室蘭市は、北海道の中南部、太平洋と内浦湾(噴火湾)の境に位置する、雄大な自然と活気あふれる港湾都市です。かつては「鉄のまち」として栄え、重化学工業が盛んでしたが、近年では工場夜景や豊かな自然、歴史文化など、多様な魅力を発信し、観光都市としても注目を集めています。今回は、北海道室蘭市の歴史、文化、観光、産業など、様々な角度から魅力をご紹介します。
鉄のまちから観光都市へ:室蘭市の歴史と発展
室蘭市の歴史は、1600年頃にアイヌ民族との交易のために松前藩が「エトモ場所」を設置したことに始まります。明治時代に入ると、戊辰戦争で敗れた仙台藩の一門筆頭・角田石川氏の家臣団が移住し、本格的な開拓が始まりました。
1892年、北海道炭礦鉄道輪西—岩見沢間が開通すると、室蘭港は石炭の積み出し拠点として発展し、重化学工業都市としての基盤を築きます。1907年には日本製鋼所室蘭工場(現在の室蘭製作所)、1909年には北海道炭礦汽船輪西製鐵場(現在の日本製鉄室蘭製鉄所)が操業を開始し、室蘭市はまさに「鉄のまち」として隆盛を極めました。
高度経済成長期には、製鉄業を中心とした重化学工業がさらに発展し、人口は18万人を超える北海道内最大の都市に。しかし、その後は、産業構造の変化や人口減少、周辺都市の発展などに伴い、人口は減少傾向にあります。
近年では、室蘭市の魅力を再発見しようと、工場夜景や自然、歴史文化などを観光資源として積極的に活用する取り組みが進められています。かつての「鉄のまち」のイメージを払拭し、新たな魅力を発信することで、観光客の誘致や地域活性化を目指しています。
自然と文化が調和する街:室蘭市の魅力
室蘭市は、豊かな自然と歴史文化が調和した、魅力的な街です。
絵鞆半島:雄大な自然と美しい景観
室蘭市の中心部には、太平洋と内浦湾に突き出した絵鞆半島があります。険しい断崖絶壁が続く外海岸は、風光明媚な景勝地として知られており、日本放送協会(NHK)の番組『ブラタモリ』でも紹介されました。
絵鞆半島には、国の名勝に指定されている「ピリカノカ」と呼ばれる海岸線があり、鳴り砂で有名なイタンキ浜や、奇岩が連なるハルカラモイ・マスイチ浜、展望台として人気のチキウ岬など、見どころが満載です。
工場夜景:鉄の街のロマン
室蘭市の夜空を美しく彩る工場夜景は、近年注目を集めている観光資源の一つです。
室蘭港周辺には、製鉄所や石油化学工場などが立ち並び、夜になると、それぞれの工場が放つ光が幻想的な景観を作り出します。特に、白鳥大橋から眺める夜景は圧巻で、全国工場夜景都市協議会にも加盟しています。
室蘭港:歴史と活気に満ちた港
室蘭港は、絵鞆半島に抱かれた天然の良港です。明治時代には石炭の積み出し拠点として発展し、現在は国際拠点港湾として、様々な船舶が行き交います。
港を跨ぐ白鳥大橋は、東日本最大の吊り橋として、室蘭市のシンボルとなっています。橋の上からは、室蘭港や絵鞆半島の雄大な景色を一望することができます。
測量山:渡り鳥とハヤブサの楽園
室蘭市街地にある測量山は、標高199.6mの低い山ですが、渡り鳥の中継地として、これまでに200種類もの野鳥が観測されています。また、ハヤブサの繁殖地としても知られており、自然豊かな場所です。
測量山からは、室蘭市街地や白鳥大橋、絵鞆半島など、360度のパノラマを楽しむことができます。
室蘭市ならではの文化と名物
室蘭市には、歴史や文化、食など、様々な魅力があります。
室蘭やきとり:豚肉と玉ねぎの絶妙な組み合わせ
室蘭やきとりは、豚肉と玉ねぎを串に刺して焼き、洋からしを付けて食べる、室蘭市の名物です。全国やきとり連絡協議会による「全国7大ご当地やきとり」にも選ばれており、室蘭市を訪れた際にはぜひ味わいたい一品です。
室蘭カレーラーメン:独特の味が魅力
室蘭市では、カレーラーメンが人気です。市内には多くのラーメン店があり、それぞれの店で個性的なカレーラーメンを提供しています。室蘭カレーラーメンは、室蘭市ならではのソウルフードとして、地元の人々に愛されています。
クロソイ:室蘭市の魚
クロソイは、室蘭近海に生息する魚で、2002年に「室蘭市の魚」に制定されました。地元では、鮮魚として販売されているほか、様々な料理に使われています。
母恋駅:母の日には「母恋めし」
母恋駅は、その駅名から、母の日が近づくと「母の日記念乗車券」を販売していることで有名です。また、手作り駅弁の「母恋めし」も人気です。
ボルタ:室蘭発祥のボルト人形
ボルタは、ボルトとナットを組み合わせた、可愛らしいボルト人形です。室蘭市で生まれ、地元の人々に愛されています。
室蘭市へのアクセス
室蘭市へのアクセスは、飛行機、鉄道、高速バスなど、様々な方法があります。
- 飛行機:新千歳空港から、高速バスで約1時間30分。
- 鉄道:JR室蘭本線を利用し、札幌駅から約1時間40分。
- 高速バス:新千歳空港、札幌駅から、高速バスで約1時間30分。
まとめ
北海道室蘭市は、鉄と海と自然が織りなす、魅力的な港湾都市です。かつては「鉄のまち」として栄え、重化学工業が盛んでしたが、近年では工場夜景や豊かな自然、歴史文化など、多様な魅力を発信しています。
室蘭市を訪れれば、雄大な自然、歴史文化、美味しいグルメ、そして活気あふれる街並みを満喫することができます。ぜひ一度、室蘭市を訪れてみてください。
室蘭市についてのクイズ
室蘭市は何時代に本格的な開拓が始まったのか?
室蘭市の本格的な開拓は明治時代に始まりました。特にこの時期は、戊辰戦争で敗れた仙台藩の一門筆頭である角田石川氏の家臣団が移住し、新たな土地としての開発が進められました。この開拓活動により、室蘭市は商業や産業の中心として発展し、後に製鉄業が盛んになるなど、経済基盤が固まっていきました。室蘭市の成り立ちを理解する上で、明治時代が重要な時期であることがわかります。
室蘭市の観光名所で、『ブラタモリ』に紹介された場所はどれか?
絵鞆半島はその自然の美しさが評価され、日本放送協会(NHK)の番組『ブラタモリ』にて紹介されました。断崖絶壁と海岸の美しい景観が広がるこの場所は、訪れる観光客にとっても魅力的なスポットとなっています。特に、ピリカノカという名勝や鳴り砂で名高いイタンキ浜、そして展望台として人気のチキウ岬など、多数の見どころがあります。絵鞆半島は、室蘭市の自然美を象徴する重要な観光地です。
室蘭市名物のやきとりで使用される主な食材は何か?
室蘭市の名物やきとりは、豚肉と玉ねぎを串に刺して焼いた料理です。このやきとりは、洋からしを付けて食べるスタイルが特徴で、全国やきとり連絡協議会により「全国7大ご当地やきとり」にも選ばれています。室蘭市を訪れた際には、この特有のスタイルで楽しむことができるので、美味しい地元の味として多くの人々に親しまれています。やきとりはその風味だけでなく、地域の文化を象徴する食べ物でもあります。