茨城県最東南端、鹿行地域に位置する神栖市は、2005年に市制施行された比較的新しい街です。かつては「陸の孤島」と呼ばれ、農業と漁業が中心の貧しい地域でしたが、1960年代からの鹿島開発によって、鹿島港を核とした鉄鋼・石油を中心とする重化学コンビナートが形成され、大きく発展を遂げました。現在は工場立地企業からの税収が財政を支え、地域経済を牽引しています。しかし、近年は人口減少や少子高齢化、そして2024年度末に予定されている日本製鉄の高炉休止など、課題も山積しています。
概要
神栖市は、隣接する鹿嶋市とともに鹿島臨海工業地帯を形成し、鹿島アントラーズFCのホームタウンとしても知られています。
変化を続ける街 – 工業と自然の共存 –
かつては広大な面積の池「神之池」があった神栖市は、鹿島開発によってその姿を変え、現在も発展を続けています。工場地帯と自然が共存する街は、独特の景観を作り出し、人々の暮らしと産業を支えています。
課題と未来 – 新しい神栖市の創造 –
近年、神栖市は人口減少や少子高齢化といった課題に直面しています。2024年度末には日本製鉄の高炉休止が予定されており、地域経済への影響も懸念されています。しかし、神栖市はこれらの課題を克服し、持続可能な発展を目指すため、様々な取り組みを進めています。
地理
神栖市は、東は太平洋(鹿島灘)に面し、南は利根川(常陸利根川)が流れる、豊かな自然に恵まれた街です。
隣接する自治体
- 茨城県
- 鹿嶋市
- 潮来市
- 千葉県
- 銚子市
- 香取市
- 香取郡東庄町
神栖市の自然
- 河川: 利根川、常陸利根川、鰐川、掘割川
- 湖沼: 霞ヶ浦(外浪逆浦)、神之池
- 山: 神栖市には山はありません。
歴史
神栖市は、古くから農業と漁業が盛んな地域でした。1955年に神栖村が誕生し、1970年に町制施行、そして2005年に市制施行となりました。
神栖市の歴史年表
- 1889年(明治22年): 町村制施行に伴い、息栖村、軽野村、東下村、矢田部村、若松村などが誕生。
- 1955年(昭和30年): 息栖村と軽野村が合併し、神栖村が発足。
- 1970年(昭和45年): 神栖村が町制施行し、神栖町となる。
- 1980年(昭和55年): 神栖町と波崎町の境界が一部変更。
- 2005年(平成17年): 神栖町が波崎町を編入し、神栖市が発足。
鹿島開発と街の変容
1960年代からの鹿島開発は、神栖市の歴史に大きな影響を与えました。鹿島港の建設、鉄鋼・石油を中心とする重化学コンビナートの形成など、神栖市は工業都市として発展を遂げました。
人口
神栖市の人口は、近年は増加傾向にありましたが、近年は減少傾向にあります。
人口推移
年 | 人口 |
---|---|
1970年 | 49,360人 |
1980年 | 67,364人 |
1990年 | 77,596人 |
2000年 | 87,626人 |
2010年 | 94,795人 |
2020年 | 95,454人 |
人口減少の要因
- 少子高齢化
- 工業の衰退
- 若者の流出
行政
市長
- 現職: 石田 進
市議会
- 定数: 23人
県議会
- 神栖市選挙区: 定数2人
衆議院
- 茨城2区
産業
神栖市は、工業、農業、漁業が主要産業です。
工業
- 鉄鋼
- 石油化学
- 電力
- 食品
- その他製造業
主要企業
- 日本製鉄
- 鹿島石油
- AGC
- JERA
- 花王
農業
- 野菜
- 果物
- 米
神栖市の特産品
- ピーマン
- スイカ
漁業
- イワシ
- サバ
- マダイ
主要漁港
- 波崎漁港
- 太田漁港
地域
教育
神栖市には、小学校、中学校、高等学校があります。
主要学校
- 神栖市立神栖第一中学校
- 神栖市立波崎第一中学校
- 茨城県立神栖高等学校
- 茨城県立波崎高等学校
医療
神栖市には、いくつかの病院があります。
主要病院
- 神栖済生会病院
- 白十字総合病院
文化施設
- 神栖市文化センター
- 神栖市立図書館
- 歴史民俗資料館
- 池沢早人師サーキットの狼MUSEUM
公園
- 神之池緑地公園
- 港公園
- 神栖中央公園
スポーツ施設
- 神栖市矢田部サッカー場
- かみす防災アリーナ
- 神栖海浜公園
観光
神栖市には、自然と歴史に触れられる観光スポットがたくさんあります。
観光スポット
- 港公園: 鹿島港と鹿島灘を一望できる展望塔があります。
- 息栖神社: 鹿島神宮、香取神宮とともに東国三社の一つです。
- 波崎砂丘: 広大な砂丘が広がり、自然を満喫できます。
- シーサイドパーク: 風力発電のプロペラ風車を見ることができます。
- 神之池: 鹿島開発によってほとんどが埋め立てられましたが、現存部分周辺は緑地公園となっています。
祭り
- かみす舞っちゃげ祭り: 毎年9月に開催される、よさこいとダンスの祭典です。
アクセス
鉄道
- JR成田線: 小見川駅
- 鹿島臨海鉄道: 神栖駅(貨物駅)
バス
- 高速バス: 東京駅、羽田空港、海浜幕張駅、東京ディズニーリゾートなどから運行
- 路線バス: 鹿島神宮駅、銚子駅などから運行
- 神栖市コミュニティバス: 市内を運行
道路
- 国道124号
- 東関東自動車道: 潮来インターチェンジ
港湾
- 鹿島港
まとめ
神栖市は、工業と自然が共存する魅力的な街です。豊かな自然、歴史、文化、そして活気のある産業が、神栖市を特徴付けています。人口減少や少子高齢化といった課題を抱えながらも、神栖市は新しい街づくりに挑戦し、未来に向けて発展を続けています。
関連項目
- 鹿島臨海工業地帯
- 鹿島アントラーズFC
- 波崎事件
- 神栖市矢田部サッカー場
- 『新世界より』
外部リンク
- 神栖市公式ウェブサイト
- 神栖市観光協会
- 神栖市観光情報 (神栖市観光協会)
神栖市についてのクイズ
神栖市が市制施行された年はいつですか?
神栖市は2005年に市制施行され、正式に市としての行政を開始しました。それ以前は神栖町として存続し、数々の歴史的な過程を経て現在の姿になりました。神栖市は、鹿行地域に位置し、人口の増加や鹿島開発によって工業化が進むなど、近年の変化が著しい地域です。市制施行直後から、地元の経済活動はさらに活発化し、工業、農業、漁業といった多角的な産業が共存する街として知られるようになりました。
神栖市の主要な隣接自治体はどれですか?
神栖市は隣接する鹿嶋市とともに鹿島臨海工業地帯を形成しています。また、鹿行地域でも鹿島アントラーズFCのホームタウンとしても知られています。周囲には潮来市や千葉県の銚子市、香取市などもあり、地理的に豊かな自然環境とともに工業が発展した地域です。神栖市は、これらの隣接自治体との交流も活発であり、地域経済の強化とも関係が深いです。
神栖市の主要な農産物は何ですか?
神栖市は農業が盛んで、特にピーマンやスイカが特産品として知られています。市周辺の気候や土壌が農業に適しているため、多様な野菜や果物の栽培が行われています。農業は地域経済の一翼を担っており、地元住民の生活にも大きな影響を与えています。神栖市では、農産物を消費者に直接届ける取り組みも進んでおり、地域の特産品を基にしたイベントや販売会も開催されています。
神栖市にある主要な祭りは何ですか?
神栖市で毎年9月に開催される「かみす舞っちゃげ祭り」は、よさこいやダンスの祭典です。この祭りは、市民が参加し楽しむ形で行われ、多くの観光客も訪れるイベントとして人気があります。地域の活性化や文化の継承を目的としたこの祭りでは、音楽や踊りが融合した楽しい雰囲気が広がっています。このような地域の祭りは、神栖市の文化的な魅力を伝える大切な機会です。