静岡県榛原郡川根本町は、大井川の上流部に位置し、周囲を山々に囲まれた、自然豊かな町です。標高差が大きく、山々にはブナ林やハイマツ帯など、多様な植生が見られます。町域の90%以上が森林で占められ、「日本で最も美しい村連合」に加盟する、まさに「水と森の番人が創る癒しの里」です。
静岡県榛原郡川根本町:水と森に抱かれた癒やしの里
川根本町は、静岡県の中西部、榛原郡に位置する町です。面積は496.88平方キロメートルで、県全体の6.4%を占めています。町域の90%以上が森林という山あいの町で、周囲を山々に囲まれた盆地にあります。町のキャッチフレーズは「水と森の番人が創る癒しの里」であり、その言葉通り、豊かな自然と静寂に満ち溢れた場所です。
概要:歴史と自然が織りなす、魅力的な町
川根本町は、2005年9月20日に、中川根町と本川根町の合併により誕生しました。合併以前は、それぞれ独自の文化や歴史を持つ町でした。中川根町は、古くから林業や製茶が盛んで、豊かな自然と伝統文化を育んできました。本川根町は、大井川の舟運や製紙業が栄え、歴史的な建造物や文化遺産が残っています。
地理:変化に富んだ地形と豊かな自然
川根本町は、標高差が大きく、変化に富んだ地形をしています。最高峰は光岳(標高2,592メートル)で、南西側は本州唯一の原生自然環境保全地域に指定されています。太平洋岸からハイマツ帯に至る垂直分布が見られ、多様な生態系が存在します。
気候:温暖湿潤気候と山岳気候の影響
川根本町は、太平洋岸気候の南海型に属していますが、山間部に位置しているため、中央高地式気候の影響も受けています。年間平均気温は14.0℃で、夏は高温多湿、冬は冷え込みますが、熱帯夜は少ないのが特徴です。降水量は年間平均3,103.4mmと多く、特に梅雨から台風の季節に集中します。冬季は降雪も見られます。
山地:雄大な南アルプスの山々がそびえ立つ
川根本町は、南アルプスの山麓と前衛の山々に囲まれています。町内最高峰の光岳をはじめ、池口岳、大無間山、黒法師岳など、数々の高峰がそびえ立ちます。
河川:大井川が流れ、豊かな水資源を育む
大井川は、川根本町を貫流する一級河川です。町の重要な水資源であり、農業や観光に貢献しています。また、寸又川、接岨川など、大井川支流も数多く存在し、豊かな水系を形成しています。
湖:大井川ダムや長島ダムなど、美しい湖沼が広がる
川根本町には、大井川ダム、長島ダム、寸又川ダム、境川ダム、塩郷ダムなど、数多くのダム湖があります。これらの湖は、大井川の水を貯え、水力発電や洪水調節に役立っています。また、美しい景観を形成し、観光スポットとしても人気です。
歴史:古くから人々が暮らし、発展してきた町
川根本町は、古くから人々が暮らしてきた地域です。縄文時代の遺跡や古墳などが発見されており、長い歴史を持つことがわかります。江戸時代には、大井川の舟運が盛んになり、製紙業などの産業が発展しました。明治時代には、茶の栽培が盛んになり、現在では「川根茶」として全国的に知られています。
人口:少子高齢化が進む、山あいの町
川根本町は、山あいの地域であるため、人口減少と少子高齢化が進んでいます。2022年8月1日現在の総人口は6,125人です。しかし、近年では移住者も増え、町は地域活性化に取り組んでいます。
行政:町民の暮らしを守る、行政機関
川根本町は、町長と町議会によって運営されています。町長は、町民の代表として、町政を執行します。町議会は、町長の政策を審議し、議決権を有します。
歴代町長
氏名 | 在任期間 | |
---|---|---|
1 | 杉山嘉英 | 2005年10月16日~2009年10月15日 |
2 | 佐藤公敏 | 2009年10月16日~2013年10月15日 |
3 | 鈴木敏夫 | 2013年10月16日~2021年 |
4 | 薗田靖邦 | 2021年~ |
庁舎
- 川根本町役場 本庁舎(郵便番号428-0313 静岡県榛原郡川根本町上長尾627)
- 川根本町役場 総合支所(郵便番号428-0411 静岡県榛原郡川根本町千頭1183-1)
- 川根本町教育委員会(郵便番号428-0411 静岡県榛原郡川根本町千頭1183-1)
産業:茶業と観光業が中心、地域活性化を目指す
川根本町は、茶業と観光業が主要産業です。
農業:全国的に有名な「川根茶」の産地
川根本町は、全国的に有名な「川根茶」の産地として知られています。「川根茶」は、大井川沿いの急斜面に作られる、独特の風味が特徴です。茶の栽培は、江戸時代から始まり、現在では町の重要な産業となっています。
林業:豊かな森林資源を活用した産業
川根本町の森林面積は、町全体の約94%を占めています。その多くは国有林で、県内国有林の28.6%を占めるなど、豊かな森林資源を有しています。林業は、古くから町の重要な産業であり、木材の生産や間伐などの活動が行われています。
工業:精密機械や電気機械などの企業が立地
川根本町には、精密機械、電気機械、製茶(仕上茶製造工場)などの企業が立地しています。近年では、町はIT産業の誘致にも力を入れており、新たな産業の創出を目指しています。
建設業:地域の発展を支える重要な産業
川根本町は、山間部の地域であるため、道路やダムなどのインフラ整備が重要です。建設業は、町の発展を支える重要な産業であり、地域の雇用を創出しています。
商業:地域住民の生活を支える、中小規模の店舗が多い
川根本町の商業は、地域住民の生活を支える中小規模の店舗が中心です。近年では、観光客向けの土産物店や飲食店も増加しています。
観光:豊かな自然と温泉、鉄道が織りなす魅力的な観光地
川根本町は、豊かな自然と温泉、鉄道など、多くの観光資源に恵まれた町です。
- 温泉: 寸又峡温泉、接岨峡温泉、白沢温泉、千頭温泉など、魅力的な温泉が点在しています。
- 自然: 大井川源流部、ブナの原生林、寸又峡、接岨峡など、雄大な自然を楽しむことができます。
- 鉄道: 大井川鐵道 井川線は、日本で唯一のアプト式ラック鉄道であり、大井川鐵道 大井川本線は、SL列車がほぼ毎日運行されています。
主な学校:未来を担う子供たちの学びの場
川根本町には、義務教育学校、高等学校など、子供たちの学びを支える教育機関があります。
義務教育学校
- 川根本町立三ツ星学園
- 川根本町立光の森学園
高等学校
- 静岡県立川根高等学校
交通:山あいの町ならではの、アクセス情報
川根本町は、山あいの地域であるため、交通アクセスはそれほど便利ではありません。しかし、町は交通網の整備を進めており、観光客や住民の移動を支援しています。
鉄道路線
- 大井川鐵道
- 大井川本線:地名駅 – 塩郷駅 – 下泉駅 – 田野口駅 – 駿河徳山駅 – 青部駅 – 崎平駅 – 千頭駅
- 井川線:千頭駅 – 川根両国駅 – 沢間駅 – 土本駅 – 川根小山駅 – 奥泉駅 – アプトいちしろ駅 – 長島ダム駅 – ひらんだ駅 – 奥大井湖上駅 – 接岨峡温泉駅 – 尾盛駅
路線バス
- 大鉄アドバンス(閑蔵線)
- 川根本町営バス(千頭・家山線、寸又峡線)(大鉄アドバンスが受託運行)
デマンド型乗合タクシー
- 南部おでかけ号(町民のみ利用可能)
- 北部おでかけ号(町民のみ利用可能)
道路
- 一般国道
- 国道362号
- 国道473号
- 都道府県道
- 静岡県道77号川根寸又峡線
- 静岡県道263号春野下泉停車場線
- 静岡県道388号接岨峡線
- 道の駅
- フォーレなかかわね茶茗舘
- 奥大井音戯の郷
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事:豊かな自然と文化に触れる
川根本町は、豊かな自然と文化に触れることができる魅力的な観光地です。
温泉
- 寸又峡温泉
- 接岨峡温泉
- 白沢温泉
- 千頭温泉
キャンプ場
- くのわき親水公園キャンプ場
- 池の谷ファミリーキャンプ場
- 八木キャンプ場
- 三ツ星オートキャンプ場
- 不動の滝自然広場オートキャンプ場
- アプトいちしろキャンプ場
- 中川根自然キャンプ場
- ハックルファーム エコ・ビレッジ
観光施設
- 千頭SL資料館
- 奥大井 音戯の郷
- フォーレなかかわね茶茗舘
- 資料館 やまびこ
- なかかわね三ツ星天文台
- 長島ダムふれあい館
紅葉
- 寸又峡
- 接岨峡
- 山犬段
- 大札山
吊り橋
- 夢の吊橋
- 久野脇橋(塩郷の吊橋)
- 小長井の吊橋
- 両国吊橋
- 青部の吊橋
- 小山の吊橋
- 池の谷の吊橋
- 南アルプス接岨大吊橋
- 夢想吊橋
祭事・催事
- 梅津神楽(1月) – 静岡県指定無形民俗文化財
- 春を呼ぶ天狗まつり(3月)
- 南アルプス寸又峡口山開き(7月)
- 接岨湖フェスタ(7月)
- 平谷の流したい(7月)
- 長島のたる流し(8月)
- 徳山の盆踊(8月) – 「鹿ん舞・ヒーヤイ」:国の重要無形民俗文化財
- 徳山神楽(10月) – 静岡県指定無形民俗文化財
- 寸又峡和紙のあかり展(10月)
- 寸又峡もみじまつり(10月)
- 川根本町産業文化祭(11月)
- 奥大井ふるさと祭り(11月)
- 接岨湖まつりオータムフェア(11月)
- 寸又峡温泉感謝祭(12月)
その他
- 長島ダム(接岨湖)
- 不動の滝
- 徳山のしだれ桜
- 外森山のアカヤシオ
- 大札山のシロヤシオ・アカヤシオ
- 大井川本線のSL列車(通年)、きかんしゃトーマス号・ジェームス号の運行(期間限定)
- 千頭駅構内でのヒロ・パーシーの展示、ラスティーの遊覧列車の運行
- アプト式鉄道(トロッコ列車)
- 奥大井湖上駅
- 日本一短いトンネル(大井川鐵道地名駅)
- 日本一高い私鉄鉄橋(関ノ沢鉄橋)
- 大井川鐵道車両用転車台(千頭駅構内) – 国の登録有形文化財
- 徳谷神社(小長井城址)
- 赤石太鼓(現在は赤石太鼓保存会に改称)
出身人物:様々な分野で活躍する人々
川根本町には、様々な分野で活躍する人々がいます。
- 生田信(『劔岳 点の記』に登場する測量助手)
- かせきさいだぁ≡
- 金澤大将(元プロサッカー選手、菊川南陵高等学校校長)
- 高木壬太郎(青山学院大学 第4代院長)
- 豊田直巳 (フォトジャーナリスト)
- 大村朱澄 (カヌー選手)
- だいちぃ(はじめしゃちょーの畑、YouTuber)
- 池本夢実(プロボクサー)
町内の住所(大字):地域を知るための情報
- 壱町河内(いちょうごうち)
- 上長尾(かみながお)
- 久野脇(くのわき)
- 下泉(しもいずみ)
- 下長尾(しもながお)
- 地名(じな)
- 田野口(たのくち)
- 徳山(とくやま)
- 水川(みずかわ)
- 元藤川(もとふじかわ)
-
青部(あおべ)
-
犬間(いぬま)
- 梅地(うめじ)
- 奥泉(おくいずみ)
- 上岸(かみきし)
- 桑野山(くわのやま)
- 崎平(さきだいら)
- 千頭(せんず)
- 田代(たしろ)
- 東藤川(ひがしふじかわ)
その他:川根本町に関する追加情報
- 市外局番は0547で、島田市と同一です。
- ユネスコエコパークに登録されています。
- 日本で最も美しい村連合に加盟しています。
- 町内の小中学校にICT機器を取り入れ、より高度なICT教育を推進しています。また、日本教育工学協会 (JAET) の「学校情報化優良校」にも認定されています。
- 映画『星は夜空に見えるもの』(ウンノヨウジ/監督・脚本、2018年)の劇中の舞台となった町です。
脚注
- “川根本町 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2023年10月6日閲覧。
- “川根本町公式ホームページ 「町内小中学校が学校情報優良校に認定されました!」”. 2018年9月11日閲覧。
- “川根本町を舞台に映画 ウンノさん(静岡出身)監督|静岡新聞アットエス” (日本語). @S[アットエス]. https://www.at-s.com/news/article/local/central/531248.html 2018年12月2日閲覧。
- “静岡県出身監督の作品上映 12月1、2日「ふじのくに映画祭」|静岡新聞アットエス” (日本語). @S[アットエス]. http://www.at-s.com/news/article/culture/shizuoka/571527.html 2018年12月2日閲覧。
関連項目
- 日本の地方公共団体一覧
外部リンク
オープンストリートマップに川根本町の地図があります。
- 公式ウェブサイト
- 川根本町まちづくり観光協会
- 川根本町商工会
- 地図 – Google マップ
- 中川根町・本川根町合併協議会
- ウィキトラベルには、川根本町に関する旅行ガイドがあります。
川根本町についてのクイズ
川根本町のキャッチフレーズは何ですか?
川根本町のキャッチフレーズは「水と森の番人が創る癒しの里」である。このフレーズは、町の豊かな自然環境や、森林が町の生活や文化にどのように関わっているかを表現している。川根本町は、大井川上流に位置し、周囲を山々に囲まれた盆地で、90%以上が森林で占められている。さらに、この地域は「日本で最も美しい村連合」にも加盟しており、自然保護の重要性が強調されている。自然に囲まれた環境は、町民の心の癒しとなり、多くの訪問者にとってもリフレッシュの場となっている。川根本町の美しい森と清らかな水は、この町のアイデンティティの一部であり、地域住民の生活を支える重要な要素ともなっている。
川根本町の最高峰はどれですか?
川根本町の最高峰は光岳で、標高は2,592メートルである。この山は南アルプスの一部として知られ、登山者や自然愛好家にとって人気のあるスポットである。光岳はその雄大な姿から多くの人々に親しまれており、周辺の自然環境は多様な生態系を支えている。また、光岳の南西側は本州唯一の原生自然環境保全地域に指定されており、その保護がなされていることからも、光岳が持つ自然の価値が感じられる。この地域の森林や動植物は、観光や研究の対象となっており、訪れる人々にとって大自然の素晴らしさを教えてくれる場所でもある。
川根本町で有名な茶の名前は何ですか?
川根本町で有名な茶の名称は「川根茶」である。この茶は、大井川沿いの急斜面で栽培されており、独特の風味が特徴である。川根茶の栽培が始まったのは江戸時代であり、それ以来、地域の重要な産業として発展してきた。現在では、川根茶は全国的に知られるブランドとして多くの人々に愛されている。町の急峻な地形と豊かな自然環境が、川根茶の特有の味わいと香りを育む要因となっている。さらに、川根茶は作り手の技術と伝統が結集されたものであり、地域の文化や経済を支える重要な要素でもある。
川根本町で運行されている日本で唯一のアプト式ラック鉄道の名称は何ですか?
川根本町で運行されている日本で唯一のアプト式ラック鉄道は「井川線」である。この線は、急勾配の火山地形を克服するためにアプト式の方式を採用しており、特に観光客に人気がある。井川線は千頭駅からスタートし、美しい自然環境の中を進むため、観光体験としても優れている。アプト式鉄道は特に急傾斜を走行できるため、特別な運行システムが必要であり、他の鉄道とは異なるユニークな体験を提供している。この路線は、高山植物や美しい風景とともに鉄道の旅を楽しむことができ、地域の観光資源としても重要な役割を果たしている。