広島県安芸郡府中町:マツダの本社を擁する、人口増加が著しい町

広島県南東部に位置する府中市は、備後国の国府が置かれた歴史を持つ街。東京都府中市や広島県安芸郡府中町と区別するため、「備後府中」と呼ばれることも。豊かな自然と歴史、そして活気のある産業が調和する魅力的な街です。

備後国の歴史と文化が息づく街

府中市は、古代には備後国の国府が置かれた重要な拠点でした。現在も市内には国府跡や古代寺院跡などの歴史遺産が残っており、当時の賑わいをしのぶことができます。

備後国府と歴史遺産

  • 備後国府跡: 奈良時代から平安時代にかけて、現在の府中市中心部付近に置かれていた備後国の国府。国の史跡に指定されています。発掘調査が行われていますが、遺構はすべて埋め戻されており、出土品は府中市歴史民俗資料館に展示されています。
  • 安楽寺: 約3000本のサツキが咲き乱れることから「さつき寺」として知られる寺院。参道や境内は、5月には鮮やかなピンク色に染まります。
  • 甘南備神社: 三室山山麓に鎮座する神社。延喜式内社であり、祭神は事代主命と大国主命。境内には、石見銀山に向かう街道の出口にあたる甘南備神社の門前町、石州街道出口通りの町並みが残っています。
  • 恋しき: 明治時代に創業した旅館で、国の登録有形文化財に指定されています。独特の外観を持つ建物は、府中市のシンボル的な存在。犬養毅、岸信介、吉川英治、井伏鱒二など、多くの著名人が宿泊しました。
  • 翁座: 大正時代に建設された木造芝居小屋。2020年に国の登録有形文化財に登録され、歴史的価値の高い建造物として保存されています。

伝統文化と祭り

府中市には、長い歴史の中で育まれた伝統文化や祭りが数多く存在します。

  • 府中味噌: 約400年の歴史を持つ伝統的な味噌。かつては福山藩主が参勤交代の際に将軍や諸侯に献上していたことから、全国的に知られるようになりました。
  • 府中焼き: 豚バラ肉ではなくミンチ肉を使用した、府中市ならではのお好み焼き。2010年の「第1回広島てっぱんグランプリ」で初代グランプリを受賞しました。
  • 備後国府まつり: 毎年7月に開催される夏祭り。花火大会やパレードなど、様々なイベントが行われます。
  • 上下天領ひなまつり: 毎年2月~3月に開催されるひな祭りのイベント。江戸時代の町並みを背景に、多くのひな人形が飾られます。

活気あふれる産業と未来への展望

府中市は、古くから家具製造業が盛んな街として知られており、現在も様々な分野で発展を続ける工業都市です。

伝統産業と近代産業

  • 府中家具: 江戸時代から続く伝統的な家具。特に府中タンスは、桐材を使用した高級家具として有名です。
  • 機械製造業: リョービや北川鉄工所など、全国的に有名な企業が数多く存在します。
  • ドローン産業: 近年では、ドローンの開発・製造・販売を行う企業も進出し、ドローン産業の拠点としても注目されています。

活力あふれる街づくり

府中市では、伝統産業の継承と新しい産業の振興、そして地域住民の生活の向上を目指した様々な取り組みが行われています。

  • 小中一貫教育: 第7代伊藤吉和市長が導入した小中一貫教育を全市で推進しており、学習指導要領に基づく9年間を見通したカリキュラムを編成しています。
  • ドローンネイティブシティ: 2022年12月より「ドローンネイティブシティ」プロジェクトを始動し、ドローンの産業、人材、研究機関などが集まる「ドローンのまち」を目指しています。
  • 観光振興: 歴史遺産や自然豊かな景観を生かした観光の活性化にも力を入れています。

アクセス

  • 鉄道: JR福塩線 府中駅が中心駅。福山駅や福山港へのアクセスも良好です。
  • バス: 中国バスが市内を網羅しており、福山市や広島市へのアクセスも可能です。
  • : 山陽自動車道福山西IC、尾道自動車道尾道北ICからそれぞれ約30分。

府中市への旅を計画してみませんか?

歴史と自然、そして活気のある産業が調和する府中市。ぜひ、備後府中の魅力を体感しに訪れてみてください。

府中市についてのクイズ

府中市が位置する備後国の国府が設置されていたのは、何時代から何時代にかけてか?

府中市は古代に備後国の国府が置かれた重要な地点であり、この国府は奈良時代から平安時代にかけて位置していました。国府は当時、政治や行政の中心地であり、地域の人々にとっても重要な場でした。府中市内の遺跡は、当時の繁栄を物語るもので、歴史的な価値が高く、多くの観光客が訪れる名所となっています。具体的には、現在も残る国府跡は、発掘調査が行われたものの、遺構は埋め戻されており、出土品は府中市歴史民俗資料館に展示されています。このように、府中市は古き良き日本の歴史を感じることのできる場所であり、訪れる人々はその深い歴史に思いを馳せることができます。

府中市で有名な「さつき寺」として知られる寺院はどれか?

府中市にある「安楽寺」は、約3000本のサツキが咲き乱れることから「さつき寺」として知られています。この寺院の参道や境内は、特に5月に鮮やかなピンク色に染まるため、地元の人々や観光客に親しまれています。安楽寺は、その美しいサツキの花を見るために多くの人が訪れるスポットで、伝統的な日本庭園の雰囲気と共に訪問者に癒しを提供しています。寺院はまた、歴史的な成り立ちを持ち、当地の文化を体感するには絶好の場所でもあります。府中市を訪れた際には、この場所で自然の美しさと歴史を楽しむことをお勧めします。

府中市の伝統的な味噌は何年の歴史があるか?

府中市の「府中味噌」は、約400年の歴史を持つ伝統的な味噌です。この味噌は、福山藩主が参勤交代の際に将軍や諸侯に献上されていたことから、全国的に知られるようになりました。府中味噌の特徴は、独特の風味とこだわりの製法で、多くの家庭で愛用されています。地元の料理にも多く使われており、その味噌を使った料理は、府中市の食文化を支える大切な要素の一つです。歴史ある味噌の味わいは、府中市を訪れる観光客にとっても、ぜひ体験していただきたい魅力の一つです。地元の人々の手によって守られているこの伝統は、府中市の文化的な価値を高めています。

府中市で行われる「上下天領ひなまつり」の開催時期はいつか?

府中市で開催される「上下天領ひなまつり」は、毎年2月から3月に行われるイベントです。この祭りでは、江戸時代の町並みを背景に、多くのひな人形が飾られ、訪れる人々に春の訪れを告げる色とりどりの景色を提供します。ひなまつりは、日本の伝統行事の一つで、特に女の子の健康と幸せを祈るお祝いとして知られています。府中市のこのイベントは、地元の文化と歴史を体験できる大きな機会となっており、観光客にとっても心温まる体験を提供します。この祭りを通して、地域住民による伝統の継承と新たな賑わいが生まれるのも大きな魅力の一つです。

府中市の家具業界で有名な、江戸時代から続く伝統的なものは何か?

府中市で伝統的な家具として有名なのは「府中タンス」です。江戸時代から続くこの家具の特長は、特に桐材を使用した高級家具である点です。府中タンスは、その優れた造りと美しいデザインで知られ、国内外で高い評価を受けています。多くの家庭で府中タンスが選ばれる理由は、桐材自体に独特の軽さと安定性があり、収納性にも優れているためです。府中市では、この伝統を守りつつ、現代のニーズにも応じた新しい家具デザインの開発が継続的に行われています。府中市を訪れる際には、このような伝統的な工芸品や製品を手に取ってみることをお勧めします。