石川県内灘町:美しい砂丘と豊かな自然に抱かれた、魅力あふれる街

リード文

石川県の中西部に位置する内灘町は、日本海に面した広大な内灘砂丘と、豊かな自然に恵まれた魅力的な町です。温暖な気候と美しい景観は、古くから人々を魅了し、歴史と文化が育まれてきました。近年では、金沢市のベッドタウンとして発展し、住み心地の良さから人気が高まっています。本記事では、内灘町の魅力を地理、歴史、観光スポット、産業、そして人々など多角的に紹介します。

地理

内灘町は、石川県河北郡に属し、北西側は日本海に面しています。南には県庁所在地である金沢市、東には津幡町、北にはかほく市が隣接しており、金沢都市圏に含まれています。町域のほとんどは内灘砂丘で占められており、その広大な砂丘は、雄大な景観を生み出しています。さらに、河北潟、大野川などの水辺も点在し、多様な自然環境を形成しています。日本海側の海岸線には、防風林として松やニセアカシアが植えられており、緑豊かな風景が広がっています。

隣接している自治体

  • 金沢市
  • かほく市
  • 津幡町

地域区分

内灘町は、河北潟放水路を境に、南部地域と北部地域に区分されます。

南部地域

  • 向粟崎
  • アカシア
  • 旭ケ丘
  • 緑台
  • 千鳥台
  • 向陽台
  • 鶴ケ丘
  • 大根布
  • 大清台
  • 大学
  • ハマナス

北部地域

  • 宮坂
  • 西荒屋
  • 湖西
  • 白帆台

歴史

内灘砂丘は、加賀地方における最初の石器発見地として知られており、大根布や宮坂、西荒屋の各砂丘からは、縄文時代中期から古墳時代の石斧、石包丁、石匙、鏃、玉製品などが出土しています。これらの遺物から、内灘町域には古くから人々が住んでいたことがわかります。

しかし、古代から中世にかけての内灘町の歴史は、まだ多くの謎に包まれています。歴史資料に初めて登場するのは、平安時代の927年(延長5年)に発刊された『延喜式神名帳』で、小濱神社が名を連ねています。このことから、内灘町には古くから集落が形成されていたと考えられます。

江戸時代には、加賀藩の支配下となり、現在の内灘町にあたる集落群が金津組や十村組として組織されました。

明治維新後から第二次世界大戦前までは、内灘町は遠洋漁業が盛んでした。また、粟崎遊園が建設されるなど、近代化が進みました。

戦後、1952年(昭和27年)から内灘砂丘の大部分が在日米軍に接収され、米軍砲弾試射場が建設されました。ここで、反基地運動の先駆けとなる内灘闘争が起こりました。1957年(昭和32年)に米軍は撤収しましたが、その間に行われた試射場の補償事業により、公共施設や道路が整備されました。

その後、沿岸漁業は不振になりましたが、1957年(昭和32年)の国営砂丘地干拓事業の竣工や、1958年(昭和33年)から1963年(昭和38年)の河北潟埋立事業による増田などの農業振興政策が進められました。また、家内工業的な繊維産業も発展しました。

1962年(昭和37年)1月1日、内灘町は町制を施行しました。金沢市近郊という地理的条件から、住宅団地造成が相次ぎ、金沢市のベッドタウンとして人口が急増しました。教育・文化施設や都市発展基盤の整備が進められ、町は大きく発展しました。1970年(昭和45年)には火力発電所建設計画が持ち上がり、住民らによる激しい反対運動が展開されました。

2024年1月1日、能登半島地震が発生し、内灘町は震度5弱を観測しました。人的被害は報告されていませんが、液状化現象などにより家屋や道路などに甚大な被害が発生しました。

沿革

  • 1889年(明治22年)4月1日:町村制の施行により、向粟崎村、大根布村、宮坂村、黒津船地内、西荒屋村、室村の区域をもって、内灘村が発足する。
  • 1962年(昭和37年)1月1日:町制施行して、内灘町となる。
  • 2024年(令和6年)1月1日:能登半島地震により家屋などに甚大な被害が及ぶ。

人口

内灘町の人口は、戦後、金沢市のベッドタウンとして発展したことから、急増しました。その後は、高齢化が進む一方で、近年では再び人口増加傾向が見られます。

人口
1970年 10,890人
1975年 16,870人
1980年 20,814人
1985年 23,032人
1990年 24,688人
1995年 26,367人
2000年 26,560人
2005年 26,896人
2010年 26,927人
2015年 26,987人
2020年 26,574人
2024年7月1日 25,913人(推計人口)

行政

町長

内灘町の行政は、町長と町議会によって行われます。町長は、町民の代表として、町政の最高責任者です。

氏名 就任 退任 備考
1 中村小重 1962年(昭和37年)1月1日 1962年(昭和37年)10月16日
2 中本長吉 1966年(昭和41年)10月17日 1970年(昭和45年)10月16日
3 出山昭二 1981年(昭和56年)2月11日 1985年(昭和60年)2月10日
4 岩本秀雄 1989年(平成元年)2月11日 1993年(平成5年)2月10日
5 八十出泰成 2005年(平成17年)2月11日 2009年(平成21年)2月10日
6 川口克則 2013年(平成25年)2月11日 現職
  • 現町長:川口 克則(かわぐち・かつのり)

内灘町議会

内灘町議会は、町民の代表によって構成され、町政に関する議決権を有しています。定数は13人で、任期は4年です。

  • 定数:13人
  • 任期:2023年5月1日 – 2027年4月30日
  • 議長:七田 満男
  • 副議長:夷藤 満

経済

内灘町の経済は、農業、工業、商業が主要産業です。

産業

農業

  • 内灘町では、砂丘地を利用した野菜農業が盛んに行われています。
  • 干拓地では、酪農も盛んに行われており、県内の牛乳出荷量の約30%を占めています。

工業

  • 内灘町では、繊維工業が中心ですが、近年は衰退傾向にあります。

商業

  • 内灘町では、住宅地に日用品を供給するスーパーマーケットが中心となっています。
  • 2007年11月23日には、大型商業施設のコンフォモール内灘がオープンしました。

沿岸漁業

  • 内灘町では、沿岸漁業が小規模に行われています。

産業別人口(2000年)

産業 人口
第1次産業 159人
第2次産業 4,511人
第3次産業 9,082人

姉妹都市・提携都市

内灘町は、国内外に姉妹都市・提携都市を持っています。

  • 羽幌町(北海道)
  • 猿払村(北海道)
  • 中華人民共和国江蘇省蘇州市呉江区(1993年10月7日提携)
  • 台湾新竹県竹北市(2018年5月16日友好交流都市協定締結)

地域

公共機関

警察

  • 石川県警察津幡警察署(河北郡津幡町)が管轄
    • 内灘交番

消防

  • 内灘町消防本部

郵便局

  • 内灘町には、集配郵便局がなく、金沢市の粟崎郵便局が管轄となっている。
直営郵便局
  • 内灘郵便局
  • 鶴ヶ丘郵便局
  • 内灘向陽台郵便局
簡易郵便局
  • 金沢医科大学病院内簡易郵便局
  • 西荒屋簡易郵便局

医療

  • 金沢医科大学病院

国の行政機関

  • 農林水産省
    • 北陸農政局
      • 西北陸土地改良調査事務所
        • 河北潟分室(内灘町役場庁舎内)
      • 河北潟周辺農地防災事業所(内灘町役場庁舎内)

教育

  • 内灘町立大根布小学校
  • 内灘町立鶴ヶ丘小学校
  • 内灘町立清湖小学校
  • 内灘町立西荒屋小学校
  • 内灘町立向粟崎小学校
  • 内灘町立白帆台小学校
  • 内灘町立内灘中学校
  • 石川県立内灘高等学校
  • 石川県立児童生活指導センター
  • 金沢医科大学
  • 内灘町立図書館
  • 誠美幼稚園

交通

鉄道路線

  • 北陸鉄道浅野川線
    • 粟ヶ崎駅 – 内灘駅

道路

都道府県道

  • のと里山海道
    • 内灘IC
    • 内灘白帆台IC
  • 石川県道8号松任宇ノ気線
  • 石川県道60号金沢田鶴浜線
  • 石川県道60号金沢田鶴浜線・能登海浜自転車道
  • 石川県道162号高松内灘線:沿道に道の駅内灘サンセットパークが所在
  • 石川県道200号向粟崎安江町線

路線バス

  • 北鉄金沢バスが、JR金沢駅から北陸鉄道浅野川線内灘駅に至る路線や、内灘駅を基点に金沢医科大学病院、白帆台ニュータウン方面へ至る路線を運行しています。
  • 北鉄能登バス高浜急行線と北鉄奥能登バスの特急バスも医大病院と向陽台に停車しています。

コミュニティバス

  • 内灘町コミュニティバス「なだバス ナディ」を運行しています。
    • 全町ルート(90分間隔)
    • 南部ルート(60分間隔)
    • ひがしルート・にしルート

マスメディア

  • 新聞
    • 北國新聞内灘支局
  • ケーブルテレビ
    • 金沢ケーブルのサービスエリアとなっている。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

内灘町には、美しい自然と歴史を感じることができる魅力的な観光スポットが数多くあります。

観光スポット

  • 世界の凧の祭典
    • 5月に内灘海岸にて開催され、世界規模の凧の祭典です。
    • 多種多様な凧が揚げられ、地元の学校が製作した大凧の掲揚など、凧の町内灘を象徴する祭りです。
  • ビーチベースボール北陸大会 in 内灘
    • 7月または8月に開催。内灘海岸で行われ、7人制の三角ベースボールを基本としたニュースポーツです。
  • 小濱神社
    • 内灘町の歴史を語る上で欠かせない神社です。
  • 道の駅内灘サンセットパーク
    • 内灘町の特産品や新鮮な海の幸が楽しめる道の駅です。
  • 内灘展望温泉
    • 日本海を一望できる温泉施設です。
  • 内灘総合公園
    • 広大な敷地を持つ総合公園で、遊具や運動施設などが充実しています。
  • 風車(サンセットウイング)
    • 内灘海岸にそびえ立つ風車は、町のシンボルとなっています。
  • サンセットブリッジ内灘
    • 2009年4月1日に恋人の聖地として認定された、美しい橋です。
  • 内灘海水浴場
    • 夏には多くの海水浴客で賑わう、広々とした海水浴場です。
  • 権現森海水浴場
    • 静かで落ち着いた雰囲気の海水浴場です。
  • 西荒屋海水浴場
    • 海水浴だけでなく、釣りも楽しめる海水浴場です。

祭事・催事

  • 小濱神社秋季祭礼
    • 秋に開催される、伝統的な祭礼です。
  • 内灘町民夏祭り
    • 7月下旬に開催される、町民みんなで楽しめる夏祭りです。
    • 歌や踊りの披露、盆踊り、花火大会など、様々な催しが行われます。

内灘町を舞台とした作品

小説

  • 三島由紀夫『美しい星』:海岸で空飛ぶ円盤を見る
  • 五木寛之『内灘夫人』『恋歌』
  • 井上靖『北の海』『北国』

漫画

  • 『天野めぐみはスキだらけ!』(ねこぐち、2015年 – 2021年)

映画

  • 『非行少女』(浦山桐郎監督、1963年)
  • 『黒い家』(森田芳光監督、1999年)

出身人物

内灘町は、様々な分野で活躍する人材を輩出しています。

  • 北安博:元プロ野球選手
  • 坂上樹大:競輪選手
  • 坂上忠克:競輪選手
  • ねこぐち:漫画家
  • 松村玲郎:北陸放送アナウンサー
  • 英洸貴:プロボクサー
  • 瀬戸杏華:バレーボール選手(PFUブルーキャッツ)

脚注

  1. 『内灘町都市計画マスタープラン』(平成27年11月)第4章 地域区分の設定(p.59)
  2. “内灘の歴史”. 内灘町 (2021年11月8日). 2022年4月9日閲覧。
  3. 堀潤 (2024年1月7日). “奥能登だけではない「もう故郷に住めなくなる」液状化で深刻な被害 内灘町の住民は「激甚災害」指定を待つ”. Yahoo!ニュース. 2024年1月8日閲覧。
  4. “噴き出す泥水、傾いた家 石川・内灘町で液状化深刻「住み続けられるのか」 能登半島地震 動画”. カナロコ by 神奈川新聞 (2024年1月7日). 2024年1月8日閲覧。
  5. 出典『内灘町史』
  6. “任期満了日一覧”. 石川県庁 (2023年5月1日). 2023年8月2日閲覧。
  7. 国内友好都市の紹介 石川県河北郡内灘町の紹介 猿払村役場ホームページ(2024年2月20日閲覧)
  8. 国際友好交流都市 竹北市 内灘町役場ホームページ(2024年2月20日閲覧)
  9. http://ishikawa.uminohi.jp/report/第29回-世界の凧の祭典-2/ 2018年2月17日閲覧
  10. 瀬戸杏華 一般社団法人日本バレーボールリーグ機構 Vリーグ公式ページ(2023年2月21日閲覧)

外部リンク

  • 石川県河北郡内灘町公式ウェブサイト
  • 内灘町役場 (uchinadatown) – Facebook
  • Uchinada Town Channel – YouTubeチャンネル

まとめ

内灘町は、美しい自然と歴史、そして活気あふれる街並みが魅力の町です。金沢市のベッドタウンとしての発展を遂げながらも、伝統文化を守りながら、新たな魅力を生み出しています。ぜひ、一度訪れて、その魅力を体感してみてください。

内灘町についてのクイズ

内灘町が位置する都道府県はどこですか?

内灘町は石川県河北郡に位置しています。金沢市のベッドタウンとしての側面もあり、金沢市と隣接しています。石川県は日本海に面した地域で、温暖な気候が特徴的です。内灘町は広大な内灘砂丘と豊かな自然に恵まれており、これらが町の魅力となっています。周辺には様々な地域があり、津幡町やかほく市などとも隣接しています。歴史的にも古くから人々が住んできた地域であり、豊かな文化と自然が融合した町です。

内灘町の歴史的な遺物が発見された時代はいつですか?

内灘町では、縄文時代中期から古墳時代にかけての遺物が多く発見されています。具体的には、石斧や石包丁、鏃などが出土しており、これらの遺物から内灘町域には古くから人々が居住していたことがわかります。このことは、内灘町が歴史的にも重要な地域であることを示唆しています。内灘砂丘は、加賀地方における最初の石器発見地として知られており、地域の歴史を学ぶ上で重要な場所となっています。

内灘町の町長として現職にあるのは誰ですか?

内灘町の現町長は川口克則です。彼は2013年2月11日に就任し、現在まで町政を担っています。町長は町民の代表として、町の最高責任者となる重要な役割を果たしています。また、内灘町の行政は、町長と町議会によって支えられており、町民の意見を反映しながら様々な施策を実施することが求められています。川口町長は、地域の発展や住民福祉の向上に向けた取り組みを進めています。

内灘町で特に盛んに行われている農業の種類は何ですか?

内灘町では、特に砂丘地を利用した野菜農業が盛んに行われています。砂丘地は水はけが良く、特定の作物に適した環境を提供します。そのため、内灘町は新鮮で美味しい野菜の生産地として知られています。また、干拓地では酪農も行われており、県内の牛乳出荷量の約30%を占めるなど、農業部門は町の重要な産業の一つとなっています。

内灘町の姉妹都市に含まれないのはどこですか?

内灘町は羽幌町と猿払村など、北海道の地域との姉妹都市関係を持っています。また、中国江蘇省蘇州市と台湾新竹県竹北市との友好交流都市協定も締結しています。しかし、函館市は内灘町の姉妹都市には含まれておらず、したがって選択肢の中では正しい答えとなります。姉妹都市提携は相互交流や文化的な理解を深めるための重要な取り組みですが、内灘町が特に親密な関係を築いているのは、道内の都市が中心となっています。

内灘町の「世界の凧の祭典」はいつ開催されますか?

内灘町で毎年5月に開催される「世界の凧の祭典」は、多種多様な凧が揚げられるイベントであり、国内外からの参加者が集まります。この祭典は、地元の学校が製作した大凧の掲揚を含め、内灘町が誇る「凧の町」としての魅力を示す絶好の機会です。凧の製作や揚げる技術を学んだり、観賞したりすることができるため、家族連れや観光客にとっても楽しめるイベントとなっています。