福岡県田川郡添田町:豊かな自然と歴史が息づく、筑豊の秘境

英彦山神宮の銅鳥居や雄大な自然、そして歴史的な炭鉱の町として知られる添田町は、福岡県田川郡に位置する魅力的な町です。

地理と気候

添田町は、筑豊地方の南東部に位置し、英彦山などの山々が連なる筑紫山地で大分県と隣接しています。町域の多くは山間部であり、油木ダムが建設された今川の上流部など、豊かな自然に恵まれています。

添田町の気候は、山間部のため気温の寒暖差が大きく、冬場は最低気温が氷点下まで下がることもありますが、内陸部としては比較的穏やかな気候です。夏は、熱帯夜は少なく、過ごしやすい気候と言えます。

添田アメダス1991–2020年平均の気候
最高気温記録 °C (°F)
平均最高気温 °C (°F)
日平均気温 °C (°F)
平均最低気温 °C (°F)
最低気温記録 °C (°F)
降水量 mm (inch)
平均月間日照時間
出典:気象庁

歴史

添田町の歴史は古く、縄文時代より定住生活が始まったと考えられています。特に大字津野地区に位置する縄文後期の遺跡からは、新潟県糸魚川から運ばれたと見られる大型の硬玉製翡翠大珠が発見されており、当時の交易や文化交流を物語っています。

かつては筑豊炭田の炭鉱が存在し、町の経済を支えていましたが、エネルギー革命による石炭需要の激減により全て閉山しました。1960年代には25000人ほどいた人口は半減し、現在は約8800人ほどとなっています。

近現代の歴史

  • 1887年:添田町村、添田村、伊原村が合併し、添伊田村となる。
  • 1889年:町村制施行により、添伊田村、庄村、野田村が合併、添田村として発足。
  • 1907年:田川郡中元寺村を編入。
  • 1912年:町制施行。
  • 1942年:田川郡彦山村を編入。
  • 1955年:田川郡津野村と対等合併し、新町制による添田町が発足。
  • 2017年:熊谷真実がそえだまち観光大使に就任。
  • 2017年:九州北部を襲った記録的な集中豪雨で大きな被害を受け(平成29年7月九州北部豪雨)、JR日田彦山線の添田駅から夜明駅が不通となる。
  • 2023年:日田彦山線BRT(愛称「BRTひこぼしライン」)が開業する。

行政

添田町は、町長と町議会により運営されています。

町長

  • 寺西明男(4期目)
  • 任期:2026年8月21日

町議会

  • 定数:11人
  • 任期:2026年7月21日

町の施設

  • 添田町美術館:郷土の文化や歴史を紹介する美術館
  • オークホール:多目的ホール

姉妹都市・提携都市

添田町は、国内外に姉妹都市・提携都市を持っています。

  • 北海道中川郡美深町:1981年10月9日姉妹都市提携締結。かつて存在した添田線と美幸線が国鉄の営業係数ワーストを争っていたことによる。
  • 江華郡(大韓民国 仁川広域市)

地域

人口

添田町の人口は、かつては25000人を超えていましたが、炭鉱閉山などにより減少傾向にあります。

添田町の人口の推移
1970年
1975年
1980年
1985年
1990年
1995年
2000年
2005年
2010年
2015年
2020年
出典:総務省統計局 国勢調査より

教育

添田町には、小学校5校、中学校2校があり、子どもたちの教育を支えています。

小学校

  • 添田町立添田小学校
  • 添田町立中元寺小学校
  • 添田町立落合小学校
  • 添田町立真木小学校
  • (添田町立英彦山小学校)
       2002年3月閉校。添田町立落合小学校へ統合。
  • (添田町立津野小学校)
       2022年3月休校。添田町立落合小学校へ統合。

なお2025年4月に休校中の津野小学校を含めた5校を、新たに開校する添田町立小学校に統合することが決まっている。

中学校

  • 添田町立添田中学校
  • (添田町立英彦中学校)
       2010(平成22)年3月閉校。添田町立添田中学校に統合
  • (添田町立津野中学校)
       2010(平成22)年3月閉校。添田町立添田中学校に統合

高等学校

  • (福岡県立田川商業高等学校)
    • 2005年3月閉校。田川農林高等学校、田川工業高等学校と共に新設福岡県立田川科学技術高等学校(田川市)へ統合。

大学

  • 九州大学農学部付属英彦山生物学実験所

地名

添田町は、以下の地区に分かれています。

  • 落合
  • 添田
  • 中元寺
  • 津野
  • 野田
  • 英彦山
  • 桝田

経済

産業

添田町の産業は、農業が中心となっています。かつては炭鉱が町の経済を支えていましたが、現在ではすべて閉山しています。

主な郵便局

  • 添田郵便局
  • 庄郵便局
  • 彦山郵便局
  • 津野郵便局

交通

航空路線

最寄りの空港は、北九州空港(42km)、福岡空港(52km)など。

鉄道路線

  • 九州旅客鉄道(JR九州)
    • 日田彦山線
      • 西添田駅 – 添田駅

中心駅は添田駅です。

バス路線

BRT

  • JR九州(運行はJR九州バス、一部日田バス)
    • 日田彦山線BRT – 2017年に九州北部豪雨で被災した日田彦山線添田駅 – 夜明駅間の復旧として2023年8月28日開業。
      • 添田駅 – 畑川(医院前)駅 – 塚原駅 – 野田駅 – 歓遊舎ひこさん駅 – 貴船橋駅 – 豊前桝田駅 – 柳原駅 – 下落合駅 – 屋形原駅 – 旧英彦中学校前 – 彦山駅 – 深倉駅

※添田町内の駅のみ、町内全駅記載

一般路線バス

  • 西鉄バス – 子会社の西鉄バス筑豊が田川市(後藤寺)・川崎町と添田町北部の中心市街地を結ぶ路線を運行している。かつては添田町内に営業所を設置し、添田町中心部と町内各地の山間部を結ぶ路線や、赤村・大任町と添田町を結ぶ路線もあったが、現在はこれらの路線と営業所は廃止されている。
    • 10:西鉄後藤寺 – 後藤寺 – 池尻 – 川崎本町口 – 添田駅 – 伊原 – めんべい添田町工場
  • 添田町バス – 西鉄バスの代替として町が運行。添田町中心部を運行する「まちなかコース」と、彦山駅と彦山を結ぶ「ひこさんコース」がある。
    • 先述のBRT開業に伴い、西鉄バスや添田町バスの添田駅停留所も移転した。西鉄バスはBRTホームから、添田町バスはホームからすぐ北側のバス乗り場からの発着となった。なお、かつての添田駅停留所はBRTのバス車庫としても使われ、「添田駅入口」停留所と名称変更して存続している。

その他登録制・予約制のデマンド型乗合タクシーがあります。

道路

高速道路

町内には通っていませんが、最寄りのインターチェンジは以下の通りです。

  • E3 九州自動車道
    • (3) 小倉南インターチェンジ(29km)
    • (4) 八幡インターチェンジ(28km)
  • E10 東九州自動車道
    • (2) 行橋インターチェンジ(25km)
    • (2-1) 今川スマートインターチェンジ(23km)
    • (3) みやこ豊津インターチェンジ(25km)
  • E34 大分自動車道
    • (4) 杷木インターチェンジ(32km)
    • (5) 日田インターチェンジ(40km)

一般国道

  • 国道500号

県道

  • 福岡県道34号行橋添田線
  • 福岡県道52号八女香春線
  • 福岡県道78号添田小石原線
  • 福岡県道95号添田赤池線

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事

添田町には、歴史と自然を満喫できる魅力的な観光スポットが数多くあります。

  • 英彦山(修験道信仰の場として有名)
  • 英彦山神宮:英彦山山頂にある、古来より信仰を集めてきた神社。
  • 英彦山庭園群 国指定名勝:英彦山神宮の境内にある庭園群は、国の重要文化財に指定されています。
  • 道の駅歓遊舎ひこさん:英彦山への玄関口となる道の駅。
  • 岩石城/岩石山:険しい山肌にそびえ立つ奇岩が特徴。
  • 添田公園(桜の名所):春には、約100本の桜が咲き乱れます。
  • 添田町オークホール:町民の憩いの場として、イベントや集会などが開催されます。
  • 毛谷村六助の墓所:明治時代の豪商・毛谷村六助の墓所。

著名な出身者

  • 船瀬俊介(ジャーナリスト、環境問題評論家)
  • 米田正文(元参議院議員)★
  • 重渕雅敏(TOTO元社長、現相談役)★

ゆかりのある人物

  • 芝竹夫(教育者、社会運動家) – 添田町内の中学校教諭を務めた。
  • 熊谷真美(女優) – 父親が添田町出身であり、2017年(平成29年)よりそえだまち観光大使を務める。

その他

1985年まで町内を通っていた国鉄添田線は、昭和54年度に営業係数(収入額100円に対する支出額)ワースト1となり、「日本一の赤字ローカル線」として知られました。その後、同線は廃止前に営業係数最大の座を美幸線に譲ったが、これが縁となって添田町は美幸線が通っていた北海道の美深町と姉妹提携を結んでいます。

脚注

  1. “添田町の歴史的風致形成の背景 19ページ”. 添田町 ホームページ. 2014年6月18日閲覧。
  2. 添田町ホームページ2017年6月13日
  3. 時事通信社
  4. 添田町町勢要覧2012 50ページ
  5. “収賄容疑で元福岡県副知事逮捕 県町村会側から現金”. 西日本新聞. (2010年2月2日). http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/150161 2010年2月2日閲覧。
  6. “山本・添田町長が辞職願、住民投票中止へ”. 読売新聞. (2010年7月6日). http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20100706-OYS1T00207.htm?from=nwlb 2010年7月22日閲覧。
  7. “福岡・添田町長選:刑事被告人の前町長11選ならず”. 毎日新聞. (2010年8月22日). http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100823k0000m040085000c.html 2010年8月22日閲覧。

関連項目

  • 二又トンネル爆発事故

外部リンク

  • 公式ウェブサイト

添田町は、豊かな自然と歴史、そして温かい人情あふれる町です。ぜひ一度訪れてみてください。

添田町についてのクイズ

添田町はどの地方に位置していますか?

添田町は筑豊地方の南東部に位置しています。筑豊地方は福岡県の中央部に広がる地域で、かつては炭鉱が盛んでしたが、現在では農業や観光業が中心の経済を形成しています。添田町は、自然が豊かで、山々に囲まれた地域であり、特に英彦山の存在が地域のシンボルとなっています。この町は、過去の炭鉱の歴史と、山々や川に恵まれた自然環境を活かした観光産業が重要な役割を果たしています。

添田町の気候はどのような特徴がありますか?

添田町は山間部に位置しているため、気温の寒暖差が大きいのが特徴です。冬場には最低気温が氷点下まで下がることもあり、夏は熱帯夜は少なく比較的穏やかな気候です。このような気候条件は、農業にとっては良い影響を与えることが多く、特に高温多湿になりやすい6月から8月は、たくさんの農作物が生育する上で晴天の日が求められます。田川郡全体が持つ地域特性とも相まって、添田町の環境は魅力的な農業地帯を形成しています。

添田町の歴史に登場する遺跡は、どの時代から確認されていますか?

添田町の歴史は非常に古く、縄文時代から定住生活が始まったと考えられています。特に、津野地区にある縄文後期の遺跡からは大型の硬玉製翡翠大珠が発見されており、これが新潟県の糸魚川から運ばれたものと推測されています。この発見は当時の人々が広い範囲で交易を行っていたことを示し、文化交流の重要性を浮き彫りにしています。歴史的背景を持つ添田町は、観光地としても魅力的な要素を備えています。

添田町の町長は何期目に入っていますか?

現在の添田町長は寺西明男氏で、4期目に入っています。町長は住民からの選挙により選ばれ、町の施策や運営に大きな影響を与える重要な役職です。寺西町長は、様々な課題に取り組みながら地域のことを第一に考えて運営を行っています。また、町議会とともに地域の発展に向けた政策決定や実施を行う役割を担っています。多くの町民から支持を受けている町長としての彼の存在は、町の発展の鍵といえるでしょう。

添田町の姉妹都市はどこですか?

添田町は北海道中川郡美深町と大韓民国仁川広域市の江華郡の二つの姉妹都市を持っています。美深町との提携は、かつての鉄道の関係から生まれ、両都市が共に地域発展や文化交流を進めることを目的としています。江華郡とは、長い友好関係を築いており、文化やイベントの交流も活発です。このように、添田町は国際的なつながりを重視し、地域の魅力を広める取り組みを行っています。