リード文
神奈川県高座郡にある寒川町は、相模国一之宮である寒川神社を擁し、湘南地域北部に位置する町です。近年では、人口増加が著しく、神奈川県内で最も人口の多い町として注目を集めています。豊かな自然と歴史、そして活気のある工業地帯が調和する寒川町は、住むにも働くにも魅力的な場所として、ますます発展を続けています。
地理
寒川町は、相模川の下流東側に位置し、おおむね平野ですが、段丘も見られます。町内を流れる主な河川は、相模川、目久尻川、小出川です。
河川
- 相模川: 町の東部を流れる、神奈川県を代表する大河川。
- 目久尻川: 町の中央部を流れる、相模川に注ぐ支流。
- 小出川: 町の西部を流れる、相模川に注ぐ支流。
歴史
寒川町は、古くから歴史と文化が息づく町です。
明治時代
- 1889年(明治22年)4月1日: 町村制施行に伴い、高座郡一之宮村、中瀬村、岡田村、小谷村、大蔵村、小動村、宮山村、倉見村、田端村、下大曲村、大曲村が合併し、寒川村が成立します。
大正時代
- 1921年(大正10年)9月28日: 相模鉄道茅ヶ崎駅 – 寒川駅間が開通し、寒川駅と川寒川駅が開業します。
- 1922年(大正11年)5月10日: 相模鉄道砂利支線(後の西寒川支線)が開通し、四之宮駅が開業します。
昭和時代
- 1940年(昭和15年)11月1日: 町制施行により、寒川町となります。
- 1944年(昭和19年)6月1日: 相模鉄道が国有化され、運輸通信省鉄道総局管轄(後に日本国有鉄道)の相模線となります。
- 1984年(昭和59年)3月31日: 西寒川支線が廃止されます。
- 1991年(平成3年)3月16日: 相模線全線が電化されます。
平成時代
- 2002年(平成14年): 平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、大磯町、二宮町との6市町による湘南市への合併構想のための「湘南市研究会」が発足しますが、翌年解散します。
- 2014年(平成26年)3月19日: 茅ヶ崎市との広域連携を推進することが発表されます。
人口
寒川町は、近年人口増加が著しく、2024年8月1日現在、神奈川県内で最も人口の多い町です。人口密度は、施行時特例市である厚木市より高い約3,640人/km2となっています。
人口推移
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 22,946人 |
1975年 | 30,696人 |
1980年 | 36,417人 |
1985年 | 40,141人 |
1990年 | 44,532人 |
1995年 | 47,438人 |
2000年 | 46,369人 |
2005年 | 47,457人 |
2010年 | 47,672人 |
2015年 | 47,936人 |
2020年 | 48,348人 |
2024年8月1日 | 48,564人 |
年齢別人口分布
2005年の国勢調査によると、寒川町は、他の地域と比較して、20代から40代の年齢層の割合が高いことがわかります。
年齢層 | 寒川町 | 全国 |
---|---|---|
0歳〜14歳 | 14.4% | 13.2% |
15歳〜29歳 | 21.8% | 18.8% |
30歳〜44歳 | 25.8% | 23.7% |
45歳〜59歳 | 22.6% | 23.6% |
60歳〜74歳 | 12.7% | 15.3% |
75歳〜 | 2.7% | 5.4% |
地域
寒川町は、33の町丁で構成されています。一部の区域では住居表示が実施されています。
現行行政町名一覧
町名 | 町名の読み | 住居表示実施年月日 | 住居表示実施前の町名等 | 備考 |
---|---|---|---|---|
田端 | たばた | 未実施 | ||
一之宮 | いちのみや | 1990年10月29日 | 一之宮、中瀬、岡田 | |
中瀬 | なかぜ | 1990年10月29日 | 中瀬、一之宮 | |
大曲 | おおまがり | 未実施 | ||
岡田 | おかだ | 1986年10月20日 | 岡田、大蔵、小谷 | |
大蔵 | おおぞう | 未実施 | ||
小谷 | こやと | 1987年10月26日 | 小谷、岡田、大蔵 | |
小動 | こゆるぎ | 未実施 | ||
宮山 | みややま | 未実施 | ||
倉見 | くらみ | 未実施 |
行政
町長
- 木村 俊雄 (2011年9月11日就任)
消防
- 茅ヶ崎市消防本部寒川分署
県の行政機関
- 湘南地域県政総合センター
- 神奈川県藤沢県税事務所
- 神奈川県中央児童相談所
- 茅ケ崎警察署
立法
町政
- 定数: 18人
- 任期: 4年
- 選挙区: 市全体を1選挙区とする大選挙区制(単記非移譲式)
- 議長: 天利 薫
- 副議長: 吉田 悟朗
県政
寒川町から選出される神奈川県議会議員の定数は1議席です。
国政
- 衆議院: 藤沢市と構成される神奈川12区が選挙区となります。
- 参議院: 南関東ブロック・神奈川選挙区に属します。
司法
- 横浜地方裁判所
- 横浜家庭裁判所
- 藤沢簡易裁判所
経済
産業
寒川町は、製造業が盛んな町であり、神奈川県内でも上位の製造品出荷額を誇ります。
主な企業
- 東京応化工業: フォトレジストの製造で世界トップ級のシェアを誇る企業。相模事業所は研究開発の拠点となっています。
- アズビル: 自動制御システムの製造を行う企業。湘南工場は同社のマザー工場に位置付けられています。
- キリンビバレッジ: 飲料メーカー。湘南工場では、午後の紅茶等の主力製品が製造されています。
- 敷島製パン: パンメーカー。湘南工場では、パスコのブランドで知られるパンが製造されています。
- JX金属: 非鉄金属メーカー。倉見工場では、銅やニッケルなどの非鉄金属を製造しています。
- 河西工業: 機械加工、金型製作を行う企業。本社を寒川町に置いています。
- 日産工機: 工作機械メーカー。本社を寒川町に置いています。
- 日東化工: 化学品メーカー。本社を寒川町に置いています。
- 旭ファイバーグラス: ガラス繊維メーカー。湘南工場では、ガラス繊維を製造しています。
- 新明和工業: 水中ポンプの製造を行う企業。寒川工場では、水中ポンプを製造しています。
- レンゴー: 紙器メーカー。湘南工場では、紙器を製造しています。
- スズケン: 医療機器の卸売を行う企業。神奈川物流センターを寒川町に置いています。
かつてあった企業
- 東洋通信機(エプソントヨコム): 電子機器メーカー。相模事業所は、かつて寒川町にありました。
商業
町内には、スーパーマーケットやドラッグストアなど、生活に必要な日用必需品を購入できる店舗が複数あります。
商業施設
- JAさがみ 農産物直売所「わいわい市 寒川店」: 地元の農産物を購入できる人気施設。2010年には、JA直売店の単位面積あたりの売上が日本一となりました。
姉妹都市・提携都市
国内
- 寒河江市 (山形県): 1990年11月1日友好都市提携
教育
小学校
- 寒川町立旭小学校
- 寒川町立一之宮小学校
- 寒川町立小谷小学校
- 寒川町立寒川小学校
- 寒川町立南小学校
中学校
- 寒川町立旭が丘中学校
- 寒川町立寒川中学校
- 寒川町立寒川東中学校
高等学校
- 神奈川県立寒川高等学校
交通
鉄道
JR東日本
- 相模線: 寒川駅、宮山駅、倉見駅
計画中の路線
- 東海道新幹線の新駅設置: 倉見地区に新駅設置が計画されています。
- 相鉄いずみ野線の延伸: 湘南台駅から倉見駅までの延伸が計画されています。
過去に存在した路線
- 日本国有鉄道(元・相模鉄道)寒川支線(四之宮支線): 西寒川駅 (1984年廃止)
- 日本国有鉄道(元・相模鉄道)川寒川支線: 川寒川駅 (貨物駅、1931年廃止)
バス
- 神奈川中央交通
- 神奈川中央交通西
- 相鉄バス
- 寒川町コミュニティバス「もくせい号」
道路
高速道路
- 首都圏中央連絡自動車道 (圏央道): 寒川南IC、寒川北IC
都道府県道
- 神奈川県道44号伊勢原藤沢線
- 神奈川県道45号丸子中山茅ヶ崎線
- 神奈川県道46号相模原茅ヶ崎線
- 神奈川県道47号藤沢平塚線
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
名所・旧跡
- 寒川神社: 相模國一之宮。
- 倉見神社: 町内最古の木造建築。江戸時代の寛保元年(1741年)に造営された旧・寒川神社本殿があります。
- 梶原景時館跡: 鎌倉時代の武将、梶原景時の館跡。
- 神奈川県水道記念館: 日本で初めて県営による広域水道を実現した神奈川県営水道の施設。
- 越の山横穴墓群: 7世紀ごろの大規模横穴式墓群。
- 岡田遺跡: 日本最大級の縄文住居群遺跡。
観光スポット
- 寒川総合図書館: 町民に愛される図書館。
- 寒川総合体育館 (シンコースポーツ寒川アリーナ): スポーツ施設。
祭事・催事
- 浜降祭: 毎年、海の日に開かれる湘南地域一体となった祭り。
出身有名人
出身者
- 阿諏訪 泰義: お笑い芸人。
- 志田 光: プロレスラー。
- 髙部 瑛斗: プロ野球選手 (千葉ロッテマリーンズ)。
- 吉田 吉蔵: 吉田カバン創業者。
- 佐藤 龍二: 競輪選手。
- 畠山 紗英: BMX選手 (2020年東京オリンピック日本代表)。
- 甲 萌香: バレーボール選手 (NECレッドロケッツ)。
- 佐土原 遼: プロバスケットボール選手 (広島ドラゴンフライズ)。
- 寒川 一之: 漫画家。
- あべ 善太: 「味いちもんめ」の原作者。
- 木村 俊雄: 政治家。
ゆかりのある人物
- 梶原 景時: 鎌倉時代の武将。一之宮に館を構えていました。
- 井上 有一: 書道家。寒川町立旭小学校校長を務めた後、晩年は倉見に移住し創作活動を行いました。
- いっこく堂: 腹話術師。誕生から5歳までを寒川町で過ごしました。
その他
- 算額: 文政5年 (1822年) に、寒川神社に奉納された算額の内容は、後にノーベル化学賞を受賞したフレデリック・ソディが1936年に発表した「六球連鎖の定理」と同じものでした。これは、当時の日本の和算の水準の高さ、及び、庶民の知的・教育水準の高さを示すものとして世界的に知られています。
- 東海道新幹線新駅誘致: 寒川町では、東海道新幹線に新駅を設置する計画が進められています。
- 相鉄いずみ野線の延伸計画: 相鉄いずみ野線の延伸計画が進められており、延伸により、町へのアクセスが向上することが期待されています。
脚注
注釈
- 湘南市研究会は、平塚市と茅ヶ崎市が合併に反対したため、2003年5月26日に解散しました。
- 茅ヶ崎市との広域連携は、通勤通学や経済活動など地域的な繋がりが強いことから推進されています。
出典
- 湘南市研究会 藤沢市公式サイト
- 寒川と更なる連携強化へ 具体案を含む計画書策定
- 寒川町
- “2019年神奈川県工業統計調査結果報告” (PDF). 神奈川県 (2019年6月). 2023年7月31日閲覧。
- スーパーマーケット成城石井 商品戦略
- 東急不動産によるロジスティクス施設 LOGI’Q海老名南
- “(仮称)T-LOGI寒川 物件概要資料” (PDF). 東京建物株式会社. 2023年7月31日閲覧。
- 藤沢に大型農産物直売所「わいわい市」-地産地消意識の高さ追い風に-湘南経済新聞(2011年1月6日)
- “東海道新幹線、神奈川に新駅 リニア開通後、東京への通勤利用にらむ”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2010年6月2日). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDD0102N_R00C10A6NN8000/ 2019年3月30日閲覧。
- “神奈川県ホームページ 東海道新幹線新駅の誘致”. 2019年3月30日閲覧。
- “寒川町ホームページ 相鉄いずみ野線の延伸について”. 2019年3月30日閲覧。
- “神奈川県ホームページ いずみ野線の延伸に向けた取組み”. 2019年3月30日閲覧。
関連項目
- 全国市町村一覧
- ツインシティ (平塚市・寒川町)
外部リンク
- 寒川町
- 神奈川県寒川町 (@samukawa_town) – X(旧Twitter)
- 神奈川県寒川町 (samukawa.town) – Facebook
- 神奈川県寒川町 (@samukawa_official) – Instagram
- ウィキトラベル – 寒川町
地図
オープンストリートマップに寒川町の地図があります。
寒川町についてのクイズ
寒川町に位置する相模国一之宮は何ですか?
神奈川県寒川町には相模国一之宮である寒川神社が位置しています。この神社は古くから地域の信仰を集めており、特に「出雲大社」などと並ぶ重要な神社として知られています。寒川神社は、相模国の神々を祀るために設立され、多くの参拝客が訪れます。その歴史的背景や神社の神聖性は、寒川町の文化にも深い影響を与えています。神社の境内には多くの歴史的建物や自然が残っており、この地域の観光スポットとしても人気があります。寒川神社は、祭事や行事を通じて地域の人々に親しまれ、町のアイデンティティの一部を形成しています。
寒川町に流れる主な河川の一つは何ですか?
寒川町内には主に相模川、目久尻川、小出川の3つの河川が流れています。この中でも目久尻川は寒川町の中央部を流れ、相模川に注ぎ込みます。目久尻川は地域の水源としてだけでなく、周辺の生態系に貴重な役割を果たしており、地域住民の生活にも密接に関連しています。また、河川の周辺には自然が豊かで、散策やレクリエーションの場として活用されていることもあり、住民にとって親しみのある存在となっています。冬季には水鳥などの観察が楽しめることもあり、自然環境の貴重さを感じる数少ない場でもあります。
寒川町が町制施行を行った年はいつですか?
寒川町は1940年に町制施行を行い、正式に寒川町としての自主性を持つ地方自治体となりました。この施行によって、寒川町は県内の他の町と同様に地方自治体制度の下で文化・経済の発展を進めることが可能になりました。町制施行以前は村としての運営が行われており、町制施行によってより多様な行政サービスを住民に提供できるようになりました。この変革は、地域の発展にもつながり、現在の寒川町の基礎を築くことに寄与しました。現在もその基盤をもとに、地域住民の生活向上や福祉の充実が進められています。
寒川町の産業で盛んな分野は何ですか?
寒川町は製造業が特に盛んな地域であり、神奈川県の中でも上位の製造品出荷額を誇っています。多くの企業が寒川町に拠点を置き、電子機器、食品、化学製品などさまざまな産業が展開されています。特に東京応化工業やアズビル、キリンビバレッジなど、全国的に有名な企業が多数存在し、町の経済を支えています。製造業の発展は、地元の雇用創出にも寄与しており、地域経済を活性化させています。また、製造業の成長は、新しい技術革新をもたらし、地域全体の競争力を高める要因ともなっています。
寒川町が提携している友好都市はどこですか?
寒川町は山形県の寒河江市と友好都市提携を結んでおり、1990年11月1日に正式にこの提携が締結されました。友好都市提携は、両地域の文化交流や観光促進、産業の発展などを目的としており、地域間のより良い関係を築くことが期待されています。この提携により、寒川町と寒河江市では定期的に交流イベントや文化行事が行われ、お互いの地域特性を生かした協力が進められています。また、友好都市としての取り組みは地域の活性化や住民の交流促進にも寄与しており、両地域にとってメリットのある関係となっています。
寒川町に存在する高等学校はどれですか?
神奈川県寒川町には「神奈川県立寒川高等学校」が存在しています。この高等学校は地域の教育機関として多くの生徒が学び、地域の人材育成に貢献しています。寒川高等学校は、地元の進学・就職の拠点としても重要な役割を果たしており、多様なカリキュラムと部活動が用意され、生徒たちの能力を伸ばす支援が行われています。また、地域コミュニティとの連携も重視されており、地域活動やイベントへの参加などを通じて、生徒は市民意識を育む場ともなっています。これにより、高校生が地域の一員として社会に貢献する意識を持つことができるようになります。