪谷朗廬
  • 阪谷芳郎
  • 難波奨二

ゆかりの人物

  • 澁澤栄一
  • 雪舟
  • 那須与一
  • 水野勝成
  • 池田長発
  • 藤浦洸
  • 河合弘道
  • 村田吉隆
  • 新谷仁美
  • 松本民之助

名誉市民・特命大使

名誉市民

  • 平櫛田中
  • 大山文雄
  • 家本為一
  • 大野呂九一
  • 藤井勝志

井原ふるさと大使

  • ノブ(漫才師、千鳥)
  • 房野史典(漫才師、ブロードキャスト)

文化・芸術

  • 映画『たたら侍』: 中世夢が原でロケ。
  • 音楽「あの日あの時」 藤川千愛: 千鳥のノブが作詞、平成30年7月豪雨をテーマにした作品。
  • 音楽「Twinkle Little Stars〜星が降る町〜」 Chicago Poodle: 美星町をテーマにした作品。

最後に

井原市は、歴史、文化、自然、そして人情あふれる魅力的な街です。光害防止条例発祥の地としての取り組みや、近年では観光客向けの施設やイベントも充実しており、ますます注目を集めています。ぜひ一度、井原市を訪れて、その魅力を体感してみてください。

井原市についてのクイズ

井原市はどのような生活圏を形成しているか?

井原市は岡山県の南西部に位置し、広島県福山市と一体的な生活圏を形成しています。この地域は、共通の経済圏としての繋がりが強く、相互に住民が行き来する生活スタイルが見られます。井原市は、福山都市圏の一部として重要な役割を果たしており、商業や交通においても密接な関係があります。地域振興や文化交流が進む中で、井原市と福山市の発展は、共通の課題に取り組むことで相互に促進されており、都市間の結びつきが地域の活性化に寄与しています。

井原市が最初に制定した条例は何ですか?

井原市は、2005年に合併した旧美星町の光害防止条例を引き継ぎ、日本で初めて制定された「光害防止条例」を持つ市として知られています。この条例は、光害の影響を軽減し、夜空の美しさを守るための取り組みを定めたものです。光害は、人工的な光が夜空を明るくして星空が見えにくくなる現象で、その影響は生態系にも及ぶことがあり、井原市はこの問題に対して積極的に対策を講じています。この取り組みは、持続可能な地域づくりの一環として評価されています。

井原市の中心市街地はどの川の流域に広がっていますか?

井原市の中心市街地は、高梁川支流の小田川の流域に広がっています。この地域は、川が形成した平野部によって農業や市街地の発展が支えられています。小田川は、井原市にとって重要な水源であり、その流域は自然の恵みに育まれた土地として知られ、観光やレクリエーション活動も行われています。また、この川は地域住民の生活と文化にも深く根付いており、歴史的な背景を持つ地域としても注目されています。

井原市で誕生した出身者に関する有名な人物の1人は誰ですか?

井原市には、歴史的に重要な人物として知られる北条早雲が出身者の一人です。彼は戦国時代の武将であり、早雲は後に小田原城を築き、北条氏を興したことで知られています。彼の業績は、地域の歴史に深く刻まれており、現在も井原市においてその名は語り継がれています。また、井原市に関連する伝説や物語も多く、地域の文化や教育においても重要な役割を果たしています。

井原市の公式マスコットの名前は何ですか?

井原市の公式マスコットは「でんちゅうくん」です。彼は市制施行60周年を記念して作成され、井原市出身の彫刻家・平櫛田中の作品『鏡獅子』をモチーフにしてデザインされています。2013年6月1日にデビューし、それ以来市のイベントや公式行事などで活躍しています。でんちゅうくんは、地域の魅力を伝える重要なキャラクターとして、観光促進や地域振興に貢献しています。市民からも愛される存在であり、井原市のシンボルとして広く知られています。