北海道三笠市:炭鉱の遺産と豊かな自然が織りなす、魅力あふれる街

かつて東洋一の立坑を誇った住友奔別炭鉱など、活気あふれる炭鉱都市として栄えた三笠市。しかし、相次ぐ炭鉱閉山により人口は減少、現在は過疎化が進む街となっています。それでも、豊かな自然と歴史文化、そして活気のある人々の暮らしは健在です。三笠市は、炭鉱の遺産と自然の美しさを融合させた、新たな魅力を発掘しつつ、未来へ向かう街なのです。

概要

三笠市は、北海道の中央部(道央地方)に位置し、空知総合振興局に属する市です。かつては、北海道で最初の鉄道が開通した地であり、石狩炭田の開拓の中心的な役割を果たしてきました。しかし、1989年の北炭幌内炭鉱閉山を機に、炭鉱産業は衰退し、人口は激減しました。現在、三笠市は過疎化と向き合いながらも、地域資源を活用した観光や農業、工業の振興に力を入れています。

地理

三笠市は、西以外の三方を山に囲まれた地形をしています。東部には、豊かな自然が広がる桂沢湖があります。市内には、かつての炭鉱の跡地や、エゾミカサリュウやアンモナイトなどの貴重な化石が発見された場所など、歴史と自然が調和した景観が広がっています。

地形

山地

  • 幾春別岳(1,068m)
  • 幌尻岳(836m)
  • 達布山
  • 三笠山(観音山)など

河川

  • 幾春別川
  • 奔別川
  • 幌内川
  • 市来知川
  • ヌッパ川
  • 川内川など

湖沼

  • 桂沢湖

水源地

  • ヌッパ水源地
  • 岩見沢市一の沢水源地など

地域

  • 住宅団地: 道営住宅美園高台

人口

三笠市の人口は、1955年には57,519人でしたが、その後は炭鉱閉山による人口流出が続き、2020年には8,040人と、かつての活気は失われてしまいました。現在も、高齢化が進むなど、人口減少は深刻な課題となっています。

歴史

三笠市は、北海道の歴史において重要な役割を果たしてきた街です。石炭の発見、鉄道の開通、電話の開通など、北海道開拓史における多くの「最初」を経験してきました。また、炭鉱で働く人々の歌として知られる「北海盆唄」の発祥の地でもあります。

沿革

  • 白亜紀の地層: 三笠市には、白亜紀の地層が広く分布し、多くの化石が発見されています。三笠市立博物館には、エゾミカサリュウや三葉虫、アンモナイト、マンモス、恐竜などの化石が展示されています。
  • 1868年: 幌内で石炭が発見されます。
  • 1879年: 幌内炭鉱が開かれます。
  • 1882年: 官営幌内鉄道が全通します。これは、北海道で最初の蒸気機関を用いた鉄道でした。
  • 1889年: 幌内村、幾春別村、市来知村の一部が合併し、三笠山村が誕生します。
  • 1906年: 三笠山村が町制を施行し、三笠町となります。
  • 1942年: 三笠町が市制を施行し、三笠市となります。
  • 1971年: 住友奔別炭鉱が閉山します。
  • 1989年: 北炭幌内炭鉱が閉山します。
  • 2012年: 人口が1万人を割り込みます。

政治

行政

  • 市長: 西城賢策(2015年5月1日就任、3期目)

議会

  • 市議会: 定数10

財政

三笠市の財政状況は、炭鉱閉山による人口減少と税収減の影響で厳しい状況です。財政力指数は0.20と、類似団体平均を大きく下回っています。歳入の約50%が地方交付税に依存しており、財政の安定化が課題となっています。

施設

警察

  • 北海道警察札幌方面本部三笠警察庁舎
    • 三笠警察庁舎(旧署所在地交番)
    • 岡山駐在所
    • 幌内駐在所
    • 唐松駐在所
    • 弥生駐在所
    • 幾春別駐在所

消防

  • 三笠市消防本部
    • 三笠市消防署

郵便局

  • 三笠郵便局(集配局)
  • 三笠岡山郵便局
  • 三笠幌内郵便局
  • 唐松郵便局
  • 三笠弥生郵便局
  • 幾春別郵便局

対外関係

姉妹都市・提携都市

  • 海外: 自貢市(中華人民共和国 四川省)

経済

かつて炭鉱都市として栄えた三笠市は、現在は工業と農業が基幹産業となっています。三笠工業団地や三笠第2工業団地が整備され、製造業を中心に企業が進出しています。一方で、農業では、三笠メロンや三笠スイカ、三笠たまねぎなど、特産品を育成し、地域ブランドの確立を目指しています。

第一次産業

  • 三笠メロン
  • 三笠スイカ
  • 三笠たまねぎ
  • 三笠カンロ
  • 黒さんご(三笠きゅうり)
  • 恐竜漬け
  • 三笠漬け
  • 北邦の梅
  • 山崎ワイン
  • 三笠梅ワイン

第二次産業

  • 北海道民芸家具

第三次産業

  • 物流
  • 金融機関

教育

三笠市には、高校、中学校、小学校、幼稚園など、教育機関が充実しています。特に、北海道三笠高等学校は、道内唯一の食物調理科単科校として、食文化を学ぶ学生たちに人気です。

高等学校

  • 北海道三笠高等学校

中学校

  • 三笠市立三笠中学校
  • 三笠市立萱野中学校(小中一貫教育実施校)

小学校

  • 三笠市立三笠小学校
  • 三笠市立岡山小学校(小中一貫教育実施校)

幼児教育

  • 三笠まつばの杜(認定こども園)

交通

かつては幌内線や森林鉄道が運行していましたが、現在はすべて廃止され、鉄道は函館本線の岩見沢駅が最寄り駅となっています。市内には、北海道中央バスや三笠市営バスが運行しています。

鉄道

  • 函館本線: 岩見沢駅、峰延駅

バス

  • 北海道中央バス
  • 三笠市営バス

タクシー

  • 三笠北交ハイヤー

道路

  • 道央自動車道: 三笠インターチェンジ
  • 国道12号
  • 国道452号
  • 北海道道30号三笠栗山線
  • 北海道道116号岩見沢三笠線
  • 北海道道917号岩見沢桂沢線
  • 北海道道1129号三笠栗沢線
  • 北海道道1140号美唄三笠線

道の駅

  • 三笠(サンファーム三笠)

観光

三笠市は、炭鉱の歴史を学ぶことができる史跡や、豊かな自然を満喫できる観光スポットが数多く存在します。また、近年ではジオパークとしても注目を集めており、地質学的にも貴重な場所となっています。

文化財

  • エゾミカサリュウ化石(三笠市立博物館蔵)
  • 典獄官舎レンガエントツ(市指定有形文化財)
  • 市指定有形文化財(8件)
  • 市指定有形民俗文化財(3件)
  • 合葬の碑(市指定史跡)
  • 戸長役場・警察署跡(市指定史跡)
  • 達布山(市指定史跡)
  • アンモナイト化石(市指定天然記念物、三笠市立博物館蔵)

名所・旧跡

  • 達布山展望台
  • 三笠山(観音山)
  • 空知集治監レンガ煙突
  • ヌッパ水源地
  • 炭鉱史跡群

観光スポット

  • 三笠鉄道村
  • クロフォード公園
  • 三笠市立博物館
  • ファミリーランドみかさ遊園
  • 富良野芦別道立自然公園桂沢湖
  • 桂沢国設スキー場
  • 桂沢国設キャンプ場
  • みかさ梅林邦梅園
  • 旧萱野駅
  • 旧唐松駅

温泉

  • 湯の元温泉
  • 桂沢温泉
  • 西桂沢温泉
  • 三笠温泉
  • 三笠天然温泉 太古の湯

博物館・資料館

  • 三笠鉄道記念館
  • 三笠市立博物館
  • ミカサ・モダンアートミュージアム
  • 三笠市文化芸術振興促進施設ciel(シエル)

散策

  • 三笠運動公園
  • 柏町グリーンパーク
  • 三笠水辺の楽校
  • 北炭幌内炭鉱跡地散策路・幌内神社

文化・名物

祭事・催事

  • みかさちびっこ雪まつり
  • みかさ梅まつり
  • 幾春別川カップ・イン・三笠
  • 北海盆唄全国大会
  • 三笠ダムフェスタ・みかさ遊園まつり
  • 三笠北海盆おどり・花火大会
  • 三笠祭り(市来知神社祭典)
  • みかさ桂沢紅葉まつり

出身者等

著名な出身者

  • 安達悦二郎(元遠軽町長)
  • 伊藤辰史(元日本スーパーウエルター級チャンピオン)
  • 大和屋巌(画家)
  • 川俣正(芸術家、造形作家)
  • 加勢清光(公認会計士)
  • 倉橋ルイ子(歌手)
  • 黒川利雄(医師、医学者)
  • 小日向文世(俳優)
  • 今野敏(小説家)
  • 名和豊春(工学者)
  • 西城賢策(三笠市長)
  • 西尚美(漫画家)
  • 能登和夫(元三笠市長)
  • 林竧(商法学者)
  • 松野哲(岩見沢市長)
  • 三笠山護(元力士)
  • 宮川昭義(拓殖大学教授)
  • 森山豊(医師)
  • もんでんあきこ(漫画家)
  • 山田清志(経済学者)
  • 吉岡宏高(札幌国際大学教授、夕張市石炭博物館館長)

脚注

  1. ^ a b 三笠市 人口1万人割る 石炭産業の衰退で急激に減少 ― 北海道新聞
  2. 但し、岩見沢市、美唄市などと同一MA(市外局番0126、市内局番は20~69、80~99は未使用)である。
  3. ^ a b 山田秀三『北海道の地名』(2版)草風館、浦安市〈アイヌ語地名の研究 別巻〉、2018年11月30日、43-44頁。ISBN 978-4-88323-114-0。
  4. 総務省統計局統計調査部国勢統計課 (27 January 2017). 平成27年国勢調査小地域集計01北海道《年齢(5歳階級),男女別人口,総年齢及び平均年齢(外国人-特掲)-町丁・字等》 (CSV) (Report). 総務省. 2017年5月20日閲覧。※条町区分地の一部に0人の地域がある場合でも他の同一区分地で人口がある場合は除いた。
  5. 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、55頁。ISBN 9784816922749。
  6. 日外アソシエーツ編集部『日本災害史事典 1868-2009』p.67
  7. 日外アソシエーツ編集部『日本災害史事典 1868-2009』p.83
  8. 図典 日本の市町村章 p21
  9. 日外アソシエーツ編集部『日本災害史事典 1868-2009』p.122
  10. https://www.city.mikasa.hokkaido.jp/hotnews/detail_sp/00000036.html
  11. http://www.hokkaido-michinoeki.jp/michinoeki/172/
  12. 毎日新聞 (2013年9月25日). “「日本ジオパーク 「三笠」認定 市長「記念すべき日」 とかち鹿追は保留 /北海道”. 2017年1月9日閲覧。
  13. https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/keimu/saihen/pdf/data-4.pdf
  14. https://www.hkd.mlit.go.jp/sp/ikushunbetu_damu/kluhh4000000euq8.html
  15. https://www.city.mikasa.hokkaido.jp/education/detail_sp/00007380.html
  16. 北海道三笠市. “北海道三笠市”. ciel 三笠市文化芸術振興促進施設. 2021年7月3日閲覧。
  17. 北海道三笠市. “北海道三笠市”. みかさぐらし 三笠市移住定住情報. 2021年7月3日閲覧。
  18. 歴代知事編纂会 1983, 142-144頁.
  19. “○三笠市議会議員定数条例”. 2019年5月2日閲覧。
  20. 箱館はじめて物語 中尾仁彦 2010年 p43

参考文献

  • 『新三笠市史通史編』(三笠市史編さん委員会編、三笠市、1993年)
  • 『最新三笠市街地図(周辺図付)』(地勢堂、1967年)
  • 『蝦夷地開拓と入植者』(北海道入植、藩の分布図 明治二年)
  • 歴代知事編纂会 編集『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』 第1、歴代知事編纂会、1983年。

関連項目

  • エゾミカサリュウ
  • 幌内線
  • 北海道炭礦汽船
  • 全国市町村一覧
  • 三笠市民生活協同組合
  • 弥生生活協同組合
  • 旧北海道中央バス三笠ターミナル
  • 富良野芦別道立自然公園

外部リンク

行政

  • 三笠市役所

観光

  • 三笠市|観光
  • 三笠ジオパーク

三笠市についてのクイズ

三笠市のかつての産業は何ですか?

三笠市はかつて炭鉱産業が栄えた都市で、特に住友奔別炭鉱などが有名です。この炭鉱は東洋一の立坑を誇り、多くの労働者を受け入れ、地域経済を支えていました。しかし、1989年の北炭幌内炭鉱の閉山後、炭鉱産業は衰退し、それに伴い人口も激減しました。現在では過疎化が進んでいますが、三笠市は農業や観光業などの新たな産業の振興に力を入れており、特産品の育成や観光資源の拡充を図っています。

三笠市が設置されている地方はどこですか?

三笠市は北海道の中央部、道央地方に位置しており、空知総合振興局に属しています。このエリアは、かつて炭鉱が栄えたことで知られる地域で、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。また、石炭の発見や鉄道の開通など、北海道開拓史における数多くの「最初」を経験してきたため、地域の文化や経済にも大きな影響を与えています。

三笠市の代表的な観光スポットの一つは何ですか?

三笠市には自然豊かな桂沢湖があり、観光スポットの一つとして人気があります。この湖は、アウトドア活動やレクリエーションの場として多くの訪問者に利用されています。また、周辺にはキャンプ場やスキー場もあり、四季折々の自然を楽しむことができます。三笠市は、地域の歴史や文化に加えて、自然環境の美しさも訪れる価値がある場所です。

三笠市の現在の市長は誰ですか?

三笠市の現市長は西城賢策です。2015年に市長に就任した彼は、地域の過疎化や財政難といった課題に取り組んでいます。市政の運営にあたり、地域資源を活用した観光振興や、過疎化対策、社会福祉の充実などを目指し、地域に活気を取り戻すための努力を続けています。

三笠市で有名な特産品は何ですか?

三笠市の特産品の一つに、三笠メロンがあります。これは、農業の振興に力を入れる中で育成された特産品であり、地域のブランドとして認知されています。三笠メロンは甘さが特徴で、多くの人々に親しまれています。このように、市は特産品を通じて地域活性化を図っており、観光客を引き寄せる要因となっています。