奈良県吉野郡上北山村は、大台ヶ原や大峰山などの雄大な山々に囲まれた、自然豊かな村です。人口密度は全国で最も低く、年間を通して豊かな自然を満喫できることから、近年注目を集めています。本記事では、上北山村の魅力を、地理、歴史、産業、観光、交通、地域情報などを交えて紹介します。
1. 人口密度日本最低!秘境の村、上北山村とは?
上北山村は、奈良県の南東部、吉野郡に位置する村です。奈良県内の自治体では最も人口密度が小さく、県内で2番目に面積が広い村でもあります。標高が高く、山々が連なる自然豊かな環境に恵まれ、村の面積の97%を森林が占めています。
1.1 地理
上北山村は、吉野郡南部の山間部に位置し、西に大峰山脈の稜線、東に台高山脈・大台ヶ原を見渡せる絶景の地です。村の中心となる集落は、北山川と小橡川が合流する地点にできた河合地区です。村内には、和佐又山スキー場など、豊かな自然を生かしたレジャー施設も点在しています。
1.1.1 隣接する自治体
- 奈良県:五條市、吉野郡下北山村、十津川村、川上村、天川村
- 三重県:熊野市、尾鷲市、北牟婁郡紀北町、多気郡大台町
1.1.2 気候
上北山村は、標高が高いため、夏は涼しく、冬は雪が降るなど、四季折々の変化を楽しめる地域です。
上北山(標高334m)の気候 |
---|
月 |
最高気温記録 °C (°F) |
平均最高気温 °C (°F) |
日平均気温 °C (°F) |
平均最低気温 °C (°F) |
最低気温記録 °C (°F) |
降水量 mm (inch) |
平均月間日照時間 |
1.2 歴史
上北山村は、古くから林業が盛んで、江戸時代には幕府に御用材を供給するほどでした。木材は、熊野川水系を利用した筏流しや索道で運ばれていました。明治時代には、町村制の施行により、西原村、小橡村、河合村、白川村が合併して上北山村が誕生しました。昭和30年代までは林業が村の主要産業でしたが、その後は衰退し、現在は観光業が中心となっています。
1.2.1 村域の変遷
明治7年 | 明治8年 | 明治12年 | 明治14年 | 明治15年 | 明治17年 | 明治22年 | 現在 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
奈良県 | 堺県 | 大阪府 | 奈良県 | ||||
吉野郡 | |||||||
西野村 | 西原村 | 上北山村 | |||||
小瀬村 | 小橡村 | ||||||
橡本村 | |||||||
川合村 | 河合村 | ||||||
白川村 |
1.3 行政
- 村長:山室潔
2. 豊かな自然と歴史が息づく、上北山村の経済と産業
上北山村は、かつては木材産地として栄えていましたが、現在は観光業が村の主要産業となっています。
2.1 産業
- 林業:かつては村の主要産業でしたが、現在は衰退しています。
- 観光業:大台ヶ原や大峰山などの雄大な自然や、歴史的な建造物、温泉などを活用した観光業が盛んです。近年では、ヒルクライムイベントなども開催されています。
- 農業:山間部のため、農地はほぼ皆無です。
2.2 日本郵政グループ
- 上北山郵便局:集配局
- 上北山西原郵便局
3. 人口減少が進む上北山村:地域と生活
上北山村は、近年人口減少が課題となっています。
3.1 人口
上北山村と全国の年齢別人口分布(2005年) | 上北山村の年齢・男女別人口分布(2005年) |
---|---|
■紫色 ― 上北山村■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性■赤色 ― 女性 |
上北山村の人口の推移 | 年 | 人口 |
---|---|---|
1970年 | 1,717人 | |
1975年 | 1,463人 | |
1980年 | 1,155人 | |
1985年 | 1,123人 | |
1990年 | 1,046人 | |
1995年 | 1,023人 | |
2000年 | 915人 | |
2005年 | 802人 | |
2010年 | 683人 | |
2015年 | 512人 | |
2020年 | 444人 | |
総務省統計局 国勢調査より |
- 人口増加率(2016年→2019年):-11.82 %
- 年少人口比率:2.40 %(2019年)
- 生産年齢人口比率:47.00 %(2019年)
- 老年人口比率:50.40 %(2019年)
- 後期高齢者比率:31.40 %(2019年)
- 第一次産業比率:9.4 %(2019年)
- 第二次産業比率:21.5 %(2019年)
- 第三次産業比率:67.6 %(2019年)
- 外国人人口:1人(2019年)
- 平均年齢:59.8歳(2019年)
3.2 生活
上北山村では、高齢化が進み、生活インフラの維持が課題となっています。村では、住民同士の助け合い、地域おこし、移住促進などに取り組んでいます。
3.3 教育
- 上北山村立上北山やまゆり学園(義務教育学校)
4. アクセスは困難?上北山村への交通アクセス
上北山村は、山間部に位置するため、交通アクセスは決して良いとは言えません。
4.1 鉄道
村内には鉄道は通っていません。最寄りの駅は、近鉄吉野線大和上市駅またはJR東海紀勢本線熊野市駅です。
4.2 バス
- 奈良交通: 南部地域連携コミュニティバス(R169ゆうゆうバス)が運行されていますが、1日1往復のみで、平日と土日祝日では運行時刻が異なります。
- 上北山村コミュニティバス: 村内各地区を結ぶ無料のコミュニティバスが運行されています。
4.3 道路
- 国道169号: 村の中心部を通り、五條市方面と熊野市方面を結んでいます。
- 国道309号(行者還林道): 天川村方面とつながりますが、冬季は通行止めになります。
- 国道425号: 尾鷲市方面とつながりますが、狭隘で、”酷道”と呼ばれるほど道路状況が悪いです。
4.4 索道
かつては、木材搬出のために複数の索道が建設されていましたが、現在は廃止されています。
5. 大台ヶ原や大峰山など、雄大な自然と歴史を満喫!上北山村の観光
上北山村は、大台ヶ原や大峰山などの雄大な自然に囲まれた、豊かな観光資源を持つ村です。
5.1 名所・旧跡・観光スポット
- 吉野熊野国立公園: 大台ヶ原、大峰山、行者還岳など、豊かな自然を満喫できる国立公園。
- 大台ヶ原: 標高1,695mの、日本百名山の一つ。
- 坂本ダム: 大台ヶ原の山々に囲まれた、美しいダム湖。
- 道の駅吉野路 上北山: 地域の特産品や新鮮な農産物を販売する道の駅。
- 大峰山: 多くの修験者が修行に励む山。
- 大峯奥駈道: 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部。
- ナメゴ谷: 行者還岳の東側にある谷。
- シシンラン群落: 国の天然記念物。
5.2 温泉
- 上北山温泉: 渓谷の美しい温泉。
- 小処温泉: 古くから地元の人に親しまれている温泉。
5.3 祭事・催事
- ヒルクライム大台ヶ原: 大台ヶ原を舞台に行われる自転車競技イベント。
6. 上北山村出身の著名人
- 岩本平蔵(元衆議院議員)
- 岩本武助(元衆議院議員)
- 笑福亭竹林 (落語家)
7. まとめ:秘境の美と歴史が息づく、上北山村
上北山村は、人口密度日本最低の秘境の村でありながら、大台ヶ原や大峰山などの雄大な自然、歴史的な建造物、温泉など、多くの魅力を秘めています。交通アクセスは決して良いとは言えませんが、豊かな自然と歴史を満喫したい方にはおすすめの場所です。
参考文献
- 週刊東洋経済 「都市データパック 2020年版」 東洋経済新報社、2020年。
関連項目
- 東の川簡易郵便局
- 日本の地方公共団体一覧
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- 上北山村に関連する地理データ – オープンストリートマップ
- 地図 – Google マップ
上北山村についてのクイズ
上北山村の人口密度は日本でどのような位置づけですか?
上北山村は、奈良県吉野郡に位置し、全国で最も人口密度の低い村として知られています。これにより、村は秘境と呼ばれることもあります。大台ヶ原や大峰山などの自然に囲まれた環境により、村には豊かな緑が広がり、都会の喧騒から離れた静かな生活を楽しむことができます。この低い人口密度は、地域の資源や文化をよりじっくりと味わう機会を提供し、観光客にとっては、非日常の体験ができる場所としての魅力を高めています。
上北山村の主な産業は現在何ですか?
上北山村はかつて林業が主要産業でしたが、現在では観光業が中心となっています。大台ヶ原や大峰山など、自然の美しさや歴史的な建造物、温泉などを生かした観光産業が発展しています。観光イベントの開催もアピールポイントとなっており、最近ではヒルクライムイベントなどが行われ、多くの訪問者を呼び込む要因となっています。そのため、村では観光業の振興に力を入れているといえます。
上北山村の気候はどのような特徴がありますか?
上北山村は標高が高く、夏は涼しく、冬は雪が降るなど、寒冷な気候が特徴です。四季折々の変化が楽しめるため、訪れる人々は様々な風景やアクティビティを体験できます。また、降水量も豊富で、特に夏季の降水量が多いため、緑豊かな自然環境が維持されています。これらの気候的特徴は、地元の生態系や農業、観光活動にも影響を及ぼしているでしょう。
上北山村の中心となる集落はどの地点に形成されていますか?
上北山村の中心となる集落は、北山川と小橡川が合流する地点に位置しています。この地理的特徴は、上北山村の発展と生活の利便性に寄与してきました。自然の恩恵を受けつつ、村の住民が集まり生活を営む基盤として、歴史的にも重要な場所です。集落周辺には自然豊かな環境も広がり、観光の拠点としての役割も果たしています。