兵庫県加古郡稲美町は、神戸都市圏に属する、穏やかな田園都市です。古くから歌枕として知られる印南野台地に位置し、豊かな自然と活気あふれる街並みが調和しています。本記事では、稲美町の概要、歴史、産業、観光、そして魅力的な地域情報を詳しく紹介します。
概要
稲美町は、兵庫県南部の加古川と明石川に挟まれた印南野台地に位置しています。古くは「印南野」と呼ばれ、播磨国風土記では「入波」、万葉集では「稲日・稲見」と呼ばれていました。
町内は、加古地域、母里地域、天満地域の3つの地区に分かれ、それぞれの地域に特徴があります。全体的には田園都市ですが、南部を中心に宅地開発が進み、阪神地区のベッドタウンとしての役割も担っています。
地理
稲美町は、瀬戸内海式気候に属し、雨の少ない穏やかな気候が特徴です。標高は緩やかな傾斜地で、最高地点は相野の92.2m、最低地点は中一色の22.3mです。
水資源とため池
かつては水資源に乏しい土地でしたが、古くからため池が多く作られてきました。県内最古と言われる天満大池や、県内最大の加古大池など、約80箇所の池があり、総面積は約4km²に達します。これらのため池は、稲美町の豊かな自然環境を象徴する存在であり、水資源の確保や景観の維持に重要な役割を果たしています。
山川と平野
- 山: 相ノ山(標高43.0m)
- 川: 国安川、草谷川、喜瀬川
- 池: 加古大池、天満大池(約89か所)
- 平野: 播磨平野
- 台地: 印南野台地
人口
稲美町の人口は約3万人です。1956年の町制施行以来、阪神地区のベッドタウンとして発展を続け、人口は増加傾向にありました。近年は、加古地域と母里地域では市街化調整区域のため開発が進まず、人口が減少傾向にあります。一方、天満地域は、JR山陽本線土山駅や第二神明道路明石西インターチェンジに近く、住宅開発が活発なため人口が増加傾向です。
面積
稲美町の面積は34.92km²です。
地区 | 面積 |
---|---|
加古地域 | 6.40 km² |
母里地域 | 14.15 km² |
天満地域 | 14.41 km² |
歴史
稲美町の歴史は古く、万葉集にも登場する「いなみ野」として知られています。
稲美町誕生前
- 651年: 法道仙人高薗寺を創設(高薗寺縁起)。
- 653年: 国安天満神社の前身王子権視を国安字東に観請(天満神社文書)。請久寺創建(請久寺文書)。
- 714年: 入ケ池完成(入ケ池由来記)。
- 726年: 聖武天皇印南野行幸。
- 793年: 北山に川上真楽寺創建、行基の薬師如来像安置(真楽寺縁起)。
- 1336年: 赤松則村が望理郷四至牓示。
- 1380年: 赤松則村が高薗寺へ蛸草庄東西二十町南北五町寄進。
- 1565年: 国安天満神社再建。主神を天満天神とする。
- 1889年: 町村制施行により加古新村、母里村、天満村が発足。
- 1891年: 日本初のサイフォン式水路として淡河川疏水が神戸市北区の淡河川より引かれた。
稲美町誕生後
- 1955年3月31日: 加古村、母里村、天満村が合併し、稲美町が発足。
- 1956年4月1日: 町章を制定。
- 1963年: 神戸市との合併が浮上するが、住民の反対により断念。
- 1975年4月1日: 稲美町立稲美中学校開校。
- 1979年4月1日: 兵庫県立稲美野養護学校(現、兵庫県立いなみ野特別支援学校)開校。
- 1981年4月3日: 町花・町木・町民憲章を制定。
- 1988年: 天満大池公園開園。
- 1990年: 稲美町立憩いの館完成。
- 1991年5月9日: 幸竹で国内最大のミステリー・サークルが出現。
- 2006年1月26日: 播州葡萄園跡が国の史跡に指定。
- 2007年11月30日: 播州葡萄園跡が近代化産業遺産群に認定。
- 2009年12月19日: 稲美町立稲美北中学校が第17回全国中学校駅伝大会女子の部で初優勝。
- 2021年12月19日: 稲美町立稲美中学校が第29回全国中学校駅伝大会女子の部で初優勝。
- 2022年12月18日: 稲美町立稲美中学校が第30回全国中学校駅伝大会女子の部で連覇。
産業
稲美町は、農業、工業、商業など様々な産業が活発です。
農業
稲美町は、米作を中心とした農業が盛んです。近年は農業人口は減少傾向にありますが、農林水産省からの補助金を受けながら、営農指導や圃場整備が積極的に行われています。稲美町では、「稲美メロン」や「万葉の香」などの特産品も栽培されています。
工業
稲美町には、食品製造業、金属加工業、建設業などの様々な企業が進出しています。特に、食品製造業では、キング醸造株式会社など、地域で長年親しまれている企業が数多く存在します。
商業
稲美町には、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターなどの商業施設が充実しています。近年は、飲食店やカフェなども増加し、賑わいを見せています。
行政
稲美町は、町長と町議会によって運営されています。
歴代町長
代 | 氏名 | 就任年月日 | 退任年月日 |
---|---|---|---|
1-2 | 大西一雄 | 1955年5月19日 | 1963年2月20日 |
3 | 唐木重次 | 1963年2月28日 | 1967年2月27日 |
4-8 | 福田幸夫 | 1967年2月28日 | 1987年2月27日 |
9-12 | 井上芳和 | 1987年2月28日 | 2002年5月31日 |
13 | 赤松達夫 | 2002年6月1日 | 2006年5月31日 |
14-17 | 古谷博 | 2006年6月1日 | 2022年5月31日 |
18 | 中山哲郎 | 2022年6月1日 | 現職 |
稲美町議会
稲美町議会は、定数14人の議員によって構成されています。
教育
稲美町には、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など、様々な教育機関があります。
教育機関
- 幼稚園: 稲美町立加古幼稚園、稲美町立天満幼稚園、稲美町立天満南幼稚園、稲美町立天満東幼稚園、稲美町立母里幼稚園
- 小学校: 稲美町立加古小学校、稲美町立天満小学校、稲美町立天満南小学校、稲美町立天満東小学校、稲美町立母里小学校
- 中学校: 稲美町立稲美中学校、稲美町立稲美北中学校
- 高等学校: 兵庫県立東播磨高等学校
- 特別支援学校: 兵庫県立いなみ野特別支援学校
交通
稲美町は、鉄道は通っていませんが、バス路線が充実しており、周辺都市へのアクセスも良好です。
バス
- 神姫バス
- 三木市コミュニティバス(みっきぃバス)
道路
- 主要地方道: 兵庫県道65号神戸加古川姫路線、兵庫県道84号宗佐土山線
- 一般県道: 兵庫県道148号大久保稲美加古川線、兵庫県道377号野村明石線、兵庫県道378号六分一神出線、兵庫県道381号野谷平岡線、兵庫県道382号本荘平岡線、兵庫県道384号平荘大久保線、兵庫県道513号三木環状線、兵庫県道514号志染土山線
観光
稲美町には、豊かな自然と歴史を感じられる魅力的な観光スポットがたくさんあります。
名所・旧跡
- 円光寺
- 加古大池
- 高薗寺
- 天満大池
- 天満神社
- 鳴岡稲荷神社
- 播州葡萄園跡(国の史跡)
- 万葉の森
- 天満大池公園
祭事・催事
- いなみ新春万葉マラソン大会
- 稲美ふれあいまつり
- いなみ大池まつり
- 船江恒平六段杯稲美野将棋大会
- いなみ冬景色
まとめ
兵庫県加古郡稲美町は、豊かな自然と歴史に恵まれた、住み心地の良い町です。発展と自然が調和し、住む人々にとって魅力的な環境を提供しています。
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外部リンク
- 稲美町ホームページ: https://www.town.inami.hyogo.jp/
- 稲美町Facebook: https://www.facebook.com/hyogo.inami/
- 子育て・教育フォーラム in 稲美: https://www.inami-kosodate.com/
稲美町についてのクイズ
稲美町が位置する印南野台地に付随する有名な地域の名前は何ですか?
稲美町は印南野台地に位置し、その周囲は播磨平野に囲まれています。播磨平野は、兵庫県南部に広がる広大な平野で、田畑や住宅、商業施設が点在し、地域の経済を支えています。印南野台地は地形的に高く、周囲の平野に対して高台に位置しているため、古代から人々の生活を支えてきた地域でもあります。このように、稲美町は自然環境と人々の生活が密接に関わっている地域であるため、農業や宅地開発が進んでいるのも特徴です。
稲美町の最高地点の標高はいくつですか?
稲美町の最高地点は相野であり、その標高は92.2mです。この高低差は、印南野台地の緩やかな傾斜地に由来しています。稲美町は瀬戸内海式気候に属し、山や川、池などの自然資源に恵まれています。そのため、農業や観光業の発展が期待できる地域であり、町内には多くのため池が存在して水資源の確保にも寄与しています。
稲美町の57年の町制施行後、どのような役割を担ってきましたか?
稲美町は1956年に町制施行を行った後、阪神地区のベッドタウンとして発展してきました。特に南部では宅地開発が進み、近隣の都市への通勤が容易であることから、多くの人々が住み着いています。このような背景から、町の人口は増加傾向にありましたが、最近では一部地域で市街化調整区域が設けられたことから、開発が制限されているため、一部で人口が減少しています。
稲美町の農業で特に有名な特産品は何ですか?
稲美町は米作を中心とした農業が盛んで、特に「稲美メロン」が特産品として知られています。このメロンは甘みが強く、芳香があり、地元で愛されている商品です。農業人口は減少傾向にありますが、農林水産省からの支援を受けて、営農指導や圃場整備が行われており、地域の農業を今後も持続的に発展させていくための努力が続けられています。
稲美町の教育機関には特別支援学校が含まれていますが、その名称は何ですか?
稲美町には「兵庫県立いなみ野特別支援学校」が設置されています。この学校は特別な支援を必要とする子どもたちのための教育機関であり、地域の教育環境の一部として重要な機能を果たしています。稲美町では、小学校や中学校、高等学校も整備されており、地域に根ざした教育が実践されています。地域に住む子どもたちが公平に教育を受けられるような取り組みが進む中、特別支援教育も大切な役割を担っています。