岩手県のほぼ中心部に位置する紫波郡矢巾町は、盛岡市のベッドタウンとして近年人口増加が著しい町です。豊かな自然に恵まれ、歴史的な名所や観光スポットも数多く存在します。この記事では、矢巾町の魅力を余すことなく紹介します。
矢巾町の概要
矢巾町は、岩手県の中央部に位置し、盛岡市の南約10kmに位置する紫波郡に属する町です。町内には、幣掛の滝や南昌山、矢巾温泉、徳丹城跡など、歴史的な名所や観光スポットが数多く存在します。
近年は、盛岡市のベッドタウンとして開発が進み、人口増加が著しい町です。平成22年国勢調査によると、人口密度は岩手県内1位を記録しました。
地名の由来
矢巾という地名の由来については、いくつかの説があります。
- 前九年の役説: 源頼義が安倍貞任を討つため、矢羽根を集めた場所であったことから名付けられたという説。
- 谷端場説: 「谷端場」または「谷端間」の意味で、段差のある湿地の法面を指すという説。
矢巾町の地理
位置・地勢
矢巾町は、岩手県の中央部に位置し、盛岡市の南10km地点にあります。稲作に適した自然条件をそなえた県央の穀倉地帯です。
地勢は、中央部が平坦地で、東は一部を除き北上川で区切られています。北は盛岡市、西は奥羽山系に続き岩手郡雫石町、南は紫波町に接しています。
気候
矢巾町は、典型的な内陸性気候で、夏は暑く、冬は寒くなりますが、比較的温和な気候です。
人口
年 | 人口 | 増減率 |
---|---|---|
1970年 | 13,526人 | – |
1975年 | 15,008人 | 11.0% |
1980年 | 17,465人 | 16.3% |
1985年 | 18,714人 | 7.1% |
1990年 | 19,920人 | 6.5% |
1995年 | 21,919人 | 10.0% |
2000年 | 25,268人 | 15.3% |
2005年 | 27,085人 | 7.2% |
2010年 | 27,205人 | 0.4% |
2015年 | 27,678人 | 1.7% |
2020年 | 28,056人 | 1.4% |
(出典:総務省統計局 国勢調査)
平成27年国勢調査によると、矢巾町の人口は27,678人であり、前回調査から1.74%増加しています。増減率は県下33市町村中2位と、人口増加が著しいことがわかります。
矢巾町の歴史
古代~中世
- 縄文時代の遺跡が多く、和味地区にある「月が森遺跡」と、白沢地区にある「白沢森遺跡」が特に大規模です。
- 813年(弘仁4年)、征夷大将軍坂上田村麻呂により、現在地に徳丹城が築造されました。
- 1599年(慶長4年)、金山師・鎌津田甚六による鹿妻穴堰の開削により、この地区の農業生産力に大きな影響を与えました。
近世~現代
- 1703年(元禄16年)、越前国金剛院の僧「空念」の推挙により、南に「南部の繁昌」を願い、毒ケ森(徳ヶ森)を南昌山と改名しました。
- 1889年(明治22年)4月1日、町村制が施行されます。
- 旧・煙山村、赤林村、上矢次村、下矢次村、南矢幅村、北矢幅村、広宮沢村、又兵衛新田が合併し、紫波郡煙山村が成立。
- 土橋村、高田村、藤沢村、間野々村、北郡山村、東徳田村、西徳田村、高水寺村の一部が合併し、紫波郡徳田村が成立。
- 室岡村、岩清水村、太田村、白沢村、北伝法寺村、和味村が合併し、紫波郡不動村が成立。
- 1955年(昭和30年)3月1日、煙山村、徳田村、不動村が合併し、紫波郡矢巾村となります。
- 1966年(昭和41年)5月1日、矢巾村が町制施行し、紫波郡矢巾町となります。
- 同日、矢巾町の一部が紫波郡都南村に編入されます。
- 1976年(昭和51年)、冷害が発生。農林水産大臣(当時、大石武一)の冷害の状況視察先として矢巾町が選ばれました。
- 1985年(昭和60年)3月24日、役場新庁舎が開庁しました。
- 1990年(平成2年)11月3日、町文化会館「田園ホール」が落成しました。
- 2004年(平成16年)11月11日、盛岡市・玉山村との市町村合併法定協議会への不参加を決定しました。
- 2007年(平成19年)4月1日、岩手医科大学矢巾キャンパスが完成しました。
- 2011年(平成23年)3月11日、東北地方太平洋沖地震で震度6弱を観測しました。
- 2016年(平成28年)4月1日、矢巾町活動交流センター「やはぱーく」が開所しました。
- 2018年(平成30年)3月24日、東北自動車道矢巾スマートインターチェンジが供用開始しました。
矢巾町の行政
町長
- 高橋昌造(たかはし しょうぞう)(2015年4月30日 – )
歴代町長
代 | 氏名 | 就任 | 退任 | 備考 |
---|---|---|---|---|
矢巾村長(公選) | ||||
初 | 高橋重平 | 昭和30年4月11日 | 昭和41年4月30日 | |
矢巾町長(公選) | ||||
初 | 高橋重平 | 昭和41年5月1日 | 昭和42年4月29日 | |
2 | 谷村長三郎 | 昭和42年4月30日 | 平成3年4月29日 | 旧徳田村長 |
3 | 高橋隆三 | 平成3年4月30日 | 平成11年4月29日 | |
4 | 川村光朗 | 平成11年4月30日 | 平成27年4月29日 | |
5 | 高橋昌造 | 平成27年4月30日 | 現職 |
町の施設
- 矢巾町役場
- 矢巾町公民館
- 矢巾町民総合体育館
- 矢巾町文化会館「田園ホール」
- 矢巾町活動交流センター「やはぱーく」
- 矢巾町保険福祉交流センター「さわやかハウス」
- 矢巾町国民保養センター
- 矢巾町歴史民俗資料館
- 矢巾町営キャンプ場
- 矢巾町屋外運動場「かっこうグラウンド」
- 矢巾町総合グラウンド
- 矢巾町立斎苑
県の施設
- 岩手県立総合防災センター
- 岩手県消防学校
- 岩手県立療育センター
- 岩手県立盛岡となん支援学校
- 岩手県林業技術センター
国の施設
- 国土交通省
- 東北運輸局 岩手運輸支局
警察
- 岩手県警察
- 紫波警察署 矢巾交番
消防
- 盛岡地区広域消防組合
- 盛岡南消防署 矢巾分署
矢巾町の産業
農業
矢巾町は、米、麦、大豆などの生産が盛んで、古くから「徳田米」の産地として有名です。
工業
矢巾町は、国道4号沿いの藤沢地区と岩手県道281号矢巾西安庭線沿いの広宮沢地区に工業団地を有しています。
商業
矢巾町は、東北自動車道盛岡南ICから程近い岩手県道13号盛岡和賀線沿いに、盛岡市と市町境をまたいで隣接する流通センター(岩手流通センター)を有しています。卸売業・小売業・運送業などの事業所が数多く立地し、北東北の物流拠点となっています。
医療関連
岩手医科大学及び岩手医科大学附属病院の移転により、医療系・不動産賃貸系業種も増加しています。
その他
矢巾町の中心部には、協同組合矢巾商業開発の運営するショッピングモールとマックスバリュ、ホーマックを核とする矢巾ショッピングセンター(イオンタウン)が存在します。
矢巾町のスポーツ・文化
スポーツ
- 岩手21赤べこ野球軍団(社会人野球・クラブチーム) – 当町を本拠地として活動していました。2007年には都市対抗野球にも出場しましたが、同年秋をもって廃部となりました。
- みちのくプロレス – 東北六県サーキットを興行の主体としているみちのくプロレスは、旗揚げの地である矢巾町を聖地としており、旗揚げから30年以上経った現在でも、矢巾町民総合体育館をビッグマッチ会場としています。
文化施設
- 矢巾町文化会館 – 愛称は「田園ホール」。岩手県内初の本格的音楽ホールです。町民による手作り舞台「矢巾町民劇場」の公演が毎年2月に上演されます。地元にゆかりのある題材が選ばれており、2004年の第8回公演では地元出身で旧制盛岡中学校で宮沢賢治の友人だった藤原健次郎を扱った作品が上演されました。
- 矢巾町歴史民俗資料館(徳丹城跡に併設)
矢巾町の教育
大学
- 岩手医科大学矢巾キャンパス
- 岩手医科大学(医学部・歯学部・薬学部・看護学部併設)
高等学校
- 岩手県立不来方高等学校
- 星北高等学園
中学校
- 矢巾町立矢巾中学校
- 矢巾町立矢巾北中学校
小学校
- 矢巾町立矢巾東小学校
- 矢巾町立徳田小学校
- 矢巾町立煙山小学校
- 矢巾町立不動小学校
特別支援学校
- 岩手県立盛岡となん支援学校
学校教育以外の施設
- 岩手県立産業技術短期大学校矢巾校(職業能力開発促進法に基づく職業能力開発短期大学校)
- 岩手県消防学校
矢巾町の医療
- 岩手医科大学附属病院(医大通2-1-1)
- 保健所は県央保健所(盛岡市内丸)が管轄です。
矢巾町の交通
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 東北本線:矢幅駅
- その他、東北新幹線が新花巻駅 – 盛岡駅間で東北本線と並走する形で当町を通過しています。
バス
一般路線バス
- 岩手県交通
- 矢巾営業所
- 紫波営業所
- 矢巾町市街地循環バス(2019年9月20日より試験運行開始)矢幅駅と岩手医科大学附属病院(矢巾新病院)ほかを結ぶ。平日のみの運行
高速バス
- 岩手県北バス
- MEX八戸線 – 新宿・川崎
- 秋北バス
- みちのく号 – 安代・鹿角花輪・大館
道路
高速自動車国道
- E4 東北自動車道
- 矢巾PA・SIC
一般国道
- 国道4号
県道
主要地方道
- 岩手県道13号盛岡和賀線
一般県道
- 岩手県道120号不動盛岡線
- 岩手県道205号不動矢巾停車場線
- 岩手県道207号矢巾停車場線
- 岩手県道208号大ケ生徳田線
- 岩手県道281号矢巾西安庭線
- 岩手県道285号盛岡石鳥谷線
- 岩手県道502号盛岡矢巾自転車道線
矢巾町の観光
名所・旧跡・観光スポット
- 徳丹城跡(国の史跡)
- 南昌山
- 城内山
- 幣懸の滝
- 矢巾温泉
- 森山パストラルパーク
矢巾町のまとめ
矢巾町は、歴史と自然、そして発展が調和した魅力的な町です。盛岡市のベッドタウンとして発展を続けながら、豊かな自然と歴史文化を守り、住みよいまちづくりを目指しています。ぜひ、一度訪れてみてください。
矢巾町についてのクイズ
矢巾町はどの県に位置していますか?
矢巾町は岩手県に位置しています。岩手県は東北地方の北部にあり、美しい自然と豊かな歴史を持つ地域です。矢巾町は盛岡市の南に位置しており、近年はベッドタウンとしての発展が著しい町です。在住者は自然に恵まれた環境で生活しつつ、盛岡市の中心地へのアクセスも便利なため、家庭を持つにあたり良好な条件を有しています。
矢巾町の地名の由来の一つは何ですか?
矢巾という地名の由来の一つには、前九年の役で源頼義が矢羽根を集めた場所であるという説があります。これは地域の歴史的背景を反映したもので、矢羽根という言葉や観念がそのまま地名として定着したと考えられています。もう一つの説として「谷端場」という意味で湿地の法面を指す説もあるが、より広く知られているのは前九年の役に由来する説です。
矢巾町はどのような気候ですか?
矢巾町は内陸性気候に属しています。このため、年間を通じて夏は比較的暑く、冬は厳しい寒さが訪れることが特徴です。ただし、山に囲まれた位置にあるため、気温差は大きいものの、内陸特有の温和な気候を楽しむこともできます。内陸性気候は、降水量が少なく、晴れた日が多いことから、農業にも適した地域と言えます。
矢巾町の歴史で、徳丹城はどの年に築造されましたか?
徳丹城は813年(弘仁4年)に征夷大将軍坂上田村麻呂によって築造されました。これは矢巾町の歴史の中で重要な出来事の一つであり、地域の防衛や政治の拠点として機能しました。その後の時代にも影響を及ぼし、地域の農業や文化の発展に寄与しました。矢巾町は、このような歴史的背景を持ちながらも現代に至るまで町としての発展を続けています。
矢巾町にある文化施設「田園ホール」とは何ですか?
矢巾町にある文化施設「田園ホール」は、岩手県内初の本格的音楽ホールです。この文化会館では、町民による手作りの舞台「矢巾町民劇場」が毎年上演されており、地元の文化や芸術を育む拠点として機能しています。ホールは多目的に使われることが多く、演奏会や講演会などさまざまなイベントが開催されます。地域住民との交流の場でもあり、文化的な活動を支える重要な役割を果たしています。