三重県中部の多気郡に位置する多気町は、豊かな自然と歴史、そして活気あふれる産業が調和する魅力的な町です。
古くから交通の要衝として栄え、伊勢神宮や熊野古道への道筋としても重要な役割を担ってきた多気町は、現代でもその歴史と文化を大切に守りながら、新たな発展を続けています。自然豊かな環境、伝統を守りながら新しい文化を生み出す力、そして未来への可能性を秘めた多気町の魅力をご紹介します。
地理と歴史:自然と人々の営みが育む多気町の物語
多気町は、三重県の中央部に位置する内陸の町で、周囲を山々に囲まれ、多くの池や河川が流れています。町内を中央構造線が通っており、豊かな自然環境に恵まれています。
山、池、河川:多様な自然が織りなす風景
- 山: 町内には標高291mの長谷地区の城山や128.8mの矢田地区の城山など、大小さまざまな山々が点在し、緑豊かな景観を形成しています。
- 池: 三重県最大の池である五桂池や栃ヶ池をはじめ、桧皮池、涵翠池、小寺池など、多くの池があり、水辺の風景に彩りを添えています。
- 河川: 宮川、櫛田川、佐奈川、外城田川、祓(はらい)川、濁川など、多くの河川が流れ、町の豊かな水資源を支えています。
- 用水: 農業用水として重要な役割を果たす立梅用水も、多気町の自然環境を支えています。
古代から続く歴史:交通の要衝として発展
多気町は、古代から人々の居住する農村地帯として栄えてきました。
- 古代: 『和名抄』に「多気郡多気郷」「飯野郡兄国郷」の表記が見られ、古代から人々が暮らしていたことがわかります。
- 中世: 北畠氏領となり、その後は和歌山藩田丸城代の領地となりました。
- 近世: 伊勢本街道、和歌山別街道、熊野街道が通過する交通の要衝として発展しました。
近現代の変遷:産業の振興と町の発展
明治時代以降、多気町は産業の振興とともに発展を遂げてきました。
- 1893年: 相可駅(現・多気駅)が開業し、交通網が整備されました。
- 1973年: 丹生鉱山が閉山し、地域産業の転換期を迎えます。
- 1984年: 五桂池ふるさと村が開園し、観光拠点として新たな魅力が加わりました。
- 1990年: 伊勢自動車道勢和多気インターチェンジが供用開始され、交通アクセスが向上しました。
- 1995年: シャープが多気町に進出し、地域経済を活性化させました。
- 2006年: 勢和村と合併し、新たな多気町が誕生しました。
- 2021年: 民間レジャー施設「VISON」(ヴィソン)が部分開業し、観光と産業の新たな拠点として注目を集めています。
人口と経済:発展と変化を続ける多気町
人口の推移と課題
多気町の人口は、1970年代後半から減少傾向にあります。少子高齢化や人口流出などの課題を抱えながらも、多気町は、地域の魅力を活かした活性化策を推進しています。
産業の多角化:シャープ工場とVISONによる経済活性化
多気町の経済は、シャープ三重工場やVISONなど、多角的な産業によって支えられています。
- シャープ三重工場: 多気町の経済を牽引する存在であり、液晶パネルなどの中核事業を担っています。
- VISON: 2021年7月にグランドオープンしたリゾート型複合商業施設であり、飲食店、産直市場、ホテル、温浴施設など73店が集積し、新たな観光と産業の拠点となっています。
農業:伝統と革新が融合する農産物の宝庫
多気町は、農業が盛んな地域であり、伝統的な農産物を守りながら、新しい技術を取り入れた農業を推進しています。
- カキ: 生産量は三重県内1位を誇り、特産の「富有柿」や「次郎柿」などが栽培されています。
- ミカン: 江戸時代からの伝統的な栽培技術を受け継ぎ、日持ちが良く、4月上旬まで貯蔵可能な品質で知られています。
- 伊勢茶: 三重県を代表するお茶として、多気町でも伝統的な製法で栽培されています。
- 松阪牛: 松阪牛の産地としても知られており、豊かな自然環境で育まれた良質な牛肉が生産されています。
- 伊勢いも: 伊勢いもの発祥の地として、多気町では伝統的な製法で伊勢いもが作られています。
教育と文化:未来を育む教育環境と豊かな文化
教育機関:地域社会の発展を支える教育機関
多気町には、地域社会の未来を担う人材育成に力を入れている教育機関が数多くあります。
- 高等学校: 三重県立相可高等学校は、地域社会に貢献できる人材育成を目指しています。
- 中学校: 多気町松阪市学校組合立多気中学校と多気町立勢和中学校は、生徒一人ひとりの才能を伸ばす教育に取り組んでいます。
- 小学校: 多気町立相可小学校、多気町立佐奈小学校、多気町立津田小学校、多気町立外城田小学校、多気町立勢和小学校は、子どもたちの豊かな感性と創造性を育む教育を実践しています。
文化施設:歴史と文化を継承する施設
多気町には、歴史と文化を学び、体験できる施設が充実しています。
- 博物館: 多気町立多気郷土資料館と多気町立勢和郷土資料館は、地域の貴重な歴史資料を展示しています。
- 図書館: 多気町立多気図書館と多気町立勢和図書館は、地域住民の生涯学習を支援しています。
- 少女まんが館 TAKI 1735: 少女漫画を専門に扱う私立の図書館であり、漫画を通して文化と芸術に触れることができます。
- 文化会館: 多気町民文化会館は、地域住民の文化活動の拠点として、さまざまなイベントや催しが行われています。
- ふるさと交流館: 多気町立ふるさと交流館たきと多気町立ふるさと交流館せいは、地域の情報発信拠点として、観光案内や地域住民の交流の場を提供しています。
- 公民館: 多気町立多気中央公民館、多気町立勢和公民館、多気町立相可公民館、多気町立佐奈公民館、多気町立津田公民館、多気町立外城田公民館は、地域住民の学習や交流の場として、様々な活動を支援しています。
観光とイベント:自然と歴史を満喫できる魅力的な観光地
自然豊かな観光スポット:雄大な自然と触れ合う
- 五桂池ふるさと村: 三重県最大の池である五桂池を望む広大な敷地には、遊園地や宿泊施設があり、家族で楽しめる観光スポットです。
- まごの店: 五桂池ふるさと村内にある高校生レストランで、地元の食材を使った美味しい料理を提供しています。
- 元丈の館: 和歌山街道中山薬草薬樹公園にある薬草園で、薬草や薬樹について学ぶことができます。
- 波多瀬薬草公園: 多様な薬草が栽培されており、自然と薬草に触れ合うことができます。
- 山の駅よって亭(コケコッコー共和国): 地域の特産品や農産物が販売されている道の駅です。
- 歴史の散歩道: 天啓公園から金剛座寺、近長谷寺を結ぶ歴史散策コースです。
- 神坂展望施設: 金剛座寺山頂にある展望台で、多気町の美しい景色を一望できます。
文化に触れる観光スポット:歴史と文化を体感する
- 丹生大師(丹生山成就院神宮寺): 古くから信仰を集める寺院で、多くの文化財が残されています。
- 丹生神社・丹生中神社: 丹生大師の鎮守社として、地域の信仰の中心となっています。
- 丹生山近長谷寺: 丹生大師とともに、地域の信仰の中心を担ってきた寺院です。
- 丹生鉱山跡: かつて水銀鉱山として栄えた歴史を伝える史跡です。
- 摩尼山金剛座寺(穴師寺、穴師子寺): 式内 穴師神社を内包する古刹で、歴史と文化を感じることができます。
- 御船神社・牟弥乃神社: 地域の守り神として信仰されています。
- 佐那神社: 多気町の鎮守社として、古くから人々の崇敬を集めています。
- 佛土山惠日院普賢寺: 歴史ある寺院で、静寂の中に佇んでいます。
- 天啓の里(天啓公園、のびのびパーク天啓): 黄檗宗の古刹、天照山法泉寺の史跡で、自然と歴史を感じることができます。
- しあわせの宮: 多気町を代表するパワースポットです。
イベント:地域の活力を体感できるイベント
- 八柱神社長龍神事: 3月11日に開催される伝統的な神事で、龍の形をした神輿が練り歩きます。
- 丹生大師大祭: 4月21日に開催されるお祭りで、多くの人が訪れます。
- 相可鮎狩りとうろう流し: 6月15日に開催されるイベントで、鮎のつかみ取りや灯籠流しを楽しむことができます。
- 丹生大師秋季大祭: 10月21日に開催されるお祭りで、秋の味覚を楽しむことができます。
交通アクセス:多気町へのアクセス方法
鉄道:JR東海紀勢本線と参宮線が通る
- JR東海: 紀勢本線と参宮線が乗り入れ、多気駅、相可駅、佐奈駅が利用できます。
バス:町営バスや三重交通バスが運行
- 多気町町営バス: 町内を網羅する路線バスが運行しています。
- 三重交通: 松阪市方面、熊野市方面への路線バスが運行しています。
道路:伊勢自動車道と紀勢自動車道が通る
- 高速道路: 伊勢自動車道と紀勢自動車道が通っており、車でのアクセスも便利です。
まとめ:自然と歴史が調和する魅力的な町
多気町は、豊かな自然環境と歴史文化が調和した、魅力あふれる町です。自然豊かな景観、伝統を守りながら新しい文化を生み出す力、そして未来への可能性を秘めた多気町は、訪れる人々に忘れられない感動を与えてくれます。ぜひ、多気町を訪れて、その魅力を体感してみてください。
多気町についてのクイズ
多気町の地理的特徴として正しいものはどれですか?
多気町は三重県の中央部に位置し、周囲を山々に囲まれています。この地理的特徴は多気町の豊かな自然環境を支えており、山、池、河川が点在しています。特に、標高291mの長谷地区の城山や128.8mの矢田地区の城山など、大小さまざまな山が存在し、それが町の魅力の一部を形成しています。また、多気町には多くの池や河川が流れ、農業用水として重要な立梅用水もあり、自然と人々の生活が密接に関連しています。これらの要因が多気町の独特の風景を生み出し、訪れる人々に多様な自然体験を提供しています。
多気町の産業振興に関する重要な出来事は何年に起こったか?
多気町の産業振興に関して重要な出来事は、1973年に丹生鉱山が閉山したことです。この出来事は地域産業の転換期を迎えるきっかけとなりました。丹生鉱山はかつて地域経済を支える重要な施設でしたが、閉山によって多気町は新たな産業の育成や観光業の振興に注力する必要が生じました。その後、地域には新たな雇用創出や経済活性化に向けて、様々な取り組みが行われ、特にシャープ三重工場の進出や、2021年にオープンしたVISONが新たな経済の中心として位置付けられるようになりました。
多気町で有名な農産物はどれですか?
多気町は特にカキの生産量が三重県内で1位を誇り、富有柿や次郎柿などの特産品が栽培されています。古くからの農業の伝統と革新が融合した地域で、農業が盛んなことが地域の特色となっています。また、江戸時代から受け継がれてきたミカンの栽培技術や、伊勢茶、松阪牛、伊勢いもなど、その他の農産物も多気町の重要な名産品として知られています。このように、多気町は豊かな自然環境を背景に、さまざまな農産物を生産し、地域経済を支えています。
多気町にある文化施設はどれですか?
多気町には多くの文化施設がありますが、その中でも多気町立多気郷土資料館が地域の歴史を学べる重要な場所です。この資料館には、地域の貴重な歴史資料が展示されており、訪れる人々に多気町の歴史や文化を深く理解する機会を提供しています。また、文化会館や図書館、私立の少女まんが館もあり、地域住民や観光客にさまざまな文化活動を提供しています。これらの施設は地域の教育や文化の振興に寄与しており、地域コミュニティの活性化にもつながっています。