今治タオルと造船の街!愛媛県今治市の魅力を徹底解説

瀬戸内海に浮かぶ島々をつなぐ「しまなみ海道」の玄関口として知られる愛媛県今治市。美しい景観と豊かな歴史、そして活気あふれる産業が魅力の街です。今回は、今治市の魅力を徹底解説し、観光スポットや歴史、文化、産業などについて詳しく紹介します。

概要

今治市は、愛媛県北東部の東予地方に位置する市です。しまなみ海道が今治市と尾道市を結んでおり、大島、伯方島、大三島などの島々を繋いでいます。

古くから瀬戸内海の海上交通の要所であった今治市は、平安時代以前には伊予国国府が置かれ、江戸時代には今治藩今治城の城下町として発展しました。1920年2月に今治町と日吉村が合併し、旧今治市が誕生。その後、2005年に越智郡11町村との新設合併により、現在の今治市が誕生しました。

市域は四国本土の高縄半島北東部と芸予諸島の一部から成り、同じ東予地方の西条市、新居浜市、四国中央市と並んで工業が盛んです。瀬戸内工業地域の一角として、愛媛県・四国地方を代表する工業都市のひとつであり、特に造船と今治タオルの地場生産が盛んです。

今治市に本社を置く今治造船は造船業で日本一の規模を誇り、今治タオルは世界的に有名なブランドとして知られています。近年では、しまなみ海道のサイクリングロードが整備され、サイクリングツーリズムも盛んになっています。

歴史

今治市は、古くから瀬戸内海の交通の要所として栄えてきました。ここでは、2005年(平成17年)の合併以前の「今治市」の市域の歴史を中心に紹介します。

藩政期

今治市は、江戸時代には今治藩の城下町として発展しました。今治藩の領地は市内中心部と蒼社川沿いのほか、玉川町の大部分、朝倉の一部、伯方島、大島など、市域の一部に限られていました。大三島、関前諸島、菊間町、大西町、波方町、波止浜、乃万は松山藩、桜井は天領でした。

  • 1871年(明治4年)7月14日 – 廃藩置県により今治藩が廃止され、今治県が設置されます。
  • 1871年(明治4年)11月 – 松山県、西条県、小松県と合併し、松山県が誕生します。
  • 1872年(明治5年) – 今治郵便取扱所(現:今治郵便局)が設置されます。
  • 1873年(明治6年) – 石鉄県の県庁所在地が今治に設置されます。その後、神山県と合併し愛媛県が誕生しますが、県庁所在地は松山に移されます。

今治町時代

  • 1889年(明治22年)12月15日 – 市町村制の施行により、今治町が誕生します。
  • 1894年(明治27年)12月 – 阿部平助が4台の織機で今治初のタオル作りを開始します。
  • 1920年(大正9年)2月11日 – 今治町と日吉村が合併し、市制施行により今治市が誕生します。

旧今治市時代

  • 1922年(大正11年)2月10日 – 今治港が四国初の開港場に指定されます。
  • 1924年(大正13年) – 讃予線(後の予讃線)伊予桜井駅・今治駅間が開業します。
  • 1945年(昭和20年) – 空襲により市街地中心部の8割が焼失します。
  • 1955年(昭和30年) – 周辺町村を編入し、市域が拡大します。
  • 1999年(平成11年) – 来島海峡大橋、多々羅大橋が完成し、西瀬戸自動車道(尾道・今治ルート、通称:しまなみ海道)が開通します。

新市発足以降

  • 2005年(平成17年)1月16日 – 今治市と越智郡11町村が合併し、新たに「今治市」が発足します。
  • 2006年(平成18年) – 西瀬戸自動車道(しまなみ海道)愛媛県の大島道路と広島県の生口島道路が完成し全線開通します。
  • 2008年(平成20年) – 安芸灘諸島連絡架橋(とびしま海道)が完成し、岡村島が市内中心部と陸路で接続されます。
  • 2011年(平成23年) – バリィさんが「ゆるキャラグランプリ2012」でグランプリに選ばれます。
  • 2018年(平成30年) – 岡山理科大学今治キャンパス(獣医学部)が開学します。

地理

今治市は瀬戸内海沿岸に位置し、愛媛県北部の高縄半島の北東部を占める陸地部と、瀬戸内海特有の多島海が見られる島しょ部をも含めた多様な市域を有しています。

  • : 近見山(標高 244m)、亀老山(大島、標高 307.8m)、鷲ヶ頭山(大三島)など
  • 河川: 浅川、蒼社川、頓田川など
  • : 大三島、伯方島、大島、岡村島、津島、来島、小島など
    • 架橋島: 大三島、伯方島、大島、馬島、見近島(以上しまなみ海道)、岡村島(とびしま街道)
  • ダム: 玉川ダム、台ダムなど

気候

今治市は瀬戸内海式気候に属し、温暖で降水量が少ないのが特徴です。夏は高温多湿、冬は比較的温暖で、過ごしやすい気候です。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C 18.0 21.7 28.1 30.0 33.6 35.4 37.7 37.7 36.3 33.1 24.7 23.3 37.7
平均最高気温 °C 9.8 10.3 13.6 18.8 23.6 26.4 30.7 32.2 28.2 22.9 17.3 12.2 20.5
平均最低気温 °C 1.8 1.7 4.3 8.8 13.7 18.4 22.7 23.9 20.4 14.6 8.9 4.1 11.9
降水量 mm 49.6 59.8 96.6 97.0 111.8 196.2 191.8 93.8 165.2 122.2 69.6 59.4 1,325.5

行政

行政機関

  • 今治市役所
    • 支所: 朝倉、玉川、波方、大西、菊間、吉海、宮窪、伯方、上浦、大三島、関前
  • 今治市消防本部
    • 中央消防署
    • 西消防署
    • 北消防署
    • 東消防署

議会

  • 今治市議会: 定数34名
  • 愛媛県議会: 今治市・越智郡選挙区、定数6名
  • 衆議院: 愛媛2区(松山市の一部・今治市・東温市・越智郡・伊予郡)

経済

今治市は、造船業、タオル製造業など、歴史と伝統に裏打ちされた産業が盛んです。

農業

瀬戸内の温暖な気候を利用したみかんなどの柑橘類の栽培が盛んであり、大三島や伯方島などの島嶼部を中心に栽培が行われています。畜産業については菊間地区が市内で一番養豚や養鶏の盛んな地域となっています。

漁業

急潮流の来島海峡を中心とする変化に富んだ好漁場を有し、一本釣漁業、小型機船底びき網漁業、刺し網漁業を中心に多様な漁船漁業が営まれています。マダイの漁獲量は国内トップクラスです。

製造業

今治市の製造品等出荷額は四国地方の市町村で最も多い金額となっており、特にタオルと造船が盛んです。

タオル

今治市は「今治タオル」の産地として世界的に有名です。国内の生産量の5割を占めており、その品質の高さは世界で認められています。

  • 1894年、阿部平助が今治で最初のタオルを作り始めます。
  • 1918年、中村忠左衛門がジャガード織機を導入し、今治タオルの特徴である「先晒し先染め」の製法が確立されます。
  • 1960年、泉州を抜き、日本一のタオル産地となります。
  • 1990年代後半、海外からの安価なタオルの流入により、今治タオル産業は危機を迎えます。
  • 2006年、経済産業省の「JAPANブランド育成支援事業」に採択され、「今治タオルプロジェクト」を開始します。
  • 現在では、品質の高さ、吸水性、耐久性などが評価され、国内外で高い人気を誇っています。

造船

今治市には、国内最大手の今治造船や新来島どっくなどの造船メーカーが立地しています。2017年の輸送用機械器具製造業の製造品出荷額等は市全体の製造品出荷額等の3割を占めており、重要な産業となっています。

  • 1970年代、造船不況の影響で造船会社の倒産が相次ぎます。
  • 今治造船が経営不振の造船所を傘下に収めるなどグループ化が進みます。
  • 現在では、熟練技能者の高齢化や若年人材の不足という課題を抱えています。

海運業

今治市には、多くの船主(船舶貸渡業)が存在し、「今治船主」や「愛媛船主」の名で世界的に知られています。造船会社、舶用メーカーを含めて「海事クラスター」と呼ばれる企業群を形成しており、世界的な海事都市として発展しています。

小売業

今治市の中心部には、かつて百貨店や大型スーパーなどが存在していましたが、郊外の大型店への転換や港の利用客減少により、商店街では空き店舗が増加しています。

一方で、郊外では、西瀬戸自動車道の開通で四国・愛媛県の玄関口になったことから、大型商業施設が進出しています。

観光

今治市は、歴史と自然に恵まれた観光都市です。しまなみ海道のサイクリングロードや、今治城、タオル美術館など、見どころ満載です。

歴史的建造物

  • 今治城: 1603年に藤堂高虎によって築かれた城で、日本100名城に選ばれています。
  • 今治ラヂウム温泉: 国の登録有形文化財に指定されています。

神社仏閣

  • 大山祇神社: 古代から続く由緒ある神社で、日本三大弁財天の一つとして知られています。

博物館・展示施設

  • タオル美術館ICHIHIRO: 今治タオルの歴史や製造工程を見学できる施設です。
  • 伊東豊雄建築ミュージアム: 世界的に有名な建築家、伊東豊雄氏の作品を展示しています。

公園

  • よしうみバラ公園: 瀬戸内海を一望できる景観が楽しめる公園です。
  • 亀老山展望公園: 大島と伯方島を結ぶ伯方・大島大橋を一望できる展望台があります。

温泉

  • 湯ノ浦温泉: 温泉街があり、日帰り温泉や宿泊施設が充実しています。

文化

スポーツ

今治市は、サッカーチーム「FC今治」の本拠地です。Jリーグに所属し、地元住民から熱い支持を得ています。

伝統文化

  • 村上水軍: 瀬戸内海を舞台に活躍した海賊集団で、今治市にはその歴史を伝える史跡や資料館があります。
  • 継獅子: 獅子頭をつけた人が人の肩に乗って舞う獅子舞で、今治地方春祭りの際に披露されます。

伝統産業

  • 今治タオル: 今治市を代表する伝統産業です。
  • 桜井漆器: 桜井地域で伝統的に作られている漆器です。

食文化

今治市には、独自の食文化があります。

  • 今治焼鳥: 鶏肉を鉄板で焼き上げた料理で、特に皮の部分が人気です。
  • せんざんき: 鶏肉の唐揚げで、今治では「から揚げ」といえば「せんざんき」を指すほど人気です。

ゆるキャラ

  • バリィさん: 今治市をイメージして作られたご当地キャラクターです。ゆるキャラグランプリ2012王者に輝き、今治市のシンボルとして親しまれています。

アクセス

  • 飛行機: 松山空港から今治市までは、リムジンバスで約1時間30分です。
  • 新幹線: 新大阪駅から今治市までは、新幹線で約2時間30分、JR予讃線で約1時間30分です。
  • 自動車: 松山市から今治市までは、松山自動車道で約1時間です。

まとめ

愛媛県今治市は、歴史と文化、そして産業が調和した魅力的な街です。美しい瀬戸内海の景色、美味しい食べ物、そして活気あふれる街並みをぜひ体感してみてください。

今治市についてのクイズ

今治市はどのような特徴で知られていますか?

愛媛県今治市は今治タオルと造船業で知られる都市です。今治タオルはその品質の高さから全国的にも有名で、国内生産量の約50%を占めています。このタオルは、1840年代から始まった歴史があり、特に1918年に導入された先晒し先染めの製法により、今治タオルの品質が向上しました。また、今治市は造船業も盛んであり、日本最大手の今治造船が本社を置くなど、海事産業の中心地ともなっています。これにより、今治市は造船の技術、タオル製造の豊かな伝統文化が共存する特異な地域となっているのです。

今治市が合併して現在の市名になったのは何年ですか?

愛媛県今治市は2005年(平成17年)1月16日に、旧今治市と越智郡の11町村が合併し、新たに「今治市」として発足しました。この合併により、市域は拡大し、旧市町村の住民や文化を受け入れ、より多様性のある市となりました。それ以前の今治市の歴史を紐解くと、今治町として1889年に市町村制が施行され、1920年に市制施行により今治市が誕生しましたが、合併後の再形成により新たな現在の形を持つ今治市が成立したのです。この合併は市の発展を促す重要な出来事でした。

今治市が属する気候区分は何ですか?

今治市は瀬戸内海沿岸に位置し、温暖で降水量が少ない瀬戸内海式気候に属しています。この気候は、夏は高温多湿であり、冬は比較的温暖です。そのため、住みやすい環境が整っており、農業や観光業が発展しやすい条件を備えています。具体的には、柑橘類の栽培が盛んで、特に穏やかな気候が果物の生育に寄与しています。また、観光面においても温暖な気候の影響から訪れる人々にとって過ごしやすい地域となり、多くの観光施設やアクティビティが楽しめるようになっています。

今治市の代表的な観光スポットはどれですか?

今治市の代表的な観光スポットである今治城は、1603年に藤堂高虎によって築かれた歴史的な城です。今治城は日本100名城にも選ばれており、その美しい天守閣や、周囲の濠は訪れる人々を魅了しています。また、城跡周辺には公園として整備されており、市民や観光客が散策を楽しむことができ、歴史の息吹を感じられるスポットとなっています。加えて、今治市にはタオル美術館や大山祇神社など、歴史や文化に触れられる場所が多く、内外から多くの観光客が訪れています。