北海道の秘境、増毛町:歴史と自然が織りなす魅惑の町

雄大な日本海と険しい山々が織りなす壮大な景観、そして歴史と文化が息づく北海道増毛郡増毛町は、静かで美しい魅力に溢れる町です。 ボタンエビの漁獲高日本一を誇る豊かな漁場や、北海道遺産に登録されたレトロな街並みは、多くの観光客を惹きつけます。増毛町は、古き良き日本の風情と、雄大な自然が調和した、忘れかけていた大切な何かを取り戻せる場所かもしれません。

地理:日本海の雄大な景色と険しい山々

増毛町は、北海道の北西部、留萌振興局管内南部に位置する町です。西に広がる日本海と東にそびえ立つ山々に挟まれた、険しい地形が特徴です。町の中心部は沿岸部に集中していますが、別苅以西の海岸は急峻な断崖が続き、かつては陸の孤島と呼ばれていました。

山々

  • 暑寒別岳 (1,491 m):暑寒別天売焼尻国定公園の中心となる標高 1,491m の雄大な山。
  • 群別岳 (1,376 m)
  • 浜益岳 (1,258 m)

河川

  • 信砂川
  • 箸別川

隣接する自治体

  • 留萌振興局
  • 留萌市
  • 空知総合振興局
  • 雨竜郡:北竜町、雨竜町
  • 樺戸郡:新十津川町
  • 石狩振興局
  • 石狩市

気候:穏やかな日本海性気候

増毛町は日本海側に位置し、冬は雪が多く、日照時間も短くなります。しかし、夏冬の寒暖差は小さく、北海道の中では比較的穏やかな気候です。まれに南風が吹くとフェーン現象が発生し、気温が急上昇することもあります。

| 増毛(1991 – 2020)の気候 |
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| 月 | 1 月 | 2 月 | 3 月 | 4 月 | 5 月 | 6 月 | 7 月 | 8 月 | 9 月 | 10 月 | 11 月 | 12 月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 10.9 (51.6) | 15.3 (59.5) | 17.5 (63.5) | 27.7 (81.9) | 32.4 (90.3) | 30.5 (86.9) | 33.6 (92.5) | 34.2 (93.6) | 33.5 (92.3) | 29.2 (84.6) | 22.0 (71.6) | 15.9 (60.6) | 34.2 (93.6) |
| 平均最高気温 °C (°F) | -0.7 (30.7) | -0.2 (31.6) | 3.5 (38.3) | 9.9 (49.8) | 15.6 (60.1) | 19.0 (66.2) | 23.0 (73.4) | 24.7 (76.5) | 21.6 (70.9) | 15.5 (59.9) | 8.1 (46.6) | 1.7 (35.1) | 11.8 (53.2) |
| 日平均気温 °C (°F) | -3.3 (26.1) | -3.0 (26.6) | 0.5 (32.9) | 6.0 (42.8) | 11.4 (52.5) | 15.4 (59.7) | 19.5 (67.1) | 20.9 (69.6) | 17.4 (63.3) | 11.5 (52.7) | 4.9 (40.8) | -1.0 (30.2) | 8.4 (47.1) |
| 平均最低気温 °C (°F) | -6.4 (20.5) | -6.4 (20.5) | -3.0 (26.6) | 1.9 (35.4) | 7.1 (44.8) | 11.8 (53.2) | 16.3 (61.3) | 17.3 (63.1) | 13.3 (55.9) | 7.5 (45.5) | 1.7 (35.1) | -3.7 (25.3) | 4.8 (40.6) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -17.4 (0.7) | -16.3 (2.7) | -15.1 (4.8) | -7.1 (19.2) | -1.7 (28.9) | 2.4 (36.3) | 7.4 (45.3) | 9.5 (49.1) | 4.5 (40.1) | -1.3 (29.7) | -7.7 (18.1) | -16.3 (2.7) | -17.4 (0.7) |
| 降水量 mm (inch) | 79.5 (3.13) | 52.2 (2.055) | 48.2 (1.898) | 42.1 (1.657) | 54.6 (2.15) | 54.4 (2.142) | 104.3 (4.106) | 121.6 (4.787) | 143.4 (5.646) | 142.3 (5.602) | 145.6 (5.732) | 98.0 (3.858) | 1,085.9 (42.752) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 17.0 | 12.9 | 11.7 | 9.9 | 9.8 | 8.5 | 9.2 | 10.5 | 13.0 | 14.7 | 18.0 | 18.3 | 153.3 |
| 平均月間日照時間 | 38.1 | 62.2 | 127.0 | 179.4 | 206.7 | 176.3 | 172.5 | 176.9 | 168.7 | 121.3 | 52.6 | 28.2 | 1,509.9 |
| 出典:気象庁 |

歴史:北の守り人として栄えた港町

増毛町は、古くからアイヌ民族の居住地であり、その後、松前藩や久保田藩の支配を経て、明治時代には開拓使の拠点として発展しました。かつては増毛支庁が置かれ、北海道北部の重要な行政の中心地でしたが、現在は留萌市に移転し、留萌振興局となっています。

増毛町の歴史における主な出来事

  • 1751 年 (宝暦元年):松前の商人、村山伝兵衛が出張番屋を置く。
  • 江戸時代後期:ロシアの進出に備え、久保田藩により元陣屋が設置され、北方警備の拠点となる。
  • 1897 年 (明治 30 年):増毛支庁を設置。
  • 1900 年 (明治 33 年):増毛郡増毛市街 9 町、増毛村、別苅村、岩尾村、暑寒沢村、阿分村、舎熊村が合併し、増毛町となる。
  • 1914 年:支庁を留萌に移転し、留萌支庁に改称。
  • 1921 年 (大正 10 年):留萠線(現留萌本線)が増毛まで開通。
  • 1981 年 (昭和 56 年):雄冬地区までの国道が開通。
  • 2016 年 (平成 28 年):留萌本線の増毛駅 – 留萌駅間の路線が廃止。

経済:豊かな漁場と伝統の酒造業

増毛町は、古くから漁業が盛んな町として知られてきました。昭和 30 年頃まではニシン漁が隆盛を極めましたが、資源の枯渇により漁獲量が激減しました。その後は、近海漁業や水産加工が中心となり、現在ではボタンエビの漁獲高が日本一を誇っています。

主要産業

  • 漁業: ボタンエビ、アマエビ、タコなどの水揚げが豊富。
  • 商業
  • 農業: 主に果樹栽培。
  • 工業: 食品工業

伝統の酒造業

増毛町は、良質な水を利用した酒造業も盛んです。明治時代から続く國稀酒造は、日本最北の造り酒屋として、地元産の米と水を使ったこだわりの日本酒を製造しています。

文化財:歴史と伝統が息づく町並み

増毛町には、歴史的な建造物が数多く残っており、その中には北海道遺産に登録されているものも含まれます。

重要文化財(建造物)

  • 旧本間家住宅 5 棟: 旧商家丸一本間家。明治時代に建てられた、伝統的な商家建築の貴重な例。

町指定史跡

  • 開拓使増毛船改所跡
  • 御料局札幌支庁増毛出張所跡
  • 増毛運上屋跡
  • 津軽藩増毛勤番越年陣屋跡
  • 秋田藩増毛元陣屋跡
  • 増毛治安裁判所跡
  • 秋田藩元陣屋第一台場跡
  • 開拓使増毛外五郡役所跡
  • 官立札幌病院増毛出張所跡
  • 山口藩増毛出張所跡
  • 雄冬冷清水
  • 雄冬遺跡
  • 松浦武四郎信砂越えの地
  • 増毛土木派出所跡
  • 入船町浜茶屋跡
  • 旧増毛山道入口
  • 増毛郡役所出張所跡
  • 旧高橋農場跡
  • 別苅発祥の地
  • 普伝寺跡
  • 秋田藩元陣屋第二台場跡
  • 仁奈良山道仁奈良駅逓跡
  • 水戸藩主一行宿営の地
  • 舎熊遺跡
  • 阿分発祥の地
  • 増毛新廓跡
  • 信砂水田発祥の地
  • リンゴ栽培の父 藤原筆吉翁の碑
  • 増毛税務署跡
  • 天塩国水産会さけます孵化場跡

その他

  • 増毛厳島神社本殿: 町指定有形文化財。
  • 雄冬神楽: 町指定無形文化財。増毛町雄冬の雄冬神社で行われる伝統芸能。

観光:雄大な自然と歴史を満喫

増毛町は、雄大な自然と歴史的な建造物を満喫できる魅力的な観光スポットです。

暑寒別天売焼尻国定公園

  • 暑寒別岳: 北海道の代表的な山岳景観を楽しめる。登山道も整備されている。
  • 雄冬岬: 日本海の荒波が打ち付ける雄大な景色が広がる。

郷土芸能

  • 雄冬神楽: 伝統的な神楽が受け継がれている。

歴史的建造物群

  • 総合交流促進施設「元陣屋」: かつての久保田藩の陣屋跡に建てられた施設。歴史資料の展示やイベントなどが開催されている。
  • 弁天神社: 海を見下ろす高台に位置する神社。
  • 岩尾温泉: 落ち着いた雰囲気の温泉施設。

その他

  • 厳島神社: 海に面した神社。
  • 旧本間家住宅: 明治時代の商家の暮らしを垣間見ることができる。

出身の有名人

増毛町は、様々な分野で活躍する著名人を輩出しています。

  • 三國清三: フランス料理シェフ。
  • 池田三男: メルボルンオリンピックレスリング金メダリスト。
  • 桂本和夫: 元国鉄スワローズ、メルボルンオリンピック 5 位入賞。
  • 琴若央雄: 元大相撲力士(最高位は前頭 2 枚目)。
  • 遠田誠治: 元中日ドラゴンズ。
  • 本間一夫: 日本点字図書館創設者。
  • 本間貞雄: 元札幌信用金庫理事長。
  • 本間欧彦: 札幌市出身、フジテレビプロデューサー、本間貞雄の孫。
  • 石崎喜太郎: 元道漁連会長、町長石崎大輔の父。
  • 小笠原賢二: 文芸評論家。
  • 富野康日己: 順天堂大学医学部教授。
  • 高津カリノ: 漫画家。

まとめ:忘れかけていた大切な何かを取り戻せる町

北海道増毛町は、雄大な自然と歴史が調和した、静かで美しい魅力に溢れる町です。
ボタンエビの漁獲高日本一を誇る豊かな漁場や、北海道遺産に登録されたレトロな街並みは、多くの観光客を惹きつけます。増毛町は、都会の喧騒を離れ、ゆったりと過ごすのに最適な場所です。ぜひ一度訪れて、忘れかけていた大切な何かを取り戻してみてはいかがでしょうか。

増毛町についてのクイズ

増毛町の主な産業は何ですか?

増毛町は豊かな漁場として知られ、特にボタンエビの漁獲高が日本一を誇っていることで有名です。漁業は町の経済の中心であり、昔から多様な水産物が水揚げされてきました。特にニシン漁が盛んだった昭和30年頃までは、漁業が主要な産業として町の発展に寄与していました。しかし、資源の枯渇によりニシンの漁獲量が減少したため、最近では近海漁業や水産加工業が中心となっています。それに加え、農業や工業も行われているものの、漁業が町の経済の根幹を成していることは変わりません。増毛町の漁業の伝統とその影響は、地域の文化や生活に深く根ざしています。

増毛町で最も有名な酒造会社はどれですか?

増毛町の酒造業は歴史のあるもので、特に明治時代から続く「國稀酒造」が有名です。この酒造は、日本最北の造り酒屋であり、地元産の米と水を使用して造られた日本酒は、全国的にも評価されています。良質な水が豊富で、酒造りに適した環境が整っているため、昔から地元の人々に親しまれてきました。地元の食材を活かした酒造りは、地域の経済にも寄与しており、観光客にも人気があります。國稀酒造は地域の文化と伝統の象徴としても認識されており、増毛町を訪れる観光客にとって必見のスポットといえるでしょう。

増毛町の主要な河川はどれですか?

増毛町には主に「信砂川」と「箸別川」の二つの河川がありますが、信砂川は特に町の重要な水源となっています。これらの河川は、増毛町の自然環境を形成する重要な要素であり、地域の生態系に寄与しています。また、信砂川は地元住民にとって親しみのある存在で、釣りやレジャーの場としても活用されています。流域の自然環境は多様であり、登山やハイキングなどのアウトドア活動にも適しています。河川の存在は、地域の生活や文化にも深く影響を与えており、増毛町の美しい風景の一部となっているのです。

増毛町の気候はどのような特徴がありますか?

増毛町は日本海側に位置し、気候は「穏やかな日本海性気候」が特徴です。冬は雪が多く、日照時間は短くなりますが、夏と冬の寒暖差が小さいため、比較的過ごしやすい環境が整っています。この地域では、南風が吹くとフェーン現象が発生し、気温が急上昇することがあるものの、全体的に安定した気候が住民にとって住みやすさをもたらしています。年間を通じての降水量も多いですが、夏の湿度が高いことはありますが、年間を通して温暖な季節を持つことが可能です。このような気候条件は、地域の農業や漁業に大きな影響を与えています。