日本最北端の島、礼文島。その全域を占める礼文町は、雄大な自然と豊かな歴史、そして個性的な文化が織りなす魅力的な町です。ここでは、礼文町の魅力を、自然、歴史、観光、文化など様々な角度からご紹介します。
礼文町の概要
礼文町は、北海道北部、稚内市沿岸の西方約60kmに位置する礼文島全域を占める町です。面積は81.64km²、人口は2,266人(2024年7月31日現在)。周囲を海に囲まれた島のため、隣接する自治体は存在しません。礼文町は、日本最北端の町として知られており、北方領土を除いた場合の日本最北端の地に位置しています。
礼文町の名前の由来
礼文町の名前は、アイヌ語の「レプンペッ(repun-pet)」に由来すると言われています。「レプン」は「切り立った崖」を意味し、「ペッ」は「島」を意味します。礼文島は、西側が断崖絶壁になっていることから、この名前が付けられたと考えられています。
礼文町の地理
礼文島は、南北に長く、ほぼ逆三角形の形状をしています。北部の船泊地区と南部の香深地区に分かれており、島西部は断崖絶壁が続くため、自動車やバイクでの島一周はできません。東部海岸には、北海道道40号礼文島線が南北に走り、島内を結んでいます。
礼文町は、山、川、湖沼、島、岬など、豊かな自然環境に恵まれた町です。主な地理的特徴は以下のとおりです。
礼文町の主な地理的特徴
- 山: 礼文岳(標高490m)
- 河川: ホロナイ川(大沢川)
- 湖沼: 久種湖(くしゅこ)
- 島: 礼文島、海驢島(とどじま)、平島(ひらしま)、種島(たねじま)
- 岬: スコトン岬(須古頓岬)、金田ノ岬、澄海岬(すかいみさき)、ゴロタ岬
礼文町の気候
礼文町の気候は、宗谷暖流や偏西風の影響を受け、緯度の割には比較的穏やかです。夏は涼しく、冬は氷点下10℃前後までしか下がらないのが特徴です。
礼文町の気温と降水量
月 | 最高気温記録 °C (°F) | 平均最高気温 °C (°F) | 日平均気温 °C (°F) | 平均最低気温 °C (°F) | 最低気温記録 °C (°F) | 降水量 mm (inch) | 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 平均月間日照時間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 6.9 (44.4) | -2.7 (27.1) | -4.6 (23.7) | -6.5 (20.3) | -15.8 (3.6) | 73.4 (2.89) | 17.9 | 47.5 |
2月 | 8.1 (46.6) | -2.1 (28.2) | -4.3 (24.3) | -6.4 (20.5) | -17.1 (1.2) | 51.6 (2.031) | 14.4 | 72.2 |
3月 | 11.0 (51.8) | 1.7 (35.1) | -0.4 (31.3) | -2.4 (27.7) | -9.6 (14.7) | 44.1 (1.736) | 10.9 | 153.8 |
4月 | 17.4 (63.3) | 6.6 (43.9) | 4.1 (39.4) | 1.8 (35.2) | -5.7 (21.7) | 49.2 (1.937) | 8.7 | 192.7 |
5月 | 21.8 (71.2) | 11.6 (52.9) | 8.5 (47.3) | 6.0 (42.8) | 0.2 (32.4) | 79.7 (3.138) | 9.7 | 170.4 |
6月 | 24.6 (76.3) | 15.9 (60.6) | 12.8 (55) | 10.3 (50.5) | 4.0 (39.2) | 84.6 (3.331) | 9.6 | 125.9 |
7月 | 30.5 (86.9) | 20.4 (68.7) | 17.3 (63.1) | 14.9 (58.8) | 8.1 (46.6) | 101.0 (3.976) | 7.5 | 126.5 |
8月 | 30.5 (86.9) | 22.6 (72.7) | 19.7 (67.5) | 17.3 (63.1) | 10.9 (51.6) | 138.6 (5.457) | 8.9 | 154.2 |
9月 | 29.0 (84.2) | 20.5 (68.9) | 17.4 (63.3) | 14.5 (58.1) | 5.8 (42.4) | 131.1 (5.161) | 10.5 | 186.7 |
10月 | 22.3 (72.1) | 13.9 (57) | 11.2 (52.2) | 8.4 (47.1) | -1.1 (30) | 100.4 (3.953) | 11.6 | 159.6 |
11月 | 16.1 (61) | 6.1 (43) | 3.6 (38.5) | 1.2 (34.2) | -11.4 (11.5) | 98.4 (3.874) | 12.9 | 82.0 |
12月 | 11.8 (53.2) | -0.3 (31.5) | -2.4 (27.7) | -4.5 (23.9) | -13.4 (7.9) | 91.5 (3.602) | 16.2 | 42.5 |
年 | 30.5 (86.9) | 9.5 (49.1) | 6.9 (44.4) | 4.5 (40.1) | -17.1 (1.2) | 1,049.1 (41.303) | 138.6 | 1,514.3 |
出典: 気象庁
礼文町の歴史
礼文島は、古くからアイヌ民族が住んでいたと考えられています。その後、松前藩の支配下に入り、ニシン漁などが盛んに行われました。明治時代には、北海道庁の管轄となり、1959年に町制が施行され、現在の礼文町となりました。
礼文町の主な歴史
- 先史時代: オホーツク文化期の遺跡が香深井や船泊で発見されている。
- アイヌ時代: チャシ跡が確認されている。
- 1456年: 香深井アイヌと磯谷アイヌの戦いが現在の桃岩付近で発生。
- 1685年: 松前藩直轄のソウヤ場所となる。
- 1765年: 礼文、利尻、宗谷が独立場所となる。
- 1819年: 藤野伊兵衛が松前藩宗谷場所の請負人となる。
- 1846年: 陸奥国三厩村(現青森県)から移り住んだ柳谷万之助が尺忍(香深)に渡島漁場を開く。
- 1878年: 礼文郡各村戸長役場が香深に設置される。
- 1892年: 船泊村が分村。
- 1956年: 香深村と船泊村が合併し、礼文村となる。
- 1959年: 町制施行により、礼文町となる。
礼文町の行政
礼文町は、町長を首長とする町議会制を採用しています。町議会は9名の議員で構成され、議長と副議長が選出されています。
礼文町の行政組織
- 町長: 小野徹
- 礼文町議会: 議長:笹山啓、副議長:藤田敏春、議員定数:9
- 町組織: 総務課、町民課、保健課、産業課、建設課
- 警察: 北海道警察 旭川方面本部 稚内警察署(香深駐在所、船泊駐在所)
- 消防: 利尻礼文消防事務組合消防本部(礼文支署)
礼文町の経済
礼文町の基幹産業は、漁業と観光です。年間を通して海の幸に恵まれ、夏はエゾバフンウニ、利尻昆布、ホッケなどの特産品が水揚げされます。礼文島は、ウニ丼発祥の地としても知られています。
礼文町の産業
- 漁業: エゾバフンウニ、利尻昆布、ホッケなど
- 観光: 高山植物、自然景観、ウニ丼など
礼文町の主な経済団体
- 香深漁業協同組合
- 船泊漁業協同組合
礼文町の金融機関
- 稚内信用金庫: 礼文支店、礼文町役場船泊支所出張所(ATMコーナー)
礼文町の郵便局
- 礼文香深郵便局(集配局)
- 香深井郵便局
- 船泊郵便局
礼文町のコンビニ
- セイコーマート 香深店
礼文町の姉妹都市・提携都市
礼文町は、国内に2つの姉妹都市を有しています。
国内姉妹都市
- 岩手県稗貫郡大迫町(現・花巻市)
- 広島県豊田郡豊町(現・呉市)
礼文町の地域
礼文町は、人口減少が課題となっています。2005年以降、人口は減少傾向にあり、2020年には2,509人まで減少しています。
礼文町の人口推移
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 7,535人 |
1975年 | 6,525人 |
1980年 | 5,990人 |
1985年 | 5,724人 |
1990年 | 5,121人 |
1995年 | 4,375人 |
2000年 | 3,856人 |
2005年 | 3,410人 |
2010年 | 3,078人 |
2015年 | 2,773人 |
2020年 | 2,509人 |
出典: 総務省統計局 国勢調査
礼文町の消滅集落
2015年国勢調査によれば、礼文町には2つの消滅集落が存在しています。
- 礼文町 大字船泊村海馬島
- 礼文町 大字船泊村字ウヱンナイ
礼文町の教育
礼文町には、高等学校1校、中学校2校、小学校6校があります。
礼文町の教育機関
- 高等学校: 北海道礼文高等学校
- 中学校: 香深中学校、船泊中学校
- 小学校: 礼文小学校、香深井小学校、船泊小学校、須古頓小学校、元地小学校、尺忍小学校、上泊小学校、内路小学校、神崎小学校
礼文町の交通
礼文町には、空港、路線バス、道路、船舶、タクシーなど、様々な交通手段があります。
礼文町の空港
- 礼文空港: 2009年4月より運用休止中。定期便は就航していない。
礼文町の路線バス
- 宗谷バス: 礼文営業所(礼文線、元地線、知床線)
礼文町の道路
- 都道府県道: 北海道道40号礼文島線、北海道道507号船泊港利礼公園線、北海道道765号元地香深線、北海道道926号礼文空港線
礼文町の船舶
- 香深港: 稚内港、鴛泊港、沓形港へのフェリー路線(ハートランドフェリー)
礼文町のタクシー
- 礼文ハイヤー
- イシドウハイヤー
礼文町の観光
礼文町は、豊かな自然と歴史を満喫できる観光地として知られています。高山植物、自然景観、歴史遺産、グルメなど、様々な魅力があります。
礼文町の主な観光スポット
- 高山植物園: レブンアツモリソウ、レブンウスユキソウなど、貴重な高山植物を観賞できます。
- 高山植物群落: レブンアツモリソウなど、礼文島固有の希少な高山植物が咲き乱れます。
- 礼文林道: 高山植物や絶景を楽しめる遊歩道です。
- 桃岩展望台: 礼文島西海岸の断崖絶壁や日本海を一望できます。
- 地蔵岩: スコトン岬の近くにある奇岩で、漁師の守り神として崇められています。
- 猫岩: スコトン岬にある猫の形をした岩です。
- 金環日食観測記念碑: 昭和23年5月9日に起こった金環日食を観測した場所です。
- 銭屋五兵衛記念碑: 江戸時代の豪商、銭屋五兵衛の功績を称える記念碑です。
- 上村占魚句碑: 俳人、上村占魚の句碑です。
- スコトン岬: 礼文島最北端の地であり、日本最北限のトイレもあります。
- 澄海岬: スコトン岬の近くにある岬で、雄大な海を望むことができます。
- 礼文岳: 標高490mの礼文島最高峰で、頂上からは360度の絶景を楽しめます。
- 久種湖: 日本最北の湖で、ミズバショウの群生地として有名です。
- 利尻礼文サロベツ国立公園: 礼文島を含む、利尻島、サロベツ原野を合わせた国立公園です。
- 礼文島温泉: 海を見ながら温泉を楽しめる施設です。
- 愛とロマンの8時間コース: 礼文島の西海岸を歩くトレッキングコースです。
- 国の重要文化財:明治38年(1905年)建設のニシン漁の番屋跡: 礼文島の歴史を感じることができます。
- 久種湖畔スキー場: 日本最北端のスキー場です。
- 富士見ヶ丘スキー場: 礼文岳を望むことができるスキー場です。
礼文町の植物
礼文町には、高山植物を中心に、300種以上の植物が生息しています。その中には、礼文島固有種や希少種も多く含まれており、学術的にも貴重な植物相を誇っています。
- レブンアツモリソウ: 国内希少野生動植物種に指定されている、礼文島を代表する高山植物です。
- レブンウスユキソウ: 礼文島固有種で、白い花が美しく、人気があります。
- レブンキンバイソウ: 礼文島固有種で、黄色い花が鮮やかです。
- レブンコザクラ: 礼文島固有種で、ピンクの花が可愛らしい小型の植物です。
- レブンソウ: 礼文島固有種で、紫色の花を咲かせます。
礼文町の名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
礼文町には、歴史的な建造物や自然景観、文化的なイベントなど、多くの見どころがあります。
礼文町の文化財
- 礼文町船泊遺跡出土品: 国の重要文化財に指定されています。
- 礼文島出土の歯牙製女性像及び動物像: 道指定有形文化財に指定されています。
- 礼文島桃岩付近一帯の野生植物: 道指定天然記念物に指定されています。
- レブンアツモリソウ群生地: 道指定天然記念物に指定されています。
礼文町の祭事
- 花まつり: 6月に開催される、高山植物をテーマにしたイベントです。
- 厳島神社祭: 7月に開催される、地元の神社の祭事です。
- 湖畔まつり: 8月に開催される、久種湖畔で行われるイベントです。
- 海峡まつり: 8月に開催される、海の幸をテーマにしたイベントです。
礼文町出身・ゆかりのある人物
礼文町には、様々な分野で活躍する著名な出身者やゆかりのある人物がいます。
礼文町出身・ゆかりのある人物
- 江刺勝雄: ボクサー(日本ミドル級チャンピオン)
- 小野徹: 礼文町長
- 菅野日彰: 日蓮宗管長大僧正・大本山池上本門寺貫首
- 澤村春子: 女優
- 柴咲コウ: 女優(母親の出身地)
- 田森篤哉: ミュージシャン(ロックバンド『eastern youth』メンバー)
- 中山秀雄: サン・クロレラを創業
- 橋本裕志: 脚本家(『ショムニ』、『華麗なる一族』など多数)
- 松田鋼季: プロバスケットボール選手(アメリカ独立リーグABA・シカゴスティーム所属)
- 三上隆: 土木工学者
- 八代万智子: 女優
- やしろあずき: 漫画家(礼文島に初めて入植した柳谷万之助は先祖に当たる)
礼文町を舞台にした作品
礼文島は、映画やドラマ、音楽など、多くの作品で舞台として登場しています。
礼文町を舞台にした作品
- 日本テレビ「熱中時代」: 先生編(1978~1981年)
- NHKドラマ「礼文島」: (1986年)
- 中島みゆき「銀の龍の背に乗って」: プロモーションビデオ撮影地(澄海岬)
- 映画「北のカナリアたち」: (2012年公開)
- 漫画「食戟のソーマ」: 中枢美食機関との連隊食戟の舞台
まとめ
礼文町は、豊かな自然、歴史、文化、そして人情あふれる魅力的な町です。高山植物の宝庫として知られる礼文島には、レブンアツモリソウやレブンウスユキソウなど、貴重な高山植物が数多く自生しています。また、スコトン岬や澄海岬などの雄大な自然景観も魅力です。歴史的な建造物やイベントも数多くあり、訪れる人を楽しませてくれます。
礼文町は、自然と歴史、そして文化に触れ、心身ともにリフレッシュできる町です。ぜひ一度訪れてみてください。
礼文町についてのクイズ
礼文町はどの北海道の町に位置していますか?
礼文町は北海道北部、稚内市の西方約60kmに位置する礼文島全域を占める町です。礼文島は日本最北端の島として知られており、その町の名前はアイヌ語の「レプンペッ(repun-pet)」に由来しています。礼文町は周囲を海に囲まれており、隣接する自治体が存在しないため、自然と歴史の豊かな環境が保たれています。町制が施行された1959年以降、地域の振興が進められ、観光や漁業が基幹産業として発展しています。
礼文町の主な地理的特徴はどれですか?
礼文町の主な地理的特徴には礼文岳(標高490m)があり、これは礼文島の最高峰です。礼文岳は美しい自然景観を楽しむことができ、登山者には絶景を望む魅力的なスポットです。その他の地理的特徴には、ホロナイ川や久種湖、スコトン岬などがあります。礼文町は山、川、湖沼、島、岬など多彩な自然環境に恵まれ、特に高山植物が豊富な場所としても知られています。
礼文町の気候の特徴は何ですか?
礼文町の気候は、宗谷暖流や偏西風の影響を受けているため、緯度の割には比較的穏やかです。夏は涼しく、冬は氷点下10℃前後までしか下がらないのが特徴です。この特異な気候が、礼文町の豊かな自然を育んでいる要因の一つです。さらに、この気候のおかげで、高山植物を含む様々な植物が自生しており、観光資源としても重要です。
礼文町の主な産業は何ですか?
礼文町の基幹産業は漁業と観光です。町は海に囲まれており、特にエゾバフンウニや利尻昆布、ホッケなどの特産品が水揚げされており、食文化にこだわりを持っています。また、観光産業も盛んで、高山植物、自然景観、ウニ丼などが人気があります。これにより、地域経済が活性化し、観光客を惹きつける要因となっています。
礼文町の人口はどのように推移していますか?
礼文町の人口は2005年以降減少傾向にあり、2020年には2,509人にまで減少しています。1970年には7,535人の人口を数えましたが、その後の人口動態は減少し続けています。この問題は、町の持続可能性にとって重要な課題となっており、行政や地域コミュニティでは人口減少の対策を講じる必要があります。
礼文町の姉妹都市はどこですか?
礼文町は国内に二つの姉妹都市を有しています。それは、岩手県稗貫郡大迫町(現・花巻市)と広島県豊田郡豊町(現・呉市)です。姉妹都市の交流を通じて、文化や経済の発展を促進し、地域間の理解を深める取り組みが行われています。これにより、地域の活性化にも寄与することが期待されています。