奈良県北葛城郡王寺町:発展を続けるベッドタウンの魅力を探る

大阪へのアクセス抜群、近年人口増加が続く、奈良県北葛城郡王寺町。

地理と歴史

王寺町は、奈良県北葛城郡の北端に位置する町です。北は大和川を境に生駒郡三郷町・斑鳩町と接し、東部は北葛城郡河合町・上牧町、南部は香芝市、西部は大阪府柏原市と接しています。
町内は新興住宅地が多く、大阪市のベッドタウンとして発展してきました。大阪市への通勤率は28.5%と、奈良県内では生駒市に次いで高い値となっています。

王寺町の名は、聖徳太子が建立した放光寺(片岡王寺)に由来するとされています。古代の大和国葛下郡品治(ほむち)郷の地で、延喜式内・片岡神社が鎮座しています。王寺の地名の由来は先述の片岡王寺からという他にも、「品治」が転訛したという説もあります。放光寺と同じく、聖徳太子が建立したと云われる達磨寺が同町本町にあります。

近代、鉄道の開通と共に発展を歩んできた「鉄道の町」としての側面を持ち、王寺駅はその象徴と言えるでしょう。西和地区の中枢を担い、北葛城郡3町(王寺・上牧・河合)および生駒郡、香芝市北部を包含する小都市圏を形成しています。

沿革

  • 1889年(明治22年):町村制施行により、葛下郡藤井村・王寺村の区域をもって王寺村が発足。
  • 1890年(明治23年):奈良駅と王寺駅を結ぶ鉄道(関西鉄道)が開通。
  • 1897年(明治30年):葛下郡王寺村の所属郡が北葛城郡に変更。
  • 1926年(大正15年):王寺村が町制施行して王寺町となる。
  • 1957年(昭和32年):香芝町の一部を編入。
  • 1982年(昭和57年):台風10号の豪雨により、大和川と葛下川が氾濫し、町内の広範にわたって浸水。甚大な被害を受ける。
  • 2004年(平成16年):王寺駅北地区では大型商業施設(西友王寺店)を核とした再開発ビル「り〜べる王寺」がオープン。
  • 2009年(平成21年):新町名「南元町」ができる。
  • 2010年(平成22年):都市計画道路王寺香芝線の太子〜元町間が開通。
  • 2014年(平成26年):王寺駅周辺が路上喫煙禁止区域に指定される。

町域の変遷

明治22年 明治29年 大正15年 現在
奈良県
葛下郡 北葛城郡
王寺村 王寺町

人口と地域

王寺町の人口は近年増加傾向にあり、2024年8月1日現在、推計人口は 23,667人 です。人口密度は 3,376人/km2 と、全国の町村部でも屈指の多さを誇り、奈良県内では大和高田市、上牧町に次いで第3位です。

地域

王寺町は大きく北部、中部、南部に分けられます。

北部(王寺・久度・舟戸)

王寺駅を中心とした市街地が広がり、駅南側の王寺地区に中高層のマンションが林立するほか、町役場や消防署などの官公庁や、商業施設が集積しています。駅北側の久度地区では市街地再開発事業が一段落したものの、未だ古い木造家屋や道幅の狭い路地も多い。東側の舟戸地区では河合町境の馬見丘陵北端に沿って住宅地が形成されています。

中部(葛下・本町・元町・南元町・藤井)

大和川・葛下川左岸の藤井・元町両地区では明神山麓に沿って住宅が点在しています。2本の川に挟まれ、比較的なだらかな北部とは対照的に、起伏が激しい。本町地区では町内を縦貫する国道168号沿道を中心に住宅が広がり、町内で最も人口が集中しています。河合町境の葛下地区では北の丘陵部が新興住宅地として開発がなされているが、南側の葛下川右岸では田園風景を垣間見ることが出来ます。

南部(畠田・明神・太子)

畠田駅や国道168号を核として住宅地・商業地が混在し、町の南の玄関口となっています。畠田4丁目交差点付近は特に渋滞が頻発するなど、国道の道幅が狭隘なのが課題です。

新興住宅地

南部の明神・太子両地区は、明神山東麓に開発された「王寺ニュータウン」を形成しています。明神山への登山口でもあります。現在も宅地の造成によって拡大を続けています。

2009年、中部の元町3丁目付近でも大規模な新興住宅地が造成され、新町名「南元町」が充てられました。

教育・医療・行政

教育機関

王寺町には、大学、高等学校、義務教育学校があります。

  • 大学: 私立大和大学白鳳短期大学部
  • 高等学校: 奈良県立王寺工業高等学校
  • 義務教育学校: 王寺町立王寺北義務教育学校、王寺町立王寺南義務教育学校

医療機関

  • 救急指定病院: 医療法人 果恵会 恵王病院

官公庁

  • 国・県の機関: 奈良県警察西和警察署、奈良県広域消防組合西和消防署、国土交通省大和川河川事務所王寺出張所
  • 町の機関: 王寺町役場本庁舎、水道部、やわらぎ会館、町立図書館、王寺アリーナ、地域交流センター、中央公民館、文化福祉センター・南公民館

交通

王寺町は、鉄道と道路のアクセスが良好です。

鉄道

  • JR西日本: 関西本線(大和路線)、和歌山線
  • 近畿日本鉄道: 生駒線、田原本線

バス

  • 一般路線バス: 奈良交通
  • 高速バス: やまと号、プレミアムドリーム号、青春エコドリーム号

道路

  • 一般国道: 国道25号、国道168号
  • 県道: 奈良県道14号桜井田原本王寺線、奈良県道36号天理王寺線、奈良県道156号王寺停車場線、奈良県道194号椿井王寺線、奈良県道195号王寺三郷斑鳩線、奈良県道201号山陵王寺線、奈良県道202号畠田藤井線

経済・産業

王寺町は、商業、工業、農業がバランス良く発展しています。

主要事業所

  • 日本郵政グループ: 王寺郵便局、王寺駅前郵便局、畠田郵便局
  • 銀行: 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、京都銀行、南都銀行、大和信用金庫、奈良中央信用金庫
  • 証券会社: 岡安証券奈良王寺支店
  • 農業協同組合: 奈良県農業協同組合(JAならけん)西やまと支店
  • 大型商業施設: リーベル王寺、コーナン王寺店
  • その他: ニチアス王寺工場、芳仲繊維 (Liapom) 本社本店

観光

名所・旧跡

  • 達磨寺
  • 片岡城趾
  • 孝霊天皇片岡馬坂陵
  • 明神山
  • 泉の広場

祭事

  • 冬季イルミネーション(葛下川沿い)

町のキャッチフレーズ

  • 和(やわらぎ)の鐘が鳴るまち王寺

公式マスコットキャラクター

  • 雪丸: 聖徳太子の愛犬をモチーフにしたキャラクター

政治

議員

  • 衆議院: 高市早苗(奈良県第2区)
  • 参議院: 佐藤啓(自由民主党)、堀井巌(自由民主党)
  • 奈良県議会: 今井光子(日本共産党)、乾浩之(自民党奈良)、清水勉(なら維新の会)
  • 町議会: 議員定数12名

行政

町長

  • 平井康之

合併問題

生駒郡の斑鳩町、安堵町、三郷町、平群町と北葛城郡の上牧町、河合町との合併が審議されましたが、王寺町・斑鳩町の住民投票で反対多数となり、合併は白紙になりました。

まとめ

王寺町は、交通アクセスが良く、住環境も良好なことから、近年人口が増加傾向にあります。
大阪へのベッドタウンとしての役割を担う一方で、歴史と自然も豊かな魅力的な町です。
今後も発展を続ける王寺町に注目していきましょう。

王寺町についてのクイズ

王寺町の名は誰が建立した寺に由来していますか?

王寺町の名は、聖徳太子が建立した放光寺(片岡王寺)に由来しています。放光寺は、聖徳太子の代表的な業績の一つであり、彼の信仰の象徴でもあります。この寺が位置する地域は、古代から人々が集う場所であり、歴史的にも重要なポイントとされています。また、王寺町では、聖徳太子に関連する他の寺院や歴史的な遺跡も存在し、地域の文化や歴史に深く根付いていることがわかります。このように、王寺町は聖徳太子との関わりが非常に強い地域であり、彼の名にちなんだ地名が現在でも使われ続けていることは、地域のアイデンティティや伝統を象徴しています。

王寺町の推計人口は2024年8月1日現在何人ですか?

王寺町の推計人口は2024年8月1日現在、23,667人であり、近年増加傾向にあります。この人口密度は全国の町村部でも屈指の多さを誇り、奈良県内では大和高田市や上牧町に次いで第3位です。王寺町は、大阪市への通勤が便利なベッドタウンとして知られており、その地理的な利点から多くの人々が居住を選択しています。特に新興住宅地の開発が進み、住環境が整っていることが滞在する人々の定住を促進する要因となっています。人口増加は、その後の地域活性化や経済の発展にも寄与しており、今後の展望にも期待が寄せられています。

王寺町に所在する大学は何ですか?

王寺町には私立大和大学白鳳短期大学部が存在しています。この教育機関は、地域住民や学生に対する多様な教育プログラムを提供しており、学問を通じて地域貢献を目指しています。また、王寺町の教育機関としては高等学校や義務教育学校もあり、地域全体の教育水準向上に寄与しています。さらに、教育機関の存在は町の活性化や人口増加にも寄与しており、地域の魅力を高める要素の一つとなっています。学びの場が豊かであることで、王寺町は若い世代にとっての選ばれる場所となっています。

王寺町の鉄道の主要路線に含まれているものはどれですか?

王寺町の鉄道の主要路線には、JR西日本の関西本線(大和路線)や和歌山線、近畿日本鉄道の生駒線、田原本線が含まれています。特に関西本線は、王寺駅を中心に多くの通勤客が利用しており、大阪市へのアクセスが良好なことからベッドタウンとしての役割を果たしています。さらに、近鉄の路線も利用者にとって利便性が高く、地元住民のみならず近隣地域からの通勤や観光客にも重要な交通手段となっています。鉄道の発展は地域の経済にも寄与しており、今後の交通網の更なる整備が期待されています。