福島県田村市:自然と歴史が織りなす魅力溢れるまち

福島県の中通り地方に位置する田村市は、豊かな自然と歴史に彩られた魅力的な街です。阿武隈高地が南北に走り、雄大な山々や清流が織りなす景観は、訪れる人を魅了します。また、古くから蝦夷征討で有名な坂上田村麻呂ゆかりの地としても知られており、歴史的な遺産も数多く残されています。今回は、田村市の魅力を、地理、歴史、観光、産業など様々な角度からご紹介します。

概要

田村市は、福島県中通り最東端に位置し、浜通りとの結節点となる地域です。総面積は458.33km²、人口は約32,500人(2024年8月1日時点)の中山間地域です。市域の約62%を山林が占め、豊かな自然に恵まれた環境となっています。

市名は、坂上田村麻呂が蝦夷征討の後、その子孫である田村氏がこの地を田村郡として代々支配してきたことに由来します。2005年3月1日に、田村郡の滝根町、大越町、都路村、常葉町、船引町の5町村が合併して誕生しました。市章は、公募により決定されたもので、円の中に「田」の字を配し、発展と繁栄を象徴しています。

地理

田村市は、阿武隈高地が南北に走る地域に位置し、北には日山や移ヶ岳、東には鎌倉岳や五十人山、西には片曽根山や高柴山、南には矢大臣山など、標高の高い山々が連なっています。これらの山々を源とする大滝根川や高瀬川などの河川が流れ、市域に豊かな水資源をもたらしています。

山岳

  • 阿武隈高地:南北に走る阿武隈高地は、田村市の地形を大きく特徴づけています。
  • 大鷹鳥谷山:日本標準時の電波を送信するおおたかどや山標準電波送信所が設置されている山。
  • 大滝根山:標高1,192mの福島県内で4番目に高い山。

河川

  • 大滝根川:阿武隈高地を源とする主要な河川。
  • 高瀬川:大滝根川の支流。

気候

田村市は、内陸性気候の影響を受け、夏は高温多湿、冬は寒冷で降雪が見られます。年較差、日較差ともに大きく、寒暖の差が激しいのが特徴です。

船引(1991年 – 2020年)の気候
最高気温記録 °C (°F)
平均最高気温 °C (°F)
日平均気温 °C (°F)
平均最低気温 °C (°F)
最低気温記録 °C (°F)
降水量 mm (inch)
平均降水日数 (≥1.0 mm)
平均月間日照時間
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[1]

歴史

田村市の歴史は古く、縄文時代から人が住んでいたとされています。古代には、坂上田村麻呂が蝦夷征討を行った地として知られています。中世には田村氏がこの地を支配し、田村郡と呼ばれるようになりました。近世には、福島藩の領地となり、農業や林業が盛んに行われました。

沿革

  • 1889年(明治22年)4月1日: 町村制施行により、現在の田村市域は14の村に分かれていました。
  • 1934年(昭和9年)4月1日: 片曾根村が町制施行し、船引町に改称しました。
  • 1940年(昭和15年)4月1日: 滝根村が町制施行し、滝根町となりました。
  • 1942年(昭和17年)2月8日: 大越村が町制施行し、大越町となりました。
  • 1955年(昭和30年)4月1日: 複数の村が合併し、船引町、三春町、常葉町が誕生しました。
  • 2005年(平成17年)3月1日: 滝根町、大越町、都路村、常葉町、船引町の5町村が合併し、田村市が誕生しました。

東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、田村市も大きな被害を受けました。特に、福島第一原子力発電所事故の影響で、都路地区の一部が避難指示区域に指定され、多くの住民が避難を余儀なくされました。2014年4月1日に避難指示が全て解除された後も、復興に向けて様々な取り組みが進められています。

行政

田村市の行政の中心は、田村市役所です。市役所は船引町に位置し、各地区には行政局や出張所が設置されています。市長は、白石高司氏です(2021年4月17日就任)。

歴代市長

氏名 就任日 退任日
初-3代 冨塚宥暻 2005年4月17日 2017年4月16日
4代 本田仁一 2017年4月17日 2021年4月16日
5代 白石高司 2021年4月17日 現職

産業

田村市の主要産業は、農業、林業、製造業です。農業では、米、野菜、果物などが生産されています。林業では、木材が生産されています。製造業では、精密機器、食品、化学製品などが生産されています。近年では、観光業も発展しており、多くの観光客が訪れています。

農業

  • : 田村市は、福島県の中でも米どころとして知られています。特に、コシヒカリが有名です。
  • 野菜: トマト、キュウリ、ナス、ネギなど、様々な野菜が栽培されています。
  • 果物: ぶどう、りんご、梨、イチゴなどが栽培されています。

林業

  • 木材: スギ、ヒノキなど、様々な木材が生産されています。木材は、建築材や家具材として利用されています。

製造業

  • 精密機器: 電子部品、医療機器などが生産されています。
  • 食品: ハム、ソーセージ、菓子などが生産されています。
  • 化学製品: 塗料、薬品などが生産されています。

教育

田村市には、高等学校、中学校、小学校が数多く設置されています。

高等学校

  • 福島県立船引高等学校

中学校

  • 田村市立滝根中学校
  • 田村市立大越中学校
  • 田村市立都路中学校
  • 田村市立常葉中学校
  • 田村市立船引中学校
  • 田村市立船引南中学校

小学校

  • 田村市立滝根小学校
  • 田村市立大越小学校
  • 田村市立都路小学校
  • 田村市立常葉小学校
  • 田村市立船引小学校
  • 田村市立船引南小学校
  • 田村市立美山小学校

交通

田村市には、JR磐越東線、国道288号、磐越自動車道などが整備されています。

鉄道

  • JR東日本 磐越東線: 市内には神俣駅、菅谷駅、大越駅、磐城常葉駅、船引駅、要田駅があります。
  • 中心となる駅: 船引駅

道路

  • 高速道路: 磐越自動車道(田村スマートIC、阿武隈高原SA、船引三春IC)
  • 一般国道: 国道288号、国道349号、国道399号
  • 主要地方道: 福島県道19号船引大越小野線、福島県道36号小野富岡線、福島県道50号浪江三春線、福島県道57号郡山大越線など

観光

田村市には、自然、歴史、文化など、様々な観光スポットがあります。

観光スポット

  • あぶくま洞: 日本三大鍾乳洞の一つとして知られる、全長6,000mの鍾乳洞。
  • 星の村天文台: 天体観測やプラネタリウムを楽しめる施設。
  • ムシムシランド: 昆虫の生態を学べる施設。
  • おおたかどや山標準電波送信所: 日本標準時の電波を送信する施設。
  • グリーンパーク都路: 緑豊かな自然の中で、キャンプやバーベキューを楽しめる公園。

イベント

  • 都路灯まつり: 都路地区で行われる、伝統的な灯籠祭り。
  • ムシムシランドサマーフェスティバル: ムシムシランドで行われる、夏祭りのイベント。
  • 鬼の里納涼夏まつり: 大越地区で行われる、夏祭りのイベント。
  • ときわお盆の夕べ: 常葉地区で行われる、お盆のイベント。
  • ひまわりフェスティバル: 大越地区で行われる、ひまわりの見頃に合わせて開催されるイベント。
  • 灯籠流しと花火大会: 船引地区で行われる、夏の風物詩。

特産品

  • エゴマ: 田村市は、エゴマの生産量が日本一です。エゴマは、油や健康食品として利用されています。
  • あぶくまの天然水: 阿武隈高地から湧き出る、ミネラル豊富な天然水。
  • ハム・ベーコン: 田村市には、ハムやベーコンの製造会社が多く、美味しいハムやベーコンが生産されています。
  • かりんとう饅頭: 市内にある老舗菓子店が発祥の、かりんとうと饅頭を組み合わせたお菓子。
  • タバコ: 田村市は、かつてタバコの生産が盛んでした。現在でも、タバコの栽培が行われています。
  • 日本酒「あぶくま」: 田村市で作られている、地元産の米を使った日本酒。
  • ヤマブドウ: 山で採れるヤマブドウを使った、ワインやジャムなどが販売されています。

田村市は、豊かな自然と歴史に恵まれた、魅力的な街です。自然を満喫したり、歴史に触れたり、美味しいものを味わったりと、様々な楽しみ方ができます。ぜひ、田村市を訪れてみてください。

脚注

  1. “船引 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年1月27日閲覧。
  2. 角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 7 福島県』、角川書店、1981年 ISBN 4040010701より
  3. 日本加除出版株式会社編集部『全国市町村名変遷総覧』、日本加除出版、2006年、ISBN 4817813180より

関連項目

  • 全国市町村一覧

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • 田村市 (tamura.city) – Facebook
  • 地図 – Google マップ

田村市についてのクイズ

田村市の市名は誰に由来しているか?

田村市の市名は、古代の実在の人物である坂上田村麻呂から由来しています。彼は蝦夷征討を行った武士であり、彼の子孫である田村氏がこの地域を田村郡として支配したことから市名が付けられました。坂上田村麻呂は平安時代の内乱や征伐の英雄として知られ、彼の名は戦国時代を経てもなお多くの人々に記憶されています。田村市として2005年に設立される際も、この歴史的な背景が強調されました。そのため、田村市の地域は坂上田村麻呂ゆかりの地としても観光資源に活用されています。

田村市の気候はどのような特徴があるか?

田村市は内陸性気候の影響を受けています。この気候は、一般的に冬は寒冷で降雪が多く、夏は高温多湿になることが特徴です。また、年較差や日較差が大きく、特に夏と冬の温度差が顕著です。田村市の平均気温は冬には氷点下になることもあり、逆に夏には30度を超えることもあるため、気温や天候に応じた多様な自然環境が楽しめます。このことは、季節ごとに異なる風景や農業生産に大きな影響を与えています。

田村市の主な農産物は何か?

田村市は福島県の中でも米の生産が盛んな地域として知られています。特に「コシヒカリ」という品種が有名で、市内の水田で育てられた良質な米は、多くの消費者から支持されています。田村市では、米だけでなく野菜や果物も多様に生産されていますが、全国的な知名度を持つのは主に米です。この地域の豊かな自然環境が、良質な米の生産に寄与しているとされています。また、農業は地域経済を支える大切な産業でもあります。

田村市にある観光スポットの一つは何か?

田村市には「あぶくま洞」という日本三大鍾乳洞の一つが存在します。この鍾乳洞は全長6,000mあり、多くの観光客が訪れる人気のスポットです。洞内には幻想的な石灰岩の鍾乳石や地下河川が広がっており、自然の驚異を間近に体験することができます。あぶくま洞は、冒険心をくすぐる魅力に溢れており、観光だけでなく教育の場としても位置付けられています。地域の自然の美しさを感じることができるスポットとして、訪れる価値があります。