石川県南部の日本海に面した小松市は、建設機械メーカー「コマツ」の企業城下町として知られています。重工業が発展した近代的な一面を持つ一方、歴史と文化が息づく伝統的な街並みや、豊かな自然に恵まれた温泉郷も魅力です。北陸新幹線が開通したことでアクセスも向上し、ますます注目を集めている小松市。その魅力を、歴史、文化、産業、観光の4つの視点からご紹介します。
小松の歴史：加賀藩ゆかりの城下町から航空宇宙都市へ
小松市は、古くから交通の要衝として栄えてきました。平安時代に花山天皇が巡幸した際に「園の小松原」と呼ばれたのが地名の由来とされ、江戸時代には加賀藩第三代藩主前田利常が隠居地として小松城に入城しました。利常は城下町の整備を進め、那谷寺を再建するなど数々の寺社を造営し、伝統工芸などの産業を振興したことから、小松は加賀藩にとって重要な拠点となりました。
1940年には市制施行され、戦後には小松製作所（コマツ）が設立され、重工業都市として発展を遂げました。1944年には小松飛行場が完成し、航空宇宙産業も発展を続け、現在では航空自衛隊小松基地も置かれています。歴史と文化、そして近代産業が融合した小松市は、まさに「航空宇宙都市」と言えるでしょう。
小松の文化：歌舞伎と温泉が香る伝統と情緒
小松市には、歴史と文化を感じさせる魅力的なスポットが数多く存在します。
安宅の関：歌舞伎の舞台となった歴史舞台
歌舞伎の定番演目『勧進帳』の舞台として知られる安宅の関は、小松市を代表する歴史スポットです。鎌倉時代、源義経が奥州へ落ち延びる際に立ち寄った関所であり、義経と弁慶の出会いの地としても有名です。安宅の関には安宅神社があり、毎年5月には「お旅まつり」が開催され、子供歌舞伎が披露されます。
那谷寺：奇観と紅葉で有名な寺院
粟津温泉の近くにある那谷寺は、奇観を有する境内が有名な寺院です。特に秋の紅葉は美しく、多くの観光客が訪れます。境内には、高さ20mを超える巨大な「大杉」や、国の天然記念物に指定されている「那谷寺の奇岩」など見どころが満載です。
粟津温泉：歴史ある温泉郷
粟津温泉は、小松市街から少し東へ行ったところに位置する温泉郷です。古くは718年（養老2年）に開湯したとされ、世界最古の同族企業としてギネスブックにも登録されている法師旅館があります。泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉で、神経痛や筋肉痛、冷え性などに効果があるとされています。温泉街には、レトロな雰囲気の旅館や食事処が軒を連ね、温泉街ならではの情緒を楽しめます。
小松の産業：世界に誇る建設機械メーカーと活気あふれる工業都市
小松市は、世界で2位のシェアを誇る建設機械メーカー「コマツ」の本拠地です。コマツは、小松市とその周辺地域に多くの関連企業や工場を擁し、日本有数の機械工業の産業集積地域を形成しています。コマツ以外にも、村田製作所、ブリヂストン、ジェイ・バスなどの事業所があり、小松市は北陸随一の産業地帯として発展を続けています。
コマツの企業城下町：世界に貢献する技術革新
小松市は、コマツの企業城下町として、多くの雇用を生み出し、地域経済を支えています。コマツは、世界中で建設機械を販売しており、小松市の技術革新は、世界中のインフラ整備や経済発展に貢献しています。
伝統工芸：加賀絹や九谷焼など伝統文化の継承
小松市は、加賀絹や九谷焼などの伝統工芸の産地としても有名です。加賀絹は、絹糸の美しさと手触りで知られる伝統的な絹織物です。九谷焼は、鮮やかな色彩と華麗な文様で知られる伝統的な陶磁器です。小松市では、これらの伝統工芸が現在も受け継がれ、新たな技術やデザインと融合しながら発展を続けています。
小松の観光：歴史、文化、自然、そして航空宇宙の魅力を満喫
小松市には、歴史、文化、自然、そして航空宇宙の魅力を満喫できる観光スポットが数多くあります。
コマツ城址：加賀藩の歴史を語る
小松城は、江戸時代に加賀藩第三代藩主前田利常が隠居城として築城した城です。現在は天守台や内堀の石垣が残っており、当時の威容を偲ぶことができます。小松城址には、芦城公園があり、春には桜が咲き乱れ、市民の憩いの場となっています。
こまつの杜：コマツの技術と歴史を体感
小松製作所の創業地である小松工場跡地には、「こまつの杜」がオープンしています。世界最大級のダンプトラック「コマツ930E」が展示されており、子供向けの展示施設である「わくわくコマツ館」や、小松の自然を再現した「げんき里山」などがあり、コマツの技術と歴史を学ぶことができます。
航空自衛隊小松基地：迫力満点の航空祭
小松市には、航空自衛隊小松基地があり、毎年9月には航空祭が開催されます。航空祭では、戦闘機や輸送機などの飛行展示や、地上展示などが行われ、迫力満点の航空ショーを楽しむことができます。
木場潟公園：自然と文化が融合する公園
木場潟公園は、小松市街地にある大きな公園です。木場潟という湖があり、周辺には遊歩道やサイクリングコースが整備されています。湖畔には、小松市の歴史や文化を紹介する小松市立博物館や、小松城址の遺構などが残っており、自然と文化を満喫できます。
まとめ：航空宇宙都市小松の魅力を体感しよう！
小松市は、航空宇宙都市として発展を続けながら、歴史と文化を大切に守り続けている街です。重工業都市としての近代的な一面と、伝統的な街並みや温泉郷の情緒、そして豊かな自然と航空宇宙の魅力を体感できる小松市は、まさに北陸の玄関口と言えるでしょう。ぜひ小松市を訪れて、その魅力を体感してみてください。
小松市についてのクイズ
小松市が古くから重要な交通の要衝として栄えていたのは、どの時代からでしょうか？
小松市は、平安時代に花山天皇が「園の小松原」と呼ばれたことが地名の由来とされています。この時期から小松は交通の要衝としての重要性を持ち始め、特にその地の歴史を今に伝えています。江戸時代には、加賀藩第三代藩主の前田利常が隠居地として小松城に入城し、さらなる整備が行われました。こうした流れを受けて、小松は歴史的にも交通の要所とされ、地域発展の礎となったのです。
小松市にある歌舞伎の定番演目『勧進帳』の舞台として知られる場所はどれですか？
安宅の関は歌舞伎の定番演目『勧進帳』の舞台として有名です。この関所は、源義経と弁慶の出会いの地としても知られており、歴史的にも重要な役割を果たしました。安宅神社があり、毎年開催される「お旅まつり」では、子供歌舞伎が披露されるなど、地域の伝統を引き継ぐイベントも盛んに行われています。
小松市の企業城下町として知られる世界的な建設機械メーカーは何ですか？
小松市は、世界で2位のシェアを誇る建設機械メーカー「コマツ」の本拠地です。コマツは地域の経済を支える重要な企業であり、数多くの関連企業や工場が小松市およびその周辺に集まっています。これにより、小松市は日本有数の機械工業の産業集積地域として発展し続けており、コマツの技術革新は世界のインフラ整備や経済発展にも寄与しています。
