青森県むつ市は、下北半島に位置する、本州最北端の市です。陸奥湾と津軽海峡に面し、雄大な自然と歴史、そして現代の技術が融合する魅力的な街です。
概要
むつ市は、2005年の市町村合併により、青森県内で最も大きな面積を誇る自治体となりました。面積は864.20平方キロメートルで、青森県の総面積の約11%を占めます。人口は約50,000人ですが、近年は減少傾向にあります。下北地方の中核都市として、周辺自治体を含めたむつ都市圏を形成し、人口は約75,000人です。
1960年に大湊田名部市から現在のむつ市に改められ、日本で初めて平仮名の市名となりました。下北地方の豊かな自然と歴史、そして現代の技術が融合した、個性豊かな街です。
地理
むつ市は、青森県北東部の下北半島に位置し、南は陸奥湾、北は津軽海峡に面しています。市の中心部は田名部平野に位置し、田名部川が流れ、周辺には下北丘陵が連なっています。
山岳
- 恐山山地:市の中部を占める山地。標高781メートルの燧岳や、直径約3キロメートルのカルデラを持つ恐山などがあります。恐山の中央にはカルデラ湖である宇曽利湖があります。
- 釜臥山:恐山山地の南東に位置し、標高878メートルでむつ市内で最も高い山です。山頂からはむつ市街や陸奥湾を一望できます。
河川
- 田名部川:下北丘陵に端を発し、田名部平野を流れ、陸奥湾に注ぎます。
沿岸
- 陸奥湾:南側に位置し、穏やかな海でホタテ養殖が盛んです。
- 津軽海峡:北側に位置し、日本海と太平洋を結ぶ重要な海峡です。
隣接自治体
- 下北郡:大間町、東通村、風間浦村、佐井村
- 上北郡:横浜町
気候
むつ市は、西岸海洋性気候に属し、冷涼な気候です。年間を通じて降水量は多く、冬は雪に覆われます。夏は北東風(やませ)の影響で涼しい日もありますが、基本的には高温多湿です。
むつ市の気候 |
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最高気温記録 |
平均最高気温 |
日平均気温 |
平均最低気温 |
最低気温記録 |
年間降水量 |
年間降雪量 |
歴史
むつ市は、古くから陸奥湾と津軽海峡を結ぶ要衝として栄えてきました。
藩政時代
- 田名部:南部藩(盛岡藩)の代官所が置かれ、田名部川の水運で栄えました。
- 大湊:下北七湊の一つとして、北前船の風待港として賑わいました。
明治時代以降
- 大湊:帝国海軍の軍港となり、太平洋戦争中は大湊町として空襲を受けました。現在でも海上自衛隊の基地があり、大湊地方隊の地方総監部が置かれています。
- 田名部:1959年に大湊町と合併し、大湊田名部市が誕生しました。
- 1960年:日本で初めての平仮名の市名である「むつ市」に改名されました。
近代
- 2005年:下北郡川内町、大畑町、脇野沢村を編入し、現在のむつ市となりました。
行政
市長
- 山本知也
市議会
- 定数:26人
- むつ選挙区:18人
- 川内選挙区:4人
- 大畑選挙区:3人
- 脇野沢選挙区:1人
市役所
- 本庁舎:むつ市中央一丁目8番1号
- 川内庁舎:むつ市川内町川内477
- 大畑庁舎:むつ市大畑町伊勢堂1番1号
- 脇野沢庁舎:むつ市脇野沢渡向107番1号
経済
産業
- 漁業:ホタテ養殖が盛んです。
- 原子力関連:リサイクル燃料貯蔵施設などがあります。
- 観光業:恐山や釜臥山などの観光資源を生かした観光業が盛んです。
- 海上自衛隊基地:大湊基地は海上自衛隊の重要な拠点であり、経済効果も大きいです。
主要企業
- マエダ:青森県の主要スーパーマーケット
- むつ松木屋:地元で人気のスーパーマーケット
- アツギ東北:アパレルメーカーの工場があり、むつ市の雇用を支えています。
交通
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)大湊線:近川駅 – 金谷沢駅 – 赤川駅 – 下北駅 – 大湊駅
- 中心となる駅:大湊駅
バス
- 下北交通
- ジェイアールバス東北
- むつ車体工業
- 脇野沢交通
- 国際興業バス:夜行高速バス「しもきた号」(むつ市役所・下北駅 – 大宮・東京(新宿))
道路
- 下北半島縦貫道路
- 国道279号
- 国道338号
港湾
- 大湊港
- 関根浜港
- 脇野沢港
名所・旧跡・観光スポット
自然
- 恐山:日本三大霊場の一つであり、霊山として信仰を集めています。
- 宇曽利湖:恐山にあるカルデラ湖です。強酸性の水質が特徴です。
- 釜臥山:むつ市内で最も高い山で、山頂からはむつ市街や陸奥湾を一望できます。
- 釜臥山スキー場:冬にはスキーやスノーボードを楽しむことができます。
- 川内ダム:本州最北端のダムで、ダム湖であるかわうち湖はダム湖100選に選ばれています。
- 猿山公苑:国の天然記念物である北限のサルが生息しています。
文化・歴史
- 旧大湊要港部乙第十号・十一号官舎:石造の旧官舎で、国の重要文化財です。
- 海上自衛隊展示資料館「北洋館」:旧大湊要港部会議所を利用した資料館です。
- 水源池公園:桜の名所としても知られています。
- 常念寺:木造阿弥陀如来坐像(平安時代末期)は国の重要文化財です。
- 蠣崎城:戦国時代に蠣崎氏が築いた城跡です。
- 田名部館:代官山公園にある歴史資料館です。
その他
- むつ科学技術館:原子力船むつ記念館です。
- まさかりプラザ:むつ下北観光物産館です。
温泉
- 恐山温泉
- 薬研温泉
- 奥薬研温泉
- 湯野川温泉
- むつ矢立温泉
祭事・催事
祭・神事
- 大湊ネブタ
- 田名部まつり
- 恐山大祭
催事
- 芦崎湾の潮干狩り
- むつ桜まつり
郷土料理
- 味噌貝焼き(みそかやき)
- イカの寿司
- あんこうのともあえ
- クジラ汁
- べこもち
- けいらん
- 品川汁
- じゃっぱ汁
出身有名人
- 朝比奈ゆうや(漫画家)
- 北ノ花吉保(大相撲力士)
- 櫛引彩香(シンガーソングライター)
- 早川啓二(アニメ監督・演出家)
- 細川ふみえ(タレント)
- 松山ケンイチ(俳優)
- 飛内将大(音楽家)
- むつ利之(漫画家)
- 柳澤龍志(格闘家)
- 2代目柳家蝠丸(落語家)
- amazarashi(ロックバンド)
- 岸本鷹幸(陸上競技400mH選手)
- 板橋かずゆき(歌手)
- 渋田紀子、吉田理子(漕艇選手)
- 黒田将矢(埼玉西武ライオンズ選手)
- 工藤洋志(アツギ代表取締役社長)
- 坪政之(陸上競技選手)
- 宮下宗一郎(青森県知事)
その他
- むつ市は、豊かな自然、歴史、文化、そして現代の技術が融合した魅力的な街です。
- 下北半島を代表する観光地であり、多くの観光客が訪れます。
- 地域住民は温かく、観光客に親切です。
- 自然と文化に触れ、歴史を感じることができる、おすすめの観光地です。
脚注
- 気象庁(むつの観測史上1~10位の値)
- “脇野沢 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2023年3月30日閲覧。
- 『むつ市史 年表』844ページ「現代 昭和30年(1955)」より。
- 『むつ市史 年表』855ページ「現代 昭和31年(1956)」より。
- 青森)むつ市、小学校空き教室が市役所分庁舎 – 朝日新聞デジタル・2020年3月24日11時00分配信
- ^ a b c “50人に1人が職失う計算 むつ市、アツギ東北生産終了で雇用危機”. 河北新報オンラインニュース (2022年2月27日). 2022年2月27日閲覧。
- むつ市長が急死 懇親会あいさつ中に倒れる 朝日新聞 2014年5月19日閲覧
- “宮下・むつ市長辞職”. 読売新聞. (2023年3月4日). https://www.yomiuri.co.jp/local/aomori/news/20230303-OYTNT50128/ 2023年3月4日閲覧。
- “むつで明の星短大下北キャンパスが始動|教育|青森ニュース|Web東奥”. Web東奥. 2020年4月7日閲覧。
- 夜景百選釜臥山
- 国指定文化財等DB(北限のサル)
- むつ科学技術館
- 青森県文化財DB(常念寺)
- 『東奥年鑑平成10年版』(東奥日報社・1997年9月1日発行)「市町村政 – 市町村概況」203頁「むつ市 むつ市出身の渋田、吉田両選手がアトランタ五輪に出場」から。
- “工藤 洋志さん | 12月24日に設立70周年を迎える「アツギ(株)」の代表取締役社長を務める | 海老名・座間・綾瀬”. タウンニュース (2017年12月22日). 2022年2月27日閲覧。
- 移転に係るこれまでの経緯 Archived 2009年9月3日, at the Wayback Machine.(むつ市ホームページ)
- 47年の歴史に幕/むつ市役所本庁舎[リンク切れ] デーリー東北(2009年9月19日)
- 47年間ありがとう 旧庁舎お別れ会/むつ[リンク切れ] デーリー東北(2010年11月3日)
関連項目
- 下北弁
- ひらがな・カタカナ地名
- ムッシュ・ムチュランI世
外部リンク
- 行政
- 公式ウェブサイト
- むつ市 (mutsu.city) – Facebook
- 青森県むつ市 (@mutsukoho) – X(旧Twitter)
- むつ市観光協会
- むつ市に関連する地理データ – オープンストリートマップ
- 地図 – Google マップ
むつ市についてのクイズ
むつ市が市町村合併により誕生した年はいつですか?
むつ市は2005年に下北郡の町村を合併することによって形成され、青森県内で最も大きな面積を持つ自治体となりました。この合併により、むつ市の面積は864.20平方キロメートルに達し、青森県の総面積の約11%を占めることになりました。むつ市は地理的にも重要な位置にあり、下北地方の中核都市として、周辺自治体を含むむつ都市圏を形成しています。合併前の歴史を辿ると、1960年に大湊田名部市からむつ市に改名され、日本で初めて平仮名の市名を持つ自治体となったことも特筆すべき点です。
むつ市の中心部が位置する平野はどれですか?
むつ市の中心部は田名部平野に位置し、田名部川が流れています。田名部平野は陸奥湾に近く、豊かな自然環境が特徴です。この地域は農業にも適した土地で、多様な作物が栽培されています。むつ市全体としては、下北丘陵が周囲に連なる地形であり、特に山岳エリアとの共存が、地域の経済や観光、文化に寄与しています。田名部平野は、自然の恵みだけでなく、歴史的な遺産も多く抱える地域です。
むつ市の気候はどの気候区に分類されますか?
むつ市は、西岸海洋性気候に属しており、冷涼でありながらも降水量が多い気候が特徴です。特に冬季には雪が多く、夏季は北東風(やませ)の影響を受けることから、気温が下がる日もあります。このような気候は地域の農業や漁業、観光に影響を与えています。たとえば、降水量が豊富であることは水資源の確保に直結し、農業の発展を支えています。また、冬季の雪はスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを楽しむための条件を提供しています。
むつ市の主な産業に含まれないものはどれですか?
むつ市の主要産業には漁業、観光業、原子力関連産業が含まれていますが、自動車製造はこの地域の主要産業には該当しません。漁業においては、特にホタテの養殖が有名で、地域経済に大きな影響を及ぼしています。また、恐山や釜臥山などの自然を生かした観光業も盛んで、多くの観光客が訪れます。さらに、原子力関連ではリサイクル燃料の貯蔵施設が存在し、地域の雇用にも寄与しています。自動車製造は、むつ市の経済構造とは異なるため、選択肢としては不正解です。
大湊ネブタ祭りはどのような祭りですか?
大湊ネブタ祭りは、むつ市で行われる有名なねぶた祭りで、多くの地元の人々と観光客に親しまれています。この祭りは、色とりどりの大型のねぶた(灯籠)が市内を練り歩くもので、非常に独特で美しい光景です。ねぶた祭りは本来、夏の風物詩として地域に根付いており、参加者は地方の伝統衣装を身にまとい、祭りを盛り上げます。地域の文化や歴史を反映し、観光の重要な一部を担っているこの祭りは、地元の人たちにとっても誇りの象徴となっています。