大分県の北西部に位置する日田市は、周囲を山に囲まれた盆地と、そこを流れる多くの河川によって「水郷」を形成しています。歴史と自然、そして伝統文化が調和した、魅力溢れる街です。今回は、日田市の歴史、地理、観光スポット、文化、産業、交通など、多岐にわたる情報を網羅し、日田市の魅力を余すことなくお伝えします。
水郷の風景が広がる、日田の自然
日田市は、九州山地の山々に囲まれた標高約250メートルの盆地にあります。三隈川(筑後川)が流れ込み、豊かな水資源に恵まれています。市内には大小様々な川が流れ込み、緑豊かな自然と美しい水郷の風景を創り出しています。
山々
- 一尺八寸山(みおうやま)
- 大将陣山
- 岳滅鬼山(がくめきざん)
- 釈迦岳
- 御前岳
- ハナグロ山(鼻黒山)
河川
- 三隈川
- 大山川
- 玖珠川
- 花月川
- 中野川
- 黒谷川
気候
日田市は、九州型の太平洋側気候に属し、盆地のため夏と冬、朝晩の気温差が大きいです。年降水量は1,900mm弱と多く、梅雨期に年間降水量の3分の1以上が集中します。春から秋にかけては、朝夕に深い霧が発生しやすいのが特徴です。
- 最高気温記録:39.9℃(2018年8月13日)
- 最低気温記録:-10.8℃(1945年1月19日)
- 最大日降水量:336.0ミリ(2017年7月5日)
日田市の気候データ
月 | 最高気温記録 °C | 平均最高気温 °C | 日平均気温 °C | 平均最低気温 °C | 最低気温記録 °C | 降水量 mm | 平均降水日数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 21.5 | 9.8 | 4.2 | -0.2 | -10.8 | 64.6 | 10.3 |
2月 | 25.2 | 11.8 | 5.6 | 0.5 | -9.9 | 81.4 | 10.4 |
3月 | 27.7 | 15.7 | 9.2 | 3.6 | -7.8 | 122.9 | 11.9 |
4月 | 31.5 | 21.5 | 14.5 | 8.2 | -4.4 | 128.1 | 10.8 |
5月 | 36.3 | 26.4 | 19.4 | 13.3 | 1.2 | 150.0 | 10.2 |
6月 | 37.1 | 28.5 | 23.0 | 18.6 | 7.1 | 352.1 | 14.4 |
7月 | 39.3 | 32.3 | 26.8 | 22.7 | 12.7 | 376.9 | 14.0 |
8月 | 39.9 | 33.5 | 27.4 | 23.1 | 14.1 | 189.1 | 11.9 |
9月 | 38.0 | 29.5 | 23.6 | 19.2 | 5.9 | 178.7 | 10.7 |
10月 | 35.7 | 24.1 | 17.6 | 12.5 | -0.2 | 87.4 | 7.9 |
11月 | 29.6 | 18.1 | 11.6 | 6.5 | -4.9 | 81.5 | 9.0 |
12月 | 24.7 | 12.1 | 6.1 | 1.5 | -7.8 | 63.6 | 10.2 |
年間 | 39.9 | 21.9 | 15.8 | 10.8 | -10.8 | 1,876.3 | 131.8 |
椿ヶ鼻(標高約800m)の気候データ
月 | 降水量 mm | 平均降水日数 |
---|---|---|
1月 | 101.2 | 9.3 |
2月 | 163.3 | 11.3 |
3月 | 202.7 | 11.3 |
4月 | 240.4 | 11.3 |
5月 | 252.2 | 10.2 |
6月 | 616.0 | 15.3 |
7月 | 677.1 | 15.9 |
8月 | 324.3 | 12.7 |
9月 | 292.9 | 11.7 |
10月 | 162.3 | 8.8 |
11月 | 119.7 | 9.3 |
12月 | 119.5 | 10.8 |
年間 | 3,264.1 | 137.4 |
歴史と文化が香る、日田の街
日田は、古くから交通の要衝として栄えてきました。歴史的な建造物が数多く残っており、伝統文化も息づいています。
地名の由来
日田の地名の由来には諸説ありますが、定かではありません。
- 『豊後国風土記』では、景行天皇が九州遠征時に「久津媛」と名乗る神が人となり現れたことに因んで名づけられたとする説があります。
- 『和名類聚抄』では、「日高郡」とされており、「比多」の訓が付されているという説もあります。
- 江戸時代に成立した『豊西記』には、「日と鷹神話」があり、それよりヒタカと呼ばれるようになったという説もあります。
古代
- 小迫辻原遺跡からは、3世紀末から4世紀初頭にかけての豪族の環濠居館の跡が出土しています。
- ダンワラ古墳からは、1世紀〜3世紀頃の漢鏡と推定される金銀錯嵌珠龍紋鉄鏡(国の重要文化財)が出土しています。
近世
- 江戸時代には、京・大坂・江戸を手本に町人文化が栄え、「小京都」とも呼ばれています。
- 代官・郡代により掛屋に指定された商人は、大名貸の金利などにより利益を得ており、その利益や蓄えは「日田金」と呼ばれていました。
- 幕末に広瀬淡窓が開いた私塾「咸宜園」には、日本中から塾生が集まりました。塾生には、蘭学者の高野長英や近代軍隊の基礎を築いた大村益次郎などがいます。
近現代
- 1889年に施行された町村制により、日田町が発足します。
- 1940年に日田町と周辺の6村が合併し、日田市が誕生しました。
- 2005年には、周辺の2町3村を編入し、現在の市域となりました。
見どころ満載! 日田の観光スポット
日田市には、歴史的な建造物、自然豊かな公園、伝統工芸品など、魅力的な観光スポットが数多く存在します。
豆田町
- 重要伝統的建造物群保存地区に指定されている、江戸時代中期からの町家が立ち並ぶエリアです。
- 広瀬淡窓旧宅(国史跡)
- 長生園(国史跡・廣瀬家墓地)
- 草野家住宅(国重文)
- 日本丸館(国登録有形文化財・岩尾薬局)
- 天領日田資料館
- 薫長酒蔵資料館(クンチョウ酒造)
隈町
- 後藤家住宅(国登録有形文化財)
- 山田家住宅(国登録有形文化財)
- 日田祇園山鉾会館
- 隈まちづくりセンター黎明館(国登録有形文化財)- 大分銀行旧日田支店・旧浜田医院
郊外
- 行徳家住居(国重文・夜明関町)
- 井上家住宅(国登録有形文化財・鶴河内町)
- 皿山(重要無形文化財)
自然
- 月隈公園– 永山城跡
- 亀山公園(きざんこうえん)- 日隈城跡
- 慈眼山公園– 永興寺跡及び大蔵氏日田城跡
- 鏡坂– 景行天皇訪問地
- 萩尾公園
- 椿ヶ鼻ハイランドパーク
- 日田市天瀬農業公園(ローズヒルあまがせ)
温泉
- 日田温泉
- 天ヶ瀬温泉
- 湯ノ釣温泉
その他
- 鯛生金山跡(近代化産業遺産)
- 小鹿田焼の里
- 上津江フィッシングパーク
- 日田天領水
日田の伝統文化
日田市には、古くから受け継がれてきた伝統文化が数多く存在します。
伝統工芸
- 小鹿田焼(おんたやき)
- 日田下駄
- 日田土鈴
祭り
- 天領日田おひなまつり(2月15日〜3月31日)- 九州最大級のひなまつり
- 日田川開き観光祭(5月20日過ぎの土曜日・日曜日)
- 日田祇園祭(7月20日過ぎの土曜日・日曜日)
- 大原八幡宮仲秋祭(放生会)(9月中旬)
- 千年あかり(11月3週目の金曜日・土曜日・日曜日)
- 日田天領まつり(11月第3土曜日・日曜日)
- 日田おおやま梅まつり(2月中旬〜3月中旬)
日田の産業
日田市は、古くから林業が盛んで、特に「日田杉」は良質の木材として知られています。近年では、農業、酒造業、観光業なども発展しています。
主な産業
- 林業
- 農業(梅、栗、キノコなど)
- 酒造業
- 観光業
- 工業(電子部品、食品など)
日田市に本社を置く企業
- 日田天領水
- 想夫恋
- まるはら
- 日田信用金庫
- 亀山亭ホテル
交通アクセス
日田市へのアクセスは、鉄道、バス、自動車などがあります。
鉄道
- JR九州久大本線:夜明駅 – 光岡駅 – 日田駅 – 豊後三芳駅 – 豊後中川駅 – 天ケ瀬駅 – 杉河内駅
バス
- 高速バス:福岡市、大分市、別府市、由布院温泉、長崎市などから路線バスが運行しています。
- 路線バス:日田市街地と周辺地域を結ぶ路線バスが運行しています。
自動車
- 大分自動車道:日田IC、天瀬高塚IC
日田市への旅を満喫しよう!
歴史と自然、そして伝統文化が調和した日田市は、何度訪れても飽きない魅力があります。ぜひ、日田の美しい風景と豊かな文化に触れて、心に残る旅を体験してください。
日田市についてのクイズ
日田市はどのような地形に位置していますか?
大分県日田市は、九州山地の山々に囲まれた標高約250メートルの盆地に位置します。多くの河川が流れ、この地域は「水郷」と呼ばれる自然環境を形成しています。この水源は日田市の生活基盤を支えており、豊かな生態系と美しい景観を持っています。また、自然環境が恵まれているため、日田市では様々な観光スポットやアクティビティが展開されているほか、地元の農業や林業、さらには温泉など、観光資源も豊富です。盆地特有の気候により、年間を通じてさまざまな表情を見せる日田市は、訪れる人々に驚きと感動を与えています。
日田市の地名の由来についての説の一つは何ですか?
日田の地名には、さまざまな由来の説があります。その中の一つに、『豊後国風土記』に記されている説があります。この説によると、景行天皇が九州遠征の際に、神である「久津媛」が人となって現れたことに基づいて日田と名付けられたとされています。このように、日田市の名前は古代の神話や歴史に根ざしており、それが地域の文化やアイデンティティに深く影響を与えています。日田市の歴史的な背景を知ることは、この街の理解を深める道の一つとなり、観光や文化の体験にも繋がります。
日田市で行われる祭りの一つで、九州最大級のおひなまつりはいつ開催されますか?
日田市で開催される「天領日田おひなまつり」は、2月15日から3月31日までの期間で行われる九州最大級のひな祭りです。この時期には、町の各所に雛人形が展示され、訪れる人々を楽しませます。特に日田の伝統的な住宅街を背景に、多様なスタイルの雛人形を楽しむことができ、観光客や地域の人々が集まります。このおひなまつりは、地域の文化や歴史を知る良い機会でもあり、毎年多くの人々が訪れる賑わいのある催しとなっています。
日田市の主な産業では何が挙げられていますか?
日田市の主な産業の一つとして、林業が挙げられます。特に「日田杉」は良質な木材として非常に評価されています。また、日田市は自然環境に恵まれた地域であるため、農業や酒造業、観光業も発展しています。これらの産業は相互に関連しており、観光資源や地元産品が観光業を支える重要な要素となっています。日田市の地域経済を理解するためには、これらの産業の発展がどのように結びついているのかを学ぶことが大切です。