北海道石狩郡新篠津村:豊かな自然と農業が息づく静かな村

石狩川としのつ湖に囲まれた新篠津村は、北海道石狩振興局管内北東部に位置する、のどかな田園風景が広がる村です。豊かな自然と農業が息づく、静かで穏やかな暮らしが魅力です。

概要

地名の由来

新篠津村の「篠津」は、アイヌ語の「シンノツ」(山の崎)または「シノット」(河の集まる豊かなところ)に由来すると考えられています。現在の江別市篠津から分村して独立する際に、地元から「東篠津村」という名称が提案されましたが、道庁の意向により「新篠津村」となりました。

村内にある「宍粟」という地名は、1894年に兵庫県の旧宍粟郡からの開拓団が移住したことに由来します。

地理

位置

新篠津村は石狩振興局管内北東部に位置し、同管内では唯一の村です。人口規模は石狩振興局管内では最小です。東部は石狩川に接し、対岸には岩見沢市北村地域があります。村域全体が石狩平野に位置し、ほとんどが水田となっています。

地形

河川

  • 石狩川
  • 篠津川
  • 篠津運河

湖沼

  • 袋達布沼(通称:しのつ湖):石狩川から分離した三日月湖

気候

新篠津村は特別豪雪地帯に指定されています。年間を通して降水量は多く、特に冬は積雪量が多いのが特徴です。

| 新篠津(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 6.7 (44.1) | 9.7 (49.5) | 14.2 (57.6) | 24.0 (75.2) | 32.1 (89.8) | 32.2 (90) | 35.1 (95.2) | 35.5 (95.9) | 32.4 (90.3) | 25.5 (77.9) | 19.6 (67.3) | 13.8 (56.8) | 35.5 (95.9) |
| 平均最高気温 °C (°F) | -2.3 (27.9) | -1.2 (29.8) | 2.8 (37) | 10.3 (50.5) | 17.0 (62.6) | 21.0 (69.8) | 24.6 (76.3) | 25.7 (78.3) | 22.2 (72) | 15.5 (59.9) | 7.4 (45.3) | 0.1 (32.2) | 11.9 (53.4) |
| 日平均気温 °C (°F) | -6.1 (21) | -5.4 (22.3) | -1.2 (29.8) | 5.4 (41.7) | 11.5 (52.7) | 15.8 (60.4) | 19.7 (67.5) | 20.8 (69.4) | 16.9 (62.4) | 10.4 (50.7) | 3.4 (38.1) | -3.3 (26.1) | 7.3 (45.1) |
| 平均最低気温 °C (°F) | -11.3 (11.7) | -10.9 (12.4) | -5.9 (21.4) | 0.7 (33.3) | 6.7 (44.1) | 11.9 (53.4) | 16.2 (61.2) | 17.1 (62.8) | 12.3 (54.1) | 5.5 (41.9) | -0.5 (31.1) | -7.6 (18.3) | 2.8 (37) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -26.8 (-16.2) | -27.0 (-16.6) | -21.9 (-7.4) | -11.6 (11.1) | -1.0 (30.2) | 3.2 (37.8) | 8.0 (46.4) | 9.0 (48.2) | 2.5 (36.5) | -2.8 (27) | -14.9 (5.2) | -26.0 (-14.8) | -27.0 (-16.6) |
| 降水量 mm (inch) | 107.0 (4.213) | 76.7 (3.02) | 49.7 (1.957) | 45.4 (1.787) | 73.2 (2.882) | 65.1 (2.563) | 109.8 (4.323) | 143.4 (5.646) | 131.1 (5.161) | 106.4 (4.189) | 111.6 (4.394) | 128.3 (5.051) | 1,147.6 (45.181) |
| 降雪量 cm (inch) | 236 (92.9) | 177 (69.7) | 109 (42.9) | 14 (5.5) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) | 71 (28) | 231 (90.9) | 820 (322.8) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 19.4 | 16.4 | 13.1 | 9.9 | 10.0 | 8.8 | 9.6 | 10.3 | 11.2 | 14.5 | 17.9 | 21.4 | 162.5 |
| 平均月間日照時間 | 59.2 | 83.2 | 137.5 | 178.9 | 196.8 | 177.1 | 157.9 | 161.4 | 166.3 | 135.3 | 78.3 | 46.9 | 1,578.6 |
| 出典1:Japan Meteorological Agency |
| 出典2:気象庁 |

人口

新篠津村の人口は、近年減少傾向にあります。2020年(令和2年)の国勢調査では、人口は3,044人でした。

新篠津村と全国の年齢別人口分布(2005年) 新篠津村の年齢・男女別人口分布(2005年)
■紫色 ― 新篠津村■緑色 ― 日本全国 ■青色 ― 男性■赤色 ― 女性
新篠津村(に相当する地域)の人口の推移 1970年(昭和45年)
総務省統計局 国勢調査より

隣接自治体

  • 石狩振興局:江別市、石狩郡当別町
  • 空知総合振興局:岩見沢市、樺戸郡月形町

歴史

近代

  • 1896年(明治29年): 石狩郡篠津村(現江別市篠津)から分村し、石狩郡新篠津村となる。
  • 1915年(大正4年): 二級町村制を施行する。

現代

  • 2005年(平成17年): 厚田郡厚田村と浜益郡浜益村が石狩市に編入され、石狩振興局唯一の村となる。
  • 2009年(平成21年): しのつ公園キャンプ場オープン。
  • 2010年(平成22年)11月3日: 道の駅しんしのつオープン。

政治

行政

村長

氏名 就任 退任 備考
新篠津村長(官選)
1 吉田文治郎 大正4年4月 大正6年6月
2 後藤弥次郎 大正6年6月 大正7年12月
3 中村章 大正7年12月 大正11年7月
4 出倉清世 大正11年7月 大正12年8月
5 堤市太郎 大正12年8月 昭和3年10月
6 横山五郎 昭和3年10月 昭和5年12月
7 野村忠三郎 昭和5年12月 昭和9年5月
8 星野毅 昭和9年5月 昭和11年1月
9 石丸弥栄 昭和11年1月 昭和14年12月
10 串田静夫 昭和14年12月 昭和20年6月
11 菅原重雄 昭和20年6月 昭和21年10月
佐藤茂 昭和21年10月 昭和22年1月 職務管掌
横山権太郎 昭和22年1月 昭和22年4月 臨時代理
新篠津村長(公選)
12 野村忠三郎 昭和22年4月 昭和44年7月
13 北口永作 昭和44年7月 昭和48年6月
14 川口谷聡 昭和48年7月 昭和52年6月
15 加賀谷強 昭和52年7月 平成17年7月
16 東出輝一 平成17年7月 平成29年7月
17 石塚隆 平成29年7月 現職

市町村合併

新篠津村は、隣接する江別市と2008年度(平成20年度)の合併を目指して協議を行っていましたが、農業政策の不一致などを理由に2008年(平成20年)7月10日をもって合併協議が打ち切られました。

施設

警察

  • 北海道警察 札幌方面本部
  • 江別警察署
  • 新篠津駐在所

消防

  • 石狩北部地区消防事務組合
  • 新篠津消防署

郵便局

  • 新篠津郵便局(集配局)

対外関係

姉妹都市・提携都市

  • 湧別町(北海道 オホーツク総合振興局 紋別郡):2003年(平成15年)9月29日 – 旧上湧別町と友好都市提携

経済

新篠津村の基幹産業は農業(稲作)です。

第一次産業

農業

  • 新篠津村農業協同組合(JA新しのつ)

第三次産業

商業

新篠津村は石狩振興局の自治体ですが、空知総合振興局の岩見沢市と経済的な結び付きが強く、特に小売業においては岩見沢市の1次商圏に属しています。

物流

  • ヤマト運輸:札幌主管支店当別センター
  • 佐川急便:岩見沢営業所
  • 日本通運:札幌支店札幌自動車事業所

金融機関

信用金庫

  • 北海道信用金庫:新篠津支店
  • JAバンク北海道(北海道信用農業協同組合連合会)JA新しのつ本所

教育

中学校

  • 新篠津村立新篠津中学校

小学校

  • 新篠津村立新篠津小学校

特別支援学校

  • 北海道新篠津高等養護学校

交通

鉄道

村内に鉄道路線はありません。

  • 東部の最寄り駅:函館本線上幌向駅(岩見沢市)
  • 西部の最寄り駅:札沼線(学園都市線)北海道医療大学駅(当別町)

バス

  • 新篠津村営バス(ニューしのつバス)
  • 新篠津交通

タクシー

  • 新篠津自動車工業(新篠津ハイヤー)

道路

道道

  • 北海道道81号岩見沢石狩線
  • 北海道道139号江別奈井江線
  • 北海道道751号新篠津金沢線
  • 北海道道887号中原金沢線
  • 北海道道1121号月形幌向線

道の駅

  • 道の駅しんしのつ

観光

名所・旧跡

  • たっぷ大橋

観光スポット

  • しんしのつ温泉たっぷの湯
  • しのつ公園
  • ニューしのつゴルフ場

文化・名物

祭事・催事

  • しのつ湖わかさぎ釣り(1月〜3月)
  • 新しのつ青空まつり(現在休止)

出身関連著名人

  • 尾形回帰:ロックバンドHEREのボーカル
  • 武田将幸:ロックバンドHEREのギタリスト
  • 西井慶太:ロックバンドHEREの元ベーシスト、現インビシブルマンズデスベッドのベーシスト
  • 谷口いくみ:タレント

脚注

  1. 篠津屯田兵村史 1982, p. 23.
  2. 新篠津村史 1975, pp. 246–247.
  3. “もう一つの宍粟①開拓団の足どり”. 2018年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月20日閲覧。
  4. “新篠津 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月28日閲覧。
  5. “村勢要覧資料編”. 新篠津村. 2021年9月17日閲覧。
  6. “江別市企画政策部〜市町村合併のページ”. 2010年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月10日閲覧。
  7. 市町村合併:江別、新篠津が決裂 農業基盤整備で折り合わず /北海道 – 毎日jp(毎日新聞)

参考資料

  • 『新篠津村史』石狩郡新篠津村役場、1975年9月1日。
  • 『篠津屯田兵村史』国書刊行会、1982年8月。

外部リンク

  • 新篠津村
  • 新篠津商工会

新篠津村についてのクイズ

新篠津村の地名の由来は何ですか?

新篠津村の地名の由来は、アイヌ語の「シンノツ」(山の崎)または「シノット」(河の集まる豊かなところ)と考えられています。この地域はアイヌ民族の文化が色濃く残るところであり、アイヌ語はその風土や生活と深い関わりがあります。村が江別市篠津から分村して独立する際に、地元から提案された名称は「東篠津村」でしたが、最終的には道庁の意向で「新篠津村」となりました。この名称には、地域の歴史に対する敬意や、アイヌ文化を受け継ぐ意味合いが込められています。

新篠津村はどのような気候に特徴づけられていますか?

新篠津村は特別豪雪地帯に指定されており、年間を通じて降水量が多く、特に冬季には積雪量が非常に多いのが特徴です。この地域の気候は北海道特有のもので、厳しい冬季と高い雪の降水量によって、農業や交通、日常生活においてさまざまな影響があります。特に、冬の感じ方や雪対策は農業活動や住民の生活に直結するため、村の人々はこの気候特性に適応しながら生活しています。

新篠津村の基幹産業は何ですか?

新篠津村の基幹産業は農業(稲作)であり、地域の経済を支える重要な要素です。村内には新篠津村農業協同組合(JA新しのつ)が組織されており、稲作を中心にさまざまな農業活動が行われています。美しい自然環境と肥沃な土地で育つ稲は、村の重要な資源となっており、農業を通じて地域の伝統や文化が受け継がれています。また、石狩振興局の流通体制があることで、新篠津村の農産物は広い市場にも提供される可能性があります。

新篠津村の最寄りの鉄道駅はどこですか?

新篠津村内には鉄道駅が存在しませんが、最寄りの鉄道駅として、東部の函館本線上幌向駅(岩見沢市)が挙げられます。この駅を利用することで、新篠津村へのアクセスが可能になります。西部には札沼線(学園都市線)の北海道医療大学駅がありますが、村内への直通はないため、バスや自動車による移動が一般的です。地域の交通インフラがあまり発展していないため、村民は通常、地元の農業や日常生活の移動に自家用車や村営バスを利用しています。