長野県朝日村:自然と歴史が織りなす、高原の静寂と活気

長野県東筑摩郡朝日村は、雄大な北アルプスの麓に広がる、静かで美しい村です。豊かな自然と歴史に彩られた朝日村は、都会の喧騒から離れてゆったりと過ごしたい人、自然に囲まれた環境で生活したい人に最適な場所です。

概要

朝日村は、明治の大合併によって誕生した、長野県中西部に位置する村です。村名は、松本盆地の南西に位置し、朝日が最初に村に照らすことから、または朝日のように輝く村になることを願って名付けられたと言われています。

地理

朝日村は、標高約700メートルの鎖川の扇状地上に位置し、村域の大部分は山林で占められています。北東部を除いて、山林部は道路もほとんど整備されていません。

山々

  • 鉢盛山
  • 烏帽子岳

河川

  • 鎖川
  • 野俣沢

気候

朝日村は、長野県中部の松本地域に属し、降水量が少なく、夏と冬の寒暖差が激しいのが特徴です。ただし、飛騨山脈に近いため、周辺地域よりも気温が低く、降水量も若干多いです。

村内のエリア

朝日村は、大きく6つのエリアに分けられます。

  • 商業地: 大型店やスーパーなどの中規模の店舗は少なく、個人商店が中心です。買い物は、隣接する松本市、塩尻市、山形村などに出かけることが多いです。
  • 住宅地: 全体的に山麓に住宅が多いです。平地は田畑が広がっています。
  • 農業地: 村の平地には田畑が多く、高原野菜の栽培が盛んです。

村内のエリア詳細:

大字※1 区※2 地区※3 概要
大字小野沢 小野沢区 新田上、新田下、本郷 朝日村歴史民俗資料館、朝日郵便局がある村の中心部。
大字古見 古見区 芦之久保、上古見鉢盛桜台、横出ヶ崎アイリス古見、旭ヶ丘グリーンガーデン古見桜ヶ丘、下古見、中古見沢上、沢下、南上、南下 村役場、朝日小学校、鉢盛中学校、新信濃変電所、石川島芝浦機械朝日工場がある。田畑が広がる。
大字古見 入三区 御馬越、御道開渡 あさひプライムスキー場キャンプ場、多目的施設がある観光地区。
大字西洗馬 西洗馬区 上組、三ヶ組清水ヶ丘、下洗馬リバーヒルズ朝日原新田、ふたば台スタービィレッジ、中組 高原野菜栽培が盛んでレタス畑が広がる。
大字針尾 針尾区 一之沢、中村、中通大石原、下組、北村 山裾の地区。田畑が点在する。
*1大字: 住所に使われる。*2町内会などが同一。*3町内の区の下部組織。

人口

朝日村の人口は、近年減少傾向にあります。

年齢構成:

朝日村と全国の年齢別人口分布(2005年) 朝日村の年齢・男女別人口分布(2005年)
■紫色 ― 朝日村■緑色 ― 日本全国 ■青色 ― 男性■赤色 ― 女性

人口推移:

人口
1965年 4628
1970年 4398
1975年 4118
1980年 4246
1985年 4373
1990年 4464
1995年 4550
2000年 5051

歴史

朝日村は、縄文時代から人が住んでいたことが、熊久保遺跡から分かっています。古代より「洗馬郷」、のちの蓮華王院領「洗馬荘」に属していましたが、安土桃山時代までは周辺一帯は集落の無い荒地でした。

この地域が開拓されたのは、松本の小笠原氏と甲斐の武田氏との争いが発端であるという説が有力です。甲斐軍の簿記経理を担当していた上條氏・上條家から分家して武田姓名を乗った武田氏が、小笠原氏打倒の際、守護地として所領安堵されたのが現在の朝日村一帯でした。武田氏に味方した三村氏と共に、この地を切り開いたのです。その後、武田氏滅亡後も、一族子孫はこの地に留まり、長い歴史を刻んできました。

江戸時代は、当初松本藩に属していましたが、後に石高の調整で高遠藩に属しました。現在では、新興住宅地建設による外部からの移住者も多く見られ、村の景観も大きく様変わりしてきています。

沿革

  • 1875年(明治7年)10月25日 – 筑摩県筑摩郡針尾村、小野沢村、古見村及び西洗馬村が合併して、山本村が発足する。
  • 1876年(明治9年)8月21日 – 長野県の所属となる。
  • 1878年(明治11年)1月4日 – 郡区町村編制法の施行により、山本村が東筑摩郡の所属となる。
  • 1883年(明治16年)2月16日 – 山本村が分割して、針尾村、小野沢村、古見村及び西洗馬村が発足する。
  • 1889年(明治21年)4月1日 – 町村制の施行により、小野沢村、針尾村、古見村及び西洗馬村の区域をもって、朝日村が発足する。現在に至る。
  • 2018年(平成30年)5月7日 – 村庁舎が小野沢から現在地の古見に移転。旧庁舎は保存も検討されたが、結局解体された。

行政

朝日村は、ごみ処理を隣接する塩尻市と共同で行っています。

所轄広域連合

  • 松本広域連合

所轄警察署

  • 塩尻警察署

所轄消防署

  • 松本広域消防局山形消防署

村政

  • 村長: 小林弘幸(2023年5月1日から、2期目)

議会

村議会

  • 議長: 北村直樹
  • 定数: 10人(任期 2027年4月30日まで)

長野県議会(松本市東筑摩郡選挙区)

  • 定数:7人
  • 任期:2019年(平成31年)4月30日 – 2023年(令和5年)4月29日
  • 中川宏昌(公明党)、百瀬智之(無所属)、中川博司(無所属)、本郷一彦(自由民主党)、両角友成(日本共産党)、清沢英男(自由民主党)、萩原清(自由民主党)

衆議院

  • 選挙区:長野2区(長野市の一部、松本市、大町市、安曇野市、東筑摩郡、北安曇郡、上水内郡)
  • 任期:2021年10月31日 – 2025年10月30日
  • 投票日:2021年10月31日
  • 当日有権者数:382,082人
  • 投票率:57.04%
当落 候補者名 年齢 所属党派 新旧別 得票数 重複
下条みつ 65 立憲民主党 101,391票
比当 務台俊介 65 自由民主党 68,958票
手塚大輔 38 日本維新の会 43,026票

文化

朝日村には、豊かな歴史と文化が息づいています。

  • 朝日美術館: 近現代美術を中心に、様々な作品を展示しています。
  • 朝日村図書館: 村民の学習の場として、様々なジャンルの本や資料を提供しています。
  • 朝日村歴史民俗資料館: 朝日村の歴史や文化を伝える資料を展示しています。

教育

朝日村には、1つの小学校と1つの中学校があります。

  • 松本市山形村朝日村中学校組合立鉢盛中学校
  • 朝日村立朝日小学校

経済

朝日村の経済は、農業、工業、観光業などが支えています。

第1次産業

  • 高原野菜栽培: 大字西洗馬では、レタスなどの高原野菜の栽培が盛んです。

第2次産業

  • IHIシバウラ(旧石川島芝浦機械)朝日工場: 2006年に操業開始。
  • カンロ朝日工場: 2010年に操業開始。

第3次産業

  • コンビニエンスストア: 2018年8月1日に、ファミリーマート信州朝日村店が開店し、村内唯一のコンビニエンスストアとなりました。

その他

  • 東京電力新信濃変電所: 商用電源周波数変換設備を有しています。

交通

朝日村には、鉄道は通っていません。最寄りの駅は、JR東日本篠ノ井線広丘駅です。

バス

  • 朝日村営バス(アルピコ交通松本営業所に委託)
  • ぐるっとまつもとバス – 朝日・波田線(朝日村・山形村・松本市共同運行路線)

デマンドバス

  • くるりん号: 村内を運行する乗合タクシーです。利用登録・予約制です。

道路

  • 長野県道291号新田松本線(一部:日本アルプスサラダ街道)
  • 長野県道292号御馬越塩尻停車場線
  • 長野県道298号土合松本線

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

朝日村には、自然と歴史を感じられる様々な観光スポットがあります。

  • サラダ街道(観光道路): 高原野菜の畑が広がる美しい景色を眺めながらドライブを楽しめます。
  • あさひプライムスキー場: 冬にはスキーやスノーボードを楽しむことができます。
  • 古川寺: 古くから村人から信仰を集めてきた寺院です。
  • 光輪寺: 重要文化財に指定されている薬師堂があります。
  • 武居城跡: 戦国時代の城跡で、歴史を感じることができます。
  • 五社神社: 村の鎮守として、古くから人々の信仰を集めてきました。
  • お夏まつり: 8月初旬に行われる、村内で最大の祭事です。

友好親善町村

  • 愛知県幡豆郡吉良町(現:西尾市): 1989年6月9日締結

出身有名人

  • 上條恒彦(歌手)
  • 上條俊介(彫刻家)
  • 清澤研道(医学者)
  • Tamiko(下田民子)(歌手)
  • 中村一策(銀行家)
  • 羽多野渉(声優)

脚注

  1. “4月21日朝日村長・村議会議員一般選挙日程について”. 朝日村. 2019年5月7日閲覧。
  2. “ファミリーマート/長野県朝日村に「信州朝日村店」オープン”. 流通ニュース (2018年7月18日). 2021年5月10日閲覧。
  3. “長野県・朝日村に唯一のコンビニ「ファミマ」を開設。地域の活性化・村民サービスの向上へ”. 植物工場・農業ビジネスオンライン (2018年8月1日). 2021年5月10日閲覧。
  4. “朝日村で25日に音楽祭、もっと元気な村に”. 信濃毎日新聞 (2016年9月22日). 2017年12月29日閲覧。

関連項目

  • 全国市町村一覧

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • 朝日村消防団喇叭班

朝日村は、豊かな自然と歴史、そして人々の温かさに満ち溢れた、魅力的な村です。都会の喧騒から離れて、ゆったりと過ごしたい方、自然に囲まれた環境で生活したい方は、ぜひ朝日村を訪れてみてください。

朝日村についてのクイズ

朝日村はどのような地域に位置していますか?

長野県朝日村は、雄大な北アルプスの山麓に広がる高原の静寂と活気が特徴の地域です。標高705メートルと高い位置にあり、自然環境が豊かで、多くの山林に囲まれています。特に、鉢盛山や烏帽子岳といった山々が近くにあり、訪れる人々に素晴らしい自然景観を提供しています。また、村域の大部分は山林で占められており、農地も多く、高原野菜の栽培が盛んです。朝日村は、静かで美しい自然に包まれながら過ごしたい人々にとって、理想的な場所と言えるでしょう。

朝日村を構成する6つのエリアの一つに含まれないものはどれですか?

朝日村は、商業地、住宅地、農業地といったエリアで構成されています。具体的には、商業地には個人商店が中心で大型店は少なく、収穫された高原野菜が出回っている農業地もあります。しかし、観光地という分類は特に挙げられていません。朝日村には自然や歴史的なスポットが点在しており、観光業も根付いていますが、公式には「観光地」というエリアの名称は採用されていないため、誤解を招くことがあります。

朝日村の人口は近年どのような傾向にありますか?

朝日村の人口は近年減少傾向にあることが記録されています。特に2005年時点でのデータによると、人口の年齢別分布からも高齢化が進んでいることがうかがえます。若年層の定住促進や移住者の呼び込みが求められている現状にあり、村としても持続可能な地域づくりへの取り組みが重要になっています。また、周辺都市からの移住者も増えてきたり、新興住宅地の建設により地域の景観が変わりつつあることから、今後の人口動態に注視が必要です。

朝日村の歴史で最も古い人々の居住の証拠が見つかった遺跡はどれですか?

朝日村で最も古い人々の居住の証拠が見つかったのは熊久保遺跡です。この遺跡は縄文時代からの人々が住んでいたことを示す遺跡として知られており、朝日村の豊かな歴史を象徴するものとなっています。朝日村は古代より「洗馬郷」として知られており、安土桃山時代まで周辺一帯は集落がない荒地だったと言われています。村としての歴史は新しくとも、地域に根付く人々の文化や生活は縄文時代に遡り、これらの歴史的遺跡を通じて大切に受け継がれています。

朝日村に唯一のコンビニエンスストアはどこですか?

朝日村に唯一のコンビニエンスストアは、ファミリーマート信州朝日村店です。この店舗は2018年8月1日にオープンし、村民の生活の利便性を高めることに寄与しています。コンビニエンスストアは、買い物環境が比較的乏しい村において、住民や訪れた人々にとって大変重要な役割を果たしています。ファミリーマートの開店は、村内の商業活動を活性化するきっかけともなり、地域の人々の生活に新たな潮流をもたらしました。