宮崎県の最南端に位置する串間市は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた、魅力溢れる街です。都井岬灯台や幸島など、観光スポットも数多く存在し、近年では「黒瀬ぶり」や「ヤマダイかんしょ」といった特産品も注目を集めています。今回は、そんな串間市の魅力を、地理、歴史、産業、観光など様々な角度からご紹介します。
地理と気候
串間市は、宮崎県都城市の南南西約70kmに位置し、東は日向灘、南は志布志湾に面しています。海岸線は日南海岸国定公園に指定されており、都井岬や幸島といった美しい景観を誇ります。市域は丘陵地帯が多く、あまり平坦な地形ではありません。
気候
串間市は、黒潮の影響を受けて温暖な気候に恵まれています。夏は高温多湿で、冬も比較的温暖です。年間を通して過ごしやすい気候ですが、夏から秋にかけては台風の影響を受けやすいことも特徴です。かつては、温暖な気候を利用してプロ野球チームの中日ドラゴンズが春季キャンプを行っていました。
串間(1991年 – 2020年)の気候 |
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月 |
最高気温記録 °C (°F) |
平均最高気温 °C (°F) |
日平均気温 °C (°F) |
平均最低気温 °C (°F) |
最低気温記録 °C (°F) |
降水量 mm (inch) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) |
平均月間日照時間 |
出典1:Japan Meteorological Agency |
出典2:気象庁 |
歴史
串間市の歴史は古く、室町時代には野辺氏がこの地を支配していました。その後、江戸時代には高鍋藩領となり、飫肥藩と薩摩藩に挟まれた飛び地として存在していました。明治時代以降は、農業や漁業が盛んになり、現在に至ります。
近現代
- 1954年(昭和29年)11月3日:南那珂郡福島町、大束村、本城村、都井村、市木村が合併し、串間市が発足。
市政
- 市長:島田俊光(2017年10月8日就任、2期目)
原発誘致をめぐる経緯
串間市は、1990年代に原発誘致問題で大きく揺れ動きました。1990年に原発誘致推進派の野辺修光氏が市長に当選し、九州電力は串間市への原発建設計画を進めました。しかし、住民運動や市議会での反対運動が活発化し、最終的に九州電力は原発建設計画を断念しました。
市町村合併
2003年(平成15年)には、串間市、日南市、北郷町、南郷町の4市町で「南那珂地域任意合併協議会」が設置されましたが、同年中に解散しました。
産業
串間市は、農業、漁業、観光などの産業が盛んです。
農業
米、サツマイモ、キンカン、マンゴー、キュウリなど、温暖な気候を生かした様々な農産物が栽培されています。特にサツマイモは「ヤマダイかんしょ」というブランド化が進み、2018年には「地理的表示保護制度」に登録されました。
水産業
近海漁業では、アジ、サバ、カツオ、マグロ、トビウオなどが水揚げされ、秋にはイセエビ漁が行われています。また、イワガキ、カンパチ、ブリなどの養殖も盛んです。日本水産グループの黒瀬水産が立地しており、志布志湾で養殖したブリを「黒瀬ぶり」としてブランド化しています。串間産のブリを用いた「串間活〆ぶりプリ丼ぶり」は、地元の飲食店で人気メニューです。
酒造業
串間市には、松露酒造、幸蔵酒造、寿海酒造の3つの酒造会社があり、焼酎を生産・出荷しています。
製麺業
川北製麺は、グルテンフリー麺の製造に取り組んでいます。
観光
串間市には、美しい自然と歴史を感じられる観光スポットがたくさんあります。
主要な観光スポット
- 都井岬: 日南海岸国定公園内に位置する岬で、天然記念物の御崎馬やソテツ自生地を見ることができます。都井岬灯台は、日本の灯台50選にも選ばれています。
- 幸島: ニホンザルが生息する島で、京都大学野生動物研究センターの観察所があり、サルたちの生態を観察できます。
- 串間神社: 串間市で最も古い神社で、地元の人々に親しまれています。
- 旧吉松家住宅: 重要文化財に指定されている、江戸時代の豪商の屋敷です。
- 石波の海岸樹林: 海岸線に広がる松林で、散策や海水浴を楽しむことができます。
- 恋ヶ浦: サーフィンの名所として知られています。
- 串間温泉: 日帰り温泉施設があり、旅の疲れを癒すことができます。
イベント
- 都井岬火まつり: 毎年8月第4金・土曜日に開催される、伝統的な祭りです。都井大おどりや宮原柱松おどりなど、様々なイベントが行われます。
- ねたろうの神祭り: 串間神社で行われる、豊漁を祈願する祭りです。
交通
串間市は、宮崎空港から車で約1時間半の場所に位置しています。鉄道はJR日南線を利用することができます。
鉄道
- JR日南線: 日向大束駅 – 日向北方駅 – 串間駅 – 福島今町駅 – 福島高松駅
バス
- 宮崎交通: 日南市と市木地区・幸島を結ぶ1路線のみ運行しています。
- 串間市コミュニティバス「よかバス」: 道の駅くしま、串間駅を拠点に市内各地を運行しています。
道路
- 東九州自動車道: 串間市には、奈留IC(仮称)・串間IC(仮称)が設置される予定ですが、2024年度より事業化され、開通時期は未定です。
- 国道220号: 串間市の中心部を南北に貫く主要な道路です。
- 国道448号: 串間市の中心部を東西に貫く主要な道路です。
船舶
- フェリーさんふらわあ: 志布志港 – 大阪港
まとめ
串間市は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた、魅力溢れる街です。都井岬灯台や幸島など、観光スポットも数多く存在し、「黒瀬ぶり」や「ヤマダイかんしょ」といった特産品も注目を集めています。歴史、文化、自然、産業など、様々な魅力が詰まった串間市へ、ぜひ訪れてみてください。
串間市についてのクイズ
串間市はどの県に位置していますか?
串間市は宮崎県に位置しており、最南端の市として知られています。温暖な気候と豊かな自然に恵まれるこの地域は、多くの観光スポットや特産品があり、訪れる人々に魅力を提供しています。県内でも特に海に面しており、日向灘や志布志湾に接し、美しい海岸線が広がっています。また、都井岬灯台などの観光名所もあり、自然環境を活用した観光業が盛んです。
串間市の気候はどの影響を受けていますか?
串間市は黒潮の影響を受けており、そのため年間を通して温暖な気候が保たれています。これにより、農業や観光などの産業が発展しやすい環境にあります。夏は高温多湿で、冬でも比較的温暖なため、さまざまな農作物が栽培され、温暖な気候を利用したプロ野球の春季キャンプも行われるなど、スポーツの場としても注目されています。しかし、夏から秋にかけては台風の影響を受けることも多いため、注意が必要です。
串間市の特産品として有名なものは何ですか?
串間市で有名な特産品の一つは「黒瀬ぶり」です。これは、志布志湾で養殖されたブリで、ブランド品として高い評価を受けています。さらに、黒瀬ぶりを使用した「串間活〆ぶりプリ丼ぶり」は地元の飲食店の人気メニューとなっており、観光客にも愛されています。加えて、他にもサツマイモや様々な農産物が栽培され、串間市ならではの特産品が多く点在する地域です。
串間市の歴史上、最も古かったのはどの時代ですか?
串間市の歴史は古く、特に室町時代には野辺氏がこの地を支配していたとされています。この時代は日本の歴史の中でも多くの動乱があった時期で、地域の文化や経済に大きな影響を与えました。その後、江戸時代には高鍋藩領とされ、さまざまな社会構造の中で農業や漁業が発展していきました。明治時代以降も発展は続き、様々な産業が盛んになりましたが、室町時代が串間市の歴史の礎を築いた重要な時代であることに変わりはありません。