京都府の南部に位置する笠置町は、木津川と笠置山が織りなす雄大な自然と、歴史深い文化が調和する、静かで美しい町です。人口はわずか973人(2024年8月1日現在)と京都府で最も少なく、まさに「秘境」という言葉がぴったりの場所です。
概要
「わかさぎのはばたくまち 美しい自然と史跡に恵まれた心ふれあう町」を町の標語に掲げる笠置町は、豊かな自然と歴史に恵まれた、静かで穏やかな町です。人口は少ないながらも、地域住民の温かい人情と、古き良き伝統が息づいています。
地理
笠置町は、東に南山城村、西に木津川市、北に和束町、南に奈良市と隣接しています。町の面積の8割を山林が占め、中央を木津川が流れ、豊かな自然に囲まれた環境です。
位置と地形
- 東は南山城村、西は木津川市、北は和束町、南は奈良市に接しています。
- 全面積の8割を山林が占め、町の中央を木津川が流れ、南側から布目川、打滝川が注ぎ、北からは横川が流れ、沿岸に耕地が開ける地形です。
- 木津川市加茂地区東部に飛び地が点在しています。
山地
- 笠置山:標高428.5m。町の中央にそびえ立つ、町のシンボルともいえる山です。
河川
- 木津川:町の中央を流れる、淀川水系の河川。
- 布目川:笠置山の南側から流れ込む、木津川の支流。
- 打滝川:笠置山の南側から流れ込む、木津川の支流。
- 横川:笠置山の北側から流れ込む、木津川の支流。
人口
笠置町は、過疎化が進行しており、人口は減少傾向にあります。2024年8月1日現在、推計人口は973人です。日本の町の中では、福島第一原子力発電所事故の影響を受けている町を除くと、山梨県南巨摩郡早川町に次いで2番目に人口が少ない町です。
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 2,721人 |
1975年 | 2,631人 |
1980年 | 2,506人 |
1985年 | 2,429人 |
1990年 | 2,311人 |
1995年 | 2,223人 |
2000年 | 2,056人 |
2005年 | 1,876人 |
2010年 | 1,626人 |
2015年 | 1,368人 |
2020年 | 1,144人 |
2024年 | 973人 |
隣接自治体
- 京都府
- 木津川市
- 相楽郡南山城村
- 相楽郡和束町
- 奈良県
- 奈良市
歴史
笠置町は、古くから水運の要衝として栄えてきました。また、後醍醐天皇が元弘の乱の際に滞在した地としても知られています。
古代
- 東大寺の造営に際し、木材を切り出して木津川の水運を使って運んだことから、古くから水運の要衝として発達していました。
中世
- 笠置寺は、東大寺の造営に当たった良弁とその弟子実忠が来山したと伝えられる古刹です。南北朝の動乱時の元弘の乱(1331年)には、後醍醐天皇の行在所となり、兵火にあって大半の建物が焼失しました。
近世
- 江戸時代には、現在の笠置町の領域には、木津川の北岸に津藩領の北笠置村、切山村、上有市村と下有市村、南岸に南笠置村(津藩領)と柳生藩領の飛鳥路村が存在しました。
近代
- 明治9年1876年に、上有市村と下有市村が合併し有市村に、北笠置村と南笠置村が合併し笠置村になりました。
沿革
- 1889年(明治22年)4月1日:相楽郡笠置村・切山村・有市村・飛鳥路村が合併し、笠置村が誕生。
- 1934年(昭和9年)1月1日:町制施行。
- 1959年(昭和34年)12月1日:準用財政再建団体になる。
- 2009年(平成21年)8月12日:全町民の定額給付金のデータの入力されたパソコンの紛失が判明。盗難の可能性もある。
- 2014年(平成26年):町内の出生数がゼロとなる。
行政
町長
- 町長:山本篤志(2020年4月1日 – )
町議会
- 笠置町議会:定数8人
観光
笠置町は、豊かな自然と歴史を感じることができる観光地です。
名所・旧跡
- 笠置城:室町時代に築かれた山城。
- 笠置寺:古くから信仰を集める寺院。元弘の乱で後醍醐天皇が滞在した地として知られています。
- 笠置寺十三重石塔:高さ479cmの十三重石塔。
- 弥勒磨崖仏:元弘の変で焼失し、現在は舟形光背の輪郭が残る。
- 虚空蔵石:線刻虚空蔵菩薩坐像の磨崖仏。
- 天照御門神社:旧飛鳥路村の産土神。
- 国津神社
- 栗栖天満宮:10月16日の秋祭には流鏑馬が行われる。
- 後醍醐天皇行宮遺跡
観光スポット
- わかさぎ公園:桜の名所として知られています。
- 松本亭:木津川沿いに建つ、歴史ある料亭。
- 府立笠置山自然公園:笠置山とその山麓の木津川一帯が、史跡名勝地として国から指定されています。
- 木津川:水遊びやボルダリングを楽しむことができます。
- 笠置河原キャンプ場
- 笠置ボルダー
- 笠置獅子岩
- 布目川の甌穴群:川底の岩盤が侵食されてできた、ポットホールと呼ばれる地形。
- 笠置温泉:天然わかさぎ温泉笠置いこいの館。
- 笠置観光ホテル跡:廃墟として人気を集めています。
文化・名物
笠置町には、古くから伝わる伝統文化や、地元で愛される名産品があります。
祭事・催事
- 桜まつり(4月):木津川河川敷の夜桜のライトアップ。
- 夏まつり(花火大会)(8月第1土曜日)
- 木津川灯籠流し(8月16日)
- 秋まつり御神輿巡行(10月):笠置町南部青年団が中心となって巡行を行っています。
- 笠置もみじまつり(11月):笠置寺敷地内のもみじ公園のライトアップ。
- 全国ご当地鍋フェスタ(12月)
名産・特産
- キジ肉:笠置町は、キジ肉が特産品として知られています。
- シイタケ:笠置町の豊かな自然の中で育まれたシイタケは、香り高く、味が濃厚です。
習慣
- 勧請縄:古くから伝わる、厄除けの習慣。
発祥
- 遊びカヌー:笠置町は、遊びカヌーの発祥の地です。
アクセス
笠置町へのアクセスは、以下の通りです。
鉄道
- JR関西本線:笠置駅
路線バス
- 相楽東部広域バス:関西本線サポートバスとして、関西本線加茂 – 月ケ瀬口間に並行したルートを通り、木津川市・笠置町・南山城村を結んでいます。
道路
- 国道163号
- 京都府道・奈良県道4号笠置山添線
- 奈良県道・京都府道33号奈良笠置線
- 京都府道325号笠置公園線
笠置町を訪れて
静寂の美しさと、豊かな自然に包まれた笠置町は、都会の喧騒から離れて、ゆったりと過ごしたい人におすすめの場所です。歴史と文化に触れ、自然の中でリラックスできる、心休まる旅を体験してみて下さい。
笠置町についてのクイズ
笠置町の標語は何ですか?
笠置町は「わかさぎのはばたくまち 美しい自然と史跡に恵まれた心ふれあう町」という標語を掲げています。この標語は、町が豊かな自然環境と、歴史的な価値を持つ文化遺産が共存する場所であることを表しています。特に、笠置町はその緑豊かな山々や美しい川に囲まれており、訪れる人々に心地良い静けさを提供しています。また、歴史的な背景としても、後醍醐天皇の元弘の乱に関連する遺跡や寺院が存在し、地域の文化的な深みを示しています。こうした自然と歴史の調和が、笠置町への観光の魅力となっています。
笠置町が隣接している自治体はどれですか?
笠置町は、隣接する自治体として奈良市があります。笠置町は京都府の南部に位置し、周囲には木津川市、南山城村、和束町、そして南側には奈良市があります。特に奈良市とは歴史的にも親密な関係を持っており、奈良の歴史的遺産とも接点があります。このため、笠置町を訪れる際は、近隣の奈良市の観光と合わせて楽しむことも可能です。自然豊かな環境と歴史深い背景を持つ笠置町の訪問者にとって、奈良市の文化的な魅力もまた、貴重な体験となるでしょう。
笠置町が歴史的に重要な役割を果たしたのはいつですか?
笠置町は特に中世において重要な役割を果たしました。後醍醐天皇が元弘の乱の際に滞在した地として知られ、兵の集結地として戦略的な位置にありました。また、笠置寺が建立され、そこに信仰が集まったことも中世のあり方を象徴していると言えます。このように笠置町は、戦の動乱があった時代に活発な文化の発信地であったため、歴史的な価値が高い場所とされています。笠置町の文化や伝承は、今日に至るまで地域の人々の暮らしに深く根づいており、今でも訪れる人々にその歴史を感じさせる要素となっています。
笠置町の観光スポットの一つで、桜の名所として知られているのはどれですか?
わかさぎ公園は、桜の名所として知られる笠置町の観光スポットの一つです。春にはたくさんの桜が咲き誇り、訪れる人々を魅了しています。公園内では、桜の下でピクニックを楽しんだり、夜には夜桜のライトアップが行われ、多くの観光客がその美しさを堪能します。自然の美しさが融合した公園は、地域の人々にとっても大切な憩いの場であり、観光客が訪れた際には必ず立ち寄りたいスポットです。桜の開花時期には、多くのイベントも開催され、地域の活気と結びついています。