北海道新冠郡新冠町:サラブレッドロードと音楽が響く、魅力溢れる町

日本有数の軽種馬産地として知られる新冠町は、雄大な自然と豊かな歴史に彩られた、北海道の魅力が詰まった町です。近年ではレコードと音楽による街づくりも積極的に進めており、訪れる人を温かく迎えてくれます。サラブレッドロードを駆け抜ける馬の姿、そして音楽の調べが響き渡る新冠町の魅力を、ぜひあなたも体感してみてください。

町名の由来:アイヌ語に根ざす、新冠の物語

新冠町の「新冠」という名前は、アイヌ語の「ニカㇷ゚(ni-kap)」(木・皮〔革〕)に由来するとされています。

この名称の由来にはいくつかの説があります。

  • 衣服の色が由来とする説: 地元のアイヌの人々がニレの木の樹皮から作った衣服を着用しており、他の地域のアイヌの衣服と色が異なっていたことから「ニカㇷ゚」と呼ばれるようになったという説です。
  • 地形の由来とする説: かつて新冠川河口付近にあった大岩が突き出している地形から「ピポㇰ(pi-pok)」(岩・下)と呼ばれていたものが、その後「ニカㇷ゚」に改められたという説です。

いずれの説も、アイヌ文化と深く結びついた、新冠町の歴史を感じさせるものとなっています。

地理:雄大な自然に抱かれた町

新冠町は、北海道の日高振興局の中部に位置し、北には日高山脈、南には太平洋が広がる、雄大な自然に囲まれた町です。

山々:雄大な日高山脈

  • 幌尻岳 (2053m)
  • 戸蔦別岳 (1959m)
  • 神威岳 (1756m)
  • イドンナップ岳 (1752m)
  • エサオマントッタベツ岳 (1902m)

日高山脈の山々は、登山やハイキングを楽しむ人々にとって魅力的な場所となっています。

湖沼:豊かな水に恵まれた自然

  • 新冠湖
  • 幌尻湖

これらの湖は、豊かな生態系を育み、美しい景観を創出しています。

河川:町を潤す生命線

  • 新冠川
  • 厚別川

新冠川は、町の中心を流れ、豊かな水資源を提供しています。

気候:温暖な気候

新冠町の気候は、北海道内では温暖で、積雪も少ないのが特徴です。

| 新和(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 9.4 (48.9) | 13.2 (55.8) | 17.9 (64.2) | 25.4 (77.7) | 31.3 (88.3) | 33.2 (91.8) | 35.0 (95) | 36.0 (96.8) | 33.0 (91.4) | 25.9 (78.6) | 20.9 (69.6) | 15.5 (59.9) | 36.0 (96.8) |
| 平均最高気温 °C (°F) | -0.1 (31.8) | 0.7 (33.3) | 4.8 (40.6) | 11.7 (53.1) | 17.9 (64.2) | 21.4 (70.5) | 24.8 (76.6) | 26.0 (78.8) | 22.8 (73) | 16.4 (61.5) | 8.9 (48) | 1.9 (35.4) | 13.1 (55.6) |
| 日平均気温 °C (°F) | -7.1 (19.2) | -6.1 (21) | -0.9 (30.4) | 5.1 (41.2) | 11.3 (52.3) | 15.6 (60.1) | 19.7 (67.5) | 20.7 (69.3) | 16.5 (61.7) | 9.3 (48.7) | 2.6 (36.7) | -4.2 (24.4) | 6.9 (44.4) |
| 平均最低気温 °C (°F) | -14.5 (5.9) | -14.0 (6.8) | -7.3 (18.9) | -1.7 (28.9) | 4.5 (40.1) | 10.3 (50.5) | 15.7 (60.3) | 16.4 (61.5) | 11.0 (51.8) | 2.9 (37.2) | -3.2 (26.2) | -10.3 (13.5) | 0.8 (33.4) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -28.6 (-19.5) | -29.2 (-20.6) | -23.3 (-9.9) | -13.3 (8.1) | -4.8 (23.4) | -0.5 (31.1) | 4.9 (40.8) | 6.1 (43) | -0.7 (30.7) | -6.8 (19.8) | -15.7 (3.7) | -26.7 (-16.1) | -29.2 (-20.6) |
| 降水量 mm (inch) | 42.2 (1.661) | 40.0 (1.575) | 69.3 (2.728) | 98.5 (3.878) | 127.7 (5.028) | 99.4 (3.913) | 150.6 (5.929) | 206.3 (8.122) | 161.2 (6.346) | 125.0 (4.921) | 106.6 (4.197) | 74.0 (2.913) | 1,300.6 (51.205) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 9.0 | 9.1 | 11.1 | 12.3 | 11.8 | 9.9 | 11.4 | 12.0 | 11.5 | 13.0 | 13.5 | 11.5 | 136.2 |
| 平均月間日照時間 | 118.2 | 116.4 | 140.7 | 162.3 | 182.8 | 150.5 | 117.2 | 133.3 | 152.9 | 144.0 | 106.6 | 107.1 | 1,631.8 |
| 出典1:Japan Meteorological Agency |
| 出典2:気象庁 |

隣接自治体

  • 日高振興局
    • 沙流郡:日高町、平取町
    • 日高郡:新ひだか町
  • 十勝総合振興局
    • 帯広市
    • 河西郡:中札内村

沿革:サラブレッドの町、新冠町の歩み

新冠町は、明治時代に複数の村が合併して誕生しました。その後、軽種馬の育成が盛んになり、日本有数の馬産地として発展してきました。

  • 1881年(明治14年): 新冠郡高江村外10ケ村戸長役場が設置されます。
  • 1923年(大正12年): 新冠郡高江村など11村が合併し、新冠郡新冠村となります。
  • 1954年(昭和29年): 町村合併により、現在の町域が確定します。
  • 1961年(昭和36年): 町制施行、新冠町となります。
  • 1997年(平成9年): 道の駅サラブレッドロード新冠が開業します。

経済:馬と音楽が育む、活力あふれる町

新冠町は、軽種馬の育成、稲作、畑作、酪農など、多岐にわたる産業が活発です。

基幹産業:馬と農業

  • 軽種馬の育成: 日高軽種馬共同育成公社が置かれ、日本有数の軽種馬産地として、ハイセイコー、ナリタブライアン、コントレイルなど、数々の名馬を輩出しています。
  • 農業: 稲作、畑作、酪農などが盛んで、新鮮な農産物を生産しています。

音楽:レコードの町、新たな魅力

近年では、レコードと音楽による街づくりが進められています。町内には、60万枚を超えるレコードを所蔵する「新冠レ・コード館」があり、音楽イベントなども開催されています。

教育:未来を担う子どもたちを育む

新冠町には、中学校1校、小学校1校があります。

  • 新冠中学校
  • 新冠小学校

交通:サラブレッドロードを走る、アクセス情報

鉄道

  • 2021年3月31日までは、JR北海道の日高本線(大狩部駅 – 節婦駅 – 新冠駅)が運行していました。
  • 現在、町内には鉄道路線はありません。

バス

  • 道南バス: 静内方面、富川・鵡川・苫小牧市方面、富川・平取町方面、札幌市方面「高速ペガサス号」
  • ジェイ・アール北海道バス: 苫小牧市方面「特急とまも号」
  • 新冠町・日高町共同運行バス: 西新冠地区予約運行便

道路

  • 高速道路: 日高自動車道(厚賀静内道路) : 新冠IC(町内区間は2024年6月時点では未開通)
  • 一般国道: 国道235号
  • 都道府県道: 北海道道71号平取静内線、北海道道208号比宇厚賀停車場線、北海道道209号滑若新冠停車場線(サラブレッド銀座)、北海道道1026号新冠平取線
  • 道の駅: 道の駅サラブレッドロード新冠

名所・旧跡・観光スポット:サラブレッドと音楽に出会う旅

文化財

  • 重要無形民俗文化財: アイヌ古式舞踊(新冠民族文化保存会)
  • 北海道指定天然記念物: 新冠泥火山

文化・スポーツ施設

  • 新冠郷土資料館
  • 新冠町図書プラザ
  • 新冠町民スポーツセンター、町民プール、町民グランド

名所・観光スポット・公園

  • 新冠温泉レ・コードの湯: ホテルヒルズ隣接
  • 新冠レ・コード館
  • 新冠泥火山
  • 判官館森林公園
  • にいかっぷホロシリ乗馬クラブ
  • 優駿記念館
  • 太陽の森 ディマシオ美術館

祭事・催事

  • 氷川神社祭典、にいかっぷふるさと祭り(7月)
  • 駒まつり(9月)

出身有名人:新冠町から羽ばたいた人々

  • 田中正太郎: 政治家、初代苫小牧市長
  • 琴冠佑源正: 大相撲力士
  • 稲葉幸夫: 元調教師
  • 小島貞博: 元調教師、元騎手
  • 的場均: 調教師、元騎手
  • 東田幸男: 調教助手、元騎手
  • 藤田伸二: 元騎手
  • 新田隆之: 映画美術監督
  • 向井成一郎: シンガーソングライター
  • 大谷博子: 漫画家
  • 久間十義: 小説家
  • 福ちゃん: お笑い芸人

主要な生産馬:サラブレッドロードを駆け抜けた名馬たち

  • ハイセイコー
  • ナリタブライアン
  • コントレイル
  • キタノオー
  • トウカイテイオー
  • キングヘイロー
  • ディープボンド
  • ウインブライト
  • その他多数

まとめ

新冠町は、サラブレッドロードを駆け抜ける馬の姿と、音楽の調べが響き渡る、魅力溢れる町です。雄大な自然と豊かな歴史、そして活気ある街並みが調和した新冠町で、忘れられない思い出を作りましょう。

新冠町についてのクイズ

新冠町の「新冠」という名前の由来は何語に根ざしているか?

新冠町の「新冠」という名前は、アイヌ語の「ニカㇷ゚(ni-kap)」に由来するとされています。この名称は、地元のアイヌの文化と密接に結びついており、地域の自然や文化的背景を反映しています。アイヌ語は北海道の先住民族であるアイヌの言語であり、その意味は「木・皮〔革〕」を指すとされています。複数の由来に関する説が存在し、中でも地元の人々の衣服の色や、かつての地形に由来する説が有名です。これらの説は、新冠町の歴史を知る手がかりとなり、地域文化の重要性を再認識させるものでもあります。新冠町を訪れる際には、この語の意味を思い出しながら、土地の文化を深く理解することができるでしょう。

新冠町に存在する湖の一つはどれか?

新冠町には「新冠湖」と呼ばれる湖が存在し、豊かさと美しさを併せ持つ自然が広がっています。この湖は新冠町の生態系に寄与し、周囲の自然環境と調和した美景を提供しています。新冠湖は、地元の人々や観光客にとって、ハイキングや湖の周辺でのレクリエーション活動などが楽しめる場所として人気を集めています。北海道には多様な湖があり、それぞれ独自の魅力を持っていますが、新冠湖は特に生態系が豊かで、訪れる人々にリフレッシュや癒しの時間を提供しています。自然観察やバードウォッチングの活動にも向いており、地元の自然を楽しむまたとない場所となっています。

新冠町の主な基幹産業には何が含まれているか?

新冠町は軽種馬の育成と農業が主な基幹産業として盛んです。特に軽種馬の育成は全国的に知られており、ハイセイコーやナリタブライアン、コントレイルといった名馬を輩出しています。これにより新冠町は日本有数の馬産地としての地位を築いています。農業も重要な産業で、稲作や畑作、酪農などが活発に行われており、新鮮な農産物が生産されています。このような地元の特産品は、町の経済を支える要素であり、地域の文化や生活にも深く根ざしています。地域産業が活発であることは、町の活力や持続可能性に寄与する重要な要素であり、新冠町の住民が地元での生産活動に誇りを持っていることを示しています。

新冠町の岩を出発点にその名前がついた地形は何と呼ばれているか?

新冠町の地名の由来に関する説の一つは、「ピポㇰ(pi-pok)」と呼ばれる地形に基づいています。かつて新冠川河口付近には大岩が突き出しており、これが「岩・下」という意味の名称で呼ばれていました。その後、この名称は「ニカㇷ゚」に改められました。地形に基づく名前の由来は地域の歴史や文化に大きく影響を与える要素であり、地名の持つ意味を探ることによって、地域の歴史やアイヌ文化に対する理解が深まります。新冠町に訪れる際には、その名前の由来を考えながら土地を歩くことで、地域の文化と歴史をさらに身近に感じることができるでしょう。

新冠町を訪れる際の交通手段として現在利用できないものはどれか?

新冠町には2021年3月31日までJR北海道の日高本線が運行しており、鉄道が交通手段の一つとして利用されていました。しかし、現在は町内に鉄道路線が存在せず、鉄道を利用することはできません。代わりに、バスや自動車といった他の交通手段が利用されています。具体的には、道南バスやジェイ・アール北海道バスが定期的に運行され、他の地域とのアクセスを提供しています。また、高速道路や一般国道も通っており、自家用車での移動も可能です。このように、鉄道は利用できなくなったものの、依然として新冠町へのアクセスを確保する手段は整っています。訪問者はこれらの交通手段を利用し、魅力的な新冠町を探索することができます。