リード文
鹿児島県の中央部、薩摩半島に位置する日置市は、歴史と文化、そして豊かな自然に恵まれた街です。南九州西回り自動車道やJR鹿児島本線で鹿児島市と結ばれ、ベッドタウンとしての役割も担っています。毎年10月には、武将・島津義弘を祀る徳重神社を詣でる「妙円寺詣り」という伝統行事が行われ、活気あふれる街並みを彩ります。また、薩摩焼の産地としても知られ、美山地区には今も多くの窯元が軒を連ねています。歴史と自然、そして文化が調和する魅力的な日置市について、詳しくご紹介しましょう。
地理
日置市は鹿児島県のほぼ中央、薩摩半島の中西部に位置しています。西側は東シナ海に面しており、日本三大砂丘の一つである吹上浜が約12kmにわたって広がっています。吹上浜の沖約12kmには、無人島の久多島があり、日置市に属しています。
気候
日置市の気候は、温暖な瀬戸内海式気候に属し、年間を通して過ごしやすい気候です。夏は高温多湿、冬は比較的温暖で、降水量は年間を通して多く、特に梅雨の時期には集中豪雨に見舞われることもあります。
| 東市来(1991年 – 2020年)の気候 |
|—|—|
| 月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
| 最高気温記録 °C (°F) | 22.5 (72.5) | 23.2 (73.8) | 24.7 (76.5) | 29.4 (84.9) | 31.8 (89.2) | 34.4 (93.9) | 36.3 (97.3) | 36.3 (97.3) | 35.5 (95.9) | 32.9 (91.2) | 27.8 (82) | 23.6 (74.5) | 36.3 (97.3) |
| 平均最高気温 °C (°F) | 12.0 (53.6) | 13.3 (55.9) | 16.1 (61) | 20.4 (68.7) | 24.1 (75.4) | 26.4 (79.5) | 30.2 (86.4) | 31.6 (88.9) | 29.3 (84.7) | 25.1 (77.2) | 19.8 (67.6) | 14.4 (57.9) | 21.9 (71.4) |
| 日平均気温 °C (°F) | 7.5 (45.5) | 8.6 (47.5) | 11.5 (52.7) | 15.6 (60.1) | 19.4 (66.9) | 22.8 (73) | 26.6 (79.9) | 27.3 (81.1) | 24.6 (76.3) | 19.8 (67.6) | 14.6 (58.3) | 9.5 (49.1) | 17.3 (63.1) |
| 平均最低気温 °C (°F) | 2.9 (37.2) | 3.6 (38.5) | 6.4 (43.5) | 10.5 (50.9) | 14.8 (58.6) | 19.6 (67.3) | 23.6 (74.5) | 23.9 (75) | 20.7 (69.3) | 15.0 (59) | 9.5 (49.1) | 4.7 (40.5) | 12.9 (55.2) |
| 最低気温記録 °C (°F) | -5.4 (22.3) | -6.3 (20.7) | -3.4 (25.9) | -0.1 (31.8) | 5.4 (41.7) | 11.0 (51.8) | 17.0 (62.6) | 16.4 (61.5) | 10.0 (50) | 1.6 (34.9) | -2.1 (28.2) | -4.2 (24.4) | -6.3 (20.7) |
| 降水量 mm (inch) | 75.8 (2.984) | 99.4 (3.913) | 151.1 (5.949) | 174.3 (6.862) | 187.1 (7.366) | 516.3 (20.327) | 310.2 (12.213) | 204.6 (8.055) | 243.6 (9.591) | 92.2 (3.63) | 111.4 (4.386) | 98.4 (3.874) | 2,265 (89.173) |
| 平均降水日数 (≥1.0 mm) | 10.2 | 9.6 | 12.3 | 10.2 | 10.0 | 15.1 | 10.9 | 10.3 | 10.2 | 7.2 | 9.0 | 9.5 | 124.1 |
| 平均月間日照時間 | 116.1 | 133.3 | 162.3 | 180.6 | 183.9 | 112.0 | 192.5 | 220.8 | 186.7 | 191.2 | 156.1 | 126.2 | 1,964.9 |
- 出典1:Japan Meteorological Agency
- 出典2:気象庁[1]
隣接している市町村
- 鹿児島市
- 薩摩川内市
- いちき串木野市
- 南さつま市
歴史
日置市の中心部である伊集院町は、南北朝時代から江戸時代にかけて、薩摩半島における学問の中心地として栄えました。多くの寺院が建立され、文化が花開いた地です。
近現代
- 1889年4月1日:町村制施行により、現在の市域に複数の村が誕生しました。
- 1922年4月1日:中伊集院村が町制施行し、伊集院町となりました。
- 1937年4月1日:東市来村が町制施行し、東市来町となりました。
- 1955年4月1日:日置村と吉利村が合併し、日吉町が誕生しました。
- 2005年5月1日:日置郡の伊集院町、東市来町、日吉町、吹上町が合併し、日置市が誕生しました。
行政
- 市長:永山由高(2021年5月29日就任、1期目)
市の行政機関
- 市役所
- 日置市本庁:〒899-2592 鹿児島県日置市伊集院町郡一丁目100番地
- 東市来支所:〒899-2292 鹿児島県日置市東市来町長里87番地1
- 日吉支所:〒899-3192 鹿児島県日置市日吉町日置377番地
- 吹上支所:〒899-3301 鹿児島県日置市吹上町中原2847番地
- 日置市消防本部
県の行政機関
- 鹿児島県警察:日置警察署
- 鹿児島地域振興局日置市駐在
- 伊集院保健所
- 鹿児島県消防学校
国の行政機関
- 伊集院税務署
- 伊集院公共職業安定所
経済
日置市には、食品加工、製造業など様々な分野の企業が進出しており、地域経済を支えています。
日置市に工場を置く主要企業
- 鹿児島ケース
- 鹿児島電子
- 小正醸造
- 佐藤食品工業
- シチズン時計鹿児島
- しまうまプリントラボ
- 省力化技研
- セイカ食品
- てまひま堂
- 西酒造
- ヒガシマル
- 日之出紙器工業
- フクヤマ食品
- 文明農機
- 明興テクノス
姉妹都市・提携都市
日置市は国内外で多くの自治体と友好関係を築いています。
国内
- 関ケ原町(岐阜県):1963年兄弟都市提携 ※旧伊集院町との提携
- 弟子屈町(北海道):※旧東市来町との提携
- 姶良市(鹿児島県):旧伊集院町が、姶良市を構成した町の1つ加治木町と島津義弘にまつわる縁などから教育姉妹町の盟約をしており、これをきっかけに2010年10月23日に日置市と姶良市の間で再度姉妹都市の盟約が結ばれた[4]。
- 多賀町(滋賀県):※旧伊集院町との提携
- 大垣市(岐阜県):※旧吹上町との提携(フレンドリーシティ)
- 南大隅町(鹿児島県):※旧日吉町との提携
国外
- マレーシアセランゴール州スバン・ジャヤ(2012年10月29日[5])
- 大韓民国全羅北道南原市
地域
人口
日置市の人口は、近年減少傾向にあります。2020年の人口は約47,153人です。
日置市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 日置市の年齢・男女別人口分布(2005年) |
---|---|
■紫色 – 日置市 ■緑色 – 日本全国 | ■青色 – 男性 ■赤色 – 女性 |
日置市(に相当する地域)の人口の推移 | 1970年(昭和45年) |
— | — |
1975年(昭和50年) | |
1980年(昭和55年) | |
1985年(昭和60年) | |
1990年(平成2年) | |
1995年(平成7年) | |
2000年(平成12年) | |
2005年(平成17年) | |
2010年(平成22年) | |
2015年(平成27年) | |
2020年(令和2年) | |
総務省統計局 国勢調査より |
教育
日置市には、小学校、中学校、高等学校、大学など、様々な教育機関があります。
大学
- 鹿児島農業大学校
高等学校
- 鹿児島県立伊集院高等学校
- 鹿児島県立吹上高等学校
- 学校法人日章学園鹿児島城西高等学校
- 学校法人日章学園鹿児島育英館高等学校※中高併設
中学校
- 東市来中学校
- 上市来中学校
- 伊集院中学校
- 伊集院北中学校
- 土橋中学校
- 日吉中学校
- 吹上中学校
- 学校法人日章学園鹿児島育英館中学校※中高併設
小学校
- 鶴丸小学校
- 伊作田小学校
- 湯田小学校
- 上市来小学校
- 美山小学校
- 伊集院小学校
- 飯牟礼小学校
- 土橋小学校
- 伊集院北小学校
- 妙円寺小学校
- 日吉小学校
- 永吉小学校
- 伊作小学校
- 花田小学校
- 和田小学校
交通
日置市は、鹿児島市へのアクセスが良好で、鉄道、道路、バスなど様々な交通手段が利用できます。
鉄道
- 九州旅客鉄道(JR九州)
- 鹿児島本線
-
- 湯之元駅 – 東市来駅 – 伊集院駅 –
- その他、九州新幹線が川内駅 – 鹿児島中央駅間で当市を通過しています。
-
- 鹿児島本線
道路
高規格幹線道路
- E3A 南九州西回り自動車道(南九州自動車道)
(いちき串木野市) – 美山IC/PA – (TB)美山TB – 伊集院IC – (鹿児島市)
一般国道
- 国道3号
- 国道270号
主要地方道
- 鹿児島県道20号鹿児島加世田線
- 鹿児島県道22号谷山伊作線
- 鹿児島県道24号鹿児島東市来線
- 鹿児島県道35号永吉入佐鹿児島線
- 鹿児島県道37号伊集院日吉線
- 鹿児島県道40号伊集院蒲生溝辺線
一般県道
- 鹿児島県道206号徳重横井鹿児島線
- 鹿児島県道296号田之頭吹上線
- 鹿児島県道301号伊集院停車場線
- 鹿児島県道303号江口長里線
- 鹿児島県道304号仙名伊集院線
- 鹿児島県道305号養母長里線
- 鹿児島県道306号戸崎湯之元停車場線
- 鹿児島県道308号郷戸市来線
- 鹿児島県道309号山田湯之元停車場線
- 鹿児島県道加世田日吉自転車道線
バス
一般路線バス
- 鹿児島交通 – 市内全域で運行するほか、周辺他市への路線もある。
- 鹿児島市 – 日置市 – いちき串木野市 – 薩摩川内市
- なんてつ号:枕崎市 – 南さつま市 – 日置市
- 南国交通 – 鹿児島市と旧伊集院町域を結ぶ路線がある。
高速バス
市内の南九州西回り道上の東市来バスストップと伊集院バスストップに鹿児島市 – 串木野市・薩摩川内市間の高速バスが停車する。
コミュニティバス
- 日置市コミュニティバス – (運行委託:鹿児島交通)
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
日置市には、歴史を感じられる史跡や自然豊かな観光スポット、そして伝統的な祭りやイベントなど、様々な魅力が詰まっています。
- 園林寺跡、小松帯刀の墓
- 小松家お仮屋跡
- 清浄寺、小松帯刀菩提寺、小松帯刀像
- そうめん流し宮田石、せせらぎの湯 花水木(伊集院町)
- 大汝牟遅神社
- 玉山神社
- 徳重神社
- 中島常楽院
- 吹上温泉
- 吹上浜(日本の渚百選)
- 湯之元温泉
特産品
日置市では、温暖な気候を生かして、様々な農産物が栽培されています。
- オリーブ
- 月日貝[6]
-
薩摩焼
-
伊集院饅頭
- イチゴ
- 茶
- 黄蜜柑
スポーツ
- フラーゴラッド鹿児島(V.LEAGUE所属のバレーボールクラブ)
著名な出身者
日置市には、様々な分野で活躍する著名な出身者が数多くいます。
- 赤崎義則(鹿児島市長、全国市長会長)※ 東市来町出身
- 赤山靭負(薩摩藩物頭。お由羅騒動で切腹)※ 日置郷出身
- 有馬正文(海軍軍人)※ 中伊集院村出身
- 有村優樹(陸上競技選手)
- 石神兼文(法学者、鹿児島大学第6代学長・名誉教授)※ 東市来町出身
- 伊集院大八(元力士)
- 稲森いずみ(俳優)※ 伊集院町出身
- 今給黎教子(海洋冒険家)※ 吹上町出身
- 入船敏(陸上競技選手、指導者)※ 伊集院町出身
- 岩下敬輔(サッカー選手)※ 伊集院町出身
- 鵜狩道夫(元プロ野球選手)※ 伊集院町出身
- 有働由美子(フリーアナウンサー)※ 伊集院町出身
- 鮫島眞男(第4代衆議院法制局長、法学者、近畿大学教授)※ 東市来町出身
- 東郷茂徳(第65・71代外務大臣、第4代大東亜大臣、第21代拓務大臣、貴族院議員)※ 苗代川村出身
- 中島美嘉[7](歌手、俳優)
- 中野花菜(ソフトボール選手)
- 長渕剛(歌手、俳優)※ 伊集院町生まれ、鹿児島市育ち
- 永山由高(日置市長)※ 東市来町出身
- 野村直邦(第23代海軍大臣、海軍大将)
- 馬場雄二(元鹿児島放送アナウンサー)※ 東市来町出身
- 原田泉(映画プロデューサー)※ 東市来町出身
- 福留大士(チェンジホールディングス創業者・社長)
- 古垣鉄郎(貴族院勅選議員、第6代日本放送協会会長、元フランス大使)
- 本田勝彦(第4代日本たばこ産業代表取締役社長)
- 松下三郎(柔道家、全日本柔道連盟副会長、講道館理事、日本オリンピック委員会理事、日本ユニバーシアード委員会委員長)※ 吹上町出身
- 山之口安秀(鹿児島市長)※ 東市来町出身
- 横田慎太郎(元プロ野球選手)※ 東市来町出身
脚注
- “東市来 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年3月25日閲覧。
- 字の区域及び名称の取り扱いについて (PDF) – 日置合併協議会(国立国会図書館アーカイブ)、2017年5月7日閲覧。
- 当時の寺院は信仰の場のみならず学校のような役割も果たしていた。
- 「日置市と姶良市が姉妹都市盟約」 南日本新聞2010年10月26日
- 『南日本新聞』 2012年11月19日付 15面(マレーシア都市日置が友好協定)
- “月日貝”. ひおき市 HIOKI BRAND JAPAN. 日置ブランド推進協議会(日置市商工観光課). 2022年11月30日閲覧。
- 「「SATSUMANIAN HESTIVAL」に岡崎体育、氣志團、きゃりー、中島美嘉、HYDE、ももクロら」『ナタリー』2022年6月4日。2023年7月8日閲覧。
関連項目
- 苗代川
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- ウィキトラベルには、日置市に関する旅行ガイドがあります。
- 日置市に関連する地理データ – オープンストリートマップ
- 地図 – Google マップ
日置市についてのクイズ
日置市はどの県に位置していますか?
日置市は鹿児島県に位置しており、鹿児島県の中央部、薩摩半島の中西部にあたります。この地域は、温暖な気候と豊富な自然環境が特徴で、南九州西回り自動車道やJR鹿児島本線によって鹿児島市と結ばれています。日置市は歴史と文化が息づく地域であり、特に薩摩焼の産地としても知られています。交通の便が良く、鹿児島市へのアクセスが容易なため、多くの人々にとって住みやすいベッドタウンの役割を果たしています。
日置市の伝統行事の一つは何ですか?
日置市では、毎年10月に「妙円寺詣り」という伝統行事が行われています。この行事は、武将・島津義弘を祀る徳重神社を詣でるもので、地域の人々が参加し、昔に思いを馳せる重要なイベントです。このように、日置市では地域の歴史や文化を尊重し、受け継いでいくための行事が行われており、訪れる人々にも伝統的な魅力を伝えています。
日置市の気候はどのようなタイプに分類されますか?
日置市の気候は温暖な瀬戸内海式気候に属していて、年間を通じて比較的過ごしやすい気温が保たれています。特に、夏は高温多湿で、しばしば豪雨に見舞われることもあります。この温暖な気候は、地域での農産物生産にも大きく寄与しており、日置市ではイチゴや茶、温暖な気候を活かしたオリーブ栽培などが行われています。
日置市の中心部である伊集院町は、どの時代に学問の中心地として栄えましたか?
日置市の中心部である伊集院町は、南北朝時代から江戸時代にかけて薩摩半島における学問の中心地として栄えました。この時期、多くの寺院が建立され、文化が花開いた地点として知られています。地域の人々は教育に力を入れ、学問を受け継いできました。今なお、その歴史や文化が感じられる場所となっており、訪れる人々にとっても魅力的なスポットです。
日置市にはどのような特産品がありますか?
日置市は、温暖な気候を活かし多くの特産品を生み出しています。その中でも特に有名なのが薩摩焼で、地域には多くの窯元が存在します。また、日置市ではイチゴや茶、さらにオリーブなども栽培されており、これらは地域の特産品として知られています。特産品は、地元の農業や文化を代表するもので、観光客や地域住民に愛されている贈り物やお土産として重宝されています。
日置市には何店舗の高等学校がありますか?
日置市には、鹿児島県立伊集院高等学校、鹿児島県立吹上高等学校、さらに日章学園鹿児島城西高等学校と日章学園鹿児島育英館高等学校の2つの中高一貫校があります。合計で4校の高等学校が存在し、それぞれが地域の教育に重要な役割を果たしています。また、地域の生徒たちが様々な分野で活躍できるよう、地元の教育機関では質の高い教育が提供されています。