和歌山県東牟婁郡にある北山村は、人口わずか350人ほどの小さな村。周囲を奈良県と三重県に囲まれた、和歌山県内唯一の村であり、県内でも最東端に位置する自治体です。その独特な地理的特徴と豊かな自然、そして村を支える特産品「じゃばら」など、北山村の魅力を紹介します。
日本の飛び地! 和歌山県に属しながら周囲は奈良県と三重県に囲まれている
北山村は、和歌山県に属しながら、周囲を奈良県と三重県に囲まれているという、全国でも珍しい飛び地村です。これは、歴史的な経緯により形成されたものであり、村の歴史と文化にも深く関わっています。
江戸時代は紀州藩新宮領に属していた
北山村は、古来より木材の産地として栄え、北山川から木材を流して下流の新宮で販売していました。そのため、新宮との結びつきが強く、江戸時代には紀州藩新宮領に属していました。
廃藩置県で和歌山県に属することになった
明治維新の廃藩置県により、新宮が和歌山県に属すると、北山村は新宮との強い結びつきから、和歌山県への編入を希望しました。その結果、飛び地村となる形で和歌山県に属することになりました。
一度も合併せず、飛び地ゆえに人口が少なくとも一村を維持
1889年の町村制施行以来、北山村は一度も他の市町村との合併を行っていません。飛び地ゆえに人口は少なく、過疎化が進む中で、独自の文化と伝統を守りながら、現代まで一村を維持してきました。
豊かな自然と雄大な景色
北山村の約97%は山林地帯で、周囲を山々に囲まれた自然豊かな村です。村の中心部を流れる北山川は、雄大な景観を作り出し、多くの観光客を魅了しています。
紀伊山地の雄大な山々
北山村は、紀伊山地のほぼ中央部に位置しており、村全体が山々に囲まれています。標高1000メートルを超える山々が連なり、雄大な景色を楽しむことができます。
北山川が作り出す美しい渓谷
北山村を南北に流れる北山川は、深い渓谷を形成し、その美しい景色は「瀞峡(どろきょう)」と呼ばれています。瀞峡は、渓谷美と豊かな自然に恵まれ、多くの観光客が訪れます。特に、奥瀞と呼ばれる上流部は、原生林に覆われた秘境として知られており、自然の神秘を感じることができます。
北山村ならではの豊かな生態系
北山村の豊かな自然は、多様な生物が生息する場となっています。国の天然記念物であるオオサンショウウオや、希少な植物など、貴重な生態系が守られています。
「じゃばら」が村を救った!?
北山村の特産品である「じゃばら」は、ユズやカボスのような香酸柑橘で、近年注目を集めている柑橘です。じゃばらには、風邪予防や花粉症の症状緩和などの効果があるとされ、村の経済活性化に大きく貢献しています。
昭和50年代に特産品化を目指した
昭和50年代、北山村は過疎化が進み、村の存続が危ぶまれていました。そこで、村は特産品開発に着手し、地元の農家と協力してじゃばら栽培を始めました。
楽天市場に出店し、花粉症効果でブレイク!
しかし、じゃばらはなかなか市場に受け入れられず、村は苦戦を強いられました。そこで、村は2001年に楽天市場に出店し、インターネットを通じて販売を開始しました。そして、じゃばらには花粉症に効果があるという噂が広がり、多くの注文が殺到しました。
村の基幹産業に成長!
じゃばらの需要が高まるにつれて、北山村の経済は活性化し、今では村の基幹産業となっています。じゃばらを使った加工品も開発され、全国に販売されています。
北山村の文化と暮らし
北山村には、古くから伝わる伝統文化や、自然と共存する暮らしがあります。
筏流しの伝統
北山村では、江戸時代から明治時代にかけて、北山川を使って木材を筏で流して運搬していました。この筏流しの文化は、北山村の歴史と暮らしを物語る重要なものです。
自然と共存する暮らし
北山村の人々は、古くから自然と共存する生活を送ってきました。山林や川を活用した林業や農業、そして豊かな自然に囲まれた環境での生活は、現代でも受け継がれています。
地域住民の温かい人情
北山村には、都会では味わえないような、温かい人情があります。地域住民同士が助け合い、協力し合い、穏やかな暮らしを営んでいます。
北山村へのアクセス
北山村へのアクセスは、車またはバスが便利です。
車
和歌山県新宮市から国道169号を北上し、約1時間30分で北山村に到着します。
バス
熊野市駅から北山村営バスに乗車すると、約1時間で北山村に到着します。
北山村を訪れるなら、ぜひ体験したいこと
北山村を訪れるなら、以下の体験をおすすめします。
北山川観光筏下り
北山川を筏に乗って下る「北山川観光筏下り」は、北山村の豊かな自然を満喫できる人気の体験です。雄大な渓谷美と、昔ながらの筏師の技を体感することができます。
じゃばら狩り
シーズンには、じゃばら畑でじゃばら狩りを楽しむことができます。自分で収穫した新鮮なじゃばらを使った、オリジナルの加工体験もおすすめです。
奥瀞探検
奥瀞は、北山川の最上流部に位置する秘境です。原生林に覆われた自然の中を歩くトレッキングや、カヌー体験など、自然と触れ合う時間を満喫できます。
温泉
北山村には、日帰り温泉施設「おくとろ温泉」があります。温泉につかりながら、雄大な山々を眺め、疲れを癒すことができます。
まとめ
北山村は、日本の飛び地であり、豊かな自然、特産品「じゃばら」、伝統文化など、多くの魅力を持つ村です。都会の喧騒を離れて、ゆっくりと自然と触れ合い、癒やしの時間を過ごしたい方は、ぜひ北山村を訪れてみてください。
北山村についてのクイズ
北山村はどの都道府県に属していますか?
北山村は和歌山県東牟婁郡に位置する小さな村で、周囲を奈良県と三重県に囲まれている珍しい飛び地です。この独特な地理的特徴は、歴史的な経緯により形成されたものであり、村の歴史や文化にも深く影響を及ぼしています。江戸時代には紀州藩新宮領に属しており、明治維新の廃藩置県を経て和歌山県に編入されました。その結果、今日も独自の文化や伝統を守りながら、現代まで一村を維持しています。
北山村の特産品は何ですか?
北山村の特産品である「じゃばら」は、香酸柑橘であり、風邪予防や花粉症の症状緩和に効果があるとされ、近年注目を集めています。この特産品の開発は昭和50年代に始まり、村を救った重要な要素となっています。また、じゃばらは楽天市場での販売を通じて、多くの人々からの注目を集めることができ、村の基幹産業に成長しました。じゃばらに関連する加工品も開発され、全国へと展開されています。
北山村の中心部を流れる川の名前は何ですか?
北山村の中心部を流れる北山川は、村の自然と風景を形成する重要な要素です。この川は、深い渓谷を作り出し、その美しい景観は「瀞峡(どろきょう)」と呼ばれています。特に奥瀞と呼ばれる上流部は原生林に覆われた秘境として知られており、多くの観光客がこの場所を訪れ、自然の美しさと神秘を感じることができます。北山川は村の生命線として、観光や文化の源でもあります。
北山村の人口はおおよそ何人ですか?
北山村は、人口約350人ほどの小さな村です。そのため、過疎化が進んでおり、村の存続が危ぶまれることもありました。しかし、住民たちは古くからの伝統を大切にしつつ、新たな特産品であるじゃばらの栽培を始めたことで、村の経済活性化に成功しました。少ない人口であるにも関わらず、独特の文化や自然環境を活かして、北山村は現代においても存在感を示しています。