北海道木古内町:咸臨丸とみそぎ祭りが彩る、歴史と自然が織りなす魅力的な町

渡島半島南西部に位置する木古内町は、津軽海峡に面した雄大な自然と、歴史深い文化が調和する魅力的な町です。咸臨丸の悲劇の地として知られるサラキ岬や、古くから続く伝統的な「みそぎ祭り」など、見どころ満載です。

概要

町名の由来

木古内町の名前は、アイヌ語の「リリオナイ(リロナイ)」に由来するとされています。これは「波・入れる・川」を意味し、満潮時に潮が川を逆流する様子から名付けられたと言われています。

地理

自然

木古内町は、渡島半島南西部に位置し、南部は津軽海峡に面しています。北部は山岳地帯で、町の中心部にはわずかな平野部が広がっています。

山地

  • 桂岳(734m)

河川

  • 瓜谷川
  • 大釜谷川
  • 大平川
  • 亀川
  • 木古内川
  • 幸連川
  • 佐女川
  • 建有川
  • 中野川

湖沼

  • なし

気候

木古内町は、西岸海洋性気候に属していますが、冬は積雪が多く、「特別豪雪地帯」に指定されています。

| 木古内(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 11.6 (52.9) | 15.5 (59.9) | 16.7 (62.1) | 25.4 (77.7) | 30.4 (86.7) | 29.4 (84.9) | 34.2 (93.6) | 34.1 (93.4) | 32.5 (90.5) | 27.5 (81.5) | 23.4 (74.1) | 16.9 (62.4) | 34.2 (93.6) |
| 平均最高気温 °C (°F) | 0.9 (33.6) | 1.7 (35.1) | 5.5 (41.9) | 11.4 (52.5) | 15.9 (60.6) | 18.8 (65.8) | 22.7 (72.9) | 25.1 (77.2) | 22.9 (73.2) | 17.0 (62.6) | 9.9 (49.8) | 3.1 (37.6) | 12.9 (55.2) |
| 日平均気温 °C (°F) | -2.3 (27.9) | -1.8 (28.8) | 1.5 (34.7) | 6.7 (44.1) | 11.4 (52.5) | 15.1 (59.2) | 19.4 (66.9) | 21.6 (70.9) | 18.3 (64.9) | 12.0 (53.6) | 5.6 (42.1) | -0.2 (31.6) | 8.9 (48) |
| 平均最低気温 °C (°F) | -5.7 (21.7) | -5.4 (22.3) | -2.6 (27.3) | 1.8 (35.2) | 7.1 (44.8) | 11.8 (53.2) | 16.7 (62.1) | 18.5 (65.3) | 14.0 (57.2) | 7.1 (44.8) | 1.5 (34.7) | -3.4 (25.9) | 5.1 (41.2) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -14.9 (5.2) | -15.6 (3.9) | -14.1 (6.6) | -9.1 (15.6) | -0.9 (30.4) | 3.5 (38.3) | 7.6 (45.7) | 9.6 (49.3) | 3.2 (37.8) | -1.1 (30) | -7.9 (17.8) | -13.0 (8.6) | -15.6 (3.9) |
| 降水量 mm (inch) | 96.9 (3.815) | 79.8 (3.142) | 72.7 (2.862) | 76.1 (2.996) | 87.4 (3.441) | 87.7 (3.453) | 132.7 (5.224) | 159.9 (6.295) | 153.8 (6.055) | 110.2 (4.339) | 122.4 (4.819) | 120.8 (4.756) | 1,293 (50.906) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 19.3 | 16.5 | 14.7 | 9.8 | 10.4 | 7.9 | 9.6 | 9.7 | 11.1 | 12.6 | 15.6 | 20.1 | 156.6 |
| 平均月間日照時間 | 85.7 | 97.8 | 158.7 | 194.8 | 192.1 | 150.4 | 123.3 | 149.2 | 165.8 | 165.1 | 103.8 | 80.7 | 1,667.4 |
| 出典1:Japan Meteorological Agency |
| 出典2:気象庁 |

歴史

江戸時代以前

  • 1433年(嘉吉3年):和人が木古内町に初めて来住したとされています。
  • 1457年(康正3年):コシャマインの乱が起こり、道南十二館の一つである中野館が落城しました。
  • 1624年(寛永元年):アイヌ語の「リル・オ・ナイ」または「リコナイ」が転化して「木古内」と名付けられました。
  • 1799年(寛政11年):幕府の直轄地となりました。
  • 1831年(天保2年):佐女川神社のみそぎ祭りが始まったと伝えられています。

明治時代以降

  • 1869年(明治2年):箱館戦争の舞台となり、大鳥圭介が指揮を執りました。
  • 1871年(明治4年):咸臨丸がサラキ岬で遭難しました。
  • 1874年(明治7年):木古内郵便局が開局しました。
  • 1879年(明治12年):木古内、泉沢、札苅の3村に戸長役場が設置されました。
  • 1885年(明治18年):庄内藩士が鶴岡市に集団移住しました。
  • 1902年(明治35年):上磯郡木古内村、釜谷村、泉沢村、札苅村が合併し、二級町村制により上磯郡木古内村となりました。
  • 1919年(大正8年):一級町村制に移行しました。
  • 1930年(昭和5年):江差線上磯 – 木古内間が開通しました。
  • 1936年(昭和11年):江差線木古内 – 江差間が開通しました。
  • 1937年(昭和12年):松前線木古内 – 渡島知内間が開通しました。
  • 1942年(昭和17年):町制施行により木古内町となりました。
  • 1949年(昭和24年)・1957年(昭和32年):大火が発生し、多くの家屋が焼失しました。
  • 1988年(昭和63年):松前線が廃止され、津軽海峡線が開業しました。青森県蟹田町(現在の外ヶ浜町)と姉妹都市提携を結びました。
  • 1989年(平成元年):山形県鶴岡市と姉妹都市盟約を締結しました。
  • 2014年(平成26年):江差線木古内 – 江差間が廃止されました。
  • 2016年(平成28年):北海道新幹線が開業しました。江差線を継承する道南いさりび鉄道が発足しました。
  • 2022年(令和4年):函館江差自動車道木古内インターチェンジが開通しました。

経済

現在の木古内町の基幹産業は、漁業、農業、畜産などです。かつては林業も盛んで、木古内駅周辺には木材加工業者が集積していました。

漁業

  • 木古内漁港
    • 釜谷地区
    • 泉沢地区
    • 札苅地区

農協・漁協

  • 新函館農業協同組合(JA新はこだて)木古内支店
  • 上磯郡漁業協同組合木古内支所

宅配便

  • ヤマト運輸:函館主管支店木古内センター
  • 佐川急便:函館営業所(函館市)
  • 日本通運:函館支店自動車営業課(函館市)

観光

名所・旧跡

  • 中野館:道南十二館の一つ。
  • 禅燈寺
  • 佐女川神社

観光スポット

  • 道の駅みそぎの郷 きこない
  • サラキ岬
  • 札苅村上芝桜園
  • 道南トロッコ鉄道:江差線廃線跡を利用したトロッコ列車。
  • 木古内町郷土資料館「いかりん館」
  • きこないビュウ温泉 のとや

文化・名物

祭事・催事

  • 木古内町寒中みそぎ祭り:毎年1月に佐女川神社などで開催される、伝統的な水行。町の文化財に指定されています。
  • きこない咸臨丸まつり:毎年8月15日、16日に開催。1871年にサラキ岬沖で座礁沈没した咸臨丸を顕彰する祭りです。咸臨丸太平洋横断時乗組員の子孫が毎年参加しています。

出身・関連著名人

  • 乗木新一郎(環境学者、北海道大学名誉教授)
  • 吉田一穂(詩人、評論家、童話作家)
  • 禊鳳英二(元力士)
  • 黒川明(税理士)

脚注

  1. アイヌ語ラテン翻字: rir-o-nay
  2. “アイヌ語地名リスト オニシベ~キタ P31-40P”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2017年10月19日閲覧。
  3. “木古内 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月29日閲覧。
  4. 2026年4月から函館中央警察署と統合し「函館中央警察署木古内警察庁舎」となる予定。

関連項目

  • はこだて観光圏
  • 豪雪地帯
  • 全国市町村一覧

外部リンク

  • 木古内町
  • 木古内町観光協会
  • 木古内町商工会

木古内町は、歴史と自然が織りなす魅力的な町です。ぜひ訪れて、その魅力を体感してください。

木古内町についてのクイズ

木古内町の名前の由来は何ですか?

木古内町の名前はアイヌ語の「リリオナイ(リロナイ)」に由来するとされています。この言葉は「波・入れる・川」という意味で、満潮時に潮が川を逆流する様子から名付けられたと考えられています。木古内町は、津軽海峡に面した位置にあり、豊かな自然環境を有しています。名前の由来にあるように、地域は水にまつわる特徴があり、川や海との関わりが非常に深い町です。アイヌ語は北海道に住む先住民族の言語で、地域の地名や文化に多くの影響を与えています。木古内町の文化や歴史を理解するためには、名前の由来を知ることが重要です。

木古内町が特別豪雪地帯に指定されている理由は何ですか?

木古内町は、西岸海洋性気候に属し、特に冬には積雪が多く、「特別豪雪地帯」に指定されています。この気候は、四季によって特徴があり、特に冬場は降雪量が多くなるため、豪雪地帯としての性格を持つことになります。降雪は主に温帯低気圧や寒気団の影響を受けており、湿った空気が山岳地帯にぶつかることで降水量が増加し、大雪となります。これにより、木古内町の自然環境や生活にも多大な影響が及ぶ一方で、冬の風景や暮らしに特有の文化やイベントも生まれています。

木古内町における「みそぎ祭り」は、どの神社で開催される伝統行事ですか?

木古内町の「みそぎ祭り」は、毎年1月に佐女川神社で開催される伝統的な水行です。この祭りは、町の文化財にも指定されており、地域の人々にとって大切な行事となっています。みそぎ祭りは、清めの儀式であり、参加者が寒い水の中に入って行う水行を通じて、心身を清めることが目的とされています。冬の厳しい寒さの中で行われるため、参加者は特に強い意志と自然への敬意を示すことになります。また、地域の人々にとっての連帯感を高め、伝統の継承も大いに意義のある行事です。このような祭りは、木古内町の地域文化の重要な部分を形成しています。

木古内町にある観光スポットの一つで、咸臨丸に関連する祭りは何ですか?

木古内町で開催される「きこない咸臨丸まつり」は、1871年にサラキ岬沖で座礁沈没した咸臨丸を顕彰する祭りです。この祭りは、毎年8月15日と16日に開催され、咸臨丸の乗組員の子孫が参加することで知られています。咸臨丸は日本の近代化において重要な役割を果たした船で、アメリカとの交流を背景に様々な歴史が織りなされています。この祭りでは、地域住民や観光客が一緒になって楽しむイベントが多数行われ、木古内町の歴史と文化を感じながら、地域の活性化にも寄与しています。