宮崎県日之影町:雄大な自然と歴史が織りなす、癒やしの秘境

宮崎県の北部に位置する日之影町は、西臼杵郡に属する人口約3,200人の小さな町です。雄大な九州山地に囲まれた山間地域にあり、町内を東西に流れる五ヶ瀬川が深い渓谷を形成しています。豊かな自然と歴史、そして人々の温かさが魅力の日之影町は、都会の喧騒を離れてゆったりと過ごしたい人におすすめの場所です。

地理と歴史:自然と人々の営みが育む風景

日之影町は、東西約9km、南北約30km、総面積277.67km2の広大な面積を誇り、その約90%が山林で覆われています。標高の高い山々が連なり、町の中央部を五ヶ瀬川が流れ、大小無数の谷が複雑に入り組んだ地形となっています。

壮大な自然:山々、渓谷、そして五ヶ瀬川

日之影町は、祖母傾国定公園や森林セラピー基地、世界農業遺産 高千穂郷椎葉山地域、祖母傾大崩 ユネスコエコパークなど、様々な自然保護区に指定されています。

  • 傾山、五葉山、釣鐘山、真弓岳など、1,000mを超える山々がそびえ立ち、雄大な山岳景観を形成しています。
  • 五ヶ瀬川は、町の中央部を東西に流れ、その両岸には切り立った断崖が連なり、深いV字形の渓谷を形成しています。
  • 日之影川など、五ヶ瀬川に流れ込む大小無数の川が、町内を潤しています。

歴史の息吹:神武天皇の伝説から現代へ

日之影町は、初代天皇である神武天皇の兄である三毛入野命が、この地を「日の影」と名付けたという伝説が残っています。約2万年前の旧石器時代の遺跡である出羽洞穴からは、当時の生活様式を知る貴重な資料が発見されています。

  • 飛鳥~奈良時代には、日向国臼杵郡智保郷として、現在の西臼杵郡一帯を統治していました。
  • 平安時代には、高千穂荘として、高千穂地方の統治の中心地となっていました。
  • 安土桃山時代には、高千穂荘は延岡藩の支配下となり、御役所が置かれ、高千穂統治の中心地となっていました。

近現代:発展と変容

日之影町は、1951年1月1日に七折村と岩井川村が合併し町制施行されました。その後、1956年9月30日に岩戸村の一部地域を編入し、現在の「日之影町」に改称されました。

  • 2015年には、周辺町村と一体となった高千穂郷・椎葉山地域が、国際連合食糧農業機関から世界農業遺産に認定されました。
  • 2021年には、町役場が宮水地区に移転しました。

産業と文化:自然と伝統が育む暮らし

日之影町は、古くから農林業が盛んな地域であり、豊かな自然に恵まれた環境を生かして、様々な特産品が生産されています。

豊かな自然に育まれた特産品

  • 果樹:柚子、栗、きんかん
  • 椎茸
  • 釜炒り茶
  • 竹細工:山間地の生活道具として発達した伝統工芸。故・廣島一夫など、卓越した職人を輩出しています。
  • めんぱ:日之影町伝統の麻織物
  • わら細工

人々の暮らしと文化:伝統芸能と祭事

日之影町には、古くからの伝統芸能や祭事が受け継がれており、人々の生活に彩りを添えています。

  • 大人歌舞伎:農村集落に伝わる歌舞伎。毎年10月、大人神社の例大祭で上演されます。
  • 深角団七踊り:毎年10月、深角団七踊り保存会が祭りを開き、演目を上演します。
  • 日之影神楽:毎年11月~2月にかけ、町内各集落で奉納されます。高千穂の夜神楽を源流とし、独自の舞も存在します。
  • 田植え踊り
  • 古園棒術
  • 流れ灌頂:8月、五ヶ瀬川河川敷で行われる伝統的な儀式

観光スポット:自然と歴史を満喫

日之影町には、雄大な自然と歴史を感じることができる様々な観光スポットがあります。

  • 英国館:国の登録有形文化財。旧見立鉱山の開発にあたった英国人技師「ハンス・ハンター」によって昭和初期に建てられた建築。
  • 日之影町竹細工資料館:日之影町の伝統工芸である竹細工の歴史と技術を学ぶことができます。
  • 綱ノ瀬橋梁:旧高千穂鉄道橋梁。国の重要文化財。
  • 第三五ヶ瀬川橋梁:旧高千穂鉄道橋梁。国の重要文化財。
  • 八戸観音滝
  • 藤江監物・図書父子墓所
  • 渓谷トロッコ道:遊歩百選に指定されている遊歩道。
  • 石垣の村:日本棚田百選に指定されている集落。村全体が石垣に囲まれています。
  • 天神山つつじ公園:1万8千本のつつじが咲き乱れる公園。
  • 中川地区チューリップ:4月上旬に、見頃を迎えます。
  • 苔アート:中央地区各所に、苔を用いたアート作品が展示されています。

三大橋:雄大な風景を象徴する橋

日之影町には、高さ100mを超える橋が大小合わせて215基あり、独特の風景を作り出しています。その中でも、青雲橋、龍天橋、天翔大橋の三橋は、「三大橋」と呼ばれ、日之影町を象徴する風景となっています。

  • 青雲橋:国道218号。橋の西詰には道の駅青雲橋があります。
  • 龍天橋:緑資源幹線林道 宇目須木線。
  • 天翔大橋:ふるさと農道 松の木地区。

交通アクセス:車でのアクセスが便利

日之影町へのアクセスは、車でのアクセスが便利です。最寄りの空港は熊本空港または宮崎空港で、どちらも約2時間ほどで到着します。

鉄道:高千穂鉄道の廃止

日之影町には現在、鉄道は存在しません。最寄りの駅は延岡市の延岡駅(JR日豊本線)です。

かつては、町内を走る高千穂鉄道が運行していましたが、2008年12月28日に廃止されました。町内には、日之影温泉駅など、かつての駅舎が残っており、現在も温泉施設として営業を続けているところもあります。

バス:路線バスとコミュニティバス

日之影町には、宮崎交通が運行する路線バスが運行しています。延岡市と高千穂町を結び、日之影町を経由します。

  • 一般路線バス:延岡駅 – 北方 – 日之影 – 日之影町立病院 – 高千穂バスセンター
  • 特急「たかちほ号」:熊本市 – 熊本空港 – 高森町 – 山都町 – 五ヶ瀬町 – 高千穂町 – 日之影町 – 延岡市
  • 高速「ごかせ号」:福岡市 – 福岡空港国際線 – 基山PA – 久留米IC – 八女IC – 日之影町
  • 日之影町コミュニティバス「すまいるバス」:町内を運行

高速道路:九州中央自動車道と高千穂日之影道路

日之影町内では、九州中央自動車道に並行する一般国道自動車専用道路である高千穂日之影道路が一部区間において供用中ですが、その先の熊本市方面および延岡市方面へ至る区間については未供用区間が存在します。2021年には高千穂町方面へ至る高千穂雲海橋道路が事業化されました。

  • E77 九州中央自動車道(高千穂雲海橋道路・高千穂日之影道路)
    • 高千穂町 – (事業中) – 雲海橋交差点 – 日之影深角IC – 平底交差点 – (基本計画区間)

一般国道

  • 国道218号:道の駅青雲橋

日之影町の魅力:豊かな自然と温かい人々

日之影町は、雄大な自然と歴史、そして人々の温かさが魅力の町です。都会の喧騒を離れて、ゆったりと自然に親しみ、歴史に触れ、人々との触れ合いを楽しむことができます。日之影町を訪れて、癒やしの秘境を体感してみてはいかがでしょうか。

日之影町についてのクイズ

日之影町を流れる五ヶ瀬川は、どのような地形を形成していますか?

五ヶ瀬川は日之影町の中央部を東西に流れ、その両岸には切り立った断崖が連なっています。このため、川は深いV字形の渓谷を形成しています。これは、川の流れが急激に切り込むことによって地形が削られ、特有の景観が作られた結果です。また、このような地形は、周辺の自然環境をさらに美しく見せる要因となっています。日之影町の大自然は、この五ヶ瀬川による渓谷景観に多くの魅力を感じさせ、人々を引きつけています。訪問者はこの渓谷を歩いたり、観覧したりして、雄大な自然の力を感じることができます。

日之影町が伝説によれば「日の影」と名付けた神は誰ですか?

日之影町は、初代天皇である神武天皇の兄、三毛入野命がこの地を「日の影」と名付けたという伝説が残っています。この伝説は、日之影町の歴史の深さを物語っており、町の名前の由来にも関係しています。三毛入野命は日本神話に登場する神であり、特にこの地域との関わりが古くから伝わっています。日之影町では、この神話を受け継ぎながら、地域文化の一部として、伝説や神話に基づく祭事や伝承が今なお大切にされています。

日之影町の特産品に含まれていないものはどれですか?

日之影町は豊かな自然環境を生かして、様々な特産品が生産されていますが、特に「椎茸」と「釜炒り茶」は地域の特産物として有名です。一方、「いちご」は日之影町の特産品には含まれていません。地域の気候や地形は特に椎茸や釜炒り茶の栽培に適しており、これらは地元の特産ブランドとして親しまれています。また、椎茸は栄養価も高く、釜炒り茶は独特の風味を持つお茶として、多くの人々に愛されています。特産品の多様性は、この土地での生産活動の豊かさを物語っています。

日之影町に存在しない文化的行事はどれですか?

日之影町には多くの伝統芸能や祭事が存在しますが、「大人歌舞伎」と「日之影神楽」はその中に含まれています。一方、「流しソーメン祭り」は一般的には日本各地で行われる文化的なイベントの一つですが、日之影町の特色ある祭事ではありません。大人歌舞伎は地域の伝承を基にした演目が上演され、毎年の祭りは地域住民にとって重要な行事です。また、日之影神楽は高千穂の夜神楽を源流とする独自の舞を持っており、地域の信仰や文化が色濃く反映されたイベントです。

日之影町へのアクセスで便利な交通手段はどれですか?

日之影町へのアクセスは、現在では車での移動が最も便利です。最寄りの空港(熊本空港または宮崎空港)からも車で約2時間ほどで到着可能です。かつては高千穂鉄道が運行されていたものの、2008年に廃止されたため、現在では鉄道の利用はありません。また、日之影町内には宮崎交通が運行する路線バスもありますが、広域的な移動には車の利用が最も効率的です。周辺の自然や観光スポットを訪れる際にも、レンタカーや自家用車の利用が推奨されており、ドライブを楽しみながら美しい風景を堪能できます。