愛知県北設楽郡豊根村:秘境の魅力が光る、自然と歴史が織りなす静寂の村

雄大な茶臼山高原や大入渓谷など、手つかずの自然が息づく愛知県北設楽郡豊根村。日本一人口の少ない村として知られ、静寂と豊かな自然に包まれた、都会の喧騒から離れた癒やしの空間が広がっています。

概要

豊根村は、愛知県北東部に位置し、北設楽郡に属する村です。愛知県で唯一人口が1000人以下の自治体であり、海部郡飛島村とともに愛知県にある2つの村のうちの1つです。奥三河と呼ばれる東三河地方北部に位置し、長野県や静岡県と接しています。16世紀までは賀茂郡(加茂郡)に属していました。

地理

位置

豊根村は、美濃三河高原に位置し、村域の9割以上が山地です。村内には茶臼山高原と大入渓谷があり、天竜奥三河国定公園に指定されています。東部には佐久間湖(佐久間ダムのダム湖)が広がっています。愛知県最高峰の茶臼山(標高1,415m)は豊根村と長野県下伊那郡根羽村にまたがっており、豊根村側には茶臼山高原スキー場があります。

地形

山地

主な山は以下の通りです。

  • 茶臼山 – 愛知県最高峰1,416m
  • 萩太郎山 – 1,358m
    • 茶臼山高原
  • 砦山
  • 日本ケ塚山
  • 八嶽山

主な峠は以下の通りです。

  • 新野峠

河川

主な川は以下の通りです。

  • 天竜川
    • 大入川 – 天竜川の支流。村内中心部を流れる。

地域

村内の大字

豊根村は、以下の大字で構成されています。

  • 古真立
  • 三沢
  • 下黒川
  • 上黒川
  • 坂宇場
  • 富山

人口

豊根村の人口は、2024年7月1日現在、推計人口で903人です。人口密度は5.79人/km2と、非常に低くなっています。

人口
1970年 3,865人
1975年 2,308人
1980年 2,126人
1985年 1,933人
1990年 1,813人
1995年 1,722人
2000年 1,629人
2005年 1,517人
2010年 1,336人
2015年 1,135人
2020年 1,017人
2024年 903人

隣接自治体・行政区

豊根村は、以下の自治体と隣接しています。

  • 愛知県
    • 北設楽郡
      • 東栄町
      • 設楽町
  • 長野県
    • 下伊那郡
      • 根羽村
      • 売木村
      • 天龍村
      • 阿南町
  • 静岡県
    • 浜松市(天竜区)

歴史

中世

  • 平安時代
    • 平安時代に成立した足助荘は後宇多院領、のち八条院領、大覚寺統領となる。
  • 南北朝時代
    • 南朝の後醍醐天皇の孫尹良親王が、ここ足助荘奥郷に居館を設けたとの伝説があり、現在も茶臼山高原の坂宇場に御所平という地名が残っている。
  • 戦国時代
    • 戦国時代には、松平清康に宇利城を落とされた熊谷実長の長男直安がこの地に逃れ、黒川城を築いたが、子は帰農した。

近世

  • 江戸時代
    • 江戸時代、村域はすべて天領であった。

沿革

  • 明治
    • 1876年(明治9年):佐太、大谷、市原、河内の各村が合併し富山村となる。
    • 1889年(明治22年)10月1日:北設楽郡三沢、上黒川、下黒川、古真立、坂宇場の各村が合併し豊根村となる。
  • 昭和
    • 1955年(昭和30年):佐久間ダムの建設に伴って富山村の中心地区が水没することになり、村民の約3分の1が離村する。
  • 平成
    • 2005年(平成17年)11月27日:富山村を編入。大字富山を設定する。

施設

警察

  • 警察署
    • 愛知県警察 設楽警察署
  • 駐在所
    • 坂宇場警察官駐在所(北設楽郡豊根村坂宇場)
    • 下黒川警察官駐在所(北設楽郡豊根村下黒川)
    • 富山警察官駐在所(北設楽郡豊根村富山)

消防

  • 本部
    • 新城市消防本部
  • 出張所
    • 新城市消防署豊根出張所(北設楽郡豊根村下黒川字蕨平2)

医療

  • 主な医療施設
    • 豊根村保健福祉センター
    • 豊根村診療所
    • 富山診療所

郵便局

  • 主な郵便局
    • 富山郵便局
    • 豊根郵便局

文化施設

  • 美術館
    • 茶臼山 高原の美術館
  • 生涯学習施設
    • とよね文化広場
      • 豊根村ふれあい会館

運動施設

  • 豊根村弓道場
  • とよねドーム

対外関係

姉妹都市・提携都市

海外

  • フレンドシップ相手国
    • キルギス共和国
    • サウジアラビア王国

国内

  • 友好都市
    • 豊明市(中部地方 愛知県)
      • 1977年(昭和52年)11月3日 友好都市提携
    • 飛島村(中部地方 愛知県 海部郡)
      • 2016年(平成28年)1月19日 友好都市提携

経済

第一次産業

農業

  • 農業協同組合(JA)
    • 愛知東農業協同組合(JA愛知東)
      • JA愛知東豊根店

林業

  • 森林組合
    • 豊根村林業センター

第三次産業

観光業

  • 茶臼山高原

金融機関

  • 銀行
    • 全国でも数少ない、ゆうちょ銀行代理店としての郵便局以外の民間金融機関が存在しない自治体である。かつては石堂地区に磐田信用金庫の代理店が置かれていた。
    • 指定金融機関は豊川信用金庫であるが、村役場に派出所(公金以外の取扱は行わない)とATMがあるだけで、支店・出張所はない。JAバンクは豊根出張所が存在するが、ATMがあるだけで、職員が扱う必要のある取引は隣接の設楽町の店舗への取次ぎ扱いである。

生活基盤

ライフライン

電力

  • 中部電力パワーグリッド

  • 発電所

    • 村内東部、静岡県浜松市天竜区佐久間町との境を流れる天竜川には、1956年(昭和31年)に佐久間ダムが建設された。このダムは水力発電用であり発電所(佐久間発電所)が付随するが、発電所は静岡県側に立地している。
    • 村内にあるダムはもう一つあり、新豊根ダムという。1972年(昭和47年)に完成したこのダムは、佐久間ダム下流側で天竜川本流に合流する大千瀬川の支流大入川にある。
    • この佐久間ダム湖(佐久間湖)と新豊根ダム湖(みどり湖)の間で水を往来させ、揚水発電を行う発電所が村内天竜川河畔(豊根村古真立)にある。電源開発新豊根発電所で、1971年(昭和46年)に運転を開始し、最大112万5,000キロワットの電力を発生させる。
    • かつては大入川から取水する中部電力豊根発電所が天竜川河畔(古真立字湯ノ嶋)にあったが、新豊根ダムの完成に伴い1972年に廃止された。
  • 一般供給

    • 豊根村では中部電力パワーグリッドが電気を供給している。

ガス

  • 都市ガスは供給されていないため、全世帯がプロパンガスを使用する。

上下水道

  • 愛知県企業庁

電信

  • NTT西日本 NTTビジネスソリューションズ(NTT西日本-東海)
    • 市外局番は0536(設楽MA)を使用する。
    • なお、同じ市外局番(0536)であっても、新城市とはMAが違うため、新城市に電話する場合は市外局番からダイヤルする必要がある。

教育・研究機関

大学

  • 村内に大学はないが、名城大学の豊根施設がある。

高等学校

  • 村内に高校はない。北設楽郡設楽町の愛知県立田口高等学校や静岡県浜松市天竜区の静岡県立浜松湖北高等学校佐久間分校に通学する生徒がいる。田口高等学校は豊根中学校と連携して中高一貫教育を行っている。かつては北設楽郡東栄町にあった愛知県立新城東高等学校本郷校舎に通学する生徒もいたが、2006年には本郷校舎が生徒募集をやめ、2008年に閉校した。なお、豊橋市にある桜丘高等学校の山間学習施設がある。

中学校

  • 村立
    • 豊根村立豊根中学校

小学校

  • 村立
    • 豊根村立豊根小学校

幼児教育

保育園

  • 杉の子保育園

廃校

  • 中学校
    • 豊根村立富山中学校(2015年3月に閉校)
  • 小学校
    • 豊根村立三沢小学校(2005年に閉校)
    • 豊根村立坂宇場小学校(2005年に閉校)
    • 豊根村立富山小学校(2015年3月に閉校)

研究施設

  • 愛知県畜産総合センター茶臼山高原牧場

交通

鉄道

  • 村内に鉄道は走っていない。なお、佐久間ダム完成前まで、天竜川左岸の静岡県磐田郡佐久間村(現・浜松市天竜区)に国鉄飯田線豊根口駅があり、南東部の分地地区への玄関となっていた。
  • 村役場の最寄り駅はJR東海飯田線東栄駅であり、東栄駅からは豊根村中心部に向かって東栄町営バスと豊根村営バスが運行されている。
  • 富山地区の最寄り駅は飯田線大嵐駅であり、大嵐駅自体は浜松市天竜区にあるものの、駅前の鷹巣橋を渡ると富山地区に入る。

バス

路線バス

  • おでかけ北設(東栄町営バス、豊根村営バス)

道路

国道

  • 国道151号(別所街道)

県道

  • 主要地方道
    • 愛知県道1号飯田富山佐久間線
    • 愛知県道74号阿南東栄線
  • 一般県道
    • 愛知県道426号津具大嵐停車場線
    • 愛知県道428号古真立津具線
    • 愛知県道429号古真立佐久間線
    • 愛知県道506号茶臼山線
    • 愛知県道507号茶臼山高原設楽線(茶臼山高原道路)

道の駅

  • 道の駅豊根グリーンポート宮嶋

ナンバープレート

  • 車検証の住所(使用者)が本村の自動車には、豊橋ナンバーが交付される。

観光

名所・旧跡

  • 史跡
    • 黒川城跡
    • 熊谷家住宅(熊谷屋敷) – 国の重要文化財。
  • 寺院
    • 壱登寺 – 富山市原付近
    • 桂昌院 – 長澤山桂昌院
    • 仁親寺 – 滝嵓山仁親寺
    • 龍谷寺 – 天龍山龍谷寺
  • 神社
    • 御池神社
    • 川宇連神社 – 神社前に尹良親王の銅像が立つ。
    • 熊野神社 – 富山地区に観音堂がある。
    • 清水神社
    • 津島神社
    • 山住神社

観光スポット

  • 自然
    • 茶臼山高原
      • 休暇村茶臼山高原
      • 茶臼山 高原の美術館
      • 茶臼山高原スキー場
      • 恋人の聖地 芝桜の丘
      • 湯〜らんどパルとよね
    • 八嶽山
    • 大入渓谷
      • 漆島川
    • みどり湖(新豊根ダム湖)
  • 建築
    • 豊根大橋
    • 豊根発電所フランシス水車
  • レジャー
    • バンガロー村「古里とみやま」
    • とよねランドオートキャンプ村
  • 文化施設
    • 生涯学習・みんなの森大学
    • 豊根村民俗館
    • とみやま来富館
    • 豊根村教育文化センター・森遊館
  • 温泉
    • 兎鹿嶋温泉
    • 湯の島温泉

文化・名物

祭事・催事

  • 花祭(重要無形民俗文化財)
  • 念仏踊り
  • とよね祭り

団体

  • ほの国東三河ロケ応援団

出身関連著名人

ゆかりのある人物

  • 尹良親王 – 南朝の皇族であり南朝の征夷大将軍。川宇連神社前に親王の銅像が立つ。

脚注

  1. 「あいちフレンドシップ交流アルバム」(あいちフレンドシップ交流アルバム)
  2. 友好自治体提携 2016年3月1日閲覧
  3. 芳賀信男 『東三河地方電気事業沿革史』、2001年、pp.237-240
  4. 東邦電力史編纂委員会(編)『東邦電力史』、東邦電力史刊行会、1962年、p.281
  5. 中部配電社史編集委員会(編)『中部電力社史』、社史編集委員会、1954年、pp.19-20,39ほか
  6. 愛知県全域が中部電力の供給区域である。中部電力10年史編集委員会(編)『中部電力10年史』、中部電力、1961年
  7. ^ a b 小嶋明彦(2015年3月29日). “旧日本一小さな村はいま 小中学校閉校 山村留学に幕 また富山で集まろう”. 中日新聞 (中日新聞社)
  8. ^ a b “閉校式では、大勢の方にご参加いただき、ありがとうございました。富山小中学校、ありがとう!(H27.3.28)”. 豊根村立富山小中学校. 2016年3月10日閲覧。
  9. 尹良親王伝説

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • 豊根村 (toyonemura) – Facebook

豊根村についてのクイズ

豊根村はどの地域に位置していますか?

豊根村は愛知県北東部に位置しており、北設楽郡に属しています。この地域は奥三河と呼ばれる東三河地方の北部にあたり、長野県や静岡県とも接しています。そのため、豊根村は自然に囲まれた静かな環境が魅力で、特に茶臼山高原や大入渓谷など、手つかずの自然が残されています。また、愛知県で唯一人口が1000人以下の村であり、日本一人口の少ない村としても知られています。豊根村では、古くからの歴史と文化が自然と調和しており、地域住民の生活がゆったりと流れる場所となっています。

豊根村の主要な山はどれですか?

豊根村には多くの山がありますが、愛知県最高峰である茶臼山が特に有名です。茶臼山の標高は1,416メートルで、村と長野県下伊那郡根羽村にまたがっています。また、豊根村には茶臼山高原やスキー場があり、観光スポットとしても人気があります。その他にも、萩太郎山や砦山、日本ケ塚山などの山も存在しますが、茶臼山はその雄大な姿と高い標高から特に訪れる人々を魅了しています。観光客はここで四季折々の自然を楽しむことができ、アウトドア活動にも最適な場所となっています。

豊根村の人口は2024年7月1日現在、どのくらいですか?

2024年7月1日現在、豊根村の人口は903人と推計されています。この数値からもわかるように、豊根村は非常に人口が少ない村であり、人口密度は5.79人/km²となっています。このような人口の少なさから、自然豊かな環境の中で静寂な生活が営まれています。過去に比べて人口は大幅に減少しており、1970年には3,865人だったものの、少子高齢化の影響や人口流出が進む中で、近年では特に顕著な減少が見られます。

豊根村を形成する大字はどれか?

豊根村は、古真立、三沢、下黒川、上黒川、坂宇場、富山の6つの大字で構成されています。これらの大字には、それぞれ独自の地域文化や自然環境があり、村民が大切にしている生活圏となっています。特に坂宇場は、歴史的にも重要な場所であり、南朝の皇族である尹良親王に関連する伝説が残る地名でもあります。豊根村全体としては、静かな山村の雰囲気を持ちながら、地域の協力と結束によって自然環境を保護し、多様な文化を育んでいます。

豊根村における主要な医療施設は何ですか?

豊根村には主に豊根村診療所と豊根村保健福祉センターがあります。これらの医療施設は、地元の住民の健康を支える重要な役割を果たしています。特に豊根村診療所は、村民に医療サービスを提供するための拠点となっており、住民が安心して心身の健康を維持できるように努めています。また、豊根村保健福祉センターは、健康診断や地域福祉の活動を行っており、村民の生活支援にも力を入れています。医療サービスが充実することで、地域の住民がより安心して生活できる環境が整っています。

豊根村の主な観光スポットはどれですか?

豊根村の観光スポットとして最も有名なのが茶臼山高原です。茶臼山高原では、四季折々の美しい自然とともに、スキーやハイキング、キャンプなどのアウトドア活動を楽しむことができます。また、茶臼山高原内にはいくつかの観光施設もあり、特に茶臼山高原スキー場は冬季に多くのスキーヤーやスノーボーダーに訪れられるスポットです。さらに、芝桜の丘など都心から離れた静かな環境で自然と触れ合いができるため、多くの観光客を魅了しています。大入渓谷も美しい風景が広がるスポットですが、茶臼山高原の人気にはかないません。