岡山県北東端、兵庫県と鳥取県に接する西粟倉村は、面積の約95%を森林が占める、豊かな自然に恵まれた村です。
「百年の森林構想」に基づく森林資源の活用や、起業家や移住者を積極的に受け入れることで、「挑戦者の村」として注目を集めています。
概要 – 自然と人々が織りなす、未来への挑戦 –
西粟倉村は、かつては過疎化に悩む村でした。しかし、平成の大合併の際に住民投票で合併を拒否し、独自の道を歩むことを決意。
2004年、総務省の地域再生マネージャー事業により、アミタ株式会社の地域再生コンサルティングを受け、「心産業の創出」という村の理念を確立しました。
「心産業」とは、自然や文化、人々の心を大切にする事業や活動のこと。
この理念を基に、村は「百年の森林構想」を掲げ、2009年から本格的な森林再生事業を開始しました。
地理 – 緑豊かな中国山地の秘境 –
西粟倉村は、中国山地南側に位置し、標高1,200mの若杉天然林をはじめ、豊かな自然に恵まれた村です。
- 山: 駒の尾山(1281m)、ダルガ峰(1207m)、長義山(1105m)、黒岩山(1006m)
- 河川: 吉野川
隣接する自治体
- 岡山県美作市
- 兵庫県宍粟市
- 鳥取県八頭郡智頭町、若桜町
沿革 – 歴史と伝統を受け継ぐ、村の歩み –
西粟倉村の歴史は古く、江戸時代には林業が盛んでした。
- 明治5年(1872年): 影石村と塩谷分が合併し、影石村が発足。
- 明治16年(1883年): 吉野郡第一部戸長役場が影石村に設置。
- 明治22年(1889年): 町村制施行により、吉野郡西粟倉村が発足。
- 明治33年(1900年): 英田郡が発足し、英田郡西粟倉村となる。
行政 – 未来へ向かう、村の舵取り –
西粟倉村は、独自のビジョンに基づき、持続可能な地域づくりに取り組んでいます。
- 2004年: 勝英地域合併協議会を脱会。
- 2013年: 環境モデル都市に選定。
- 2014年: バイオマス産業都市に選定。
- 2019年: ふるさとづくり大賞優秀賞受賞。
- 2019年: SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業に選定。
- 2020年: 生涯学習施設・公立図書館「あわくら会館・あわくら図書館」が開館。
- 2021年: 西粟倉村役場新庁舎が開庁。
村長:青木秀樹(2011年9月10日就任)
経済 – 森の恵みを活かす、新たな挑戦 –
西粟倉村の主な産業は林業です。近年では、移住者や村民により、木材や竹など山の恵みを活用した約20社の企業が設立され、「起業家の村」として注目されています。
- 株式会社木の里工房木薫: 西粟倉村最初のベンチャー企業として、2006年に設立。
- 西粟倉・森の学校: 2009年設立。間伐材の木製品への加工などを行う。
- 木工房ようび: 2009年設立。家具の製造、ゲストハウス運営、ウナギ養殖などを行う。
あわくら温泉
温泉資源も豊富で、日帰り温泉施設や宿泊施設があり、観光客にも人気です。
地域 – 人と自然が共存する、豊かな暮らし –
西粟倉村は、自然と人々が調和した、穏やかな暮らしが魅力です。
人口
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 2,014人 |
1975年 | 2,009人 |
1980年 | 1,923人 |
1985年 | 1,928人 |
1990年 | 1,939人 |
1995年 | 1,902人 |
2000年 | 1,831人 |
2005年 | 1,684人 |
2010年 | 1,520人 |
2015年 | 1,472人 |
2020年 | 1,398人 |
教育
- 西粟倉村立西粟倉幼稚園
- 西粟倉村立西粟倉小学校
- 西粟倉村立西粟倉中学校
交通 – 自然と調和した、アクセス –
西粟倉村は、豊かな自然に囲まれた山間部に位置するため、交通アクセスは限られています。
鉄道
- 智頭急行智頭線:西粟倉駅、あわくら温泉駅
路線バス
- 日ノ丸自動車と神姫バスによる共同運行の高速バス「プリンセスバード号」 – 西粟倉BS(鳥取自動車道)
道路
- 鳥取自動車道(志戸坂峠道路):西粟倉IC、坂根JCT
- 国道373号
道の駅
- 道の駅:あわくらんど
名所・旧跡・観光スポット – 自然と歴史が織りなす、魅力 –
西粟倉村には、雄大な自然と歴史を感じることができる観光スポットが数多く存在します。
- 大茅スキー場
- 若杉天然林: 標高1,200mのブナの森。氷ノ山後山那岐山国定公園の特別保護区域。
- 若杉渓谷
- 粟倉神社: 東美作路名木百選の1つに選ばれた「粟倉神社の大桧」がある。
- 影石神社
- 威徳天満宮
- 志戸坂峠: 平安時代の国司通行の官道。
- あわくら温泉
イベント
- 春のあわくら温泉まつり
- 岩倉寺会陽(毎年2月第2土曜)
出身有名人 – 西粟倉村を世界へ繋ぐ、人々 –
西粟倉村には、様々な分野で活躍する著名人が多くいます。
- 金子長之助: 在郷軍人、日本で最初のマラソン競技大会の優勝者。
- 河野昌弘: 元兵庫県西宮市長。
- 萩原誠司: 美作市長、元衆議院議員、元岡山市長。
- 新田佳浩: クロスカントリースキー選手。
- 尾久土正己: 天文学者、奈良県立大学学長。
- 福井優也: プロ野球選手。
まとめ – 未来への希望を育む、西粟倉村 –
西粟倉村は、豊かな自然と歴史、そして「心産業」という理念を基に、持続可能な地域づくりを進めています。
起業家や移住者を積極的に受け入れ、挑戦を応援する「挑戦者の村」として、これからも発展を続けていくでしょう。
外部リンク
- 公式ウェブサイト: https://www.vill.nishiawakura.okayama.jp/
- ニシアワー(西粟倉・森の学校): https://www.nisiawa.com/
- にしあわくら観光ガイド: https://www.nishiawakura-kankou.jp/
西粟倉村についてのクイズ
西粟倉村の面積の約95%を占めるものは何ですか?
西粟倉村は岡山県の北東端に位置し、多くの部分が自然に恵まれています。具体的には、面積の約95%が森林で占められており、この豊かな森林資源を活用した地域づくりや生態系の保全が行われています。森林は「百年の森林構想」に基づき、持続可能な形での資源利用が推進されており、村の経済や文化の基盤にもなっています。これにより、村は林業を主な産業の一つとして発展しており、清らかな自然環境は住民にとっても重要な生活の一部となっています。
西粟倉村が「心産業の創出」を掲げたのは何年ですか?
西粟倉村は2004年に地域再生マネージャー事業の一環として、アミタ株式会社による地域再生コンサルティングを受け「心産業の創出」という理念を確立しました。この理念は自然や文化、人々の心を大切にする事業や活動を指し、地域の持続可能な発展を目指します。西粟倉村はこの理念に基づき、地域の資源を活用し、様々な取り組みを進めることで「挑戦者の村」として注目されています。
西粟倉村が環境モデル都市に選定されたのは何年ですか?
西粟倉村は2013年に環境モデル都市に選定されました。この選定は、村が持続可能な地域づくりに積極的に取り組んでいることを示しています。環境モデル都市は、環境保護と地域振興を両立させることを目指し、地域資源を活用した生活向上の実践例として他の地域に示す役割を担います。これにより、西粟倉村は地域課題に対応しながらも、環境への配慮を忘れずに発展を続けることができています。
西粟倉村に設立された、木の恵みを使う企業はどれか?
西粟倉村では、地域資源を活用した企業が多く設立されています。その中でも「西粟倉・森の学校」は2009年に設立され、間伐材の木製品への加工などを行っています。このような企業は、村の森林資源を有効活用することで、地域経済の発展とともに環境保護にも寄与する重要な役割を果たしています。西粟倉村はこのような起業家精神を持つ人々を応援し、持続可能な地域づくりを進める「挑戦者の村」とされています。
西粟倉村が温泉資源に恵まれていることを示す施設は何ですか?
西粟倉村には豊富な温泉資源があり、特に「あわくら温泉」はその代表的な施設です。この温泉は地域住民はもちろん、観光客にも人気があり、村の観光資源の一つとして重要な役割を果たしています。温泉は健康やリラクゼーションの場としてだけでなく、地域経済の活性化にも寄与しています。西粟倉村は自然環境を大切にしつつ、多様な観光資源を活かしてVisitorの数を増やす努力を続けています。