雄大な八代海に面し、球磨川が流れ、豊かな自然に恵まれた熊本県葦北郡芦北町。温暖な気候を生かした柑橘類の栽培が盛んな一方で、独特の漁法「うたせ船」で獲れる新鮮な魚介類も魅力です。近年では、人気漫画「放課後ていぼう日誌」の舞台としても注目を集めています。歴史、文化、産業、観光など、芦北町の魅力を紹介します。
地理と歴史:八代海と球磨川が育む豊かな土地
芦北町は熊本市の南西約60kmに位置し、八代海に面した西部から北西部、球磨川が流れる東部の山間部まで、変化に富んだ地形をしています。面積は熊本県内で7番目に広く、豊かな自然に恵まれた町です。
隣接する市町村
- 八代市
- 水俣市
- 葦北郡津奈木町
- 球磨郡球磨村
芦北町の歴史
芦北町の中心部である佐敷地区には、江戸時代に薩摩と江戸を結ぶ薩摩街道の宿場が置かれ、宿場町として栄えていました。しかし、現在は当時の面影はほとんど残っていません。
芦北町は、1955年(昭和30年)に葦北郡内の佐敷町、大野村、吉尾村が合併して誕生しました。1970年(昭和45年)には湯浦町が加わり、現在の芦北町となりました。2005年(平成17年)には田浦町との合併により、現在の町域が確定しました。
産業:豊かな自然が育む多様な産業
芦北町は、豊かな自然に恵まれた環境を生かし、多岐にわたる産業を育んでいます。
漁業
芦北町では、古くから漁業が盛んで、特に「うたせ船」という独特な漁法が有名です。
うたせ船漁業
「うたせ船」とは、船体に竹製の簀を張り、そこに魚を誘い込むための餌を敷き詰めた漁法です。船を海に浮かべて、魚を誘い込み、網で捕獲する漁法で、芦北町では古くから行われてきた伝統的な漁業です。
漁獲される主な魚介類
芦北町では、うたせ船漁業で、タイ、ヒラメ、マダイ、イサキ、カンパチなど、様々な魚が獲れます。新鮮な魚介類は、地元で消費されるだけでなく、全国各地に出荷されています。
農業
芦北町では、温暖な気候を生かして、柑橘類の栽培が盛んです。
甘夏
甘夏は、1949年に田浦町(当時田浦村)で栽培が始まった柑橘類です。現在でも生産量日本一を誇る芦北町を代表する特産品となっています。
デコポン
近年では、甘夏に加えて、デコポンの生産も増加しています。デコポンは、甘夏よりも糖度が高く、ジューシーな味わいが特徴です。
その他
芦北町では、農業、漁業以外にも、観光業、製造業など、様々な産業が発展しています。
教育:未来を担う子どもたちを育む教育機関
芦北町には、子どもたちの未来を担う教育機関が数多く存在しています。
小学校
- 芦北町立内野小学校
- 芦北町立大野小学校
- 芦北町立佐敷小学校
- 芦北町立田浦小学校
- 芦北町立湯浦小学校
中学校
- 芦北町立佐敷中学校
- 芦北町立田浦中学校
- 芦北町立湯浦中学校
高等学校
- 熊本県立芦北高等学校
特別支援学校
- 熊本県立芦北支援学校
交通:アクセス抜群!観光やビジネスの拠点に
芦北町は、車、鉄道、バスなど、様々な交通手段でアクセスできます。
鉄道
- 九州旅客鉄道(JR九州)肥薩線:海路駅、吉尾駅、白石駅
- 肥薩おれんじ鉄道:上田浦駅、たのうら御立岬公園駅、肥後田浦駅、海浦駅、佐敷駅、湯浦駅
- 九州新幹線(新八代駅 – 新水俣駅間を通過)
バス
- 産交バス:町の玄関口である「道の駅たのうら」を拠点に、北部の八代市や南部の水俣市とを結ぶ路線があります。
道路
- 南九州自動車道:田浦IC、芦北IC
- 国道3号
- 国道219号
観光:豊かな自然と歴史文化に触れる
芦北町には、雄大な自然、歴史文化、そして現代アートなど、様々な魅力が詰まっています。
自然
- 御立岬公園: 八代海の美しい景色を一望できる公園。
- 芦北海浜総合公園: 広大な敷地を誇る公園。海水浴場やキャンプ場があり、家族連れに人気です。
- 野坂の浦: 美しい海岸線が広がる景勝地。
歴史文化
- 佐敷諏訪神社: 芦北町を代表する神社。
- 湯浦諏訪神社: 古くから地元の人々に親しまれている神社。
- 田浦阿蘇神社: 阿蘇神社の末社。
アート
- 芦北町立星野富弘美術館: 詩画の世界で知られる星野富弘の作品を展示する美術館。
温泉
- 湯浦温泉: 温泉旅館が立ち並ぶ温泉地。
- 計石温泉: 温泉旅館や日帰り温泉施設がある温泉地。
イベント
- 佐敷諏訪神社例大祭: 4月28日・29日に開催される、芦北町最大の祭り。
- 田浦阿蘇神社例大祭: 地元の伝統芸能が披露される祭り。
放課後ていぼう日誌:芦北町を舞台にした人気漫画
芦北町は、2017年から「ヤングチャンピオン烈」で連載され、2020年からテレビアニメ化もされている小坂泰之による日本の漫画、「放課後ていぼう日誌」の舞台「芦方町」のモデルとなっています。
アニメとのコラボレーション
「放課後ていぼう日誌」の舞台である芦北町では、アニメとのコラボレーションが積極的に行われています。
- アニメに登場する場所を巡る観光ルートの案内
- アニメのキャラクターが描かれたグッズの販売
- アニメファン向けのイベント開催
豪雨災害からの復興
2020年7月の豪雨災害で大きな被害を受けた芦北町には、「放課後ていぼう日誌」のファンから、励ましのメッセージやふるさと納税による寄付が寄せられました。
まとめ
芦北町は、豊かな自然に恵まれ、活気あふれる漁業、柑橘類の栽培など、多様な産業が発展している町です。歴史文化、観光スポット、そして「放課後ていぼう日誌」の舞台としても注目を集めています。美しい景色、美味しい食べ物、温かい人々、そして活気あふれる街並みを、ぜひ訪れてみてください。
芦北町についてのクイズ
芦北町はどの方向に熊本市から約60km離れていますか?
芦北町は熊本市の南西約60kmに位置しています。この地域は八代海に面しており、西部から北西部と球磨川が流れる東部の山間部を含む変化に富んだ地形を呈しています。芦北町は自然環境に恵まれ、柑橘類の栽培など豊かな農業と独特の漁法「うたせ船」があることから、さまざまな産業が栄えています。また、この地域は交通に恵まれ、主要な都市へのアクセスが良好なので、観光やビジネスの拠点としても非常に便利な場所です。
芦北町で盛んな漁業の漁法は何ですか?
芦北町で特に有名な漁法は「うたせ船」です。この漁法は、船体に竹製の簀を張り、餌を敷いて魚を誘い込み網で捕獲する独特の技術で、芦北町の伝統的な漁業のスタイルの一つです。この方法により、タイやヒラメ、マダイ、イサキ、カンパチなど様々な新鮮な魚介類が獲れ、地元でも消費されるだけでなく全国に出荷されています。 芦北町の豊かな自然環境が、こうした漁業を支えているのです。
芦北町で栽培が盛んな柑橘類の一つに何がありますか?
芦北町では甘夏が代表的な柑橘類として広く栽培されています。この果物は1949年に田浦町で栽培が始まり、現在でも生産量日本一を誇っています。甘夏はその甘みと爽やかな味わいから人気が高く、夏の風物詩ともいえる存在です。また、近年ではデコポンの苗木も増え、その生産量も過少されるようになっていますが、甘夏が芦北町を代表する特産品であることには変わりありません。
芦北町を代表する神社の一つはどれですか?
佐敷諏訪神社は、芦北町を代表する神社の一つであり、多くの地元住民から親しまれています。この神社は地域の守護神としての役割を果たし、地元の人々や観光客が訪れる重要なスポットです。祭りや伝統行事が行われる際には多くの参拝者が集まり、特に春の祭りは賑わいを見せます。他にも湯浦諏訪神社や田浦阿蘇神社が地域には存在し、共に重要な文化的な意味を持っていますが、佐敷諏訪神社はその中でも特に有名です。