秋田県五城目町:スズムシの故郷、豊かな自然と歴史が息づく町

秋田県の中央部に位置する五城目町は、雄大な自然と歴史、そして人々の温かさが調和する魅力的な町です。かつてはスズムシの群生地として知られ、今もその面影を残す五城目町は、のどかな田園風景と活気ある町並みが織りなす、訪れる人々を魅了する場所です。この記事では、五城目町の魅力を、地理、歴史、文化、観光、産業など様々な角度からご紹介します。

概要

秋田市から北へ約30キロ、南秋田郡に属する五城目町は、東部に山間部、西部に市街部と田園が広がる、自然豊かな町です。国道285号が町の中心部を貫き、町役場、警察署、高校などが沿道に立ち並びます。高速道路は町の西端に五城目八郎潟ICがあり、秋田市と能代市の中間に位置する交通の便の良い立地です。

地理

五城目町は、東部には標高400mほどの馬場目岳をはじめとする山々が連なり、西部には八郎潟調整池が広がる、変化に富んだ地形をしています。町の中央部を馬場目川が流れ、豊かな自然環境を育んでいます。

  • 馬場目岳:町と秋田市の境界に位置し、かつてはスズムシの群生地として知られていました。
  • 森山:かつてのスズムシの群生地として有名でしたが、近年は鳴き声が聞こえなくなり、2020年には登録が解除されてしまいました。

河川

  • 馬場目川:町の中央部を流れ、豊かな水資源を提供しています。
  • 富津内川:町の中西部を流れ、八郎潟調整池に注ぎます。
  • 内川川:町の中東部を流れ、馬場目川に合流します。

湖沼

  • 八郎潟調整池:町と八郎潟町の境界に位置し、秋田県最大の湖沼です。

地区

五城目町は、歴史的に複数の村が合併して現在の町となりました。それぞれの地区には独自の文化や歴史が息づいています。

  • 五城目:町の中心部。
  • 馬場目:旧馬場目村の地区。馬場目岳のふもとに位置し、馬場目川の上流にあたります。
  • 内川:旧内川村の地区。浅見内、小倉、黒土、湯ノ又の4村が合併してできた地区です。
  • 富津内:旧富津内村の地区。富田、中津又、下山内の3村の字を取ってできた地区です。

浅見内

旧出羽国南秋田郡浅見内村の地区。浅見内川に由来し、支流として大場沢、滝の下沢が流れています。語源は「あざみない(薊の川)」で、大石孫右衛門の出身地としても知られています。

富津内

旧富津内村の地区。富田、中津又、下山内の3村の字を取ってできた地区です。地域を流れる中津又川に由来し、下山内はかつては山内と呼ばれていました。

気候

五城目町は、日本海側気候に属し、冬は雪が多く、夏は比較的涼しい気候です。年間を通して寒暖の差が大きく、気温の年較差、日較差が大きいのが特徴です。豪雪地帯に指定されており、冬は積雪量も多いです。

歴史

五城目町の歴史は古く、日本三代実録には出羽国秋田郡姉刀村として記載されています。平安時代中期には、辞書和名類聚抄において秋田郡最北の村として率浦郷として記載されています。

  • 1889年(明治22年):町村制施行により五十目村が発足。
  • 1896年(明治29年):町制施行、(旧)五城目町に改称。
  • 1922年(大正11年):五城目軌道線が開業。
  • 1942年(昭和17年):馬川村と合併。
  • 1951年(昭和26年):町章を制定。
  • 1955年(昭和30年):(旧)五城目町、内川村、大川村、馬場目村、富津内村が合併し、現在の五城目町が発足。
  • 1959年(昭和34年):広報五城目の発行開始。
  • 1969年(昭和44年):秋田中央交通線が廃止。
  • 1982年(昭和57年):現在の町役場庁舎が完成。
  • 1985年(昭和60年):町民憲章と町の花・鳥・木が制定。
  • 1989年(平成元年):東京都千代田区と姉妹都市提携。
  • 1990年(平成2年):明仁天皇即位の際に行われた大嘗祭において大川石崎の水田が斎田(悠紀田)に選ばれる。
  • 2005年(平成17年):隣接する井川町、八郎潟町との法定合併協議会廃止。
  • 2020年(令和2年):スズムシ群棲地の登録が解除。
  • 2022年(令和4年):集中豪雨により内川川が氾濫。
  • 2023年(令和5年):集中豪雨により内川川と馬場目川が氾濫。五城目浄水場が被災し、町内のほとんどで断水が発生。

行政

町長

五城目町は、町長を首長とする町議会制を採用しています。現在の町長は渡邉彦兵衛氏で、2005年から在任しています。

警察

  • 五城目警察署:町の中心部に位置し、地域の治安を守る重要な役割を担っています。
  • 大手駐在所:町内の各地区に設置され、地域住民との連携を図りながら、治安維持に努めています。

消防

  • 五城目町消防本部:町内全域を管轄し、火災や災害発生時の対応にあたっています。

姉妹都市

  • 東京都千代田区:1989年(平成元年)に姉妹都市提携を結び、相互交流や文化交流を積極的に行っています。

教育

五城目町は、子どもたちの教育を重視しており、充実した教育環境を提供しています。

小学校

  • 五城目町立五城目小学校:町内唯一の小学校で、地域の子供たちが集い、学び、成長する場所となっています。

中学校

  • 五城目町立五城目第一中学校:町内唯一の中学校で、生徒たちは豊かな自然の中で学び、将来の夢に向かって努力しています。

高等学校

  • 秋田県立五城目高等学校:町唯一の高校で、地域社会に貢献できる人材育成を目指しています。

放課後児童クラブ

  • すずむしクラブ:五城目町放課後児童健全育成事業として、子供たちの健全育成をサポートしています。

地域・施設

医療

町内には、公立の病院はありませんが、近隣の八郎潟町にある湖東厚生病院が、五城目町民の医療を支えています。

郵便局

  • 五城目郵便局:町の中心部に位置し、郵便、貯金、保険などのサービスを提供しています。
  • 内川郵便局
  • 浦横町簡易郵便局
  • 上樋口簡易郵便局
  • 下山内簡易郵便局
  • 杉沢簡易郵便局
  • 高崎簡易郵便局
  • 西野簡易郵便局
  • 馬場目簡易郵便局
  • 富津内簡易郵便局
  • 森山簡易郵便局
  • 湯ノ又簡易郵便局
  • 浅見内簡易郵便局:一時閉鎖中

金融機関

  • 秋田銀行五城目支店
  • 秋田信用金庫五城目支店

産業

五城目町は、農業、林業、水産業など、一次産業が盛んな町です。特に、米作は重要な産業であり、良質な米が生産されています。近年では、観光業も発展しており、町を訪れる観光客が増加しています。

酒類

  • 福禄寿酒造:五城目町を代表する酒造メーカーで、伝統的な製法で造られた日本酒は、地元で愛されています。

繊維製品

  • 秋田ホーセ:五城目町で創業した繊維製品メーカーで、高品質な製品を生産しています。

商業施設

  • イオンスーパーセンター五城目店:町内最大の商業施設で、生活必需品から衣料品、飲食店など、様々な店舗が集まっています。

寺・神社

  • 五城目神明社:町の中心部に位置する神社で、地域の信仰の中心となっています。
  • 十三騎神社:五城目神明社の境内に鎮座する神社です。

文化

五城目町は、伝統文化が息づく町として知られています。

川柳団体

  • すずむし吟社:五城目町を拠点とする川柳団体で、町民の創作活動を支援しています。

交通

五城目町は、秋田市、能代市、八郎潟町など周辺地域へのアクセスが良好です。

鉄道

JR東日本奥羽本線が町内を通過しますが、駅はありません。最寄りの駅は、八郎潟町にある八郎潟駅です。

路線バス

  • 秋田中央交通:秋田市方面とを結ぶ路線バスを運行しています。
  • 南秋地域広域マイタウンバス:町内各地と八郎潟町、大潟村を結ぶ路線バスを運行しています。
  • デマンド型乗合タクシー:路線バスが運行されていない地域では、予約制の乗合タクシーが運行しています。

道路

  • 高速自動車国道
    • E7 秋田自動車道:五城目八郎潟IC
  • 一般国道
    • 国道7号
    • 国道285号:道の駅五城目
  • 主要地方道
    • 秋田県道4号能代五城目線
    • 秋田県道15号秋田八郎潟線
  • 一般県道
    • 秋田県道112号久保秋田線
    • 秋田県道129号杉沢上小阿仁線
    • 秋田県道219号三倉鼻五城目線
    • 秋田県道220号真坂五城目線
    • 秋田県道228号北の又井川線
    • 秋田県道298号道村大川線

出身著名人

五城目町からは、様々な分野で活躍する著名人が輩出しています。

政治家

  • 石川錬治郎:秋田県議、元秋田市長
  • 北嶋南五:旧五城目町長、俳人

経済・実業家・篤志家

  • 新谷明弘:秋田銀行頭取
  • 近藤泰助:実業家
  • 矢田不二郎:大和生命5代目取締役社長
  • 大石孫右衛門:篤志家
  • 渡辺彦太郎:篤志家

教育・研究者

  • 泉谷力治:教育者
  • 小野源蔵:教育者
  • 木村謹治:ドイツ語学者、ドイツ文学者
  • 千葉喜久也:仙台大学体育学部教授
  • 分銅惇作:近代日本文学研究者

スポーツ選手

  • 築地俊龍:プロ野球選手
  • 工藤政志:プロボクサー
  • 郷錦廣次:力士
  • 四ツ車大八:力士、め組の喧嘩
  • 若駒健三:力士
  • 菅原弥三郎:レスリング選手、モントリオールオリンピック銅メダリスト

芸能・文化人

  • 石井三友:著作家
  • 中村徳也:歌人
  • 小川元:作家
  • 矢田津世子:作家
  • 畑澤聖悟:劇作家
  • 館岡栗山:画家
  • 福田笑迎:画家
  • 小柳愛子:歌手の母
  • KO-TANG:プロダンサー
  • 斎藤忠生:オペラ歌手
  • 鳥井森鈴:民謡歌手、芸名の由来は五城目町のシンボルである美しいスズムシ
  • 渡辺銀雨:川柳作家、五城目町のシンボルであるスズムシに由来して川柳団体「すずむし吟社」を創設し、川柳句誌『すずむし』を創刊した

関連著名人

  • 草皆五沼:俳人、医師。浅内村出身だが、養子に入り、五城目町で活動した

五城目町を撮影した作品

  • 風が通り抜ける道・・すべての愛が存在する島(2024年)

脚注

  1. 川崎駅・高校前駅・五城目駅の各駅が存在した
  2. 県天然記念物「スズムシ群棲地」 鳴き声消え、指定解除へ 北限の五城目、環境失われ /秋田 | 毎日新聞
  3. ^ a b すずむしクラブ(五城目町放課後児童健全育成事業) | ARUCO
  4. ^ a b 秋田県 川柳すずむし吟社|全日本川柳協会
  5. “湖沼面積” (PDF). 国土地理院 (2015年3月6日). 2015年3月9日閲覧。
  6. 秋田地名研究年報18号
  7. 阿仁のアイヌ語地名 – 東北アイヌ語地名研究会
  8. 石川富司『五城目の地名考(上)』(秋田地名研究年報7号 1991年)
  9. 日本加除出版株式会社
  10. 秋田の連結地名、名数地名、合成地名について(藤原國見)、地名余録7
  11. “五城目 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年4月7日閲覧。
  12. “自慢の庁舎お披露目 五城目町役場で完成式” 秋田魁新報 (秋田魁新報社): p14. (1982年11月3日 朝刊)
  13. “記録的豪雨、秋田・五城目で浸水被害186棟…一時「緊急安全確保」発令”. 読売新聞 (2022年8月13日). 2023年7月16日閲覧。
  14. “秋田市で観測史上最大の豪雨 県内7河川で氾濫、4人けが”. 産経新聞 (2023年7月15日). 2023年7月16日閲覧。
  15. “浄水場被災に伴う断水について”. 五城目町 (2023年). 2023年7月16日閲覧。
  16. 何が今起きているのか?秋田の辺境地、五城目町の刺激的変化を支える廃校活用オフィス「BABAME BASE」にお邪魔してきた – CLOCKNOTE(2016年8月3日)
  17. “沿革”. 湖東厚生病院. 2015年1月5日閲覧。
  18. “一時閉鎖:浅見内簡易郵便局”. 日本郵便. 2023年7月10日閲覧。
  19. 鳥井森鈴 | 五城目の誇り すばらしい先輩たち – 五城目町
  20. 渡辺銀雨 | 五城目の誇り すばらしい先輩たち – 五城目町

外部リンク

  • 五城目町
  • 五城目町に関連する地理データ – オープンストリートマップ
  • 地図 – Google マップ

五城目町は、豊かな自然と歴史、そして人々の温かさが調和する魅力的な町です。ぜひ一度訪れて、五城目町の魅力を体感してみてください。

五城目町についてのクイズ

五城目町は、秋田市から北へ何キロの位置にあるか?

五城目町は秋田県の中央部に位置しており、秋田市から北へ約30キロの距離にあります。歴史的にも重要な地域で、交通の便も良好であるため、移動が容易でさまざまな魅力を持っています。国道285号が町の中心部を貫いているほか、高速道路も近くにあり、秋田市と能代市の中間に位置するため、交通アクセスが非常に良いのが特徴です。人口は少数ですが、自然環境が豊かで、地域の温かい人々が交流を大切にし、観光業や農業が盛んです。特にスズムシの故郷として知られ、町のシンボルとなっています。訪れる際には、自然の美しさと歴史の息吹を感じられることでしょう。

五城目町の代表的な山はどれか?

五城目町の代表的な山は馬場目岳です。馬場目岳は、町と秋田市の境界に位置し、標高約400メートルの山です。この山はかつてはスズムシの群生地として名を馳せており、その影響で五城目町は「スズムシの故郷」としての地位を確立しました。また、馬場目岳周辺は自然環境が豊かで、観光地としても美しい景観を楽しむことができます。歴史的にも重要な場所であり、地域の人々にとって思い入れのある山として親しまれています。近年はスズムシの鳴き声が少なくなってきているものの、自然の中でのハイキングや観光が楽しめるスポットとして訪れる価値があります。

五城目町の町長は誰か?

五城目町の町長は渡邉彦兵衛氏です。彼は2005年から町長として在任しており、地元の行政や地域振興に尽力してきました。五城目町は温かい地域社会と自然豊かな環境を持ち、観光業や農業が発展しています。町長はそのリーダーとして、地域の課題に対応し、町の発展を目指しています。また、五城目町は東京都千代田区と姉妹都市提携を結んでおり、文化交流や地域の活性化にも力を入れています。町の歴史や伝統を守りながら、住民の生活向上や観光振興を図り、訪れる人々にとって魅力あふれる地域を維持するために努力しています。

五城目町で生産されている主要な農作物は何か?

五城目町は、特に米作りが盛んな町として知られています。自然豊かな多様な環境で育まれた米は、良質で味わい深く、地域住民だけでなく訪れる観光客にも人気があります。農業は五城目町の重要な産業の一つで、町内の多くの農家が米作りを中心に様々な農作物を育てています。また、観光業も近年発展してきており、地元の米を使った特産品や料理が観光客に提供されることも多くなっています。地域全体での農業振興や地域経済の活性化が進む中、良質な農産物の生産と食文化の発信にも力を入れています。

五城目町にはどの種類の郵便局が存在しないか?

五城目町には、複数の郵便局が存在しますが、「内科郵便局」という名称の郵便局は存在しません。主要な郵便局としては五城目郵便局が町の中心部に位置し、郵便や貯金、保険などのサービスを提供しています。また、町内には多数の簡易郵便局も存在し、地域向けに利用しやすいサービスが展開されています。郵便局は地域住民の日常生活に欠かせないインフラの一つであり、郵便物の送受信だけでなく、金融サービスも多岐にわたって提供しているため、住民の生活を支える重要な役割を担っています。