オホーツク海に面し、雄大な自然と酪農が織りなす、静かで穏やかな町、興部町。
雄大な自然と酪農が織りなす、静かで穏やかな町、興部町。人口は約3,500人、面積は362.55平方キロメートルと、北海道の中でも比較的規模の小さい町です。しかし、その広大な大地には、酪農家たちの情熱と、豊かな自然が生み出す恵みが満ち溢れています。
概要
興部町という名前は、アイヌ語の「オウコッペ」が由来とされています。「川尻・互いにくっつく・もの(川)」という意味で、かつて町を流れる興部川と藻興部川が合流して海に注いでいたことから名付けられたと言われています。
地理
興部町は、北海道の北部に位置し、オホーツク海に面しています。町の西部を流れる興部川は、豊かな水を育み、周囲には緑豊かな山々が広がっています。標高818メートルの鬱岳など、雄大な自然に恵まれた地域です。
気候
興部町は、湿潤大陸性気候に属し、寒暖の差が大きいです。冬は厳しい寒さと大量の雪に覆われ、周辺自治体と同様に特別豪雪地帯に指定されています。しかし、オホーツク海の影響もあり、内陸部と比べて降雪量は少なく、平均気温も緩やかです。
| 興部(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 最高気温記録 °C (°F) | 平均最高気温 °C (°F) | 日平均気温 °C (°F) | 平均最低気温 °C (°F) | 最低気温記録 °C (°F) | 降水量 mm (inch) | 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 平均月間日照時間 |
|—|—|—|—|—|—|—|—|—|
| 1月 | 9.3 (48.7) | -2.3 (27.9) | -6.6 (20.1) | -12.4 (9.7) | -28.1 (-18.6) | 49.3 (1.941) | 13.2 | 87.5 |
| 2月 | 15.1 (59.2) | -1.9 (28.6) | -6.7 (19.9) | -13.1 (8.4) | -29.8 (-21.6) | 36.8 (1.449) | 10.9 | 105.5 |
| 3月 | 16.9 (62.4) | 2.2 (36) | -2.0 (28.4) | -7.3 (18.9) | -24.5 (-12.1) | 38.4 (1.512) | 11.4 | 147.4 |
| 4月 | 28.6 (83.5) | 8.9 (48) | 4.1 (39.4) | -1.2 (29.8) | -14.4 (6.1) | 46.5 (1.831) | 10.0 | 173.5 |
| 5月 | 33.9 (93) | 14.4 (57.9) | 9.1 (48.4) | 3.6 (38.5) | -5.9 (21.4) | 61.7 (2.429) | 10.2 | 179.4 |
| 6月 | 33.4 (92.1) | 17.3 (63.1) | 12.6 (54.7) | 8.0 (46.4) | -1.8 (28.8) | 73.8 (2.906) | 9.8 | 151.2 |
| 7月 | 34.1 (93.4) | 21.0 (69.8) | 16.8 (62.2) | 13.0 (55.4) | 0.7 (33.3) | 111.4 (4.386) | 10.6 | 139.6 |
| 8月 | 34.3 (93.7) | 23.1 (73.6) | 18.8 (65.8) | 14.7 (58.5) | 5.2 (41.4) | 133.1 (5.24) | 11.2 | 142.5 |
| 9月 | 32.5 (90.5) | 20.8 (69.4) | 15.6 (60.1) | 10.3 (50.5) | 0.9 (33.6) | 127.3 (5.012) | 11.3 | 160.2 |
| 10月 | 28.2 (82.8) | 14.8 (58.6) | 9.3 (48.7) | 3.6 (38.5) | -4.5 (23.9) | 88.7 (3.492) | 12.0 | 147.3 |
| 11月 | 21.8 (71.2) | 6.9 (44.4) | 2.6 (36.7) | -2.1 (28.2) | -13.7 (7.3) | 72.2 (2.843) | 13.5 | 91.2 |
| 12月 | 15.6 (60.1) | 0.2 (32.4) | -3.8 (25.2) | -8.9 (16) | -23.8 (-10.8) | 63.0 (2.48) | 12.9 | 80.8 |
| 年 | 34.3 (93.7) | 10.5 (50.9) | 5.8 (42.4) | 0.7 (33.3) | -29.8 (-21.6) | 902.1 (35.516) | 137.0 | 1,606.1 |
| 出典1: Japan Meteorological Agency |
| 出典2: 気象庁 |
歴史
興部町は、古くからアイヌ民族の生活拠点として栄えてきました。その後、松前藩の漁場となり、明治時代には開拓が進められました。1915年には紋別郡瑠橡村、沙留村、興部村が合併し、紋別郡興部村となりました。1951年には町制施行され、現在の興部町となりました。
歴代興部村長・興部町長
興部村長
- 青木金吾:1939年 –
興部町長
- 硲一寿:2003年 –
経済
興部町の基幹産業は、酪農、林業、漁業です。特に酪農は盛んで、町内には雪印メグミルク株式会社の工場などがあり、「おこっぺ牛乳」など、高品質な乳製品を生産しています。漁業では、ホタテ、サケ、マス、毛蟹などが獲れ、海の幸も豊富です。
立地企業
- 雪印メグミルク株式会社(旧・雪印乳業株式会社)興部工場
- ノースプレインファーム株式会社
- 有限会社冨田ファーム
- チーズ工房 アドナイ
- 有限会社パインランドデーリィ
農協・漁協
- 北オホーツク農業協同組合(JA北オホーツク)本所
- 沙留漁業協同組合
- 北海道農業共済組合(NOSAI北海道)興部支所・興部家畜診療所
金融機関
- 北見信用金庫興部支店
官公庁・公共機関
町の機関
- オホーツク農業科学研究センター
国・道の機関
- 北海道開発局(国土交通省)
- 網走開発建設部興部道路事務所
- オホーツク総合振興局(北海道)
- 網走建設管理部興部出張所
- 西部森林室
- 産業振興部網走農業改良普及センター紋別支所興部分室 – 2016年(平成28年)紋別支所に統合。
警察
- 興部警察署 – 2026年4月から紋別警察署と統合し「紋別警察署興部警察庁舎」となる予定。
消防
紋別地区消防組合消防本部
* 興部支署
+ 沙留派出所
医療
- 興部町国民健康保険病院
郵便
- 興部郵便局(集配局)
- 沙留郵便局
姉妹都市・提携都市
- ステットラー (カナダ、アルバータ州)
地域
人口
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 7,302人 |
1975年 | 6,763人 |
1980年 | 6,628人 |
1985年 | 6,320人 |
1990年 | 5,695人 |
1995年 | 5,277人 |
2000年 | 4,965人 |
2005年 | 4,589人 |
2010年 | 4,302人 |
2015年 | 3,909人 |
2020年 | 3,628人 |
総務省統計局 国勢調査より |
教育
- 道立高等学校
- 北海道興部高等学校
- 中学校
- 興部
- 小学校
- 興部、沙留
交通
空港
- オホーツク紋別空港 (紋別市)
鉄道
町内を鉄道路線は通っていません。鉄道を利用する場合の最寄り駅は、JR北海道宗谷本線名寄駅です。
廃止された鉄道
かつては興浜南線、名寄本線が通っていましたが、興浜南線は1985年(昭和60年)7月15日に、名寄本線は1989年(平成元年)5月1日に廃止されています。町内には班渓駅、宇津駅、北興駅、興部駅、旭ヶ丘駅、豊野駅、沙留駅、富丘駅が設置されていました。
バス
- 北紋バスが紋別方面と雄武方面、名士バスが西興部・名寄方面への鉄道廃止代行路線を運行しています。
- 町中心部から豊畑・朝日方面へは町営バスが運行されています。
道路
- 一般国道
- 国道238号
- 国道239号
- 都道府県道
- 北海道道334号中藻興部興部線
- 北海道道492号沙留停車場線
- 北海道道883号宇津沢木線
- 北海道道1055号紋別興部線
- 道の駅
- おこっぺ
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
文化財
- 興部豊野竪穴住居跡 – 道指定史跡
- 米田御殿 – 興部町指定歴史的遺産
観光
- 興部公園
- 沙留岬
- 道の駅 おこっぺ
祭事・催事
- 公園まつり(アニュウ:5月下旬)
- さるる海浜まつり(海水浴場:7月第3日曜日)
- おこっぺ 夏まつり(アニュウ:8月第1日曜日)
- ミニミニ冬まつり(アニュウ:2月中旬)
その他
- ご当地ソングとして『Oh!コッペ節』(唄:殿さまキングス)が存在します。一時『会員制ラジオ番組 うまいっしょクラブ』(STVラジオ)のジングルとして使用されていました。
出身の有名人
- THE LOCAL ART
- 清治真人 – 元技監、元国土交通省河川局長、元建設物価調査会理事長、元東京建設コンサルタント会長
- 横内武将
- 佐々木義照
- 石塚代志美 – 実業家、ワールドウッティ社長
- 澤田一範 – sax奏者
- 渋沢一葉 – グラビアアイドル、タレント
脚注
- アイヌ語ラテン翻字: o-u-kot-pe
- ^ a b “アイヌ語地名リスト エン~オニシ P21-30P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月20日閲覧。
- “興部 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月26日閲覧。
- “広報 おこっぺ 2018年7月号 第682号”. 興部町. 2019年11月5日閲覧。
- 2026年4月から紋別警察署と統合し「紋別警察署興部警察庁舎」となる予定。
外部リンク
- 興部町
- おこっぺ 町観光協会
豊かな自然と、人々の温かい優しさに包まれた、静かで穏やかな町、興部町。
ぜひ一度、訪れてみてください。
興部町についてのクイズ
興部町の地名の由来は何語に由来していますか?
興部町の地名は、アイヌ語の「オウコッペ」に由来しています。「川尻・互いにくっつく・もの(川)」という意味を持ち、興部川と藻興部川が合流して海に流れ込んでいたことに由来しています。これは地域における水の流れや地理的特徴を反映している重要な要素で、地域の歴史や文化、特にアイヌ民族の存在が深く関わっています。アイヌ語は北海道の先住民であるアイヌの文化と言語であり、その名残を残す地名は、地域の独自性やアイヌ文化の重要性を示しています。そのため、興部町がアイヌ語に由来していることは、地域のアイデンティティを理解する上で欠かせない情報となります。
興部町の基幹産業は何ですか?
興部町の基幹産業は酪農、林業、漁業です。特に酪農が盛んで、町内には雪印メグミルク株式会社の工場などがあり、質の高い乳製品を生産しています。地元の農家たちは良質な牛乳を提供し、それが町の名物である「おこっぺ牛乳」として知られています。また、漁業も重要で、海からの新鮮なホタテやサケ、マスなどが獲れ、地域の食文化を支えています。さらに、観光業も次第に注目され、自然や歴史的な名所が訪れる人々を惹きつけていますが、全体的には酪農が経済の中心として機能しています。
興部町の気候に関する特徴は何ですか?
興部町は湿潤大陸性気候に位置し、寒暖の差が大きいのが特徴です。この地域の冬は非常に寒く、大量の雪に見舞われ、特別豪雪地帯にも指定されています。しかし、オホーツク海の影響を受けるため、内陸部に比べて降雪量は少なく、比較的温和な気候条件が保たれています。夏は暖かく、湿度も高くなるが、気温の上昇は控えめで、大自然に恵まれた環境が広がっています。このような気候は、酪農や農業においても影響を与えており、地域の産業活動における特性も一因となっています。
興部町の姉妹都市はどこですか?
興部町の姉妹都市はカナダのアルバータ州に位置するステットラーです。姉妹都市関係は、地域の文化交流や経済交流を促進するために設けられることが多く、興部町とステットラーの交流は、両地域における相互理解や協力の強化を目的としています。こうした国境を越えた交流は、歴史や文化、産業を学び、豊かな多様性をもたらすものです。また、姉妹都市協定は観光促進や特産品の展示会なども含まれることがあり、興部町にとっても重要な国際交流の場となっています。
興部町の最寄りの鉄道駅はどれですか?
興部町内には鉄道路線は通っていないため、鉄道を利用する際の最寄りの駅はJR北海道宗谷本線名寄駅です。名寄駅は、興部町からのアクセスが便利で、他の地域と結ばれる交通の要所となっています。かつては興浜南線や名寄本線が町内を通過しており、いくつかの駅が設けられていましたが、これらはすでに廃止されています。現在はバスなどの公共交通機関が主な移動手段となっており、興部町の住民や訪問者にとって鉄道は身近な存在ではありません。一方で、名寄駅を利用することで、広範囲にわたるアクセスの可能性が広がります。