北海道オホーツク地方に位置する美幌町は、雄大な自然と豊かな文化、そして活気あふれる街並みが魅力の町です。近年では、道外からの移住者も多く、静かで穏やかな暮らしを求める人々に人気が高まっています。今回は、そんな美幌町の魅力を余すことなく紹介します。
概要
美幌町という名前の由来は、アイヌ語に由来するとされ、「ピポロ(石・多い)」または「ペホロ(水・多い)」という説があります。しかし、特定は難しいとされています。
陸上自衛隊の駐屯地があり、自然豊かで降雪や災害が少ないことから、道外からの移住者が多く、人口の8割以上が集中するコンパクトシティとして発展しています。網走川と美幌川に挟まれた半径約2kmの市街地は、暮らしやすく、安全で、快適な環境を提供しています。
地理
美幌町は、網走川とその水系の河岸段丘および氾濫原に広がる地形が特徴です。網走市と北見市のほぼ中間に位置し、交通の便も良好です。
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アクセス
- 女満別空港から車で約15分
- JR石北本線美幌駅から徒歩圏内
- 国道4路線と道道6路線が交わる道東の交通の要衝
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自然
- 阿寒摩周国立公園に隣接
- 藻琴山など豊かな山々
- 網走川、美幌川、女満別川などの清流
- 古梅ダムなど水資源も豊富
気候
美幌町は、湿潤大陸性気候に属し、寒暖の差が大きく、夏は高温多湿、冬は厳しい寒さが特徴です。降雪量も多く、豪雪地帯に指定されています。
| 美幌(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 8.4 (47.1) | 14.5 (58.1) | 17.3 (63.1) | 31.5 (88.7) | 37.4 (99.3) | 37.2 (99) | 37.0 (98.6) | 36.5 (97.7) | 33.6 (92.5) | 30.1 (86.2) | 21.0 (69.8) | 15.6 (60.1) | 37.4 (99.3) |
| 平均最高気温 °C (°F) | -2.7 (27.1) | -1.9 (28.6) | 2.7 (36.9) | 10.2 (50.4) | 16.9 (62.4) | 20.4 (68.7) | 23.8 (74.8) | 24.9 (76.8) | 21.6 (70.9) | 15.4 (59.7) | 7.7 (45.9) | 0.2 (32.4) | 11.6 (52.9) |
| 日平均気温 °C (°F) | -8.3 (17.1) | -7.9 (17.8) | -2.5 (27.5) | 4.3 (39.7) | 10.2 (50.4) | 14.4 (57.9) | 18.3 (64.9) | 19.6 (67.3) | 15.8 (60.4) | 9.2 (48.6) | 2.2 (36) | -5.4 (22.3) | 5.8 (42.4) |
| 平均最低気温 °C (°F) | -14.9 (5.2) | -15.1 (4.8) | -8.6 (16.5) | -1.5 (29.3) | 4.1 (39.4) | 9.2 (48.6) | 13.8 (56.8) | 15.2 (59.4) | 10.5 (50.9) | 3.1 (37.6) | -3.1 (26.4) | -11.4 (11.5) | 0.1 (32.2) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -30.2 (-22.4) | -31.2 (-24.2) | -27.2 (-17) | -15.1 (4.8) | -5.2 (22.6) | -1.9 (28.6) | 2.4 (36.3) | 5.7 (42.3) | -0.5 (31.1) | -5.6 (21.9) | -17.4 (0.7) | -23.9 (-11) | -31.2 (-24.2) |
| 降水量 mm (inch) | 40.2 (1.583) | 27.4 (1.079) | 33.1 (1.303) | 49.3 (1.941) | 58.5 (2.303) | 66.4 (2.614) | 90.9 (3.579) | 122.1 (4.807) | 117.5 (4.626) | 79.8 (3.142) | 44.8 (1.764) | 48.4 (1.906) | 778.6 (30.654) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 9.5 | 7.5 | 8.5 | 9.7 | 10.1 | 10.5 | 11.2 | 11.2 | 11.4 | 9.6 | 8.8 | 9.2 | 117.3 |
| 平均月間日照時間 | 116.2 | 131.2 | 163.5 | 168.5 | 177.3 | 164.4 | 158.1 | 157.9 | 155.7 | 158.2 | 131.5 | 125.2 | 1,807.8 |
| 出典1:Japan Meteorological Agency |
| 出典2:気象庁 |
歴史
美幌町の歴史は古く、1887年(明治20年)に戸長役場が設置されたのが始まりです。その後、周辺の村々と合併し、1923年(大正12年)に美幌町となりました。
- 主な歴史
- 1887年(明治20年):美幌他5か村戸長役場を設置
- 1915年(大正4年):美幌村、杵端辺村、古梅村、活汲村、達媚村、飜木禽村が合併し、美幌村となる
- 1923年(大正12年):美幌町となる
- 1934年(昭和9年):美幌峠を含む阿寒一帯が国立公園に指定
- 1951年(昭和26年):警察予備隊駐屯
- 1960年(昭和35年):現庁舎落成
- 1967年(昭和42年):開基80年記念事業実施、町旗制定
- 1985年(昭和60年):国鉄相生線廃止
- 1990年(平成2年):小惑星に「美幌」と命名
- 2000年(平成12年):国道39号美幌バイパス開通
- 2021年(令和3年):ZEB庁舎が誕生
経済・産業
美幌町は、農業、林業、運送業、建設業などが盛んです。特に、ビート、小麦、ジャガイモなどの畑作農業が発展しており、農業関連の企業が多く集まっています。
産業
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農業
- ビート、小麦、ジャガイモ、タマネギ、豆、ニンジン、キャベツなど
- FSC森林認証を取得した林業
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その他の産業
- 運送業
- 建設業
- 食品加工業
- 観光業
経済
- 陸上自衛隊美幌駐屯地や日本甜菜製糖など、多くの企業が立地し、経済活動を支えています。
- 道外からの移住者が多く、消費活動も活発です。
- 都市機能も充実しており、商業施設、金融機関、医療機関なども多く存在します。
行政機関
美幌町には、町役場、警察署、消防署、郵便局、ハローワークなど、様々な行政機関があります。
- 主な行政機関
- 美幌町役場
- 美幌警察署
- 美幌・津別広域事務組合消防本部
- 美幌郵便局
- 北見公共職業安定所美幌分室(ハローワーク美幌)
姉妹都市・提携都市
美幌町は、海外と国内の自治体と姉妹都市・提携都市の関係を結んでいます。
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姉妹都市
- ケンブリッジ(ニュージーランド・ワイパ地区):1997年(平成9年)友好姉妹都市締結
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提携都市
- 鹿児島県湧水町:スカイスポーツが縁による交流
地域
美幌町は、自然と人情あふれる地域です。町民は、地域活動にも積極的に参加しており、活気のあるコミュニティを形成しています。
人口
美幌町の人口は、近年減少傾向にあります。しかし、移住者増加などにより、人口減少のペースは緩やかになっています。
年 | 人口 |
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1970年 | 25,916人 |
1980年 | 26,534人 |
1990年 | 25,680人 |
2000年 | 23,905人 |
2010年 | 21,581人 |
2020年 | 18,697人 |
教育
美幌町には、高等学校、中学校、小学校など、教育機関が充実しています。教育水準が高く、将来を担う人材育成に力を入れています。
- 主な教育機関
- 北海道美幌高等学校
- 美幌町立美幌中学校
- 美幌町立北中学校
- 美幌町立美幌小学校
- 美幌町立旭小学校
- 美幌町立東陽小学校
交通
美幌町は、鉄道、バス、道路など、交通アクセスも良好です。
鉄道
- JR北海道
- 石北本線:美幌駅
バス
- 阿寒バス
- 北海道北見バス
- 網走バス
- 美幌町営バス
道路
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一般国道
- 国道39号
- 国道240号
- 国道243号
- 国道334号
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都道府県道
- 北海道道122号北見端野美幌線
- 北海道道217号北見美幌線
- 北海道道248号嘉多山美幌線
- 北海道道249号福住女満別線
- 北海道道309号美幌停車場線
- 北海道道995号東藻琴豊富線
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道の駅
- ぐるっとパノラマ美幌峠
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
美幌町には、自然豊かな観光スポットや歴史を感じる名所、そして活気のある祭事・催事など、魅力的なものがたくさんあります。
観光スポット
- 美幌峠
- 屈斜路湖や阿寒岳を一望できる雄大な景観
- 峠の湯びほろなど、温泉施設も充実
- みどりの村
- 広大な敷地内には、森林公園、遊園地、宿泊施設などがあり、自然と触れ合える
- 美幌博物館
- 美幌町の歴史や文化、自然を紹介
- 郷土資料、美術品、化石などを展示
- 美幌林業館「きてらす」
- 木材の魅力や美幌の林業について学べる
- 木材を使った工作体験なども開催
- 美幌峠牧場
- 牧場では、牛や羊などの動物と触れ合える
- チーズ工房なども併設
- 翠明の滝
- 美幌川上流にある、町唯一の滝
- 川が山側に逆流しているように見える珍しい滝
- 古梅ダム湖
- ダム湖では、釣りやボート遊びなどが楽しめる
- 美幌温水溜池
- ため池百選に選ばれた、美しい風景
祭事・催事
- びほろ冬まつり:2月
- 雪像コンテストや雪合戦など、冬のイベントが盛りだくさん
- 美幌峠祭り:5月
- 美幌峠の自然を満喫できるイベント
- 美幌観光和牛まつり:7月
- 美幌町の特産品である「美幌和牛」を味わえるイベント
- びほろ夏まつり:8月
- 音楽ライブや花火大会など、夏のイベントが盛りだくさん
- ビホロ100kmデュアスロン大会:8月
- ランニングと自転車を組み合わせた、過酷なレース
- 美幌ふるさと祭り:9月
- 地域の特産品や文化を体験できるイベント
美幌町の有名人
美幌町には、様々な分野で活躍する有名人が多くいます。
美幌町出身の有名人
- 伊藤博明:文学者、専修大学教授
- 柴田敬士:レークプラシッドオリンピック日本代表選手(バイアスロン)
- 高山梨沙:スピードスケート選手
- 阿部由香里:長野オリンピック日本代表(バイアスロン)
- 久保恒造:障害者ノルディックスキー選手
- 石田正子:クロスカントリースキー選手
- 佃咲江:北京オリンピック日本代表選手(自転車競技女子スプリント)
- 鈴木李奈:ソチオリンピック日本代表選手(バイアスロン)
- 藤村祥子:ソチオリンピック日本代表選手(スピードスケート)
- 一戸誠太郎:平昌オリンピック・北京オリンピック日本代表選手(スピードスケート)
- 北の富士勝昭:力士(第52代横綱)
- 木村章司:ボクサー
- 岡沢吉夫:スキー選手、陸上選手、八王子市議会議員
- 鶴丸俊明:考古学者、札幌学院大学学長
- 八巻正治:社会福祉学者、元尚絅学院大学教授
- 山口昌男:文化人類学者、元札幌大学学長
- 内藤克:北海道放送アナウンサー
- Sepia’n Roses:ミュージシャン
- 松本亨:英語教育家、改革派教会教職
- 工藤雪枝:ジャーナリスト、評論家
美幌町ゆかりの有名人
- 古村比呂:女優
- 円舘金:美幌町在住の天文学愛好家(小惑星ハンター)
- 藁科雅美:音楽評論家
- 美ち奴:歌手
- 宮嶋龍雄:スキー選手
- 須藤五郎:音楽家
- 湯浅譲二:作曲家
その他
美幌町には、他にも様々な魅力があります。
- 名古屋市東山動物園との交流
- 世界最長寿のヒグマ「美幌」の縁で交流が続いている
- 小惑星「美幌」
- 1990年(平成2年)に円舘金が発見した小惑星
まとめ
北海道網走郡美幌町は、雄大な自然と豊かな文化、そして活気あふれる街並みが魅力の町です。近年では、移住者も増え、静かで穏やかな暮らしを求める人々に人気が高まっています。美しい風景、美味しい食べ物、温かい人々、そして充実した生活環境など、美幌町には魅力が満載です。ぜひ一度訪れてみてください。
美幌町についてのクイズ
美幌町の名前の由来は何語に由来するとされているか?
美幌町の名前の由来はアイヌ語に由来するとされており、「ピポロ」(石・多い)または「ペホロ」(水・多い)という説があります。しかし、正確な由来についてはまだ確定していない部分もあります。このように、地名にはその土地の歴史や文化が反映されることが多く、美幌町もその一例です。アイヌ語は北海道の先住民族であるアイヌの言語で、日本における多くの地名はこのアイヌ語から来ているものがあり、アイヌ文化の重要性を示すものとなっています。地域に根付いた言葉が地名となっていることから、美幌町の歴史的背景への理解を深めるきっかけとなります。
美幌町の気候はどの気候に属しているか?
美幌町は湿潤大陸性気候に属し、寒暖の差が大きいことが特徴です。この気候は、夏は高温多湿となり、冬は厳しい寒さとなります。また、降雪量も多く、豪雪地帯に指定されているため、冬季には雪が豊富に降ります。こうした特徴的な気候は、農業活動や生活様式に大きな影響を与えています。特に農業においては、厳しい寒さと豊富な雪解け水が作物の生育を助ける一方、冬の厳しさが地域の生活に挑戦をもたらすこともあります。美幌町は、このような独自の気候条件の中で、地域特有の文化や行事を育んできました。
美幌町の主な産業でないものはどれか?
美幌町の主な産業には農業、林業、運送業、建設業、食品加工業、観光業が含まれます。しかし、情報通信業は美幌町の主な産業ではありません。農業ではビート、小麦、ジャガイモなどが栽培され、地域の重要な収入源となっており、観光業においては自然や歴史的な名所が多く訪れる理由となっています。また、美幌町の豊かな自然環境は観光客を惹きつける要素となっており、地元の特産品や文化を体験する機会も提供されています。一方、情報通信業に関しては、都市部に比べて資源やインフラが限られているため、あまり発展していないのが現状です。
美幌町と姉妹都市を結んでいるのはどの自治体か?
美幌町は、1997年にニュージーランドのケンブリッジと友好姉妹都市の関係を結びました。この姉妹都市の提携は、文化や経済、さらには観光交流の促進を目的としています。美幌町のような地方自治体が海外の自治体と提携を結ぶことは、地域の活性化や国際交流の一環として非常に重要です。姉妹都市との交流により、相互に文化や情報を共有することで、地域の発展や市民の国際的視野を広げる効果が期待されます。美幌町の住民とケンブリッジの住民との親交活動は、両地域の特産品や文化交流、さらには教育やスポーツ面での協力関係を深めることを目指しています。
美幌町の教育機関でないものはどれか?
美幌町には高等学校、中学校、小学校などの教育機関が充実していますが、「美幌市立大学」は存在しません。実際のところ、美幌町には北海道美幌高等学校や美幌町立美幌中学校、美幌町立美幌小学校などがあり、教育水準が高く地域の子供たちの成長を支えています。地元の教育プログラムやイベントも豊富であり、地域の文化や歴史に触れ合う機会が多く設けられています。特に美幌町は地域の独自の教育理念に基づいて人材育成に力を入れており、将来を担う人材を輩出しています。このように、地域の教育環境は多岐にわたり、地元の若者が多様な分野で活躍する基盤を作り上げています。