雄大な鳥海山を望む、日本海に面した山形県最北端の町、遊佐町。豊かな自然と歴史が息づくこの町は、人口約1万2千人が穏やかに暮らす、魅力あふれる場所です。
地理:鳥海山と日本海の恵みを受ける豊かな自然
遊佐町は、庄内平野の北端に位置し、山形県の最北端の自治体です。町の北には、東北地方で第二の高さを誇る鳥海山がそびえ立ち、中央部には肥沃な庄内平野が広がっています。町全体をなだらかに横切るように月光川が流れ、豊かな自然に恵まれています。
– 山:鳥海山
– 砂丘:庄内砂丘
– 河川:月光川、牛渡川
歴史:千年以上の歴史を刻む、変化と発展の物語
遊佐の地名が歴史に登場するのは、延長5年(927年)の『延喜式』です。その後、藤原摂関家、遊佐氏、砂越氏、板垣氏、大宝寺氏、上杉氏、最上氏と、様々な勢力がこの地を治めてきました。
江戸時代には庄内藩が置かれ、酒井氏が田川、櫛引、遊佐の三郡を統治しました。この時代には、年貢の増加による農民の苦難や、宝暦の飢饉など、厳しい時代もありましたが、一方で、遊佐郷大肝煎高橋太郎左衛門の江戸幕府への直訴など、人々の抵抗や変化も起こりました。
沿革:合併と発展を遂げてきた遊佐町の歩み
- 1889年(明治22年)4月1日:町村制施行に伴い、遊佐村が発足。
- 1941年(昭和16年)4月1日:町制施行し、遊佐町となる。
- 1954年(昭和29年)8月1日:周辺町村と合併し、現在の遊佐町が誕生。
- 2003年(平成15年)2月1日:庄内北部地域合併協議会が設置される。
- 2004年(平成16年)10月6日:合併協議が休止となり、遊佐町は飽海郡に属する唯一の自治体となる。
- 2021年(令和3年)8月30日:町役場が新庁舎に移転。
行政:地域住民の暮らしを支える町政
遊佐町は、町長を首長とする町政を行っています。現在、松永裕美氏が町長を務めています。
町長:地域を牽引するリーダー
期 | 氏名 | 就任 | 退任 | 備考 |
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1 | 小野寺喜一郎 | 1993年(平成5年)3月19日 | 2009年(平成21年)3月18日 | 元町議会議員 |
1 | 時田博機 | 2009年(平成21年)3月18日 | 2024年(令和6年)2月10日 | 4期目途中で死去 |
職務代行者 | 池田与四也 | 2024年(令和6年)2月10日 | 2024年(令和6年)3月23日 | 副町長 |
1 | 松永裕美 | 2024年(令和6年)3月24日 | 現職 | 元町議会議員 |
産業・経済:自然と伝統を生かした産業が活発
商業:地域に根ざした商業施設が賑わう
遊佐町には、地元住民に愛される食品スーパーマーケットや、酒造会社など、地域に根ざした商業施設が数多く存在します。
– 本間物産:食品スーパーマーケット「マルホンカウボーイ」を運営する会社
– 金龍:酒田市の酒造会社。2017年、町内にウイスキーの蒸留所を開設
– マルハニチロ中央研究所遊佐試験場
– 鳥海南工業団地
漁業:豊かな漁場が育む、海の幸
遊佐町の沿岸は、鳥海山から流れ込んだ溶岩による岩礁が広がり、良質な漁場となっています。
– 女鹿漁港
– 吹浦漁港
郵便局:地域住民の生活を支える、大切な拠点
– 遊佐郵便局
– 吹浦郵便局
– 藤崎郵便局
金融機関:地域の経済活動を支える、金融機関
– 庄内みどり農業協同組合:遊佐支店、吹浦支店
– 荘内銀行遊佐支店
– きらやか銀行:遊佐支店(遊佐駅前支店・遊佐支店吹浦出張所・観音寺支店)
姉妹都市:国際交流を通じて、地域の魅力を発信
遊佐町は、国内では東京都豊島区と友好都市提携を結び、海外ではハンガリー共和国ソルノク市と姉妹都市提携を結んでいます。
– 東京都豊島区:友好都市提携
– ハンガリー共和国ソルノク市:姉妹都市提携
地域:魅力あふれる遊佐町の暮らし
人口:穏やかな人口減少と、地域活性化への取り組み
遊佐町の人口は、近年減少傾向にあります。しかし、地域活性化に向けた取り組みが進められており、豊かな自然や歴史を生かした観光振興や、移住促進など、様々な取り組みが行われています。
遊佐町と全国の年齢別人口分布(2005年) | 遊佐町の年齢・男女別人口分布(2005年) |
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■紫色 ― 遊佐町■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性■赤色 ― 女性 |
遊佐町(に相当する地域)の人口の推移 | 1970年(昭和45年) |
— | — |
1975年(昭和50年) | |
1980年(昭和55年) | |
1985年(昭和60年) | |
1990年(平成2年) | |
1995年(平成7年) | |
2000年(平成12年) | |
2005年(平成17年) | |
2010年(平成22年) | |
2015年(平成27年) | |
2020年(令和2年) | |
総務省統計局 国勢調査より |
教育:未来を担う子どもたちの育成
遊佐町には、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の分教室があり、子どもたちが安心して学べる環境が整っています。
– 遊佐町立遊佐小学校
– 遊佐町立遊佐中学校
– 山形県立遊佐高等学校
– 山形県立鶴岡養護学校鳥海学園分教室
交通:アクセスしやすい立地と、地域を結ぶ交通網
鉄道:JR羽越本線が町内を通過
遊佐町は、JR羽越本線が通っており、県内外へのアクセスが便利です。
– 東日本旅客鉄道(JR東日本)
– 羽越本線
– 遊佐駅 – 吹浦駅 – 女鹿駅
路線バス:町内を網羅するバス路線
– 遊佐町営バス:現在はスクールバスのみ運行(臨時便を除き通学者以外の利用も可能)。
– 遊佐町デマンドタクシー:平日のみ運行。町内全域で利用可。
道路:主要道路が整備され、スムーズな移動をサポート
– 高速道路:E7 日本海東北自動車道
– 遊佐比子IC – 遊佐菅里IC – 遊佐鳥海IC – 吹浦IC(仮称・事業中) – 女鹿IC(仮称・事業中)
– 一般国道:国道7号、国道345号
– 主要地方道:山形県道60号酒田遊佐線
– 一般県道:山形県道208号遊佐停車場藤崎線、山形県道210号鳥海公園吹浦線、山形県道353号吹浦酒田線、山形県道369号比子八幡線、山形県道371号菅里直世下野沢線、山形県道373号杉沢南鳥海停車場線、山形県道374号比子南鳥海停車場線、山形県道375号十里塚遊佐線
– 広域農道:庄内東部広域農道
道の駅:観光客の休憩スポット
– 道の駅鳥海(国道7号)
空港:庄内空港が最寄りの空港
遊佐町から庄内空港までは、自動車で約40分かかります。
名所・史跡・祭事等:自然と歴史が織りなす、魅力的な観光スポット
自然・公園:雄大な自然と触れ合う、癒やしの空間
– 鳥海山
– 湧水:丸池様・牛渡川
– 峡谷:二ノ滝渓谷、高瀬峡
– 三崎公園
– 釜磯海水浴場
– 西浜海水浴場(快水浴場百選)
史跡:歴史を物語る、貴重な遺産
– 十六羅漢岩 (未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選)
– 石原莞爾墓所
寺社仏閣:信仰と歴史が息づく、静寂の空間
– 鳥海山大物忌神社
– 龍頭寺
温泉:日々の疲れを癒す、温泉
– 湯ノ田温泉
祭事・催事:地域の伝統文化を伝える、活気あふれるイベント
– 杉沢比山 (重要無形民俗文化財)
– 遊佐の小正月行事 (重要無形民俗文化財)
その他:知っておきたい、遊佐町に関する情報
- 国土庁(当時)「水の郷百選」に認定されている。
- 英国ストラトフォード・アポン・エイヴォンと文化交流が盛んで、毎年中学生のホームステイなどが行われている。
- 郵便番号は999-83XX, 999-84XX, 999-85XXであり、郵便番号の数字が最大の市町村である。なかでも遊佐町 菅里 (999-8531) の番号がもっとも大きい。
- 2003年から町の中高生が投票で「少年町長」と「少年議員」を選出する少年議会が行われている。
出身有名人:様々な分野で活躍する、遊佐町出身者
- 斉藤淳:衆議院議員
- 金野定吉:衆議院議員
- 鳥海時雨郎:衆議院議員
- 志田義信:衆議院議員
- 佐藤政養:民部省の初代鉄道助として新橋-横浜間の鉄道敷設に尽力した。また、幕末は勝海舟の弟子として坂本龍馬等と神戸海軍操練所の設立に関わっている。
- 鳥海修:書体設計士
- 伊藤海斗:プロ野球選手
- 鳥海龍秀俊:大相撲力士
- 早瀬あや:女性モデル、レースクイーン
- 富樫慧士:俳優、モデル
脚注
- ^ a b c d e f “遊佐町都市計画マスタープラン”. やまがた景観物語(山形県). 2024年8月21日閲覧。
- ^ a b 県内における市町村合併協議の経緯 (PDF) – 山形県庁企画振興部
- 遊佐町役場新庁舎、完成を祝い竣工式 30日に開庁 – 2021年8月9日、山形新聞
- “時田遊佐町長が死去 73歳 09年初当選 現在4期目”. 荘内日報社 (2024年2月11日). 2024年3月29日閲覧。
- 時田博機町長のご逝去について — 遊佐町 2024年2月10日
- 指定金融機関の指定について ‐ 遊佐町
- 指定代理金融機関の指定について ‐ 遊佐町(2016年4月21日閲覧)
- NHK政治マガジン(2022年6月24日)
- 富樫慧士 – バーニングプロダクション
参考文献
- 『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。
関連項目
- 酒田地区広域行政組合
外部リンク
- 遊佐町
- 遊佐鳥海観光協会
遊佐町は、豊かな自然と歴史、そして温かい人々が織りなす、魅力あふれる町です。ぜひ、鳥海山の雄大な景色や、歴史を感じる史跡、そして美味しい海の幸を味わいに、遊佐町を訪れてみてください。
遊佐町についてのクイズ
遊佐町はどの地形に位置していますか?
遊佐町は日本海に面しており、山形県の最北端に位置する町です。北には東北地方で二番目に高い鳥海山がそびえ、中央部には肥沃な庄内平野が広がっています。この地域は山と海に恵まれ、自然環境が豊かです。遊佐町の沿岸は、鳥海山から流れ込んだ溶岩による岩礁が広がり、良質な漁場も形成されています。これにより、自然の恵みを受けた豊かな漁業や農業が展開されており、地域の経済活動の重要な要素となっています。また、山の美しい景観と海の幸を楽しむことができるため、多くの観光客が訪れる魅力的な地域でもあります。
遊佐町の歴史的地名が初めて記されているのはどの文献ですか?
遊佐町の地名が歴史的に記されている文献は、延喜式です。この文献は927年に成立したもので、平安時代中期に書かれた公式文献です。遊佐の地名はこの文献に記載され、以来、歴史の中で様々な勢力に治められてきました。藤原摂関家から近世の上杉氏や最上氏に至るまで、多くの権力者がこの地域を統治したことは、遊佐町の歴史の深さを物語っています。町の起源や発展、そして時代ごとの変遷を辿ることができる貴重な資料となっています。
現在の遊佐町町長は誰ですか?
現在の遊佐町町長は松永裕美氏です。彼女は2024年3月24日に町長に就任しました。前町長の時田博機氏は4期目途中で亡くなったため、彼女はその後を継ぐ形になりました。松永町長は地域住民の意見を尊重しながら町政を運営しており、遊佐町の未来に向けたさまざまな施策を推進しています。町長のリーダーシップは、地域の活性化や発展に大きな影響を与える重要な要素となっています。今後の町の方向性を示すために、地域のニーズに応じた戦略的な政策を展開していくことが期待されています。
遊佐町での主要な商業施設にはどのようなものがありますか?
遊佐町には地域に根ざした商業施設が多く存在しており、地元の住民に広く支持されています。特に、マルホンカウボーイという食品スーパーマーケットは、地元の食材を扱っており、買い物の場として親しまれています。また、金龍という酒造会社が町内にウイスキーの蒸留所を開設しているなど、地元の特産品を生かした商業活動が盛んです。このような商業施設は地域経済を支える重要な役割を果たしており、観光客にも地域の魅力を伝える場として機能しています。