西濃地方の西北端に位置し、雄大な山々、清流、そして歴史的な建造物が調和する岐阜県揖斐郡揖斐川町。日本最大の貯水量を誇る徳山ダムをはじめ、豊かな自然に恵まれたこの町は、近年「天空の茶畑」として話題の茶産地としても知られています。歴史好きには、西国三十三所第33番札所の谷汲山華厳寺や、かつての戦国時代の城跡である揖斐城など、見どころが満載です。
地理と気候:山と川が織りなす自然の宝庫
揖斐川町は、北は福井県、西は滋賀県と接し、町の中心を揖斐川が南へと流れています。南東部は濃尾平野の北西に位置し、北部と西部には標高1100~1300メートルの山々が連なり、豊かな自然に恵まれています。
気候の特徴:豪雪と酷暑の両極端な気候
揖斐川町は、冬には豪雪に見舞われる地域です。旧坂内村と旧徳山村は特別豪雪地帯に、それ以外の地域は豪雪地帯に指定されています。夏は非常に蒸し暑く、35℃以上の猛暑日が続き、年によっては38℃以上になる日もあるなど、県下随一の酷暑地域としても知られています。
揖斐川町(旧揖斐川町)の気候 |
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月 |
最高気温記録 °C (°F) |
平均最高気温 °C (°F) |
日平均気温 °C (°F) |
平均最低気温 °C (°F) |
最低気温記録 °C (°F) |
降水量 mm (inch) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) |
平均月間日照時間 |
出典:気象庁 |
歴史:6町村の合併により誕生した新しい町
揖斐川町は、2005年1月31日に揖斐郡の6町村(揖斐町、谷汲村、久瀬村、春日村、坂内村、藤橋村)が合併して誕生しました。合併以前は、それぞれの町村に独自の文化や歴史がありました。
年表
- 1955年(昭和30年)4月1日:揖斐町、北方村、大和村、清水村、小島村が合併し、旧揖斐川町発足。
- 1956年(昭和31年)9月30日:養基村の一部を編入。
- 2005年(平成17年)1月31日:旧揖斐川町が揖斐郡谷汲村・久瀬村・春日村・坂内村・藤橋村と合併し、新揖斐川町が発足。
人口:減少傾向にあるものの、豊かな自然を求めて移住者が増加
揖斐川町の人口は、近年減少傾向にあります。しかし、豊かな自然や歴史的な魅力を求めて、移住者が増加しています。
揖斐川町の人口の推移 |
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年 |
1970年 |
1975年 |
1980年 |
1985年 |
1990年 |
1995年 |
2000年 |
2005年 |
2010年 |
2015年 |
2020年 |
出典:総務省統計局 国勢調査 |
行政:町民の声を反映した町づくり
揖斐川町は、町民の意見を反映した町づくりを目指しています。2013年までは、愛知県名古屋市を除く東海3県の市町村議会で唯一、選挙区が設けられていました。これは、町民の意見をより反映させるための取り組みでした。
町議会
- 定数:15人
- 任期:2021年3月6日 – 2025年3月5日
- 議長:大西惠子
- 副議長:栗田昭行
姉妹都市・提携都市
- 全国門前町サミット:全国の神社仏閣を中心に発展してきた門前町を有する自治体・観光協会・商業関係者などが集まり地域活性、街作り推進のため開催する会議。
経済・産業:農業、観光、そして伝統産業
揖斐川町は、農業、観光、そして伝統産業が盛んな町です。
農業:豊かな自然を生かした農業
揖斐川町では、米、野菜、果物など、様々な農産物が栽培されています。中でも、上ケ流地区の茶畑は、標高300メートルの山腹に広がり、「天空の茶畑」として知られています。この茶畑は、景色の美しさから観光地化され、「岐阜のマチュピチュ」とも呼ばれています。
観光:自然と歴史に触れる観光
揖斐川町には、雄大な自然と歴史的な建造物が数多く存在します。徳山ダム、揖斐峡、谷汲山華厳寺など、観光客を魅了するスポットが点在しています。
伝統産業:地域の文化を支える伝統産業
揖斐川町には、伝統的な産業も数多く残っています。池田屋酒造は、元禄2年(1689年)創業の造り酒屋で、地元産の米を使用した「富久若松」などの銘酒を醸造しています。
教育:地域に根ざした教育
揖斐川町には、地域に根ざした教育機関が数多くあります。
高等学校
- 岐阜県立揖斐高等学校
- 西濃学園高等学校
中学校
- 揖斐川町立北和中学校
- 揖斐川町立揖斐川中学校
- 揖斐川町立谷汲中学校
- 西濃学園中学校
小学校
- 揖斐川町立北方小学校
- 揖斐川町立大和小学校
- 揖斐川町立揖斐小学校
- 揖斐川町立清水小学校
- 養基小学校養基保育所組合立養基小学校:池田町にある小学校。旧・養基村の小学校であり、昭和の大合併で養基村が分割された名残である。揖斐川町脛永地区の児童が通学する。
- 揖斐川町立小島小学校
- 揖斐川町立谷汲小学校
- 揖斐川町立春日小学校
特別支援学校
- 岐阜県立揖斐特別支援学校
交通:主要都市へのアクセス
揖斐川町は、岐阜市、名古屋市、大阪市など、主要都市へのアクセスが良好です。
鉄道
- 養老鉄道
- 養老線:揖斐駅(中心駅)
- 樽見鉄道
- 樽見線:谷汲口駅 – (本巣市) – 高科駅
- その他、鍋原駅 – 日当駅(いずれも本巣市)間でも約 340m ではあるが当町(谷汲高架)を通過している。
路線バス
- 揖斐川町コミュニティバス
- 町内に名阪近鉄バス揖斐営業所が所在する。
タクシー
- 揖斐タクシー
道路
- 高速道路:町内には高速道路は無い。最寄りのインターチェンジ(IC)は東海環状自動車道の大野神戸ICまたは大垣西ICである。
- 一般国道:国道303号、国道417号
- 一般有料道路:伊吹山ドライブウェイ
- 県道:岐阜県道32号春日揖斐川線、滋賀県道・岐阜県道40号山東本巣線、岐阜県道251号揖斐川谷汲山線、岐阜県道254号藤橋池田線、岐阜県道255号根尾谷汲大野線、岐阜県道257号川合垂井線、岐阜県道261号脛永万石線、岐阜県道266号深坂大野線、岐阜県道267号神原揖斐川線、岐阜県道268号神原西津汲線、岐阜県道270号藤橋根尾線、岐阜県道271号揖斐峡公園線、岐阜県道274号揖斐高原線
- 道の駅:星のふる里ふじはし、夢さんさん谷汲、夜叉ケ池の里さかうち
施設:地域住民の生活を支える公共施設
揖斐川町には、地域住民の生活を支える公共施設が数多くあります。
- 国土交通省中部地方整備局
- 越美山系砂防事務所
- 林野庁中部森林管理局岐阜森林管理署
- 揖斐森林事務所
- 岐阜県揖斐総合庁舎
- 揖斐川町役場
- 谷汲振興事務所
- 春日振興事務所
- 久瀬振興事務所
- 藤橋振興事務所
- 坂内振興事務所
- 岐阜県警察揖斐警察署
- 小島警察官駐在所
- 養基警察官駐在所
- 藤橋警察官駐在所
- 谷汲警察官駐在所
- 坂内警察官駐在所
- 久瀬警察官駐在所
- 春日警察官駐在所
- 揖斐郡消防組合消防本部
- 北分署
- 西分署
- 東分署
- 揖斐川町いびがわ診療所 ※揖斐厚生病院(2023年9月30日閉院)の建物のうち健診センターを改修。2023年(令和5年)11月1日に開所
- 揖斐川町谷汲中央診療所
- 揖斐川町春日診療所(かすがモリモリ村内)
- 揖斐川町春日診療所美束出張所
- 揖斐川町久瀬診療所
- 坂内国民健康保険診療所
- 藤橋国民健康保険診療所
- 揖斐川町地域交流センター「はなもも」
- 揖斐川町谷汲サンサンホール
- 揖斐川町立図書館
- いびがわ図書館
- 谷汲図書館
- 坂内図書館
- いび川農業協同組合
名所・旧跡・観光スポット:歴史と自然が融合する魅力的なスポット
揖斐川町には、歴史好きも自然好きも楽しめる魅力的なスポットが数多くあります。
名所・旧跡
- 萬松山瑞巌寺
- 谷汲山華厳寺(谷汲地区、西国三十三所第33番札所、満願寺)
- 両界山横蔵寺(谷汲地区)
- 夜叉龍神社
- 花長上神社(谷汲地区)
- 花長下神社(谷汲地区)
- 三輪神社(揖斐川町揖斐郡総鎮守)
- 揖斐城(城台山公園)
- 揖斐陣屋
- 春日局出生の碑(小島地区、ただし出生地については諸説ある)
- 恋のつり橋(宮山橋)
文化施設
- 揖斐川歴史民俗資料館
- 春日森の文化博物館
- 藤橋歴史民俗資料館
- 坂内民俗資料館
- 藤橋城(西美濃プラネタリウム)
- 西美濃天文台
- 谷汲昆虫館
娯楽施設
- いび川温泉 藤橋の湯
- かすがモリモリ村リフレッシュ館
自然・公園
- 揖斐峡(久瀬地区)
- 伊吹山(滋賀県米原市との境界、春日地区)
- 冠山(福井県今立郡池田町との境界)
- 夜叉ヶ池(福井県南条郡南越前町との境界)
- さざれ石公園(春日地区。「君が代」参照)
- 東海自然歩道
- 徳山ダム
祭事・催事:地域住民の活気と伝統を感じられるイベント
揖斐川町では、一年を通して様々な祭事や催事が開催されています。
- いびがわマラソン
- 揖斐祭り(三輪神社の春の例大祭)
- いびがわの祭り「ありがとう花火」
- 谷汲踊り(谷汲地区)
- 徳山おどり(旧徳山村)
- 東津汲鎌倉踊
揖斐川町を舞台にした作品:様々な作品で描かれる魅力
揖斐川町は、その豊かな自然や歴史から、様々な作品で描かれています。
漫画
- えびがわ町の妖怪カフェ:舞台は揖斐川町をモデルにしている
マスコットキャラクター:町の顔として親しまれるキャラクター
揖斐川町には、町の顔として親しまれるマスコットキャラクターがいます。
- かっぱの河太郎:揖斐川町公式マスコットキャラクター
- いのりちゃん:谷汲山華厳寺の門前街並みづくり協議会によって制定されたマスコットキャラクター
著名な出身者:様々な分野で活躍する人材
揖斐川町には、様々な分野で活躍する著名な出身者がいます。
- 安藤輝三:陸軍軍人、二・二六事件首謀者
- 石原美幸:UACJ会長、日本アルミニウム協会会長
- 所英男:総合格闘家
- 野原櫻州:日本画家
- 藤原正典:プロ野球選手
- 増山たづ子:アマチュアカメラマン 旧徳山村出身
- 三田悠貴:グラビアアイドル
- 横山周導:勝善寺住職
- 裂固:ラッパー
まとめ
岐阜県揖斐郡揖斐川町は、豊かな自然と歴史が調和する魅力的な町です。雄大な山々、清流、そして歴史的な建造物が織りなす風景は、訪れる人を魅了します。自然と歴史を満喫したい方は、ぜひ揖斐川町を訪れてみてください。
揖斐川町についてのクイズ
揖斐川町はどの地方に位置していますか?
揖斐川町は岐阜県の西濃地方に位置しています。西濃地方は、岐阜県の西側に広がる地域で、名古屋市や大垣市などの主要都市とも接しています。揖斐川町はこの地域の北端に位置し、周囲を雄大な山々や清流に囲まれています。この自然豊かな環境は、町の農業や観光資源としても重要です。また、西濃地方は、歴史的な建物や伝統文化も多く残されており、揖斐川町も例外ではありません。例えば、西国三十三所の第33番札所である谷汲山華厳寺や揖斐城跡などが観光名所として知られています。
揖斐川町の冬の気候はどのような特徴がありますか?
揖斐川町は冬には豪雪に見舞われる地域として知られています。特に西濃地方の中でも旧坂内村と旧徳山村は特別豪雪地帯に指定されています。このため、冬の間は雪が多く降り、景色が一面の雪景色に変わります。豪雪の影響で、交通には一定の支障が出ることもありますが、冬ならではの美しい自然景観を楽しむことができます。住民にとっては雪かきが冬の日常となり、冬のアクティビティとしてスキーや雪遊びも人気です。この豪雪は、地域の特色ともなっており、冬季の観光業にも影響を与えています。
揖斐川町はいつ合併して新たな町を形成しましたか?
揖斐川町は2005年1月31日に揖斐郡の6町村(揖斐町、谷汲村、久瀬村、春日村、坂内村、藤橋村)が合併して誕生しました。これにより、各町村が持っていた独自の文化や歴史が一つの町に集約され、新しい地域としての発展が期待されました。合併以前、各町村はそれぞれの特色を持っていましたが、合併後は一体感を持った町づくりが進められています。新揖斐川町としての生活や観光が広がり、近年では移住者の増加や地域活性化が見られています。
揖斐川町の農業で特に知られている産物は何ですか?
揖斐川町では、特に茶の栽培が盛んで「天空の茶畑」として知られています。この茶畑は標高300メートルの山腹に広がっており、独特な気候条件と地形が良質な茶の生産を促進しています。揖斐川町の茶は、風味や香りに優れ、観光名所として訪れる人々に人気があります。また、茶畑からの美しい景色は、視覚的にも多くの人を魅了し、観光地化されるきっかけともなっています。茶だけでなく、米や野菜、果物など多様な農産物も生産されており、地域の経済を支える重要な産業です。
揖斐川町で運営されている特別支援学校は何と呼ばれていますか?
揖斐川町には「岐阜県立揖斐特別支援学校」があります。この学校は特別支援教育を必要とする子どもたちを対象にした教育機関で、地域に根ざした支援を行っています。特別支援学校では、個々の能力や必要に応じた教育が行われ、専門の教員によるきめ細やかな学びが提供されています。さらに、地域社会との連携を強めることで、子どもたちが社会に出た際に必要なスキルを身につけられるような支援も行われています。これにより、揖斐川町全体で障がいのある子どもたちの教育環境が整えられています。