十勝平野の南部に位置する更別村は、広大な農地と豊かな自然に恵まれた、のどかな村です。近年ではスマートシティモデルプロジェクトの実施地域として注目を集め、伝統を守りながら未来を見据えた発展を遂げています。
更別村の名前の由来
更別村の名前は、アイヌ語の「サルペッ(sar-pet)」に由来するとされています。「サルペッ」は「ヨシ原・川」を意味し、村を流れる猿別川にちなむと考えられています。
山田秀三氏の著書『北海道の地名』では、猿別川筋であることから「サㇽ・ペッ」の地であり、下流と区別するために「更別」と名付けられたのではないかと考察されています。また、国鉄北海道総局発行の『北海道 駅名の起源』では、上流の更別村では猿を嫌って更別としたため、駅名がそれに由来すると説明されています。
更別村の地理
更別村は、十勝総合振興局の南部に位置し、村面積の大部分は平地と耕地で占められています。上更別地区には、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」に選定されているヤチカンバ生育地(更別湿原)が広がっています。
隣接する自治体
- 十勝総合振興局
- 帯広市
- 河西郡:中札内村
- 広尾郡:大樹町
- 中川郡:幕別町
人口
更別村の人口は約3,000人で、近年は減少傾向にあります。年齢別人口分布は、全国と比べて高齢化が進んでいることがわかります。
更別村と全国の年齢別人口分布(2005年) | 更別村の年齢・男女別人口分布(2005年) |
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■紫色 ― 更別村■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性■赤色 ― 女性 |
更別村(に相当する地域)の人口の推移 | 1970年(昭和45年) |
— | — |
1975年(昭和50年) | |
1980年(昭和55年) | |
1985年(昭和60年) | |
1990年(平成2年) | |
1995年(平成7年) | |
2000年(平成12年) | |
2005年(平成17年) | |
2010年(平成22年) | |
2015年(平成27年) | |
2020年(令和2年) | |
総務省統計局 国勢調査より |
更別村の気候
更別村の気候は、ケッペンの気候区分でいうと湿潤大陸性気候に属します。寒暖の差が大きく、気温の年較差、日較差が大きいのが特徴です。降雪量も多く、豪雪地帯に指定されています。
更別(1991年 – 2020年)の気候 |
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月 |
最高気温記録 °C (°F) |
平均最高気温 °C (°F) |
日平均気温 °C (°F) |
平均最低気温 °C (°F) |
最低気温記録 °C (°F) |
降水量 mm (inch) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) |
平均月間日照時間 |
出典1:Japan Meteorological Agency |
出典2:気象庁 |
更別村の歴史
- 1947年(昭和22年) 河西郡大正村(現帯広市の一部)から、幸震(こうしん)村、幕別村、別奴(べっちゃろ)村の3大字の各一部が分村、更別村成立。
- 1948年(昭和23年) 幕別町から、勢雄(全部)、弘和(一部)の2字を編入。
- 1952年(昭和27年) 3大字を3字に再編。
- 幸震村 → 更別
- 幕別村 → 更別、上更別、更南
- 別奴村 → 更別
- 2014年(平成26年) 遊具広場「さらべつプレイランド」オープン。
更別村の経済
更別村の経済は、農業が中心です。畑作は小麦、テンサイ、ジャガイモ、アズキ、インゲンマメなどが主産物で、大規模化・機械化による効率経営が早くから推し進められてきました。農家1戸あたりの経営面積は十勝管内で最大、全国でも有数です。畜産は乳用牛が中心となっています。
立地企業
- AWアグリフーズテクノ株式会社 本社・本社工場
- 更別・十勝メガソーラースピードウェイ発電所
組合
- 更別村農業協同組合(JAさらべつ)
- 十勝内水面漁業協同組合
- 南十勝森林組合更別支所
- 北海道農業共済組合(NOSAI北海道)更別家畜診療所
郵便局
- 更別郵便局(集配局)
- 上更別郵便局
宅配便
- ヤマト運輸:道東主管支店中札内センター(帯広市)
- 佐川急便:帯広営業所(帯広市)
更別村の公共機関
国家機関
- 国立研究開発法人水産研究・教育機構
- 北海道区水産研究所十勝さけます事業所
警察
- 帯広警察署更別駐在所
消防
- とかち広域消防事務組合更別消防署
更別村の姉妹都市・提携都市
- 矢本町(宮城県、現東松島市)
更別村の教育
高等学校
- 北海道更別農業高等学校(道立)
中学校
- 更別村立更別中央中学校
小学校
- 更別村立更別小学校
- 更別村立上更別小学校
幼稚園
- 更別幼稚園
- 上更別幼稚園
更別村の交通
空港
- 帯広空港 (帯広市)
鉄道
かつては広尾線が通っていましたが、現在は廃止されています。村内には更別駅、上更別駅が設置されていました。
バス
- 十勝バス(更別案内所を設置) – 中札内村・帯広市方面、幕別町忠類・大樹町・広尾町方面(国鉄広尾線代替路線)
道路
- 高速道路
- 帯広広尾自動車道更別IC
- 一般国道
- 国道236号
- 都道府県道
- 北海道道55号清水大樹線
- 北海道道210号尾田豊頃停車場線
- 北海道道238号更別幕別線
- 北海道道470号更別停車場線
- 北海道道472号更南更別停車場線
- 北海道道716号駒畠更別線
- 道の駅
- さらべつ
更別村の名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
文化財
- 更別湿原のヤチカンバ(北海道指定天然記念物)
観光
- さらべつカントリーパーク
- 十勝スピードウェイ
- どんぐり公園
祭り・イベント
- さらべつふるさとまつり(8月下旬)
- 十勝24時間レース(7月下旬~8月上旬)
- 全日本ママチャリ12時間耐久レース(8月)
- 国際トラクターBAMBA(7月)
更別村出身の有名人
- ミナコ(お笑い芸人、どんぐりパワーズ)
- 大津広美(スピードスケート選手、トリノオリンピック女子チームパシュート4位)
- 佐藤博文(弁護士)
- Shota(ALvinoのヴォーカリスト)
更別村の未来
更別村は、伝統的な農業を基盤としつつ、スマートシティモデルプロジェクトの実施など、未来を見据えた取り組みを進めています。豊かな自然と人々の温かさに満ちた更別村は、これからも発展を続け、魅力的な村として存在し続けるでしょう。
脚注
- “令和3年度のスマートシティ関連事業の選定結果”. 内閣府 (2022年8月24日). 2023年3月19日閲覧。
- ^ a b 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、141-142頁。ASIN B000J9RBUY。
- ^ a b 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 山田秀三著作集 別巻〉、2018年11月30日。ISBN 978-4-88323-114-0。
- “「重要湿地」 No.042 更別湿原”. 環境省. 2023年6月3日閲覧。
- “更別 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月28日閲覧。
- “各営業所、案内所”. 十勝バス. 2018年6月11日閲覧。
- “文化遺産オンライン”. 文化庁. 2023-0603閲覧。
関連項目
- 全国市町村一覧
外部リンク
- 更別村
- 道の駅さらべつ
- 更別村観光協会(@sarabetsuvillage) Facebook
更別村についてのクイズ
更別村の名前の由来は何ですか?
更別村の名前はアイヌ語の「サルペッ(sar-pet)」に由来しているとされています。この言葉は「ヨシ原・川」を意味し、村を流れる猿別川にちなむということです。具体的には、山田秀三氏の著書『北海道の地名』によると、猿別川筋であることから「サㇽ・ペッ」の地であり、下流と区別するために「更別」と名付けられたのではないかと考察されています。また、国鉄北海道総局発行の『北海道 駅名の起源』では、上流の地域では猿を嫌って「更別」としたため、駅名がそれに由来するとの説明があります。このように、具体的な歴史や文化に基づいて名付けられた地域の名称は、地元のアイデンティティや自然環境を反映したものとなっています。
更別村の隣接する自治体ではないのはどこですか?
更別村は十勝総合振興局の南部に位置し、帯広市や中札内村、幕別町、大樹町などに隣接しています。しかし、札幌市は道内で最も大きな都市であり、更別村からは遠く離れた地域に位置しているため、隣接自治体には含まれません。更別村の周辺には広大な農地と自然が広がっており、地域のつながりや地理的な位置関係が重要です。観光や地域経済においても、隣接する自治体との協力が重要な役割を果たしています。
更別村の主要な産業は何ですか?
更別村の経済は主に農業を中心に成り立っています。特に、小麦、テンサイ、ジャガイモ、アズキ、インゲンマメなどの作物が主な産物として生産されています。更別村は早くから農業の大規模化と機械化を進めており、農家1戸あたりの経営面積は十勝管内で最大とされています。このような背景から、更別村は農業生産において高い効率を発揮しており、地域の経済の基盤を支える重要な役割を果たしています。また、乳用牛の飼育などの畜産業も盛んです。
更別村の気候はどの気候区分に属しますか?
更別村はケッペンの気候区分でいうと湿潤大陸性気候に属し、寒暖の差が大きいという特徴があります。この気候は、冬季においては厳しい寒さが続き、降雪量も多く豪雪地帯に指定されています。一方、夏は比較的高温になるため、年間を通じての気温差が非常に大きいことが特徴です。そのため、農業においてはこれらの気候条件を考慮し、適切な作物を選び、栽培方法を工夫する必要があります。
更別村において、遊具広場「さらべつプレイランド」がオープンした年は?
遊具広場「さらべつプレイランド」は2014年(平成26年)にオープンしました。この広場は地域住民や訪れる人々にとって、憩いの場であり、子どもたちが遊ぶことができる場として重要な役割を果たしています。また、更別村は地域の未来を見据えた取り組みを進めており、地域住民の交流を促進するイベントや施設が増えてきています。「さらべつプレイランド」もその一環として、住民の生活の質を向上させるための施設として位置づけられています。