リード文
福岡県田川郡に位置する香春町は、筑豊を形成する自治体の一つ。田川地区北部に位置し、豊かな自然と歴史、そして活気ある文化が調和する魅力的な町です。美しい山々に囲まれ、古くから採掘業で栄えた歴史を持ち、現在も独自の文化や伝統を受け継いでいます。本記事では、香春町の魅力を地理、歴史、行政、観光、経済、交通、地域情報など多角的に紹介します。
地理
香春町は福岡県の北東部、筑豊地域の北東端部に位置し、町域のほとんどが山地となっています。町西部には牛斬山、町北部には龍ヶ鼻があり、春には多くの登山客が訪れます。特に、町域西部にある香春岳は、五木寛之の小説『青春の門』に登場するなど、文学作品にも登場する有名な山です。
香春岳
香春岳は石灰岩で形成された山で、標高は547.3m。山頂からは筑豊平野や遠く関門海峡を一望できます。登山道も整備されており、初心者から上級者まで楽しめる山として人気があります。春には、桜やツツジなど様々な花が咲き乱れ、登山客の目を楽しませます。
隣接する自治体・行政区
香春町は、以下の自治体と隣接しています。
- 北九州市(小倉南区)
- 田川市
- 田川郡
- 赤村
- 大任町
- 福智町
- 京都郡
- みやこ町
歴史
香春町は、8世紀に編纂された文書「風土紀」に初めて登場する歴史のある町です。町名の由来は古代朝鮮語にあり、古くから朝鮮半島とのつながりが深いことが伺えます。1935年には、石灰石を産出する「香春鉱山」に浅野セメント(後の太平洋セメント)香春工場が進出し、セメント産業を中心に発展してきました。
香春藩
1866年には、長州征討で小倉城を奪われた小倉藩が香春に移転し、香春藩が成立しました。香春藩は、その後、明治維新を迎えるまで、香春町を治めました。
近代以降
- 1887年:香春町と下香春村が合併し、香春村となる。
- 1889年:町村制施行に伴い、田川郡香春村が成立。
- 1898年:香春村が町制施行し、香春町となる。
- 1956年:香春町と勾金村・採銅所村が合併し、現在の香春町が発足。
- 1967年:全長1220mの新仲哀トンネルが開通。
- 1974年:テレビドラマ「青春の門」のロケ地となり、町は再び注目を集める。
- 2005年:全長1365mの新仲哀トンネルが開通し、交通の利便性が向上。
- 2009年:道の駅香春わぎえの里が開業。
行政
町長
- 鶴我繁和(1期目)
- 任期:2025年8月7日
町議会
- 定数:13人
- 任期:2025年3月29日
消防・警察
- 消防:田川地区消防本部 香春分遣所
- 警察:福岡県警察田川警察署 香春交番
選挙区
- 衆議院議員総選挙:福岡県第11区
- 福岡県議会:田川郡選挙区
シンボル
香春町のシンボルは、町制30周年記念の1987年に制定されました。
- 町の花:梅 – 当町には約10000本の梅が植えられており、春の訪れを告げる花として親しまれています。
- 町の木:銀杏 – 長寿や健康の象徴とされ、町民に愛されています。
- 町の鳥:ウグイス – 春の訪れを告げる鳥として知られ、その美しい鳴き声が町のいたるところで響きます。
- 町の色:緑 – 自然豊かな香春町を象徴する色です。
地域
香春町は、香春地区、採銅所地区、中津原地区、勾金地区の4地区から成り立っています。
人口
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 14,917人 |
1975年 | 14,534人 |
1980年 | 14,716人 |
1985年 | 15,245人 |
1990年 | 14,476人 |
1995年 | 13,892人 |
2000年 | 13,104人 |
2005年 | 12,369人 |
2010年 | 11,685人 |
2015年 | 10,861人 |
2020年 | 10,191人 |
教育
高等学校
- 福岡県立田川高等学校
義務教育学校
- 香春町立香春思永館
小・中学校(2020年度限りで閉校)
2020年度まで以下の各校がありましたが、すべて閉校し、香春町立香春思永館に移行しました。
- 香春町立香春中学校
- 香春町立勾金中学校
- 香春町立香春小学校
- 香春町立採銅所小学校
- 香春町立中津原小学校
- 香春町立勾金小学校
地域施設
- 香春町役場
- 香春町図書室
- フレッシュワークかわら
- 香春町子育て支援センター
- 香春町運動公園
- 隣保館
- 香泉荘
- なごみの杜
- 柿下温泉(現在休業中)
- 香春町勤労者体育センター
- 道の駅香春わぎえの里
交通
鉄道
- 九州旅客鉄道(JR九州)
- 日田彦山線:採銅所駅 – 香春駅 – 一本松駅
- 平成筑豊鉄道
- 田川線:柿下温泉口駅 – 勾金駅
バス
- 西鉄バス筑豊:福岡市 – 篠栗町 – 飯塚市 – 糸田町 – 田川市 – 香春町
- 西鉄天神高速バスターミナル – 篠栗北 – 飯塚バスターミナル – 新飯塚駅 – 仁保 – 道の駅いとだ – 後藤寺 – 伊田駅 – 福岡県立大学 – 一本松 – 香春町役場
- 太陽交通:行橋市 – みやこ町 – 香春町
- ゆめタウン行橋 – 行橋駅 – 延永 – 新勝山 – 新町入口 – 呉 – 道の駅香春 – 香春町役場
- コミュニティバス:町内6路線を運行。
道路
- 国道201号
- 国道322号
- 福岡県道52号八女香春線
- 福岡県道64号苅田採銅所線
- 福岡県道204号田川犀川線
- 福岡県道405号香春糸田線
- 福岡県道418号英彦山香春線
- 福岡県道429号採銅所停車場線
高速道路は町内に通っていませんが、最寄りのインターチェンジは以下の通りです。
- E3 九州自動車道
- (3) 小倉南インターチェンジ(北九州市小倉南区)
- E10 東九州自動車道
- (2) 行橋インターチェンジ(行橋市)
- (2-1) 今川スマートインターチェンジ(行橋市)
- (3) みやこ豊津インターチェンジ(京都郡みやこ町)
経済
香春町は、かつてはセメント産業が盛んで、太平洋セメント香春工場が稼働していました。しかし、2004年3月にセメント生産は終了し、現在は石灰石採掘部門が香春鉱業として存続しています。
町内に本社を置く主な企業
- ジャパンキャステリング
- 香春鉱業
- 香春石灰化学工業
- 原鉱業
- ワイエスフード(ラーメン山小屋)
観光
香春町は、歴史と自然に恵まれた観光地としても知られています。
名所・旧跡・観光地
- 上野香春焼:伝統的な陶芸で知られています。
- 香春岳: 登山やハイキングに最適な山です。山頂からは筑豊平野を一望できます。
- 大岩弘法院磨崖仏: 鎌倉時代に彫られた磨崖仏で、国の重要文化財に指定されています。
- 香春神社: 古代から続く神社で、町の守り神として崇敬されています。
- 古宮八幡宮: 1000年以上続く神社で、豊作や安産を祈願する信仰を集めています。
- 現人神社: 天照大神を祀る神社で、毎年7月には夏祭りが開催されます。
- 河内王陵: 古墳時代後期の古墳で、国の史跡に指定されています。
- 鏡ヶ池: 美しい景観で知られる池で、周辺には遊歩道が整備されています。
- 間歩: 昔の炭鉱の跡地で、現在は歴史資料館として公開されています。
- 神宮院: 春には梅が咲き乱れ、美しい景観が楽しめます。
- 風土記の石碑: 香春町の歴史を伝える貴重な石碑です。
- 柿下温泉: 温泉旅館があり、日々の疲れを癒すことができます。
- 道の駅香春わぎえの里: 地産の農産物や特産品を販売しています。
行事・イベント
- 1月:出初め消防訓練、成人式、香春町少年の主張大会
- 2月:地区公民館対抗綱引き大会
- 3月:ふるさと香春梅まつり、福岡県香春町健康ウォーキング大会、春休み映画祭り
- 4月:神幸(採銅所地区の歴史的行事)、古宮八幡宮祭り
- 5月:陶器まつり
- 6月:地区公民館交流スポーツ大会
- 7月:子供会親善スポーツ大会
- 8月:ふるさと香春夏祭り、盆踊り大会
- 9月:敬老会
- 10月:グラウンドゴルフ大会
- 11月:ふるさと香春秋まつり、農業祭、すこやかマラソン大会
- 12月:平成万葉のつどい
出身者
- 琴剣淳弥(元大相撲力士、漫画家)★
- 生原昭宏(日米間の野球交流の発展に尽力した人物。野球殿堂入り)★
- 林えいだい(記録作家)★
- 中西績介(元社民党衆議院議員・総務庁長官、香春町名誉町民)
- 島田啓子(長崎国際テレビ報道部員、元アナウンサー)
- 白石憲正(起業家・実業家)
- 加藤時次郎(医師・社会運動家)★
- 生原昭宏(野球関係者)★
脚注
- ^ a b 香春町 香春町の紹介
- 『一般国道201号 「新仲哀トンネル開通」 平成19年3月5日(月)11時より』(PDF)(プレスリリース)国土交通省九州地方整備局北九州国道事務所、2007年2月28日。http://www.qsr.mlit.go.jp/kitakyu/press/press_files/h190228_1.pdf。2012年1月6日閲覧。
- “福岡・香春町長が辞職「健康上の理由」”. 西日本新聞 (西日本新聞社). (2021年6月21日). https://www.nishinippon.co.jp/item/n/758365/ 2021年7月10日閲覧。
- 香春町 香春町のシンボル
- ジャパンキャステリング株式会社(2021年12月22日閲覧)
- 株式会社栗本鐵工所「連結子会社の合併契約書並びに最終合意書締結及び商号変更のお知らせ」(2021年12月22日閲覧)
- 香春鉱業株式会社資源事業部「香春鉱山 危険有害要因抽出及び安全パトロール活動の紹介」(2021年12月22日閲覧)
- 太平洋セメント株式会社「子会社の解散およびセメント生産委託について」(2021年12月22日閲覧)
- 香春石灰化学工業株式会社(2021年12月22日閲覧)
- 原鉱業株式会社(2021年12月22日閲覧)
- 広報かわら2006年No.374
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- 香春町 (town.kawara) – Facebook
- 香春町 – YouTubeチャンネル
香春町についてのクイズ
香春町に隣接する自治体ではないのはどれか?
香春町は福岡県の北東部に位置し、北九州市(小倉南区)、田川市、赤村、大任町、福智町、みやこ町などの自治体と隣接しています。一方で、久留米市は香春町の近隣に位置していますが、直接隣接していません。香春町の地理的な特性を理解することで、その地域の文化や経済的な特徴を探る手掛かりになるでしょう。香春町は筑豊地域の一部であり、この地域は山々と平野の自然が調和した美しい環境が魅力です。したがって、選択肢の中で香春町と隣接しないのは久留米市です。
香春町の町名の由来は何にあるか?
香春町の町名の由来は古代朝鮮語に関連していると言われており、これはこの地域が古くから朝鮮半島とのつながりを持っていたことを示唆しています。8世紀に編纂された文書「風土記」にも香春町が登場し、その歴史は古くから続いています。この地名の起源が古代朝鮮語にあることは、地域の歴史や文化的な背景を理解するために重要です。香春町はまた、1866年に香春藩が成立したことでも知られており、町名の由来はその歴史的文脈と密接に関わっていると言えるでしょう。
香春町の町の花は何か?
香春町の町の花は梅です。香春町には約10000本の梅が植えられており、春の訪れとともに美しい花が咲き誇ります。梅の花は香春町の象徴的な植物として地域住民に親しまれており、春になると多くの人々が花見を楽しむ姿が見られます。梅は日本の文化においても重要な存在であり、その美しさと香りは春の訪れを感じさせるものです。また、梅は長寿や健康の象徴とも言われ、地域の人々にとって特別な意味を持つ花です。
香春町を代表する観光地で「現人神社」があるのは何に祀られているか?
香春町の現人神社は、天照大神を祀る神社として知られています。天照大神は日本神話における最高神の一柱であり、太陽の女神として崇められています。この神社では、毎年7月に夏祭りが開催され、多くの人々が訪れます。夏祭りは地域の伝統的な行事で、神社のご利益を求めるための重要なイベントとされています。現人神社は香春町の歴史と文化を象徴する場所であり、地元の人々はもちろん、観光客にとっても訪れる価値のあるスポットです。地域のコミュニティにおいて、信仰心を育む重要な役割を果たし続けています。
香春町の主要な交通手段の一つとして運行されている鉄道は何か?
香春町を主要な交通手段の一つとして利用している鉄道は日田彦山線です。この路線は九州旅客鉄道(JR九州)の一部であり、香春町内には採銅所駅、香春駅、一木松駅があります。日田彦山線を利用することで、香春町と周辺地域とのアクセスが向上し、地元住民や観光客が容易に移動できる環境が整っています。また、日田彦山線は自然景観も楽しむことができる美しい路線であり、地域の魅力を体感する手段となっています。